夏のハウスや作業場で、従業員が倒れないかが気がかりになる。エアコンやミストシャワーを入れたくても、見積の総額を見て手が止まる経営体は少なくありません。大分県は、この暑さ対策の設備に補助を出しています。
対象は県内の農林水産業の経営体で、直近3年以内に売上3,000万円以上を達成していることが前提です。通常枠は補助率1/2以内・上限100万円、賃上枠は補助率2/3以内・上限140万円です。大規模園芸団地で営農するコースなら、上限が500万円・670万円まで上がります。令和8年度は回を分けて募集しており、第5回の書類提出期限は令和8年11月16日(月)17時です。賃上枠を選ぶと、実績報告までに従業員の総支給額を1.5%以上増やす必要があります。
大分県 農林水産業就労環境改善補助金の要点まとめ
正式名:令和8年度大分県農林水産業就労環境改善補助金
だれが
- 申請者
- 県内の農林水産業経営体(法人・個人事業主・団体)
- 対象業種
- 農業・林業・水産業
- 利用目的
- 熱中症防止・高温下の作業負担を減らす装備・施設
- 対象地域
- 大分県内
- 従業員数
- 規定なし(賃上枠は常雇い1名以上が必要)
いくら
- 補助上限額
- 最大670万円(コース・枠で100万〜670万円)
- 補助率
- 通常枠1/2以内/賃上枠2/3以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 第5回は2026年11月16日(月)17時まで(書類提出期限)
- 事業の完了
- 交付決定後に実施(実績報告は完了から30日後か3月31日の早い日まで)
県のページは第5回を「要望調査」と案内しています。そのうえで、申請手続きと書類提出期限が同じページに載っています。
うちは対象になる?
一般コースは、次のすべてに当てはまれば対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
青色申告は、税務署に届け出て帳簿をつけたうえで行う申告のことです。3か年は、事業を実施する年度から数えた直近3年をさします。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 売上3,000万円に届いた年度がない
- ✕ 3,000万円超の年度が純損失だった
- ✕ 過去3年以内に交付決定の取消を受けた
- ✕ 装備をリース・レンタルで入れる
純損失とは、赤字のことです。法人でも同じで、役員報酬は含めずに見ます。売上が3,000万円を超えた年度に純損失が出ていると、申請できません。
この条件のほかに、一般コースでは審査基準のポイントが10以上であることが必要です。ポイントの高いものから、予算の範囲内で採択されます。賃上枠で採択されるには、ポイントが15以上で、賃上げの対象になる常雇いの従業員が1名以上いることが条件です。審査基準の点数は、事業実施計画のExcelの末尾に項目が並んでいます。新しく雇う常雇い1人で5点、臨時雇い1人で3点、前年度に雇っていた常雇い・臨時雇いも同じ点です。農福連携などの活用、スポットワークの活用、経営者が50歳未満は3点ずつです。GAP認証、就業規則、有給休暇、定期昇給、育児休業、労働保険・社会保険の加入、くるみん・えるぼし認定などは1点ずつです。計画書の自動判定は11点以上で作られているため、10点ちょうどになりそうなときは、申請先の振興局(県の地方機関)に確かめます。
大規模園芸団地コースは、次の2つをどちらも満たす経営体が対象です。
- 令和6年度以降に大規模園芸団地で営農を始めた、または始めることが確実
- 過去3年以内に売上3,000万円以上を達成した、または今後の達成が見込まれる
団地の条件は、まとまった農用地等の合計がおおむね10ha以上です。既存の園芸団地がある場合は、新しく集める農用地等がおおむね5ha以上(施設園芸ならおおむね2ha以上)で、既存と合わせて10ha以上になる必要があります。複数の農用地等でつくる団地は、生産や販売で連携します。
賃上枠にするか、通常枠にするか
| 区分 | 通常枠 | 賃上枠 |
|---|---|---|
| 一般コース | 補助率1/2以内・上限100万円 | 補助率2/3以内・上限140万円 |
| 大規模園芸団地コース | 補助率1/2以内・上限500万円 | 補助率2/3以内・上限670万円 |
賃上枠は、補助率と上限額の両方が上がります。そのぶん、実績報告の段階で賃上げの結果を示す必要があります。条件は次のとおりです。
- 県への実績報告の直近1か月分の給与・賃金の総支給額が、賃上げ前より1.5%以上増えている
- 総支給額には残業代・賞与・各種手当・役員への給与や報酬を含め、福利厚生費・法定福利費・退職金は除く
- 時給・日給の人は、労働時間を賃上げ前の月と同じにそろえて比べる
- 比べる対象は、賃上げ前後の賃金台帳の提出月に同じ条件で在籍するすべての従業員(アルバイト・パートも含む)
- 賃上げは、事業を実施する年度の4月1日から実績報告の直近1か月前までの間に行う
たとえば賃上げ前の月の総支給額の合計が200万円なら、1.5%は3万円です。203万円以上になっている必要があります。同じ条件で在籍していない従業員は計算に入れません。賃上げの時期は4月1日から数えるため、年度の途中で申請する場合も、すでに行った賃上げが対象になるかを振興局に確かめておくと安心です。
いくら戻ってくる?
対象経費に補助率をかけた額が補助されます。千円未満は切り捨てです。総事業費が50万円未満だと対象外なので、通常枠の最小の補助は25万円(50万円 × 1/2)です。
- 施設野菜の経営体が、ハウス内のエアコン2台とミストシャワーに150万円(通常枠):150万円 × 1/2 = 75万円
- 畜産の経営体が、大型扇風機と給水機に200万円(賃上枠):200万円 × 2/3 = 133万3千円
- 一般コースで、冷蔵庫と遮熱資材に250万円(通常枠):250万円 × 1/2 = 125万円 → 上限の100万円
- 大規模園芸団地の経営体が、ハウス群の遮熱資材と冷蔵設備に800万円(通常枠):800万円 × 1/2 = 400万円
- 同じ団地で1,100万円(賃上枠):1,100万円 × 2/3 = 733万3千円 → 上限の670万円
一般コースで通常枠の上限に届くのは、対象経費が200万円のときです。賃上枠で上限の140万円に届くのは、210万円のときです。補助金は予算の範囲内の交付で、申請した全員が採択されるわけではありません。
何に使える?
対象にならないものを先に挙げます。
- サングラス・パソコン・防寒着など汎用性の高いもの
- 導入する装備・施設のリース・レンタル
- 振込手数料・代引手数料・両替手数料
- 他の助成事業で支援を受けている、または受ける予定の取組
- 経費の根拠が不明確で、履行を確認できないもの
- 中古品(原則)
中古品は、知事が必要と認める場合に限り、残りの法定耐用年数が3年以上のものが対象になります。
対象になるものは次のとおりです。据付・運搬の費用も対象です。
- 大型扇風機・遮熱・遮光資材・WBGT計(暑さ指数を測る機器)
- エアコン・冷蔵庫・冷凍庫・給水機・ミストシャワー
- ファン付きウェア・冷水服
- 農作業機械への日よけ屋根(後付けのみ)
- 労務管理用ソフトウェア(導入費用のみ)
- トイレ(仮設を含む)・休憩室・手洗い場・シャワー室
- 駐車場(大規模園芸団地コースのみ)
上の例にないものでも、熱中症防止や高温下での作業負担の軽減に向けた装備なら、知事が認めれば対象になります。その場合は、導入理由書(様式7号)を事業採択申請書に付けます。
申請の流れ
- コースと枠を決め、見積を集める(経営体→販売業者。購入先の選定では原則3者以上から見積を取り、希望小売価格も確認する)
- 事業採択申請書を振興局に出す(経営体→主たる実施場所を管轄する振興局。期限は令和8年11月16日17時)
- 採択の通知を受ける(県→経営体。ポイントの高い順に予算の範囲内で採択)
- 交付申請をして、交付決定通知を受ける(経営体→県。着手は原則この後。賃上枠は賃金増加率の試算表と、賃上げ前の直近1か月分の賃金台帳の写しも付ける)
- 装備・施設を導入し、着手届と完了届を出す(経営体→県。着手時に契約書の写しと3者の見積書、完了時に検査調書を添える)
- 実績報告と交付請求を出す(経営体→県。完了から30日後か年度末の3月31日の早い日まで)
- 年次報告を出す(経営体→県。目標年度の翌年度まで、毎年4月30日までに)
交付決定とは、県が補助金の交付を正式に決めたことの通知で、採択とは別のものです。交付決定のあった年度の12月末現在の事業遂行状況報告書を、翌年1月10日までに出す決まりもあります(交付請求書を出していれば、それで代わります)。補助金は原則として精算払い、つまり事業が終わり実績を報告してからの支払いです。
必要な書類
準備できた 0 / 9
決算書は、売上が3,000万円を超えた年度のものを出します。様式2号は大規模園芸団地コースだけです。定款・規約等は法人・団体が出します。取消歴なしの確認書は、過去3年以内に交付決定の取消を受けていないことを示すもので、様式は決まっていません。この2つは実施要領に載っています。事業実施計画は交付要綱の第2号様式で、Excelです。
提出先の振興局
申請書類は、事業の主たる実施場所を管轄する振興局に出します。
| 振興局 | 農業の電話番号 |
|---|---|
| 東部振興局(国東市国東町安国寺786-1) | 0978-72-0409 |
| 中部振興局(大分市府内町3-10-1) | 097-506-5732 |
| 南部振興局(佐伯市長島町1-2-1) | 0972-24-8645 |
| 豊肥振興局(竹田市大字竹田字山手1501-2) | 0974-63-1172 |
| 西部振興局(日田市城町1-1-10) | 0973-22-2585 |
| 北部振興局(宇佐市大字宝鏡寺235-1) | 0978-32-1621 |
林業・シイタケと水産業の担当番号は、県の案内ページに振興局ごとに載っています。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定より前に着手した:着手は原則として交付決定の後です。緊急でやむを得ない事情があるときだけ、交付決定前着手届(様式4号)を出して着手できますが、交付決定までの損失はすべて自己責任になります。
- 見積を1社しか取っていない:購入先の選定では、原則3者以上の見積か一般競争入札等で、事業費を下げる取組をします。
- 計画を無断で変えた:事業内容や経費の配分を変えるときは、変更承認申請書を出して県の承認を受けます。補助金の額が変わらない範囲で、補助対象経費の30%以内の増減は軽微な変更で、承認の対象外です。
- 賃上げが足りなかった:賃上枠は、実績報告で賃金台帳と賃金増加率の計算表を出し、総支給額の1.5%以上の増加を確かめます。
- 申請書類に虚偽があった:採択が取り消されることがあります。交付決定の取消、返還、加算金の徴収、氏名や団体名の公表につながる場合もあります。
- 採択されなかった:ポイントの高い順に予算の範囲内で採択されるため、条件を満たしても必ず採択されるわけではありません。
補助を受けたあとの決まり
導入した装備・施設は、補助金の目的に沿って使います。取得価格が1件50万円以上のものを処分するときは、事前に知事の承認が必要です。施設は、火災保険(天災への補償を含む)に入ります。盗難防止の対策も求められます。
収入と支出の帳簿や領収書などの証拠書類は、事業が完了した年度の翌年度から5年間、整理して保管します。消費税は、仕入控除税額がある場合は減額して申請します。免税事業者や簡易課税事業者はこの限りではありません。
よくある質問
売上3,000万円に届いていない場合は申請できませんか?
一般コースは、過去3年以内に売上3,000万円以上を達成していることが条件で、届いていなければ申請できません。達成した年度に純損失(赤字)が出ている場合も対象外です。大規模園芸団地コースは、過去3年以内に達成している、または今後の達成が見込まれるなら対象になり得ます。ただし令和6年度以降に団地で営農を始めた、または始めることが確実な経営体に限ります。
青色申告をしていない場合は対象になりませんか?
一般コースでは、青色申告をしていることが実施要領に定められています。大規模園芸団地コースの項には、この条件の記載はありません。自分がどちらのコースに当たるかは、事業を行う場所の振興局に確かめると確実です。青色申告をしていない経営体が一般コースを考えているなら、まず申請の可否を問い合わせるとよいでしょう。
賃上枠と通常枠は、どう選べばよいですか?
賃上枠は補助率が2/3、上限が一般コースで140万円と有利です。その代わり、実績報告の直近1か月分の総支給額を賃上げ前より1.5%以上増やし、賃金台帳と計算表を出す必要があります。採択でもポイント15以上と常雇い1名以上が求められます。常雇いの従業員がいない場合や、賃上げの予定がない場合は、通常枠を選びます。
パソコンや作業着は対象になりますか?
サングラス・パソコン・防寒着のように汎用性の高いものは対象外です。熱中症の防止や高温下での作業負担の軽減に直接つながる装備・施設が対象です。たとえばファン付きウェアや冷水服は対象に入っています。県の例にない装備でも、知事が認めれば対象になることがあります。その場合は導入理由書(様式7号)を申請書に付けます。
リースやレンタルで入れてもよいですか?
導入する装備・施設のリース・レンタルにかかる経費は、補助の対象外です。対象になるのは購入して導入するものです。購入先の選定では、希望小売価格を確かめたうえで、原則3者以上から見積を出してもらいます。新品が原則で、中古品は知事が必要と認め、残りの法定耐用年数が3年以上の場合に限られます。
総事業費の下限はありますか?
あります。総事業費が50万円未満の場合は対象外です。50万円ちょうどなら、通常枠で25万円(50万円 × 1/2)が補助の目安になります。複数の装備をまとめて申請して50万円以上にするという考え方もありますが、対象の装備ごとに必要性を説明できる計画にしておく必要があります。迷うときは、振興局に確かめてください。
申請書類はどこに出しますか?
事業の主たる実施場所を管轄する振興局に出します。東部・中部・南部・豊肥・西部・北部の6つです。農業・林業(シイタケ含む)・水産業ごとに電話番号が分かれています。県のページには、振興局ごとの所在地と番号が載っています。第5回の書類提出期限は令和8年11月16日(月)17時で、提出先の振興局を先に決めておくと安心です。
賃上げはいつ行えばよいですか?
事業を実施する年度の4月1日から、実績報告の直近1か月前までの間に行います。計算では、賃上げ前後の賃金台帳の提出月に同じ条件で在籍する従業員の総支給額を比べます。在籍していない従業員は対象外です。年度の途中で申請する場合は、すでに行った賃上げを使えるかどうかを、公式ページの記載だけでは判断できません。振興局で確認してください。
補助金はいつ受け取れますか?
原則は精算払いです。装備・施設を導入して完了届を出し、実績報告書と交付請求書を出してから受け取ります。知事が必要と認めるときは、概算払い(先払い)もあります。実績報告は、事業の完了または廃止の承認を受けた日から30日を過ぎた日か、交付決定のあった年度の3月31日の、どちらか早い日までに出します。
問い合わせ先はどこですか?
大分県農林水産部 新規就業・経営体支援課 経営体育成班です。電話は097-506-3598、ファックスは097-506-1758です。所在地は大分市大手町3丁目1番1号(大分県庁本館9階)です。審査基準のポイントや、自分の経営体が一般コースか大規模園芸団地コースかを確かめるときは、申請先の振興局にも問い合わせておくと、書類の出し直しを防げます。
