京都市内の旅館・ホテルが、非常用電源やAEDの購入から、京都の伝統産業製品や市内産木材を使った内装工事までを、中小企業なら費用の半分(大企業は4分の1)で進められる補助金です。物品・活動のメニューAが上限100万円、工事のメニューBが上限1,000万円で、併用すると最大1,100万円になります。三次募集の申請は11月13日までです。一次募集か二次募集に応募済みの旅館・ホテルは、三次募集の対象外になります。
宿泊施設の質の向上(受入環境充実)支援事業補助金の要点まとめ
正式名:令和8年度 宿泊施設の質の向上(受入環境充実)支援事業補助金(三次募集)
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 旅館業法の旅館・ホテル営業(簡易宿所は対象外)
- 利用目的
- 地場産品の活用、災害対応、バリアフリー化、地域貢献の取組
- 対象地域
- 京都府京都市
- 従業員数
- 中小企業は資本金5,000万円以下または従業員100人以下
いくら
- 補助上限額
- 最大1,100万円(メニューA 100万円+B 1,000万円・併用可)
- 補助率
- 中小企業等は1/2以内、大企業は1/4以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年8月31日〜2026年11月13日(3期に分けて審査)
- 事業の完了
- A 2027年1月15日、B 2月15日(完了後30日以内の早い日)
実施するのは京都市観光協会で、財源は京都市の宿泊税(宿泊客に課される市の税)です。予算の総額は公式ページに記載がありませんでした。
うちの宿は対象になる?
次の5つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
京都観光モラル推進宣言事業者とは、観光協会が認定する事業者です。京都観光モラル(京都市と観光協会が定めた観光客と事業者の行動基準)に沿った取組を宣言します。申請時点で未認定でも、認定を申請済みで実績報告時までに認定されていれば対象です。
開業5年以上は2026年4月1日時点で数えます。事業譲渡があった場合は、譲渡前の期間も含みます。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 許可種別が簡易宿所である
- ✕ 市税や宿泊税を滞納している
- ✕ 一次か二次に応募済みである
- ✕ 宿泊客が大人専用に限られている
大人専用の施設は、実施要領で風俗営業に類する者の例に挙げられています。予約サイトで大人専用と掲載していると、申請できません。
次の施設も対象外です。旅館業法などの法令や条例に基づく処分を受けている事業者、国や自治体が所有・運営する施設、観光客を広く受け入れていない施設、譲渡や交換の予定がある施設です。
いくらもらえる?
補助額は、消費税抜きの対象経費に補助率を掛けた額です。千円未満は切り捨てます。以下の金額は計算のための仮の例です。対象経費の合計が10万円未満だと申請できません。メニューAは合計100万円、メニューBは1,000万円が上限です。
- 町家の旅館が非常用電源・簡易トイレ・AEDをそろえる(A):80万円 × 1/2 = 40万円
- シティホテルが備蓄品と電動ベッドを買う(A):240万円 × 1/2 = 120万円 → 上限の100万円
- 同じホテルが客室の壁と床を市内産木材で改装する(B):2,000万円 × 1/2 = 1,000万円
- 大企業のホテルが同じ改装をする(B):2,000万円 × 1/4 = 500万円
AとBは併用できます。上の2例を同じ施設で実施すると、100万円と1,000万円を合わせて1,100万円です。
国や京都府など他の補助金を受ける場合は、その金額を事業費から引きます。公式の例では、事業費200万円から府の補助50万円を引いた150万円が対象経費です。これに1/2を掛けた75万円が交付申請額になります。
何に使える?
対象にならないもの
- 電気代・通信費・サブスク・メンテナンス費などの運用費
- 地場産品を使わない工事や、導入箇所以外の工事費・諸経費
- 中古品、単なる原状回復、消耗品、法令で義務付けられた設備
- 人件費・交通費・飲食費
- グループ会社や代表者が同じ会社からの調達
対象になるもの(メニューA)
- 地場産品:京都市指定の伝統産業製品、市内産木材の製品(客室・共用部に限る)
- 災害対応:非常用電源、備蓄水・食料、簡易トイレ、AED、毛布
- バリアフリー:電動ベッド、車椅子、シャワーチェア、据え置き型スロープ
- 啓発:多言語化、ディスプレイ、Wi-Fi設備の強化
- 地域貢献:地域清掃用品、周辺マップの作成、国際認証の取得費
対象になるもの(メニューB)
- 伝統産業製品を壁・天井・床と一体化させる内外装工事
- 市内産木材(みやこ杣木)を壁・天井・床に使う内外装工事
みやこ杣木とは、京都市内の森林で伐採し、認定された製材所が出荷した京都市認証木材です。実績報告で出荷証明書の写しを出せないと、補助の対象になりません。
備蓄の水と食料は、購入時点で保存年限が5年以上のものに限ります。毛布や布団など、ふだんの営業で使うものの買い増しは対象外です。Wi-Fiは機器の購入だけが対象で、回線工事は対象外です。国際認証は、GSTC基準・Sakura Quality基準・Green Key基準のいずれかを新たに取る費用に限ります。工事は、地場産品の材料費と導入箇所に付随する工事費だけが対象です。
申請の流れ
- 申請する期間を選ぶ(事業者。10月30日までなら②期、10月31日〜11月13日なら③期)
- 見積書を原則2者以上から取る(事業者→施工・販売業者。同じ条件で依頼して最安値の業者を選ぶ)
- 申請フォームに入力して書類を添付する(事業者→京都市観光協会。11月13日まで)
- 交付決定を待つ(観光協会→事業者。結果は②期が11月30日まで、③期が12月15日まで)
- 交付決定のあとに発注して、銀行振込で支払う(事業者→業者)
- 実績報告を出して請求する(事業者→観光協会。入金は請求から1か月程度)
交付決定とは、補助の可否と上限額を決める通知です。この日より前の発注・契約・支払いは、全額が対象外になります。
審査は期間ごとに行われます。予算を超えると、以後の期間の審査と受付は行われません。②期なら結果は11月30日まで、③期なら12月15日までに届きます。発注は交付決定のあとなので、②期に出すほうが、工事や納品に使える期間は長くなります。実施要領の12ページには、審査結果の通知を12月18日までとする記載もあります。
審査では観光協会の職員が現地を確認することがあります。メニューB(工事)は、原則として審査時と実績報告時に現地確認が入ります。
必要な書類
準備できた 0 / 11
補助内容が分かる書類は、仕様書・図面・施工場所の写真・積算書などです。業者選定理由書は、見積書が1者分しか取れないときだけ出します。地場産品の確認書は、A-1かB-1を申請するときだけ要ります。
地域活動の分かる資料は、自治会の名簿や会費の領収書、会報やホームページなどです。防災協定を結んでいるだけでは対象にならず、地域の防災訓練への参加など、具体的な取組を書きます。
納税証明書は直近1年分で、発行日から3か月以内のものです。法人は法人市民税、個人は個人市民税です。宿泊税の領収書は、2025年3月〜2026年2月分を出し、なくしたときは納税証明書で代えます。交付申請書と一緒に入力する事業者情報には、客室数、宿泊定員、稼働率、宿泊客数などがあります。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に発注した:理由を問わず、その事業は全額が対象外になります。見積書を取るだけなら問題ありません。
- 予算が尽きた:申請期間の審査で予算を超えると、要件を満たしていても不採択になります。以後の期間の受付も止まります。
- 期日までに完了しなかった:納品や支払いが未了のままだと、補助金は交付されません。実績報告は、事業の完了後30日以内か、A 2027年1月15日・B 2月15日の、いずれか早い日までです。
- 現金やカードで支払った:支払いは銀行振込だけです。現金・カード・電子マネー・手形は認められません。
- 取得した物を処分した:法定耐用年数の間に承認なく売却や廃棄をすると、残存価額に相当する額を返還します。
- 営業していなかった:補助金は、請求日時点で旅館業を営み宿泊客を受け入れていることが条件です。休業中は受け取れません。
併用と計画変更
京都市の他の補助金とは併用できません。京都市の補助金を使った団体の補助も同じ扱いです。国や京都府など他の自治体の補助金とは併用できますが、先に書いたとおり対象経費から差し引きます。
交付決定後に内容や費用を変えるときは、契約の前に変更承認申請書(第4号様式)を出します。出さないと補助金を受け取れないことがあります。
導入した物品や活動には、宿泊税を活用した事業だと分かる説明文の設置などが要ります。地場産品を使う場合は、その産品の紹介も必要です。
よくある質問
一次募集に応募して不採択だった場合は、三次募集に出せますか?
出せません。実施要領は、一次募集(5月29日締切)か二次募集(7月31日締切)に応募した旅館・ホテルを三次募集の対象外としています。採択されたかどうかは問われていません。応募した事実で線が引かれるため、先に出した申請の控えを確かめてください。判断に迷う場合は、京都市観光協会の補助金担当(050-3649-5676)へ問い合わせると確実です。
簡易宿所や民泊は対象になりますか?
対象になりません。対象は旅館業法の旅館・ホテル営業の許可を受けた施設です。許可種別が簡易宿所の施設は、補助の対象外と明記されています。観光協会は、旅館業法に基づく許可施設一覧(2026年2月28日現在)を公開しており、種別の欄に旅館・ホテルとある施設だけが対象です。自分の施設の種別は、この一覧か営業許可書で確かめられます。
京都観光モラル推進宣言事業者の認定は、申請の時点で必要ですか?
申請時点では必須ではありません。認定の申請を済ませていて、実績報告の時点で認定を受けていれば対象になります。実績報告までに認定されなかった場合は、交付決定を受けていても補助金を受け取れません。認定の審査にかかる日数は公式ページに記載がないため、申請と並行して早めに手続きを進めておくと安心です。
補助対象経費は税込みですか、税抜きですか?
すべて消費税抜きで計算します。消費税と地方消費税は、補助対象外の経費です。算出した交付申請額に千円未満の端数が出たときは、切り捨てます。たとえば税込み220万円の工事は、税抜きの200万円が対象経費です。補助率1/2なら、交付申請額は100万円になります。見積書も、税抜きの金額が分かる形で取っておきましょう。
メニューAとメニューBは同時に申請できますか?
併用できます。メニューAは物品・備品の購入と活動で上限100万円、メニューBは地場産品を使う内外装工事で上限1,000万円です。同時に申請すれば、合わせて最大1,100万円まで補助を受けられます。ただし、見積書は事業ごとに分けて作ってもらうのが原則です。AのなかでA-1からA-5を複数選ぶことはできますが、A全体の上限は100万円のままです。
見積書は1者だけでもいいですか?
原則は2者以上です。同じ条件で依頼し、補助対象経費が最安の業者を選びます。限られた業者からしか買えない物や、高度な技術が必要な工事は、1者の見積書でも申請できます。その場合は業者選定理由書(別紙4)を添えます。工事の見積書で「一式」や「諸経費」の内訳が分からないと、補助の対象外になります。
事業が終わる前に補助金は受け取れますか?
受け取れません。補助金は後払いです。実績報告を出し、観光協会が内容を確認して金額が確定したあと、補助金交付請求書(第8号様式)を出します。入金は請求書の受領後、1か月程度の予定です。それまでの費用は、事業者が先に銀行振込で支払う必要があります。資金繰りの準備も、申請の前に計画しておきましょう。
交付決定額と実際に受け取る額は同じですか?
同じとは限りません。交付決定額は限度額を示すもので、支払額の約束ではありません。実績報告の確認で補助対象外の経費が見つかると、その分を除いて金額を出し直します。たとえば保守費やサブスク料金を計画に混ぜていると、その部分は減額されます。申請の段階で、対象経費と対象外経費を見積書の上で分けておきましょう。
同じ施設で何回も申請できますか?
できません。申請は1施設ごとに行えますが、同じ施設で複数回の交付申請が認められると、交付決定が取り消されることがあります。三次募集の申請期間は3つに分かれていても、1施設につき申請は1回です。メニューAとBは、1回の申請のなかで併用します。複数の施設を持つ事業者は、施設ごとに申請してください。
申請期間は①②③のどれに出せばいいですか?
三次募集の申請期間は2026年8月31日から11月13日までで、審査は①9月30日、②10月30日、③11月13日の締めで3回に分かれます。2026年10月時点では①は終わっており、②は10月30日までです。②に出すと結果は11月30日まで、③に出すと12月15日までに通知されます。早く出すほど、工事や納品の期間を長く取れます。
問い合わせ先はどこですか?
京都市観光協会の「宿泊施設の質の向上(受入環境充実)支援事業補助金」担当です。電話は050-3649-5676で、受付は平日9時〜17時(12時〜13時を除く)です。メールはhojyokin@kyokanko.or.jpで受け付けています。ただし、審査結果と実績確認の結果に関する問い合わせには応じない、と実施要領に書かれています。申請前の疑問を先に解消しておきましょう。
