工場用地の契約書に印を押す前に、飯田市の工業課へ一本連絡を入れる。この補助金は、その順番を前提に組まれています。
製造業・電気業・倉庫業・情報サービス業などの企業が飯田市内で工場を建てたり広げたりするとき、土地の費用や固定資産税相当分など6つのメニューで後押しします。用地の取得・賃借費用は上限が5,000万円で、固定資産税相当分には上限の記載がありません。申請に締切の日付はなく、入口は工事や契約に着手する前の事前協議です。
事前協議を行わずに事業を始めると、申請を受理できないことがあります。金額の計算より先に、この順番を頭に入れておくと動きやすくなります。
企業立地・振興促進事業補助金の要点まとめ
正式名:飯田市企業立地・振興促進事業補助金
だれが
- 申請者
- 事業者(対象業種の企業・研究機関など)
- 対象業種
- 製造業・電気業・倉庫業・情報サービス業・研究機関等
- 利用目的
- 用地取得・賃借/固定資産税相当分/地盤改良/雇用/発電施設/緑化
- 対象地域
- 長野県飯田市
- 従業員数
- 規定なし(常勤雇用の増加が条件になるメニューあり)
いくら
- 補助上限額
- 5,000万円(用地取得・賃借費用。ほかのメニューは別の上限)
- 補助率
- 10%(用地の取得費。ほかのメニューは本文の表)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 随時(事業に着手する前に事前協議が必要)
うちの会社は対象になる?
次のすべてに当てはまれば、対象になる見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 対象業種に挙がらない業種
- ✕ 協議の前に事業を始めた
対象業種は、製造業、電気業、倉庫業と、情報サービス業・インターネット附随サービス業・学術開発研究機関のうち研究機関等に当たる事業者です。研究機関等とは、研究開発に携わる常勤雇用者が2人以上いるか、年間の研究開発経費が売上総額の3%を超える事業者のことです。工場等には工場のほか、事務所・倉庫・資材置場が含まれます。
市税の滞納のほか、暴力団関係者が経営に関わっていると市長が認めたとき、周辺の環境を著しく損なうと認めたとき、法令違反などで相手として適当でないと認めたときも、交付されません。
市外から来る企業か、市内の企業か
飯田市に住所がない企業は新規企業として「企業立地促進事業補助金交付要綱」、市内に住所がある企業は既存企業として「企業振興促進事業補助金交付要綱」の対象になります。判定は事前協議の時点の住所で行います(研究機関等は交付申請の時点)。入口の条件は立場ごとに違います。
| 立場 | 用地の取得・賃借 | 固定資産税相当分 |
|---|---|---|
| 市外から進出する企業 | 特定地域で3,000㎡以上、または指定地域内(面積は問わない) | 特定地域で取得額1億円以上、または指定地域内(額は問わない)。操業後に常勤雇用が3人以上増える |
| 市内の企業 | 特定地域で3,000㎡以上、または指定地域内。特定地域で1,500㎡以上かつ常勤雇用が3人以上増える場合も可 | 特定地域などで取得額7,500万円以上、または指定地域内。常勤雇用が3人以上増える |
| 研究機関等 | 市内で500㎡以上、または指定地域内 | 取得額1,500万円以上、または指定地域内。雇用増の条件なし |
特定地域とは、工場立地法の工場適地、準工業・工業・工業専用地域、飯田市が造成した産業団地の土地などのことです。指定地域は、桐林環境産業公園、一本平産業団地、番入寺インダストリアルパーク、経塚原産業団地、龍江インター産業団地、松尾竜水、川路・竜丘、伊豆木、毛賀、旧桐林クリーンセンター、旧サンヒルズいいだを指します。
常勤雇用者は、雇用保険の被保険者です。空き工場の利用や市内企業の設備投資では、特定地域以外の区域が対象に入る場合があります。当てはまるかは、概要版か工業課で確かめられます。
対象企業に工場等の利用権を与える物件所有者(建物を貸す側)が設備投資をする場合も、対象に入ります。ただし国や地方公共団体が出資者に含まれる者は除かれます。
いくら戻ってくる?
6つのメニューがあり、条件を満たせば重ねて使えます。メニューごとに上限が別です。
| メニュー | 補助額の決まり | 上限 |
|---|---|---|
| 1 用地の取得・賃借 | 取得費の10%、または賃借料の3年分 | 5,000万円 |
| 2 固定資産税相当分 | 取得した固定資産の固定資産税の3年分相当 | 要綱に記載なし |
| 3 地盤改良費 | 経費の50% | 2,000万円 |
| 4 研究開発者の雇用 | 新たに雇った1人につき20万円 | 200万円 |
| 5 環境配慮型の発電施設 | 発電施設の固定資産税の3年分相当 | 50万円 |
| 6 緑化 | 初期投資の経費の20% | 300万円 |
本社・研究開発施設・航空宇宙産業の工場等、またはRE100宣言・RE Action宣言・建物のNearly ZEB認証といった環境の取組をしている企業の工場等は、メニュー1が取得費の13%・賃借料の4年分、メニュー2が4年分相当に増えます。
3から5は単独では使えません。地盤改良(メニュー3)は指定地域でメニュー1を使う人、研究開発者の雇用(4)と発電施設(5)はメニュー1か2を使う人が対象です。緑化(6)だけは、川路・竜丘の地区計画に係る地区に立地すれば単独で申請できます。
計算例です。費用は仮の数字です。
- 市外の製造業が産業団地の用地を3億円で取得:3億円 × 10% = 3,000万円
- その用地を本社の立地として取得:3億円 × 13% = 3,900万円
- 用地を6億円で取得:6億円 × 10% = 6,000万円 → 上限の5,000万円
- 用地を借りて年間賃借料が600万円:600万円 × 3年分 = 1,800万円
- 地盤改良に3,000万円:3,000万円 × 50% = 1,500万円
- 地盤改良に5,000万円:5,000万円 × 50% = 2,500万円 → 上限の2,000万円
- 研究開発者を3人雇う:20万円 × 3人 = 60万円(10人を超える分は上限の200万円で止まります)
- 緑化に1,000万円:1,000万円 × 20% = 200万円(上限は300万円)
固定資産税相当分は、課税標準額(固定資産税の計算のもとになる評価額)に4.2%を掛けた額が基本です。都市計画税の課税区域外で、環境の取組などの加算がなければ、課税標準額1億円なら420万円です。都市計画税の課税区域では、その額に都市計画税の課税標準額の0.6%が加わります。環境の取組などがある場合は、さらに加算されます。
土地を取得してから着工までの期間が延びると、メニュー1の補助額が減ります。新規企業は、取得または賃借の開始から2年以内に工場等の建設に着手することが条件です。特別な事情があると市長が認めれば5年以内まで延びます。
| 取得から着工まで | 補助額 |
|---|---|
| 2年以内 | 算定額の100% |
| 2年超〜3年以内 | 算定額の80%以内 |
| 3年超〜4年以内 | 算定額の50%以内 |
| 4年超〜5年以内 | 算定額の30%以内 |
3億円の用地で着工が3年目に入ると、3,000万円 × 80% = 2,400万円が上限の目安です。公式の概要版では、5年を超えると0円と書かれています。
建設を市外の建設業者に請け負わせた場合、メニュー2の補助額は算定額の80%になります。地域未来投資促進法に基づく課税免除の部分は、メニュー2の対象から除かれます。緑化は、市外に本社がある業者に工事を頼むと対象外です。
申請の流れは?順番を間違えないために
要綱の流れは次のとおりです。補助金を受け取れるのは工事や取得が終わったあとで、先に出るお金ではありません。
- 事前協議書を出す(事業者→飯田市長。土地の契約や着工など、補助対象事業に着手する前に)
- 市の確認結果を受け取る(飯田市→事業者。補助要件を満たす旨の通知があるまで着手しない)
- 通知を受けてから着手する(事業者。協議書に書いた額が増えるときは、変更協議書を出して同じ確認を受ける)
- 事業が終わったら交付申請書を出す(事業者→飯田市長。この申請書が実績報告を兼ねる)
- 交付決定の通知を受けて、交付請求書を出す(事業者→飯田市長。補助金は口座に振り込まれる)
補助金は、複数年度に分けて交付される場合があります。予算の範囲内で交付されるため、予算がなくなれば出ないこともあります。
必要な書類
準備できた 0 / 4
様式は市長が別に定めるとされ、公式ページには置かれていません。添付書類の一覧も公式ページと要綱には載っていないため、協議の前に工業課企業立地係(0265-22-5644)で確かめておくと安心です。
補助金を返すことになるのはどんなとき?
- 協議の前に着手した:協議を行わずに事業を始めると、申請を受理できないことがあります。
- 5年以内に事業をやめた:交付決定から5年以内に、補助対象事業で取得・賃借した固定資産に係る事業のすべてを休止・廃止すると、交付決定が取り消されることがあります。補助金の全部または一部の返還を求められ、額は市長が定めます。
- 滞納や不適当と認められた:事業を実施している期間中に、市税の滞納や暴力団関係者の関与などが分かったときも、交付決定が取り消されることがあります。
- 取得から着工まで時間がかかった:市外から来る企業のメニュー1は、着工が遅れるほど補助額が減ります。
併用できる制度と、確かめておきたいこと
他の補助金との併用の可否は、公式ページと要綱に記載がありません。国や県の制度と組み合わせたいときは、事前協議のときに工業課へ聞いておくと進めやすくなります。市は、未来投資促進法に基づく課税免除や長野県の助成制度なども提案するとしています。
メニュー2では、地域未来投資促進法による課税免除の対象部分が補助の対象から外れます。この課税免除を受ける予定があれば、補助額が減る前提で資金計画を立てることになります。
よくある質問
市内ですでに操業している企業でも使えますか?
使えます。市内の企業は「企業振興促進事業補助金」の要綱が当たり、工場等の拡張が対象です。用地は特定地域で3,000㎡以上、指定地域内なら面積を問いません。特定地域で1,500㎡以上かつ常勤雇用が3人以上増える場合も対象です。設備投資は取得額7,500万円以上などの条件があり、いずれも着手前の事前協議が前提です。
小売業や飲食業の店舗は対象になりますか?
対象業種は、製造業、電気業、倉庫業と、情報サービス業・インターネット附随サービス業・学術開発研究機関のうち研究機関等に当たる事業者です。小売業や飲食業は、公式ページの対象業種に挙がっていません。ただし研究機関等の区分には「その他の市長が認める事業」も含まれるため、判断に迷う場合は工業課に事業内容を伝えて確かめてください。
常勤雇用者が3人増えるとは、どう数えるのですか?
常勤雇用者は、雇用保険法の被保険者のことです。固定資産税相当分では、取得した固定資産で操業を始めたことに伴って、この常勤雇用者が3人以上増える必要があります。雇用保険に入っているかどうかで数えるため、加入していない働き方の人は数に入りません。研究機関等には、雇用増の条件がありません。
土地を借りる場合でも使えますか?
使えます。メニュー1は取得だけでなく賃借も対象で、補助額は賃借料の3年分相当額以内です。本社や研究開発施設、航空宇宙産業、環境の取組をしている企業の工場等なら4年分相当額以内になります。市外から来る企業が用地を賃借する場合は、賃借を開始した日から2年以内に工場等の建設に着手するのが条件です。
建物を貸す側の地主や所有者も申請できますか?
対象企業の事業に使う工場等について、企業に利用権を与える物件所有者は、補助対象に含まれます。公式の概要版にも、対象事業者に建物を貸す物件所有者が設備投資をする場合が載っています。ただし国や地方公共団体が出資者に含まれる者は除かれます。貸す側が申請するときの手続きは、事前協議のときに工業課で確認してください。
空き工場を使う場合は、条件が違いますか?
空き工場等とは、ほかの事業のために建てられ、事前協議の時点で使われていない工場等のことです。市外から来る企業が空き工場を利用するときの固定資産税相当分は、特定地域内で取得価額が1億円以上の固定資産が条件です。この場合は、市外からの新規立地に付く対象地域の限定がかかりません。ほかの条件は、事前協議で確かめられます。
事前協議は、いつまでに出せばよいですか?
申請に締切の日付はありません。基準は日付ではなく、補助対象事業に着手する前に事前協議書を出すことです。市から補助要件を満たす旨の通知を受けたあとで着手します。土地の売買や賃貸の契約、工事の契約や着工が「着手」に当たるかどうかは、公式ページに細かい定義がありません。迷ったら契約の前に工業課へ連絡してください。
補助金はいつ受け取れますか?
事業が完了したあとです。交付申請書は補助対象事業の完了後に出し、これが実績報告を兼ねます。市が審査して交付決定を通知し、交付請求書を出すと、口座に振り込まれます。振込までの日数は公式ページに記載がありません。補助金は複数年度に分割して交付される場合があるので、資金計画は先に工業課で確かめておくと安心です。
補助を受けたあとに事業をやめたらどうなりますか?
交付決定から5年以内に、補助対象事業で取得・賃借した固定資産に係る事業のすべてを休止または廃止すると、交付決定が取り消されることがあります。取り消された場合は、補助金の全部または一部の返還を求められ、返す額は市長が定めます。一部の事業だけを縮小する場合の扱いは、要綱に細かい定めがありません。
研究機関等とは、どんな事業者ですか?
情報サービス業、インターネット附随サービス業、学術・開発研究機関などを主たる事業とする事業者のうち、研究開発に携わる常勤雇用者が2人以上いるか、年間の研究開発経費が売上総額の3%を超えるところです。製造業や電気業の事業者も、この条件を満たせば研究機関等として扱われます。研究機関等は用地や投資額の入口が低めに設定されています。
緑化の補助は、どこに立地すれば使えますか?
川路地区計画に係る地区(ファクトリーパーク地区、新産業地区、駅前地区、天竜峡連携地区)と、竜丘地区計画に係る地区(企業地区、嶋地区の2つのゾーン)が対象です。緑のマスタープランに基づく緑化を、事業所の敷地内に新たに施すことが条件です。補助は初期投資だけで、土壌改良の経費は含まれません。
問い合わせ先はどこですか?
飯田市産業経済部 工業課 企業立地係です。電話は0265-22-5644、ファクスは0265-24-0962、所在地は飯田市座光寺3349番地1です。事前協議書の様式や添付書類、着手の考え方など、公式ページに載っていない点は、協議の前にここへ確かめるのが近道です。市の案内では、課税免除や県の助成制度の相談にも応じるとされています。
