この助成金は、雇用の機会が少ない地域に仕事を増やすための制度です。だから対象は、国が指定した地域に事業所を置く場合に限られます。
指定地域で事業所を設置・整備し、地域の求職者を3人以上雇うと、1年ごとに3回支給されます。表の最高額どうしを足すと、3回の合計は通常の枠で2,800万円、創業なら3,200万円です。大規模な雇用開発や、一部の特例は別枠です。
計画書は、工事・購入の支払いと引き渡し、そして雇入れの前に出す必要があります。出す前に済ませた分は、算定の対象になりません。
地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)の要点まとめ
正式名:地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 指定なし(全業種)
- 利用目的
- 指定地域での事業所の設置・整備と求職者の雇入れ
- 対象地域
- 同意雇用開発促進地域・過疎等雇用改善地域・特定有人国境離島等地域
- 従業員数
- 規定なし(対象労働者の増加は3人以上、創業は2人以上)
いくら
- 補助上限額
- 1回あたり最大1,600万円(創業の初回。特例を除く)
- 補助率
- 定額支給(対象経費に対する補助率の定めなし)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 公式ページに締切の記載なし(着手前に計画書を提出)
- 事業の完了
- 計画日から最長18か月以内
うちの会社は対象になる?
次の6つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 計画書の前に支払い・雇入れをした
- ✕ 1点20万円未満の設備だけ
- ✕ 事業主の自宅を含む施設
指定地域は、次の3つです。市町村ごとに指定され、指定の期間も地域によって違います。隣り合う市町村で扱いが分かれることもあるため、自社の所在地は厚生労働省の地域一覧で確かめます。計画書は、その地域の指定期間内に出す必要があります。
| 地域の区分 | どんな地域か |
|---|---|
| 同意雇用開発促進地域 | 求職者数に比べて雇用機会が著しく不足している地域 |
| 過疎等雇用改善地域 | 若年層・壮年層の流出が著しい地域等 |
| 特定有人国境離島等地域 | 国境に近い有人離島の地域 |
創業の場合は、人数が3人でなく2人から対象です。創業として認められるのは、新たに法人を設立するか個人事業を開業する中小企業事業主です。支店の設置や分社化、事業主の交代は創業に当たりません。
対象労働者になるのは、次の要件を満たす人です。人数は、雇い入れた数でなく、被保険者の増加数が上限になります。
- 雇い入れの日に、地域に居住する求職者である
- ハローワーク等の紹介で、設置・整備した事業所の求人に応じて雇われる
- 雇い入れの当初から、雇用保険の一般被保険者か高年齢被保険者になる
- 原則65歳以上になるまで、かつ完了日の2年後の日以降まで、継続して雇われる見込みがある
- 過去3年間に、その事業主の事業所で働いたことがない
- 事業主の3親等以内の親族でない
- ハローワーク等の紹介より前に、選考や内定を出していない
雇用保険の適用事業所にならない施設(事業所非該当施設)の設置や、そこでの雇入れは対象外です。
たとえば5人を雇い、2人が辞めて、被保険者が10人から13人に増えたとします。この場合の対象労働者は3人です。新規学校卒業者は、対象労働者の3分の1までに限られます。
いくらもらえる?
金額は、設置・整備にかかった費用と、増えた対象労働者の人数で決まります。下の表は1回あたりの額で、これを1年ごとに最大3回受け取ります。
| 設置・整備費用 | 3〜4人 | 5〜9人 | 10〜19人 | 20人以上 |
|---|---|---|---|---|
| 300万円以上1,000万円未満 | 50万円 | 80万円 | 150万円 | 300万円 |
| 1,000万円以上3,000万円未満 | 60万円 | 100万円 | 200万円 | 400万円 |
| 3,000万円以上5,000万円未満 | 90万円 | 150万円 | 300万円 | 600万円 |
| 5,000万円以上 | 120万円 | 200万円 | 400万円 | 800万円 |
中小企業事業主は、1回目の支給時に表の額の1/2が上乗せされます。つまり1回目は1.5倍です。創業は、1回目に表の2倍の額が出ます。2回目以降は、どちらも表の額です。
表は、令和8年4月1日以降に計画書を出した場合の額です。それより前に出していた場合は、厚生労働省のページの旧表を見ます。
計算例です。
- 費用500万円、3人を雇う中小企業:1回目 50万円 × 1.5 = 75万円。3回の合計は 75万円 + 50万円 + 50万円 = 175万円
- 費用1,500万円、5人を雇う中小企業:1回目 100万円 × 1.5 = 150万円。3回の合計は 150万円 + 100万円 + 100万円 = 350万円
- 費用300万円、2人を雇う創業:1回目 100万円、2・3回目 50万円ずつ。合計 200万円
- 費用5,000万円以上、20人以上を雇う中小企業:1回目 800万円 × 1.5 = 1,200万円。合計 1,200万円 + 800万円 + 800万円 = 2,800万円
- 同じ条件の創業:1回目 1,600万円。合計 1,600万円 + 800万円 + 800万円 = 3,200万円
届かない例もあります。費用が299万円なら、表の対象に入りません。設置・整備費用の合計が300万円に満たないと、1円も出ません。雇った人数が2人でも、創業でなければ対象外です。
特例は3つあります。
- 大規模雇用開発:同意雇用開発促進地域で、50億円以上をかけて事業所を設置し、100人以上を雇う場合。厚生労働大臣の認定が要り、1回あたり1億円か2億円です
- 地域活性化雇用創造プロジェクト:都道府県の承認を受けた事業主。1回目に正社員1人あたり50万円が上乗せされます
- 企業版ふるさと納税:認定地方公共団体の事業に寄附した事業主。事業が実施される区域内に事業所を置きます
令和6年能登半島地震に伴う特例措置もあります。内容は厚生労働省のページで確かめてください。
2つ目と3つ目の対象地域には、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府が含まれません。
何に使える?
対象にならないものを先に見ます。ここを外すと、費用が300万円に届かなくなります。
対象にならないもの
- 計画期間の外で引き渡しや支払いがあった費用
- 土地の購入費・賃借料
- 1点(工事は1契約)で20万円未満のもの
- 各種税金(消費税を除く)、保険料、振込手数料、光熱水料
- 事業主の自宅を含む施設、賃料を得る施設
- 事業主と密接な関係にある人との取引
- 敷金、礼金、仲介手数料
- 雇用拡大を伴わない建て替えや、既存設備の移設
- ソフトウェアなどの無形固定資産
- フランチャイズの加盟料、ロイヤリティ
対象になるもの
- 事業所の新設・増設工事、内装工事(1契約20万円以上)
- 不動産の購入(土地を除く。1契約20万円以上)
- 機械、装置、備品、車両などの購入(1点20万円以上)
- 事業所や動産の賃借・リース(契約1年以上で更新の見込みがあり、1年分が限度)
- 購入や賃借に伴う運搬費と取付費
密接な関係にある人とは、代表者本人や配偶者、3親等以内の親族、それらが代表者の法人、親会社や子会社などです。たとえば代表者個人から備品を買っても、費用に数えません。
工事費は、事業主の名義で不動産登記する部分に限ります。少額の備品をまとめて買って20万円以上になっても、対象になりません。1点ごとの価格で見ます。工事費に含められるのは、取付工事を行う照明器具や空調設備などです。机や棚のように取付工事のない動産は、別に1点ごとの価格で判断します。
国の別の補助金を受けた設備は、その交付額を引いた額が対象です。計画書の段階で、交付額がわかる書類を付けます。
申請の流れ
順番を守ることが最も大事です。計画書が先で、設置・整備と雇入れは後です。
- 計画書を出す(事業主→管轄の労働局。支払い・引き渡しと雇入れの前。事業所の概要資料を付けます。窓口か電子申請)
- 事業所を設置・整備し、対象労働者を雇う(事業主。計画日から最長18か月以内)
- 完了届(第1回支給申請書)を出す(事業主→労働局。計画日から18か月以内の日に出し、出した日が完了日です)
- 2回目の支給申請をする(事業主→労働局。完了日の1年後の日の翌日から2か月以内)
- 3回目の支給申請をする(事業主→労働局。完了日の2年後の日の翌日から2か月以内)
計画日から18か月を過ぎた場合は、完了日の翌日から2か月以内に完了届を出します。出さないと計画は失効し、助成金を受けられません。1回目の支給の前には、実地調査があります。設置した設備や雇い入れた人が確認できないと、その費用は対象になりません。
計画書で気をつけるのは、日付の基準です。手引きの図では、工事や購入は「支払いと引き渡しが行われる前」、賃借は「契約期間の開始と支払いが行われる前」、雇入れは「雇入れ前」に計画書が必要です。契約を結んだ日は、計画日より前でも構いません。支給要領は、契約締結日が計画日前のものを含むと定めています。ただし、引き渡しの日(賃借は契約期間の初日)と支払いは、どちらも計画日から完了日までの間にある必要があります。編集部としては、支払いの前に、労働局へ事前相談することを勧めます。
必要な書類
準備できた 0 / 14
計画書の提出時は、計画書、事業所状況等申立書、事業所の概要資料が基本です。創業の追加助成を希望するときは、申請事業主の職歴書も付けます。完了届の提出時は、上の表すべてに加えて、契約書や図面など工事・購入・賃借の別に応じた書類が要ります。有料・無料の職業紹介事業者の紹介で雇った場合は、職業紹介証明書も付けます。創業の個人事業主は、開業届の写しも付けます。2回目と3回目は、支給要件確認申立書、事業所状況等申立書、対象労働者認定通知書(地様式第15号)の写し、賃金台帳と出勤簿の写しなどを出します。補充者を雇った場合は、その人の書類も付けます。管轄の労働局が、ほかの書類を求めることもあります。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 計画書の提出が遅れた:提出前に行った設置・整備と雇入れは、算定の対象になりません。
- 対象労働者が3人に届かなかった:雇い入れた数でなく、完了日の被保険者数が計画日の前日より何人増えたかで数えます。
- 辞めた人を補充しなかった:離職の翌日から4か月以内に補充者を雇う必要があります。
- 離職が多すぎた:対象労働者の半数を超え、かつ4人以上が離職すると、補充していても不支給です。
- 解雇などをした:支給要件の判定期間に、事業主の都合で被保険者を離職させていないことが条件です。会社都合の離職(特定受給資格者)が3人を超え、かつ被保険者数の6%を超える場合も、対象外です。
- 労働保険料の滞納や法令違反があった:滞納がないこと、直近1年に労働関係法令の違反がないことが要件に入っています。
併用と、制度の変更点
次の助成金は、この助成金と同時には受けられません。
- 雇用調整助成金(休業・教育訓練、出向)
- 通年雇用助成金(新分野進出)
- 両立支援等助成金(事業所内保育施設コース)
- 人材確保等支援助成金(作業員宿舎等設置助成コース)
この4つは例です。ほかの助成金も、調整の対象になることがあります。併用したいときは、労働局かハローワークに個別に確かめてください。
支給要領は、令和8年10月22日付で改正されています。附則の経過措置で、令和8年10月22日より前に出した計画書は、従前の例によります。公式ページは「所要の変更」としか書いておらず、変更点の一覧は確認できませんでした。手引きは、令和8年4月1日以降に計画書を出す場合の要件を説明しています。
よくある質問
自社の事業所が対象地域かどうかは、どう調べますか?
指定は市町村ごとです。厚生労働省のページに、同意雇用開発促進地域、過疎等雇用改善地域、特定有人国境離島等地域の一覧があります。指定の期間は地域によって違うため、一覧の日付も見ます。新設予定地も同じ方法で調べます。判断がつかないときは、事業所の所在地を管轄する労働局に確かめるのが確実です。
同意雇用開発促進地域など3つの区分で、何が違いますか?
雇える求職者の範囲が違います。同意雇用開発促進地域は、その地域か隣接する指定地域に住む求職者です。過疎等雇用改善地域と離島の地域では、事業所を管轄するハローワークの区域内に住む人に加えて、区域外から完了日までに引っ越してくる人も対象になります。区分は、計画日の時点の指定で判断します。
設置・整備費用の300万円は、何を足しますか?
計画期間内に引き渡しと支払いが済んだ、対象経費の合計です。消費税を含めて数えます。1点(工事は1契約)が20万円以上のものだけを足します。工事費、不動産の購入費、機械や備品の購入費、賃借・リース料が入ります。土地、税金、保険料、少額のまとめ買いは入りません。分割払いは、計画期間内に払い終えた額までです。
何人雇えばよいですか?
3人以上です。創業なら2人以上です。数えるのは、雇った人数ではなく、被保険者の増加数です。完了日の被保険者数から、計画日の前日の被保険者数を引いて出します。雇い入れた人が増加数より多いときは、その中から対象労働者を選びます。あとから対象者を入れ替えることはできません。
パートやアルバイトも対象になりますか?
雇用保険の一般被保険者か高年齢被保険者として雇われる人が対象です。短期雇用特例被保険者と日雇労働被保険者は含みません。パートかどうかでなく、雇い入れの当初から被保険者になるかで決まります。週の労働時間などの細かな線引きは、公式ページに詳しい記載がありません。個別の雇用形態は労働局に確かめてください。
すでに働いている従業員は、対象労働者にできますか?
原則としてできません。対象労働者は、ハローワーク等の紹介を受けて、計画期間中に雇い入れた求職者です。過去3年間に、その事業主の事業所で働いた人は対象外です。新設の前に同じ法人の既存の事業所で雇い、あとで新設事業所に配置転換する場合は、条件を満たせば対象にできます。求人票と雇用契約書に就業場所を明記します。
創業の場合は、何が変わりますか?
対象労働者が2人から数えられ、1回目の支給額が表の2倍になります。2回目以降は表の額です。創業と認められるには、新たに法人を設立するか個人事業を開業すること、創業の当初から専ら事業に従事することなどが要ります。職歴書を、創業基準日の前日から2か月前の日から、基準日の2か月後までに計画書へ添えて出します。
中小企業事業主の範囲は、どう決まりますか?
主たる事業ごとに、資本金か常時雇用する労働者数のどちらかが基準以下なら該当します。小売業(飲食店を含む)は5,000万円か50人、サービス業は5,000万円か100人、卸売業は1億円か100人、その他の業種は3億円か300人が上限です。資本金のない法人や個人は、労働者数で判断します。
他の補助金と併用できますか?
雇用調整助成金など一部の助成金とは同時に受けられません。国の補助金を受けた設備は、その交付額を引いた額が算定の対象です。引くためには、対象の設備と交付額がわかる書類を出します。国の補助金と併給を認めているかも確認が要ります。計画書を出す前に、使う予定の補助金を労働局へ伝えておくと、書類の準備が進めやすくなります。
2回目と3回目は、どんな条件で支給されますか?
完了日の1年後と2年後を基準日として、それぞれの翌日から2か月以内に申請します。被保険者数と対象労働者数が、完了日の数を下回っていないことが条件です。離職した対象労働者の分は、4か月以内に補充者を雇えば維持と扱われます。2回目の要件を満たさないと、3回目も出ません。
計画書を出す前に、工事の契約を結んでしまいました。
契約日そのものは、分かれ目になりません。支給要領は、契約締結日が計画日前のものも算定の対象に含めると定めています。分かれ目は、引き渡し(賃借は契約期間の初日)と支払いの日です。この2つが計画日から完了日までの間にあれば対象です。計画書の提出前に支払った分や、引き渡しが済んだ分は対象になりません。手付金などを払う前に、管轄の労働局へ相談してください。
窓口はどこですか?
事業所の所在地を管轄する都道府県労働局かハローワークです。計画書、完了届、支給申請書は、管轄の労働局長あてに出します。支給申請書の提出後は、書類審査に加えて、原則として事業所の実地調査があります。窓口の一覧は、厚生労働省のページから確かめられます。
