賃上げを約束して申請したのに、翌年の給与が1.5%上がらなかったら、補助金は返すのでしょうか。各務原市の公式ページには、賃上げに至らなくても補助金の返還は発生しないと書かれています。ただし、従業員への賃上げ方針の表明は申請の前提で、省くことはできません。
この補助金は予算の上限に達したため、申請の受付を終了しています。次の募集は公式ページに書かれていないので、類似の補助金を探す方にも、仕組みと外れやすい点が分かるように整理します。
各務原市収益力向上・賃上げ環境整備補助金の要点まとめ
正式名:各務原市収益力向上・賃上げ環境整備補助金
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 中小企業・農林水産業者・NPO・医療法人など
- 利用目的
- 新商品・新サービス開発、新分野進出、DX推進
- 対象地域
- 岐阜県各務原市(市内に本店・主たる事務所)
- 従業員数
- 規定なし(従業員がいない場合の様式あり)
いくら
- 補助上限額
- 100万円(1事業者1回限り)
- 補助率
- 対象経費の1/2(1,000円未満切り捨て)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年4月13日〜2027年1月29日(予算上限到達で終了)
- 事業の完了
- 2027年2月末まで(支払いまで)
申請できる事業者の条件は?
次のすべてに当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 国や他の自治体の補助金を使う事業
- ✕ 性風俗関連特殊営業を営む
- ✕ 政治活動や宗教活動が本業
「中小企業」は、中小企業基本法で業種ごとに資本金と従業員数の上限が決まっています。農林水産業者は、収穫物を有償で販売していることが条件です。NPO法人、一般社団法人、公益法人、協同組合、社会福祉法人、医療法人、学校法人も対象に入ります。個人事業主の賃上げ要件も定められているので、個人でも申請の対象です。
賃上げの1.5%は何と何を比べる?
条件は「1.5%以上増やす」ことですが、見られる数字と比べる期間が決まっています。
- 見る数字:雇用者給与等支給額(所得の計算で経費にできる、国内の従業員への給与等の支給額)の総額か、1人当たりの平均額のどちらか
- 法人:補助事業を始めた事業年度と、その翌事業年度を比べる
- 個人事業主:補助事業を始めた年と、その翌年を比べる
申請では、この引き上げ方針を従業員に表明した書面を出します。方針を表明する義務はありますが、経済情勢で想定どおりに上がらなくても、そのことで補助金の返還は発生しません。ただし事業の終了後に、賃上げの状況調査があります。
いくら戻ってくる?
税抜の対象経費の半分で、1,000円未満は切り捨てです。上限の100万円に届くのは、対象経費が税抜200万円以上のときです。
- 市の記入例(ソフトウェア100万円+タブレット5台50万円):150万円 × 1/2 = 75万円
- 設備を大きく更新する:250万円 × 1/2 = 125万円 → 上限の100万円
- 端数が出る:33万3,000円 × 1/2 = 16万6,500円 → 16万6,000円
何に使える?
対象にならないものを先に挙げます。
- 人件費、家賃などの固定費、光熱水費などのランニングコスト
- 展示会の出展費、視察の費用、資格取得のための研修や旅費
- 営業車の購入費、荷物の運搬が目的の一般車両(バン、ワンボックスなど)
- 不動産の取得・修繕費、事務所の整備費、レンタルオフィスの改装費
- 事務用品などの消耗品、飲食・接待費、税理士への支払い、振込手数料
- 機械装置のリース契約の費用、設備設置箇所の補修工事
- 導入した製品や商品を販売する場合のその製品
対象になるのは、事業の種類で2つに分かれます。
- 新商品・新サービスの開発、新分野への進出:開発費、設備・備品導入費(キッチンカーなど専用車両を含む)、委託費、店舗改装費、広告宣伝費
- DXの推進:機械装置、ソフトウェア・システム、それに必要なハードウェア。生産性の向上か業務効率化に役立つものに限る
DXの線引きで見落としやすいのは、パソコンやタブレットだけを買う申請は対象外という点です。ソフトウェアやシステムを入れる事業に必要なハードウェアなら対象になります。この区分は、道具を揃えるだけでなく、仕事のやり方を変える投資に出すためのものです。
申請の流れ
- 賃上げ方針を従業員に表明する(事業者→従業員。従業員代表が自署する。従業員がいなければ表明の約束書面でよい)
- 見積書をとり、交付申請書を出す(事業者→商工振興課。オンラインフォーム、持参、郵送のいずれか。先着受付)
- 交付決定を待つ(市→事業者。決定の前に発注・契約しない)
- 発注・納品・支払いを終える(事業者。2027年2月末までに支払いまで完了)
- 実施報告を出す(事業者→市。完了から30日以内か2027年2月末の早い方)
- 確定の通知を受け、交付請求を出す(事業者→市。口座に振り込まれる)
必要な書類
準備できた 0 / 6
様式3と4は、従業員がいるかどうかでどちらか一方を出します。様式3には、表明を受けた従業員代表の自署が必要です。提出は原本でなくても構いません。事前着手届(様式6)は、やむを得ず交付決定の前に着手するときだけ出します。事業計画書には、補助事業の場所の住所と施設名も書きます。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に発注した:着手は交付決定日以後が原則です。事前着手届を出しても、交付決定が保証されるわけではありません。
- 他の補助金と重ねた:国や地方公共団体の補助金を受けている、または申請している事業は対象外です。
- 虚偽の申請をした:決定の全部または一部が取り消されることがあります。誓約書では、返還のほか法人名などの公表もありうると同意します。
- 財産を勝手に処分した:単価30万円以上の機械や備品は、耐用年数が過ぎるまで売却や転用に市の承認が要ります。
- 市外の事業所の事業だった:補助事業は市内の事業所に係るものに限ります。
よく誤解されるポイント
賃上げは「実績」ではなく「方針の表明」が申請の条件で、結果が届かなくても返還されません。ただし、表明をしていないと申請書類がそろいません。
「導入した機械で作った製品を売るなら、その製品代も補助される」と考える人もいますが、導入した製品や商品を販売する場合は対象外です。また、国や他の自治体の補助金を使っている事業は、同じ事業として重ねて申請できません。
よくある質問
賃上げが1.5%に届かなかったら、補助金を返しますか?
返す必要はありません。市の公式ページには、経済情勢などで想定どおりの賃上げに至らないことがあっても、それをもって補助金の返還等は発生しないと書かれています。ただし、従業員に賃上げ方針を表明することは申請の条件で、事業の終了後には賃上げの状況調査もあります。調査に応じることは誓約・同意書にも書かれているので、帳簿は整えておくと安心です。
個人事業主でも申請できましたか?
申請できる対象でした。中小企業基本法で中小企業者に当たる個人事業主は対象者に含まれ、要綱には個人事業主の賃上げ要件も別に定められています。個人の場合は、補助事業を始めた年と翌年の雇用者給与等支給額を比べます。ただし市内に主たる事務所があることと、市税の滞納がないことが条件です。
従業員がいない場合はどうなりますか?
従業員がいなくても申請できます。その場合は、様式3の代わりに様式4の賃上げ計画の表明書を出します。今後、補助事業の期間中に従業員を雇うときには、その従業員の給与を一定期間で比べて1.5%以上増やすことを表明する、という内容です。比べる従業員は、基準年度と翌事業年度で同じ人にそろえます。
賃上げの1.5%は、何と何を比べるのですか?
法人は補助事業を始めた事業年度とその翌事業年度、個人事業主は補助事業を始めた年とその翌年を比べます。総額と1人当たりの平均額のどちらかが1.5%以上増えれば条件に当たります。平均額の計算では、全月分の給与を受けた従業員が対象で、育児休業などで時短勤務の従業員は除くことができます。パートは正社員の就業時間に換算して人数を数えます。
パソコンだけを買う費用は対象になりますか?
対象になりません。DXの推進では、ハードウェアだけを買う申請は対象外です。ソフトウェアやシステムを入れる事業に必要なパソコン、タブレット、LANのネットワーク機器は対象になります。事業計画書の記入例でも、ソフトウェア導入とタブレット導入を並べて書く形でした。ハードウェアだけの見積書で出さないよう注意してください。
中古の機械やサブスクの費用は対象になりますか?
どちらも条件つきで対象です。中古設備は、3者以上の中古品流通事業者から型式や年式が書かれた相見積もりをとっている場合に限ります。サブスクリプション型の製品は導入費用が対象ですが、補助事業の実施期間にあたる分だけです。期間を超える分の月額料金は、対象経費に入れられません。
営業用の車を買うのは対象ですか?
営業車の購入費は対象外です。荷物の運搬や移動販売が目的で、専用の装備を持たないバンやワンボックスカーも対象外になります。対象になるのは、キッチンカー、除雪車、冷蔵車のように、事業に使う設備があらかじめ付いた専用車両です。迷ったときは、見積書の段階で商工振興課に車両の仕様を伝えて確認してください。
展示会に出るための費用は補助されますか?
展示会の出展に係る費用は対象外です。同じく視察の費用、資格取得のための研修の受講料や旅費も対象に入りません。広告宣伝費は対象ですが、事業の広告宣伝に係る経費に限られます。新商品を売り出す広告と、展示会の出展料は別の扱いになるので、見積書の項目を分けておくと区別しやすくなります。
他の補助金と併用できますか?
同じ事業では併用できません。国や地方公共団体などの補助金を受けている事業、または申請している事業は補助事業にできないとされています。補助事業と別の事業を一緒に進めるときは、補助対象の経費を明確に分けて管理します。誓約・同意書にも、国や他の自治体から補助を受けていないことを確認する項目があります。
2回申請できますか?
できません。同じ事業者がこの補助金を受けられるのは1回限りです。交付を受けたことがないことが、対象者の条件にも入っています。上限の100万円に満たない額で交付を受けた場合でも、残りの枠を別の事業で使うことはできないので、申請する事業の内容と経費は最初に整理しておく必要があります。
次の募集はありますか?
公式ページには、次の募集予定は書かれていません。この補助金の要綱は、2027年5月31日限りで効力を失うと定められています。財源は国の物価高騰対応の交付金です。再開の有無は商工振興課 商工労政係(電話 058-383-7236)に確認するのが確実です。
補助を受けて買った設備は、売ってもいいですか?
単価30万円以上の機械、器具、備品は取得財産として管理台帳に記録します。耐用年数が過ぎるまでは、売却、貸し付け、担保、廃棄などを市の承認なしにはできません。承認を受けて処分し収入が出たときは、その一部または全部を市に納めることがあります。関係する帳簿と書類は、事業完了の翌年度から5年間保存します。
領収書や帳簿はいつまで保存しますか?
補助事業が完了した日の属する年度の翌年度以後、5年間保存します。補助事業に係る経費の収支を明らかにした書類と帳簿が対象です。取得財産が処分制限の期間内にあるときは、処分が完了するまで保存します。実施報告では、支払いを証明する書類と、事業を実施した写真や成果物も出します。
