地震や豪雨で病院や診療所が壊れたとき、復旧費の半分を国が補助する制度があります。栃木県の窓口に出す最初の書類は、被災後1か月以内に、協議書(様式1)を県へ提出することです。工事の見積もりが固まる前でも、概算で出します。
栃木県 被災医療機関の復旧補助金の要点まとめ
正式名:医療施設等災害復旧費補助金
だれが
- 申請者
- 医療機関等の開設者(要件に合う施設)
- 対象業種
- 医療機関・医療関係者養成所など
- 利用目的
- 被災した建物・医療用設備の復旧
- 対象地域
- 栃木県
- 従業員数
- 規定なし(施設の区分で判断)
いくら
- 補助上限額
- 施設の区分ごとに基準額あり(本文の表)
- 補助率
- 1/2
いつ・どこへ
- 申請受付
- 被災後1か月以内に協議書を提出
うちの施設は対象になる?
次のすべてに当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 復旧費の合計が80万円に満たない
- ✕ 賃貸の建物やリースの医療機器
「政策医療を担う施設」とは、行政が地域に必要と位置づけた医療を実際に担っている施設のことです。要綱には、次の区分が並んでいます。
- 救命救急センター、病院群輪番制病院、共同利用型病院
- 救急告示病院、災害拠点病院、周産期母子医療センター
- 在宅当番医制の病院・診療所・歯科診療所、休日夜間急患センター
- へき地医療拠点病院、小児救急医療拠点病院
- 県の医療計画で在宅医療を担う病院・診療所、がん医療を担う診療所、脳卒中医療を担う病院
在宅当番医制の病院・診療所・歯科診療所、休日夜間急患センター、時間外対応加算の届出をしている診療所は、災害救助法が適用された市町村にあることも条件です。被害が大きく、災害救助法による救助が行われた市町村を指します。
公的医療機関は、都道府県や市町村、日本赤十字社、済生会、厚生連などが設置する病院と診療所です。看護師等の養成所、研修医の研修施設、病院内保育所、看護師宿舎も対象になる区分があります。
国、独立行政法人、国立大学法人が設置する施設は、政策医療の区分では対象外です。自院がどの区分に当たるかは、栃木県医療政策課(028-623-3084)に聞くのが確実です。県の案内は「別紙1の対象施設に該当するか確認する」ことを求めています。
いくら補助される?
補助額は、次の順で決まります。要綱の算定方法をそのまま整理しました。
- 施設の区分ごとの「基準額」と、対象経費の実際の支出額を比べて、少ないほうを選ぶ
- 総事業費から寄付金などの収入を引いた額と、1の額を比べて、少ないほうを選ぶ
- 2の額に補助率(1/2)を掛ける。千円未満は切り捨て
基準額より安い工事なら、実際の費用の1/2が補助額になります。基準額を超える工事は、超えた分が自己負担です。
- 在宅当番医制診療所で工事費2,000万円:基準額13,139千円が小さいので、13,139千円 × 1/2 = 6,569千円
- 同じ診療所で工事費600万円:600万円のほうが小さいので、600万円 × 1/2 = 300万円
- 公的医療機関で工事費1億円:基準額は「厚生労働大臣の定める額」で、上限なし。1億円 × 1/2 = 5,000万円
3つ目の例は、激甚災害(国が特に大きな被害と指定した災害)に当たると変わります。県の案内では、激甚災害で被災した公的医療機関の補助率は2/3です。同じ1億円なら、約6,666万円になります。あわせて、政策医療の施設も基準額が「厚生労働大臣の定める額」(上限なし)に変わります。
基準額の一部を、要綱の別表から抜き出します。
| 施設の区分 | 基準額 |
|---|---|
| 公的医療機関 | 厚生労働大臣の定める額(上限なし) |
| 救命救急センター | 769,100千円 |
| 基幹災害拠点病院 | 677,268千円 |
| 地域災害拠点病院 | 447,449千円 |
| へき地医療拠点病院 | 229,200千円 |
| 病院群輪番制病院・救急告示病院・在宅当番医制病院 | 各80,200千円 |
| 在宅当番医制診療所・休日夜間急患センター | 各13,139千円 |
| 看護師等の養成所・病院内保育所 | 厚生労働大臣の定める額(上限なし) |
区分はほかにもあります。自院の基準額は、要綱の別表で確かめてください。
何に使える?
先に、対象にならないものです。
- 土地(敷地、構内道路、屋外運動場、法面、駐車場)と造園
- 工作物(囲障、門)
- 消耗品、ベッド、椅子、机、事務機器
- 救急車などの車両
- 賃貸の建物、リースの医療機器
- 医療機器(激甚災害に指定された場合を除く)
次が対象になるものです。
- 建物と建物附属設備のうち、被災した部分の復旧工事費
- CT、MRI、リニアックなど、建物と一体で復旧する医療用設備
- 医療機器と養成所の教材(激甚災害の場合のみ)
激甚災害のときの医療機器にも、足切りがあります。修理費などが1品50万円以内(歯科は10万円以内)のものは除かれます。
復旧は原形復旧が基本です。被災前と同じ位置に、同じ形・寸法・材質で直す工事を指します。より高価な資材や高機能な機器に替えると、国の査定で減額されることがあります。
申請の流れ
- 被災箇所をすべて撮影する(施設→復旧の前に。メジャーを添えて範囲と数量が分かるように)
- 協議書(様式1)を県に出す(施設→栃木県医療政策課。被災後1か月以内。概算の復旧費を書く)
- 実地調査の資料をそろえる(施設・施工業者→県。実地調査表、図面、写真、見積書)
- 国の実地調査を受ける(施設→国と県。県庁の会議室か現地。工事内容を説明できる人が出る)
- 国から交付決定を受ける(交付申請は国へ。申請書が届いてから原則2か月以内に決定)
- 復旧を終えて実績報告を出す(施設→国。事業完了から1か月後か、翌年度の4月10日のどちらか早い日まで)
協議書の提出先は、栃木県保健福祉部医療政策課 医療体制整備担当です。メールで受け付けています(iryo@pref.tochigi.lg.jp)。
必要な書類
準備できた 0 / 7
見積書は3社以上が基本です。出せない場合は、理由を書面にして実地調査で提出します。備品台帳は、機器が自院の所有だと示すために使います。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 被災の事実を示せない:案内は「復旧前の被災箇所すべての写真」を求めています。撮影のないまま工事を終えると、補助対象外になることがあります。実地調査の前に着工する場合は、とくに撮影が欠かせません。
- 対象外の費用を混ぜた:土地、車両、消耗品、賃貸物件は申請内容に含めません。含めた分は査定で外れます。
- 被災前より立派に直した:高価な資材や高機能な機器は、減額査定の対象になることがあります。
- ほかの補助金と重ねた:同じ対象経費に別の補助金を受けることはできません。
- 提出が遅れた:県は被災後1か月以内の提出を求めています。遅れた場合の扱いは案内に書かれていません。先に医療政策課へ電話してください。
補助金のあとに残る義務と税金
交付後も、守る約束があります。要綱の交付条件からです。
- 単価50万円以上(民間団体は30万円以上)の機器や不動産は、定められた期間、国の承認なしに処分できません
- 帳簿と証拠書類は、補助金の額が確定した年度の終了後5年間保管します
- 消費税の申告で仕入控除税額が確定したら、国へ報告します。補助金に係る控除税額があれば、国庫へ返します
よくある質問
民間の診療所でも対象になりますか?
民間の診療所でも、要綱の区分に当たれば対象になり得ます。たとえば、在宅当番医制の診療所、時間外対応加算の届出をしている診療所、在宅医療やがん医療を県の医療計画で担っている診療所です。前の2つは、災害救助法が適用された市町村にあることも条件です。区分に当たらない一般の診療所は、この補助金の対象外です。自院が当たるかどうかは、県の医療政策課に確認してください。
協議書はいつまでに出せばいいですか?
被災後1か月以内です。県は、復旧に必要な経費の概算をつかむために、この期限を設けています。令和8年8月6日以前の災害には、9月2日までという特例が案内されていました。1か月を過ぎそうなときは、書類をそろえる前に電話で相談してください。概算の金額だけでも書いて出せます。
工事を先に始めてもいいですか?
県の案内は、実地調査の前に復旧を始める場合の注意を載せています。被災の状況が分かる写真が必要不可欠で、メジャーを添えた明瞭な撮影が求められます。始めること自体を禁じる記載は、案内にありません。ただし、被害が確認できないと対象外になります。着工前に、必ず被災箇所すべての写真を撮ってください。
写真はどのように撮ればいいですか?
復旧前の被災箇所を、すべて撮影します。被災の範囲と数量が分かるように、メジャーを添えて、できるだけ明瞭に写します。実地調査では主な写真を印刷して出し、ほかはパソコンの画面で見せる方法でもかまいません。写真と図面には番号を付け、被災場所を書面で特定できるようにしておくと、調査がスムーズです。
見積書は何社分必要ですか?
見積書を復旧費の根拠にする場合は、3社以上を用意するのが基本です。複数社の見積もりを出せないときは、その理由を書面にして、実地調査のときに提出します。調査では、工事費や修理費の根拠も確認されます。施工業者に立ち会ってもらえるので、専門的な質問に答えられる体制を作っておくと安心です。
国の実地調査では何を見られますか?
見られるのは4点です。災害の状況、建物などの被害状況、復旧の方法、復旧にかかる費用です。県庁の会議室か、被災した施設で行います。復旧方法や費用は専門的な説明が要るため、施設の担当者か施工業者が答えられるようにします。補助金の交付額は、この実地調査を踏まえて決まります。
激甚災害だと何が変わりますか?
変わる点は3つあります。1つ目は、被災した公的医療機関の補助率が2/3になることです。2つ目は、医療機器や養成所の教材も対象になることです。3つ目は、政策医療の施設の基準額が上限なしになることです。通常の災害では、医療機器は対象外です。激甚災害に指定されるかどうかは、被災のあとに国が決めます。指定の見通しは、県の医療政策課に聞いてください。
補助金はいつ振り込まれますか?
振込時期は、公式の案内に書かれていません。流れとしては、国の実地調査のあとに交付申請をし、交付決定を受けます。決定は申請書が届いてから原則2か月以内です。要綱には、必要と認めるときは概算払ができるという定めもあります。振込時期の見通しは、県の医療政策課に聞いてください。
復旧費が80万円に届かないときはどうなりますか?
復旧のための費用の合計が税込80万円に満たない場合は、補助の対象外です。県の案内が、対象とならない費用の例として挙げています。複数の被災箇所を同じ災害で直すなら、合計で数えるかどうかを医療政策課に確認してください。80万円に近いときは、見積もりの内訳を整理してから聞くと話が早いです。
国の制度なのに、なぜ県に書類を出すのですか?
交付の判断をするのは国です。県は、申請の前の手続きを受け付ける窓口になっています。県への協議書で、被災の概算をつかみ、国の実地調査につなぎます。このため、提出先と期限は県ごとに案内されます。ほかの都道府県の施設なら、その県の案内に従ってください。栃木県の施設は、栃木県医療政策課が窓口です。
ほかの補助金と併用できますか?
同じ対象経費について、ほかの補助金を重ねて受けることはできません。要綱の交付条件に、重複して受けてはならないと定められています。対象経費が別なら、重複にはなりません。県や市町村に独自の上乗せがあるかは、今回確認した公式資料に記載がありませんでした。医療政策課に聞いてください。
問い合わせ先はどこですか?
栃木県保健福祉部の医療政策課です。電話は028-623-3084、メールはiryo@pref.tochigi.lg.jpです。所在地は宇都宮市塙田1-1-20の県庁舎本館4階です。対象施設の区分、協議書の書き方、提出期限の扱いで迷うときは、書類を出す前に連絡してください。
