被災した農家なら、トラクターの修理にも市の補助金を使えるのか。使えますが、機械とハウスの修繕には地域計画の「目標地図」に位置付けられた農業者だけという条件があります。苗や肥料を買い直す費用のほうは、この条件がなく、減収の見込みで判断します。
足利市は令和8年7月の短時間集中豪雨の被災事業者向けに、もう1つ補助金を出しています。農林水産業を除く中小企業の設備と車両の復旧が対象で、農業者はそちらを使えません。
足利市被災農業者営農再開支援事業補助金の要点まとめ
正式名:足利市被災農業者営農再開支援事業補助金
だれが
- 申請者
- 農業者(個人・法人)
- 対象業種
- 農業(販売農家など)
- 利用目的
- 豪雨被災からの営農再開(資材の再購入・機械やハウスの修繕)
- 対象地域
- 栃木県足利市
- 従業員数
- 規定なし
いくら
- 補助上限額
- 100万円(1農業者あたり。2つのメニューの合計)
- 補助率
- 5分の1以内(本則課税事業者は税抜経費が基準)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年10月1日〜2026年12月28日
- 事業の完了
- 令和8年度中に実施する取組(完了日は公式ページに記載なし)
自分は対象になるのか
この補助金には2つのメニューがあり、対象の線引きが違います。両方を一緒に申請することもできます。
共通の条件(どちらのメニューでも)
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
メニュー(1)の早期営農再開(苗・肥料などの再購入)
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 3
メニュー(2)の機械・ハウスの修繕や再取得
- 市の地域計画の目標地図に載っている
- 1件の費用が13万円以上
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 水稲の種もみの購入
- ✕ 被災していないほ場で使う資材
- ✕ 他の補助金で賄う同じ経費
メニュー(1)の減収要件は、経営全体で売上が20%減る見込みか、被災したほ場の収穫が30%減る見込みのどちらかです。申請様式(付表3)では、被害を受けた面積を全農地の面積で割って、20%に届くかを見ます。なお公式ページは「20%を超えて」と書き、要綱と様式は「20%以上」です。ちょうど20%や30%の人は、先に農政課に聞いてください。機械の「13万円」も同じで、公式ページは「13万円を超える」、要綱と様式は「13万円以上」で、様式には「税抜き」の注記があります。ぎりぎりの修繕は、農政課に確かめると安心です。
メニュー(2)の「目標地図に位置付けられた農業者」とは、認定農業者、認定新規農業者、集落営農組織、市の基本構想の目標水準を達成している農業者です。載ることが確実だと市が認めた人も含まれます。自分が載っているか分からないときは、農政課(0284-20-2160)で確かめるのが確実です。公式ページに確認方法が書かれていないためです。
なぜこの線が引かれているのか
(1)は被災した作物の代わりに植え直す費用なので、減収が見込めることが条件です。(2)は高額な機械やハウスの修繕が中心で、将来も地域の農地を担う人に絞られています。公式ページに趣旨の説明はなく、この読み方は編集部の判断です。
いくら補助されるのか
費用の5分の1以内で、上限は1農業者あたり100万円です。上限は(1)と(2)の合計に掛かります。
簡易課税事業者か免税事業者で、税込の金額で計算する例です。
- イチゴの苗2,000本を買い直す(様式の記入例):40万円 × 1/5 = 8万円
- パイプハウス1棟の骨組補修とフィルム張替え(同じく様式の記入例):70万円 × 1/5 = 14万円
- 上の2つを同時に申請する:110万円 × 1/5 = 22万円
- 機械の修繕に13万円かかった(下限ぎりぎり):13万円 × 1/5 = 2.6万円
- 冠水した機械とハウスの復旧に600万円かかった:600万円 × 1/5 = 120万円 → 上限の100万円
上限の100万円に届くのは、対象の費用が500万円以上のときです。
本則課税事業者(消費税の仕入税額控除を受けている事業者)は、税抜の金額で計算します。税込で申請して交付を受けたあとに控除を受けると、超えた分の補助金を返すことになります。
何に使えるのか
対象にならないもの
- 水稲の種(令和8年度中の営農再開に当たらないため)
- 被災していないほ場に使う資材
- 自分の営農に使わない資材や機械
- 1件13万円に満たない機械・ハウスの修繕
対象になるもの
- (1)苗、種子、土壌消毒剤、追肥、化成肥料など、被災した作物の代わりに作付けするための費用
- (2)冠水・浸水したトラクターなど農業機械の修繕・再取得
- (2)パイプハウスの骨組の歪みの補修、ガラス温室の修繕
- (2)ハウスの暖房機や換気扇などの付帯設備の修繕
似た制度との違い
同じ豪雨の被災者向けでも、農業者と中小企業は別の補助金です。
| 比べるところ | この補助金(農業者) | 中小企業者復旧支援補助金 |
|---|---|---|
| 対象 | 被災した農業者 | 農林水産業を除く市内の中小企業者 |
| 補助率・上限 | 5分の1以内・100万円 | 20%・100万円 |
| 窓口 | 農政課 | 産業ものづくり課 |
| 申請期限 | 2026年12月28日 | 2026年12月28日 |
中小企業向けは、会社が農林漁業を主な事業にしている場合は対象外です。農業者が両方に申請できるかは、公式ページに記載がありません。農業の設備はこの補助金で申請するのが基本です。農業以外の事業も営んでいる人は、窓口でどちらで申請するか確認してください。
中小企業向けの詳しい条件は、こちらの記事にまとめています。
申請の流れ
すでに購入や修繕を終えて支払いも済んでいる人と、これから行う人で流れが変わります。
支払いまで済んでいる人(事後一括申請)
- 被災証明書を用意する(農業者→市。持っていなければ取得の手続きを窓口で案内されます)
- 申請書と書類を持って窓口へ行く(農業者→農政課。12月28日まで。申請と実績報告を同時に出します)
- 審査と決定を待つ(足利市→農業者。決定後に振込)
これから購入や修繕をする人(事前申請)
- 見積書、仕様書、カタログを取る(農業者→購入先・施工業者。内訳が分かるもの)
- 窓口で事前申請する(農業者→農政課。12月28日まで)
- 交付決定の通知を受ける(足利市→農業者)
- 購入・修繕をして支払う(農業者→購入先・施工業者)
- 実績報告を出す(農業者→農政課。機械やハウスは修繕前と修繕後の写真が要ります)
窓口は足利市役所本庁舎別館3階の農政課で、平日の午前9時から午後4時30分までです。公式ページは書類を持って窓口へ来るよう案内しています。電子申請や郵送の記載は公式ページにありません。
被災したほ場の地番(足利市○○町○○番地)は、先に調べておいてください。市が発災前後の衛星データや航空写真と照らして、被害と栽培の状況を確認するためです。
手元の資金が足りないときは、要綱に概算払いか前金払いの特例があります。必要な理由書と見積書を付けて市長に申請する形です。
必要な書類
準備できた 0 / 6
申請書は記入できる部分を埋めて持参します。申請書には、農業共済や収入保険などへの加入(継続)に努めるという同意の欄もあります。通帳は申請者本人名義で、金融機関名、支店名、口座番号、名義カナが分かる見開きの面です。申告書は確定申告書、青色申告決算書、収支内訳書のどれかの写しで、メニュー(1)を使う人だけが出します。
もらえなくなるのはどんなときか
- 目標地図に載っていないのに機械で申請する:メニュー(2)は目標地図に位置付けられた農業者だけが対象です。載ることが確実だと市が認めた人は含まれます。
- 補助金で直した機械を勝手に手放す:法定耐用年数が過ぎるまでは、自分の営農に使い続けると誓約します。市の承認なしに売る、譲る、捨てる、目的外に使うと、返還になることがあります。
- 他の補助金と重ねて受ける:同じ資材購入や機械修繕について、国、県、市の他の同種の補助金は受け取れません。
- 申請内容に誤りがある:申請書には、虚偽があれば交付決定の取消と返還に応じる旨の誓約があります。
税金と申告で気をつけること
再取得した機械や施設が固定資産税(償却資産)の対象になるときは、申告が要ります。詳しくは税務課への問い合わせが案内されています。補助金の所得税上の扱いは、公式ページに記載がありません。
よくある質問
トラクターの修理費は補助されますか?
メニュー(2)の対象で、補助されます。ただし条件が2つあります。足利市の地域計画の目標地図に位置付けられた農業者であることと、1件の費用が13万円以上であることです。たとえば冠水したトラクターの修繕に30万円かかった場合は、30万円の5分の1の6万円が補助の目安になります。目標地図に載っているか分からないときは、農政課で先に確かめてください。
苗や肥料を買い直した費用は対象ですか?
メニュー(1)の対象です。被災した作物の代わりに作付けや定植をするための費用で、イチゴや野菜の苗、土壌消毒剤、追肥、化成肥料が例に挙がっています。被災したほ場で使い、令和8年度中の営農再開に直接必要で、自分の営農に使うものに限ります。購入前でも購入後でも申請できますが、令和7年分の販売実績の書類が要ります。
水稲の種は対象になりますか?
対象外です。公式ページに、水稲の種は令和8年度中の営農再開に当たらないため対象外と書かれています。種もみの購入を補助の見込みに入れないでください。苗や肥料でも、令和8年度中に作付けして再開するものでなければ対象外になります。作物ごとに判断が分かれるときは、購入の前に農政課へ問い合わせると、無駄な出費を避けられます。
減収が何%以上あれば対象ですか?
経営全体で令和8年産の農作物の販売収入が20%減る見込みか、被災したほ場の農作物が30%減る見込みのどちらかです。公式ページは「超えて」、要綱と申請様式は「以上」と書いていて、境目の扱いがそろっていません。ちょうど20%や30%の場合は、申請の前に農政課に確認してください。様式では被害面積の割合で判定します。
すでに買って支払いも済んでいます。あとから申請できますか?
できます。この補助金は、購入や修繕と支払いがすべて終わった人も対象です。この場合は申請と実績報告を同時に出す事後一括申請になります。領収書などの支払いを証明する書類と、被災状況の写真を窓口へ持参してください。期限は12月28日です。支払いが終わっていない人は、見積書を付けて先に事前申請をします。
補助金はいつ振り込まれますか?
公式ページと要綱に、振込日の記載はありません。事後一括申請では、審査と決定のあとに振り込まれます。事前申請では、交付決定、購入や修繕、実績報告を経て交付される流れです。工事の途中で資金が足りないときは、要綱に概算払いと前金払いの特例があり、理由書と見積書を付けて申請します。時期の目安は農政課に聞いてください。
申請の窓口と受付時間は?
足利市役所本庁舎別館3階の農政課で、電話は0284-20-2160です。受付時間は平日の午前9時から午後4時30分までで、土日祝日と年末年始は休みです。公式ページは必要書類を持って窓口へ来るよう案内しており、電子申請や郵送の記載はありません。申請書は、記入できる部分を埋めて持参すると、窓口での手続きが早く進みます。
国や県の補助金と併用できますか?
同じ資材購入や機械修繕について、国、県、市の他の同種の補助金と重ねて受け取ることはできません。申請書には、重複受給はなく今後も受ける予定がないという誓約の欄があります。同じ経費でなければ別の制度を使えるかどうかは、公式ページに記載がありません。県や国の制度を使う予定があるときは、先に農政課へ相談してください。
本則課税と簡易課税で、金額の計算はどう変わりますか?
本則課税事業者は、仕入税額控除を受けるため、税抜の金額を補助対象の経費にします。簡易課税事業者と免税事業者は、税込の金額で計上します。本則課税の人が税込で申請して補助金を受け、あとで仕入税額控除をすると、超えた分の補助金を返すことになります。申請書の付表2で区分を選ぶので、どちらか分からないときは税理士か税務署に確かめてください。
補助金で直した機械を売ってもいいですか?
法定耐用年数が過ぎるまでは、自分の営農に使い続けると誓約します。市の承認がない売却、譲渡、廃棄、目的外使用は認められず、返還になることがあります。再取得した機械や施設が固定資産税(償却資産)の対象になるときは、申告も必要です。手放す事情ができたときは、その前に農政課へ相談してください。
中小企業者復旧支援補助金も使えますか?
農林漁業者は、中小企業向けの補助金の対象から外れています。要綱が中小企業者から農林漁業者を除いているためです。Q&Aには、農林漁業を主な事業にする会社も対象外と書かれています。農業のほかに別の事業もある人が両方に申請できるかは、公式ページに記載がありません。申請の前に、農政課と産業ものづくり課のどちらにも確かめると確実です。
