「路線バスが撤退したら、この集落の高齢者は病院に行けなくなる」。そんな不安から、デマンド交通を始める市町村が北海道にもあります。旭川運輸支局が窓口の令和2年度「地域内フィーダー系統確保維持費国庫補助金」は、2020年11月30日で受付を終了しています。
この補助金は、地域公共交通計画に載った運行系統の赤字を、国が1/2まで補う仕組みです。計画の認定申請は、交付申請より約1年5か月前の6月30日が期限です。次の申請に備える自治体と事業者向けに、現行の交付要綱から条件を整理しました。
旭川運輸支局 地域内フィーダー系統補助金の要点まとめ
正式名:地域内フィーダー系統確保維持費国庫補助金ほか(旭川運輸支局・令和2年度)
だれが
- 申請者
- 法定協議会(現行の交付要綱)。事業者単独の申請ではない
- 対象業種
- 運輸業(乗合バス事業者、自家用有償旅客運送を行う者ほか)
- 利用目的
- 赤字バス路線の運行維持、バス車両の購入
- 対象地域
- 北海道内(旭川運輸支局管内)
- 従業員数
- 規定なし
いくら
- 補助上限額
- 公式ページに記載なし(市区町村ごとに国庫補助上限額を算定)
- 補助率
- 1/2
いつ・どこへ
- 申請受付
- 終了(2020年10月1日〜2020年11月30日)
自分の運行系統は対象になる?
現行の交付要綱では、次の項目をすべて満たす運行系統が対象です。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 過去2年度続けて黒字の系統
- ✕ 計画に載っていない系統
運行形態は、路線定期運行、路線不定期運行、区域運行、交通空白地有償運送(乗合)、タクシーによる運行のいずれかです。路線定期運行は、1回の運行で平均2人以上乗ることも条件になります。
接続の条件は2通りあります。1つは、補助対象の地域間幹線バスに接続する系統です。ただし政令指定都市、中核市、特別区が専らその運行を支援するものや、運行区域がすべてその区域内のものは除かれます。もう1つは、過疎地域や離島、半島、振興山村などを通る地域間交通ネットワークに接続する系統か、半径1km以内にバス停・駅・港・空港がない地域の住民の移動を守る系統です。
いくら補助される?
国の補助額は、市区町村ごとに「赤字額の1/2」と「国庫補助上限額」を比べて、少ないほうの額以内です。赤字額は、経常費用から経常収益(運賃収入など)を引いて求めます。
次の数字は仕組みを示す仮の例です。
- 経常費用800万円、経常収益500万円なら、赤字は300万円:300万円 × 1/2 = 150万円
- 上の例で国庫補助上限額が120万円なら、150万円ではなく上限の120万円
上限額の具体的な数字は公式ページに載っていません。 旭川運輸支局の管内は北海道運輸局が窓口なので、そこに問い合わせて確かめます。
何に使える?
補助の中身は3つに分かれます。補助率は、どれも対象経費の1/2です。
- 地域内フィーダー系統確保維持費:運行の赤字の補填
- 車両減価償却費等:計画に載った補助対象系統の運行に使う新車の購入費と金融費用
- 公有民営方式車両購入費:自治体が買い、運行事業者に貸す車両の購入費
公有民営方式は、車両を取得した年度と翌年度の2年に分けて、均等に交付されます。
申請の流れ
- 法定協議会が地域公共交通計画を作る(市町村と事業者が協議。運行系統と運送予定者を記載する)
- 認定申請を出す(法定協議会→国土交通大臣。対象年度の前年度の6月30日まで)
- 認定を受けて運行する(運送予定者。補助対象期間は対象年度の9月30日が末日)
- 補助金の交付申請を出す(補助対象事業者→国土交通大臣。対象年度の11月30日まで)
- 交付決定と額の確定を受ける(国土交通大臣→補助対象事業者)
認定申請と交付申請の期限の差は大きく、年度が明けてから動き出しても認定申請には間に合いません。住民アンケートや協議会での議論に時間がかかるため、準備は前年度の早い時期から始めるのが安全です。
必要な書類
準備できた 0 / 5
輸送実績算定表の正式名は「運行系統別輸送実績及び平均乗車密度算定表」、取組実績は「生産性を向上させる取組実績」です。認定申請には事業報告書と輸送実績算定表を補助対象期間の前々年度から3年分、交付申請には補助対象期間の分を付けます。取組実績は交付申請に付けます。
様式は国土交通省のページの交付要綱の別添で確かめます。過去に提出済みの添付書類は省略できる場合があります。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 計画に載っていない:地域公共交通計画に記載がない系統は、赤字でも補助の対象外です。
- 認定申請の期限を過ぎた:前年度の6月30日を過ぎると原則として受け付けられません。
- 黒字が続いた:過去2年度連続で経常収益が経常費用を超えた系統は対象外です。
申請者の考え方が変わっている点
現行の交付要綱では、地域内フィーダー系統の補助対象事業者は法定協議会です。令和6年度予算の事業までは、経過措置としてバス事業者等も対象事業者になれました。古い案内で「事業者が申請する」と読める場合は、協議会が申請する形に読み替えます。
よくある質問
令和2年度分の交付申請は今から出せますか?
出せません。旭川運輸支局の令和2年度分は2020年11月30日で受付が終わっています。ただし制度は毎年度続いていて、現行の交付要綱は令和8年10月5日に改正されています。次に使いたい場合は、対象にしたい年度の前年度の6月30日までに、法定協議会が計画の認定申請を出します。
個人タクシー事業者でも対象になりますか?
交付要綱の対象は、乗合バス事業者、自家用有償旅客運送を行う者、およびタクシー事業による運行のうち市区町村が運賃低廉化を支援するものなどです。タクシーの場合は、市区町村からの運賃低廉化に対する支援額が補助対象経費の基準になります。個人タクシー事業者の扱いは運行形態ごとに違うため、北海道運輸局に確認してください。
補助対象になる運行系統の条件は何ですか?
地域公共交通計画に載っていること、幹線バスや鉄道に接続していること、補助対象期間に運賃収入が費用に届かないこと、9月30日まで運行を続けることなどです。路線定期運行は、1回あたり平均2人以上の輸送量も要ります。新しく始める系統か、自治体が新たに支援を始める系統か、前年度から続く系統であることも条件です。
補助額はどう決まりますか?
市区町村ごとに、地域内フィーダー系統の補助対象経費の合計額の1/2と、国庫補助上限額を比べて、少ないほうの額以内で決まります。補助対象経費は、経常費用から経常収益を引いた赤字額です。同じ赤字額でも、市町村によって国庫補助上限額が違うため、受け取れる額の天井も変わります。上限額は北海道運輸局に確かめます。
認定申請と交付申請はどう違いますか?
認定申請は、法定協議会が地域公共交通計画を国に認定してもらう手続きで、対象年度の前年度の6月30日が期限です。交付申請は、運行した実績をもとに補助金を請求する手続きで、対象年度の11月30日が期限です。認定がないと交付申請に進めないので、期限の早い認定申請を最優先で準備します。
車両を買い替えるときも使えますか?
使えます。地域公共交通計画に取得が必要として載った新車は、車両減価償却費等国庫補助金の対象で、補助率は1/2です。自治体が買って運行事業者に貸す車両は、公有民営方式車両購入費国庫補助金の対象になり、取得年度と翌年度の2年に分けて交付されます。どちらも補助対象系統の運行に使う車両が条件です。
黒字の系統は対象になりませんか?
過去2年度連続で経常収益が経常費用を超えた系統は、対象から外れます。補助対象期間に経常収益が経常費用に届いていない系統が対象という考え方です。1年だけ黒字になった場合は、すぐに対象外とはなりません。収支の見込みは計画に書く事項なので、協議会と運送予定者が一緒に確認します。
運送予定者はどう選ばれますか?
協議会の議論を経て、地域公共交通計画に運送予定者として記載された者が運行します。計画の記載がない事業者の運行は補助の対象になりません。選定の方法は、競争性や透明性のある方法で行うことが求められます。選定の進め方は市町村や協議会ごとに違うため、自治体の担当課に聞くと確実です。
補助対象期間はいつからいつまでですか?
補助対象期間は、補助金を受ける会計年度の9月30日を末日とする1年間です。補助対象期間の末日に、その系統が運行を続けていることが条件のひとつになります。期間の途中で系統を合併・分割するときは、再編の日までに計画の認定か変更の認定を受ける必要があります。
問い合わせ先はどこですか?
補助要件や活用方法は、北海道運輸局の交通政策部 交通企画課(電話011-290-2721)が窓口です。事業全般は、国土交通省 総合政策局 地域交通課(電話03-5253-8396)です。協議会を通じて動く制度なので、市町村の地域公共交通の担当課にも早めに相談しておくと、計画づくりが進めやすくなります。
