今治市で賃貸オフィスを借りて事業所を開くと、改装費、通信回線の設置費、機器の購入と搬入の費用が500万円まで奨励金になります。ただし対象は操業開始日までに要した費用だけです。開業後にかかった費用は対象になりません。
この記事は、同じ制度の「開設費用に対する奨励金」だけを扱います。家賃の3分の2が戻る「賃借料に対する奨励金」は、別の記事で書いています。
今治市 賃貸借型企業立地奨励金(開設費用)の要点まとめ
正式名:今治市賃貸借型企業立地奨励金(開設費用に対する奨励金)
だれが
- 申請者
- 賃貸オフィス等に事業所を開く企業
- 対象業種
- 情報通信業、学術研究・専門・技術サービス業の一部
- 利用目的
- 賃貸オフィス等の事業所開設(改装・通信回線・機器)
- 対象地域
- 愛媛県今治市
- 従業員数
- 市内在住の新規雇用が2人以上(短時間は2人で1人)
いくら
- 補助上限額
- 500万円
- 補助率
- 10/10(対象の開設費用の全額。上限500万円)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年4月1日〜2027年3月31日(jGrants掲載・市に記載なし)
うちの会社は対象になる?
次の4つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
次のどちらかに当たると対象外です。
- ✕ 対象業種に当たらない事業
- ✕ 市の他の補助金と同じ経費
対象業種は、市の案内ページで次の2つが挙がっています。情報通信業のうち情報サービス業、インターネット付随サービス業、映像・音声・文字情報制作業。学術研究・専門・技術サービス業のうち学術・開発研究機関、専門サービス業、広告業です。
施行規則の別表では、さらに絞られています。インターネット付随サービス業はコールセンター事業を含みます。映像・音声・文字情報制作業は、映像情報制作・配給業と広告制作業だけです。この2つと、専門サービス業のデザイン業は、専ら情報通信の技術を利用する方法で行う事業に限られます。建築設計などの技術サービス業は、別表に挙がっていません。区分は国の日本標準産業分類によるため、自社が当たるかは産業振興課に聞くのが確実です。
「適用事業者の指定」は、奨励金を受ける前に市長へ申請して受ける指定のことです。賃貸オフィスを借りる事業者は、賃貸借契約の締結日から14日以内に、指定申請書(施行規則の様式第1号)を出します。
新規雇用従業員には細かい条件があります。次のすべてを満たす人です。
- 今治市に住んでいる
- 操業開始の1年前から開始後6か月までの間に雇われた
- 奨励金の申請時にも市内に住んでいる
- 連続して1年以上雇われている
短時間労働者(通常の従業員より所定労働時間が短い人)は、この制度では2人で1人と数えて含められます。たとえば正社員1人とパート2人で、新規雇用は2人です。
いくらもらえる?
いくらもらえるか計算する
補助率 10/10 / 上限 500万円
開設に要した費用の全額が、500万円を上限に出ます。500万円を超えた分は自己負担です。次の金額は計算例で、条例に書かれた数字ではありません。
- 広告制作会社が改装250万円、回線40万円、PCと機器150万円を使う:440万円 × 10/10 = 440万円
- システム開発会社が改装300万円、回線50万円、サーバーとPC300万円を使う:650万円 × 10/10 = 650万円 → 上限の500万円
- コールセンター運営会社が内装120万円と通信機器280万円を使う:400万円 × 10/10 = 400万円
650万円の例では、150万円が自己負担になります。上限に近い見積もりが出たら、操業開始日までに済む範囲を先に決めておくと、取りこぼしがありません。
何に使える?
対象にならないもの
- 操業開始日より後にかかった費用
- 500万円を超える部分
- 市の他の補助金等の対象になっている経費
対象になるもの
- 改装に要した費用
- 通信回線の設置に要した費用
- 機器等の購入と搬入に要した費用
- その他、市長が適当と認めた費用
家具やソフトウェアが「機器等」に入るかは、条例にも市の案内ページにも書かれていませんでした。見積もりの段階で、品目の一覧を持って産業振興課に確かめておくと安心です。
申請の流れ
- 市に相談する(事業者→産業振興課。賃貸借契約を結ぶ前に。電話0898-36-1540)
- 賃貸借契約を結ぶ(事業者→貸主。この契約の締結日が、次の指定申請の期限の起点になる)
- 適用事業者の指定を申請する(事業者→今治市長。契約の締結日から14日以内)
- 事業所を開設する(事業者。改装・回線・機器にかかる費用は操業開始日までに)
- 操業開始を届け出る(事業者→今治市長。操業を始めた日から14日以内)
- 交付を申請する(事業者→今治市長。操業開始後、新規雇用の条件を満たした日以降)
- 交付決定を受けて請求する(市→事業者。予算の範囲内で交付)
賃貸借の引渡しを受けた日から5年以内に、操業を始める必要があります。指定を受ける前に改装へ着手してよいかは、市の資料に書かれていません。契約の前に、産業振興課へ確かめてください。
必要な書類
準備できた 0 / 15
上から順に、指定の申請、交付の申請、操業開始の届出で使います。指定の申請には、施行規則が土地の登記事項証明書や設計図なども挙げていますが、市長は不要な書類を省略させることがあります。個人は法人登記事項証明書の代わりに住民票抄本です。様式の入手先は市のページに案内がないため、産業振興課に確かめてください。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 指定の要件を欠いた:市の指定を受けたあとに要件を満たさなくなると、指定を取り消されることがあります。
- 事業所を休止・廃止した:事業をやめた状態になると、交付の停止や、すでに受けた奨励金の返還を命じられることがあります。
- 市税を滞納した:滞納は取り消しの理由に挙がっています。
- 不正があった:偽りその他の不正な方法で指定や交付を受けると、取り消しと返還の対象です。
- 企業立地促進奨励金と重ねた:この2つは重複して支給されません。
同じ制度の賃借料奨励金や雇用の奨励金とは?
賃貸借型企業立地奨励金は、「賃借料に対する奨励金」と「開設費用に対する奨励金」の合計額です。家賃の3分の2を月50万円まで、36か月を限度に受ける賃借料側は、別の記事で詳しく書いています。
新規雇用を増やすと、雇用促進奨励金も受けられる場合があります。賃貸借型の企業は、新規雇用従業員1人につき30万円以内です。限度は1億円ですが、指定区域(今治新都市区域)では限度額がありません。
市の案内ページでは、指定区域とそれ以外の全域に分かれています。賃貸借型の賃借料と開設費用は、どちらも同じ金額です。指定区域では「指定区域賃貸借型企業立地奨励金」という名前になります。
よくある質問
開設費用の奨励金は、どの業種でも使えますか?
使えません。対象は、情報通信業のうち情報サービス業、インターネット付随サービス業(コールセンター事業を含む)、映像・音声・文字情報制作業と、学術研究・専門・技術サービス業のうち学術・開発研究機関、専門サービス業、広告業です。映像・音声・文字情報制作業は映像情報制作・配給業と広告制作業に絞られ、デザイン業とあわせて、専ら情報通信の技術を利用する事業に限られます。製造業や小売業は対象に入っていません。自社の事業がどこに入るか分からないときは、産業振興課に先に聞いてください。
新規雇用従業員の2人は、誰を数えますか?
今治市に住み、操業開始の1年前から開始後6か月までの間に雇われた人です。申請の時点でも市内に住んでいて、連続して1年以上雇われている必要があります。市外から通う従業員は数えられません。採用の計画を立てるときは、住所が市内にある人を軸にして、雇う時期も上の期間に収まるように調整しておくと、申請のときに困りません。
パートやアルバイトも人数に入りますか?
入ります。賃貸借型の奨励金に限り、短時間労働者を新規雇用従業員に含めます。ただし数え方があり、短時間労働者は2人で1人です。正社員1人とパート2人なら新規雇用は2人になり、条件の2人以上を満たします。パートだけで満たすなら、4人以上が必要です。住所や雇用期間の条件は、パートにも同じようにかかります。
開設費用はいくらまで出ますか?
改装、通信回線、機器の購入と搬入などの費用の合計額が出て、限度は500万円です。補助率は費用の全額にあたる10/10ですが、500万円を超えた分は自己負担になります。たとえば費用が650万円なら、受け取れるのは500万円で、150万円が自己負担です。見積もりの金額は、上限との差を確かめてから契約すると、予算の見通しが立ちます。
操業開始日より後にかかった費用は対象になりますか?
対象になりません。条例は「操業開始日までに要した費用に限る」と定めています。たとえば開業後に追加した机や機器の代金は、奨励金の計算に入りません。内装工事や機器の納品が開業日に間に合うかは、契約の前に確かめてください。開業日が延びる場合は、市にも早めに伝えておくと安心です。
賃借料の奨励金と一緒に受け取れますか?
受け取れます。賃貸借型企業立地奨励金は、賃借料に対する奨励金と、開設費用に対する奨励金の合計額です。賃借料側は、月額賃借料の3分の2を月50万円まで、36か月を限度に受けます。申請の時期は別々で、開設費用は操業開始後、賃借料は賃貸借の開始から1年たってからです。資金計画は、受け取る時期のずれも含めて立ててください。
企業立地促進奨励金と一緒に受けられますか?
受けられません。条例は、企業立地促進奨励金と賃貸借型企業立地奨励金を重複して支給しないと定めています。企業立地促進奨励金は、固定資産税の収納額に相当する額を受ける仕組みで、投下固定資産総額の要件があります。賃貸オフィスで始めるか、自社で建物や設備を取得して始めるかで、どちらの制度に進むかが分かれます。
今治新都市区域の外でも使えますか?
使えます。市の案内ページでは、指定区域である今治新都市区域と、それを除く市の全域のどちらにも賃貸借型の奨励金が載っていて、開設費用の限度額はどちらも500万円です。賃貸オフィスの場所が市内であれば、候補になります。立地の場所が指定区域に当たるかどうかは、産業振興課の窓口で地番を伝えて確かめられます。
申請の受付期間と締切はいつですか?
市の案内ページ、条例、施行規則には、受付期間の記載がありません。国の補助金サイトjGrantsには、2026年4月1日から2027年3月31日の掲載があります。条例では、交付の申請時期を「操業開始後に交付要件を満たした日以降」と定めています。ただし先に受ける指定の申請には、賃貸借契約の締結日から14日以内という期限があります。審査は予算の範囲内で行われるため、早めに産業振興課へ連絡してください。
自社が所有する建物に事業所を置く場合は対象ですか?
条例は「賃貸オフィス等において事業所を開設する者」を対象にしています。賃貸でない自社所有の建物が対象になるかは、条例にも市の案内ページにも書かれていませんでした。自社所有の建物を取得して立地するなら、固定資産税の収納額に相当する額を受ける企業立地促進奨励金のほうが向く場合があります。どちらに当たるかは、産業振興課に伝えて確かめてください。
市の他の補助金と同じ経費で重ねて受けられますか?
受けられません。条例は、市の他の補助金等の対象になっている経費には奨励金を交付しないと定めています。同じ改装工事や機器の購入に、市の別の補助金を使う予定があるときは、どちらを使うか先に決めておく必要があります。国や県の補助金については条例に書かれていないので、併用できるかは、産業振興課に確かめてください。
指定の申請は、いつまでに出せばよいですか?
賃貸オフィスを借りる事業者は、賃貸借契約の締結日から14日以内です。施行規則が、建物を賃貸借する事業者の期限をこう定めています。契約を結んだ日から数えるので、契約後に慌てて書類を集めても間に合わないことがあります。指定申請書(様式第1号)のほか、事業実施計画書や決算書、市税の完納証明書などが要ります。契約の前に、産業振興課で必要書類を確かめて、準備を進めておくと安心です。
問い合わせ先はどこですか?
今治市の産業振興課です。電話は0898-36-1540、メールはsangyou@imabari-city.jpで、場所は今治市別宮町1丁目4番地1の本庁第1別館7階です。開庁時間は平日の午前8時30分から午後5時15分までです。開設費用に含められる品目や、指定申請の書類で迷ったときは、立地を決める前に連絡しておくと、書類の出し直しを防げます。
