卵子凍結の費用に使える補助は国の一律の制度ではなく、東京都など一部の自治体が出しています。加齢などで妊娠する力が落ちるのを心配して健康な女性が行う卵子凍結について、東京都は凍結した年度に上限20万円を助成します。翌年度からは保管についての調査に答えるたびに1年ごと一律2万円が加わり、令和8年度に凍結した人は合計で最大24万円です。
東京都のほかにも港区が都の助成に最大10万円を上乗せし、山梨県と千葉県柏市は上限20万円、大阪府池田市は凍結の費用に上限20万円を出しています。がんなどの治療の前に行う卵子凍結は別の仕組みで、国の研究促進事業として都道府県が1回あたりの上限を決めて助成します。どの制度も住んでいる地域と採卵の日の年齢で使えるかが決まり、多くは採卵の前に説明会や事前登録を済ませる決まりです。
この記事では制度の仕組みと費用の目安を先に整理し、そのあと制度ごとの額と条件を表で比べています。後半には多くの制度に共通する注意点、会社の福利厚生と税金の扱い、よくある質問を載せました。
卵子凍結の補助金の概要
卵子凍結への公的な助成は、凍結する理由によって2つの系統に分かれます。どちらに当たるかで、申請先も額も変わります。
将来に備える卵子凍結と、がん治療などの前の卵子凍結
1つ目は、今は病気がなく将来の妊娠に備えて卵子を凍結しておく場合です。東京都福祉局はこれを「加齢等による妊娠機能の低下を懸念する場合に行う卵子凍結」と呼んでいます。クリニックの記事では「社会的卵子凍結」とも書かれ、柏市は制度名にこの言葉を使っています。東京都・山梨県・柏市・池田市の制度は、どれもこちらの系統です。
2つ目は、がんの治療などで卵巣の働きが損なわれるおそれがあり、治療の前に卵子を凍結する場合です。こちらは国の「小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業」で、申請先は住んでいる都道府県です。「妊孕性(にんようせい)」は妊娠するための力のことで、凍結保存して将来に残す治療を妊孕性温存療法と呼びます。
2つの系統は重ねて使えません。東京都の卵子凍結の助成は、東京都若年がん患者等生殖機能温存治療費助成事業の対象になる人を対象外にしています。山梨県と柏市の制度も、それぞれの県のがん患者向けの事業の対象者を外しています。がんなどの治療を控えている人は、主治医に相談したうえで都道府県の妊孕性温存の窓口から確かめます。
すでに不妊症の診断を受けていて不妊治療のために採卵・凍結をする人は、将来に備える系統の助成を受けられません。東京都・山梨県・柏市・池田市のいずれも、不妊治療を目的とした採卵・卵子凍結を対象外にしています。不妊治療の費用には、保険診療と自治体の不妊治療の助成という別の仕組みがあります。
国の補助金は無いのか
全国のどこに住んでいても将来に備える卵子凍結に使える国の補助金は、編集部が確認できた範囲ではありません。国の制度としてはっきり確かめられたのは、2つ目の系統の妊孕性温存療法の研究促進事業だけです。
ロングテールの検索では「卵子凍結 モデル事業」「国 いつから」が多く調べられています。国(こども家庭庁)が卵子凍結の費用を助成するモデル事業を始めるという報道や、上位の記事の紹介はあります。ただ、編集部はこども家庭庁の公式ページで実施要綱や対象の条件を見つけられませんでした。対象年齢や1回あたりの額は、記事によって書き方が違います。国の事業に参加するかどうかは都道府県ごとに決まるので、お住まいの都道府県の発表で確かめてください。
卵子凍結にかかる費用と保険の扱い
将来に備える卵子凍結は病気の治療ではないため、健康保険が使えない自由診療です。費用は医療機関ごとに違います。東京都が作った手引「みんなで一緒に知りたい卵子凍結のこと」は、目安を次のように書いています。
| 段階 | 東京都の手引に書かれた目安 |
|---|---|
| 採卵から凍結保存まで | 約30万円〜50万円 |
| 凍結した卵子を使うとき(融解から胚移植まで) | 約30万円〜60万円 |
| 凍結保存の期間を延ばすとき | 1年あたりおおよそ5万円程度 |
採卵から凍結までに40万円かかった場合、東京都の凍結時の助成(上限20万円)を受けると手元の負担は20万円です。保管を続けると毎年の更新料がかかり、都の保管時の助成(1年ごと2万円)では更新料の全部はまかなえません。凍結した卵子を使う段階にも別に費用がかかるので、凍結だけでなく使うときまでの総額で考えます。
同じ手引は卵子凍結のデメリットとして、卵子をうまく採卵できない可能性や副作用・合併症のリスクを挙げています。また「将来の妊娠・出産が保証されるものではない」とも書いています。凍結すれば将来の妊娠が約束されるわけではないので、医学的な見通しは受診する医療機関で説明を受けてから決めてください。
多くの制度に共通する条件
将来に備える卵子凍結の助成は、自治体ごとに額は違っても条件の骨組みはよく似ています。上位の記事と各自治体の公式ページを比べると、共通しているのは次の条件です。
- 採卵の日の年齢が18歳から39歳まで(東京都・山梨県・柏市・池田市)
- その自治体に住民登録があること(いつからいつまで続けて必要かは制度で違う)
- 不妊症の診断を受けた人・不妊治療を目的とした凍結は対象外
- がん患者向けの妊孕性温存の事業の対象者は対象外
- 採卵の前に、自治体の説明会・セミナー・説明動画を受ける
- 決められた医療機関(登録医療機関や、日本産科婦人科学会の生殖補助医療の登録施設)で受ける
- 凍結した卵子を売ったり譲ったりせず、海外へ移さない
対象の費用は、採卵の準備のための投薬・採卵・卵子凍結が中心です。港区と大阪府の制度は、入院の差額ベッド代や文書料を対象外にしています。
卵子凍結の補助金はいくら?制度ごとの比較
将来に備える卵子凍結の制度と、がん治療などの前の卵子凍結の制度を公式ページで確かめた額で比べた表です。額は1人あたりの上限で、かかった費用が上限より少なければ費用の額までになります。
| 制度 | 対象(採卵の日の年齢など) | 凍結の費用の上限 | 保管の助成 | 採卵の前に要る手続き |
|---|---|---|---|---|
| 東京都 卵子凍結に係る費用の助成 | 都内に住む18〜39歳の女性 | 20万円 | 調査に回答すると1年ごと一律2万円(令和10年度まで) | オンライン説明会への参加と、調査事業への協力申請 |
| 港区 卵子凍結費用助成(都の上乗せ) | 港区に住民登録があり、都の助成の承認決定を受けた人 | 都の20万円を引いた額に10万円まで | なし | 都の手続き |
| 山梨県 卵子凍結支援事業 | 18〜39歳で、申請日に県内に住所がある人 | 支払った額の7割で、上限20万円(通算2回) | なし | 県の卵子凍結セミナー(動画)の受講 |
| 千葉県柏市 社会的卵子凍結に係る助成 | 18〜39歳で、登録から申請まで柏市に住民票がある人 | 20万円(1人1回。初年度の保管料を含む) | 初年度の分は凍結の上限に含む | 事前登録と説明動画の視聴、アンケートへの回答 |
| 大阪府池田市 卵子凍結費用助成事業 | 18〜39歳で、採卵日と申請日に市に住民登録がある人 | 20万円(1人1回) | 1年ごとに2万円(最大5年間) | 市の公式ページで確認 |
| がん患者等の妊孕性温存療法(大阪府の例) | 凍結保存日に43歳未満で、がんなどの治療を受ける人 | 未受精卵子の凍結1回20万円(通算2回) | 大阪府は令和8年度から保存の維持の費用も助成 | 府の指定医療機関での受診 |
東京都の助成は都内全域の制度で、港区の上乗せは都の助成を受けたあとに区へ申請する二段の仕組みです。港区に住む人は、都と区の両方で合わせて最大30万円を凍結の費用に受けられます。港区以外の区市町村が上乗せしているかは、区市町村の公式ページで確かめます。
東京都の卵子凍結の助成(凍結した年度で最大額が変わる)
東京都の助成は、凍結した年度に出る上限20万円と翌年度から保管の調査に答えるたびに出る1年ごと一律2万円の2本立てです。保管の調査は令和10年度(2028年度)まで行う予定とされていて、凍結した年度が遅いほど2万円を受けられる回数が減ります。都の公式ページに書かれた凍結年度ごとの最大額は次のとおりです。
| 卵子を凍結した年度 | 最大額 |
|---|---|
| 令和5年度(2023年度) | 30万円 |
| 令和6年度(2024年度) | 28万円 |
| 令和7年度(2025年度) | 26万円 |
| 令和8年度(2026年度) | 24万円 |
インターネット上には「東京都の卵子凍結は最大30万円」と書いたページが今も残っています。30万円は令和5年度に凍結した人の額で、令和8年度に凍結する人の最大額は24万円です。
対象は東京都に住む18歳から39歳までの女性で、年齢は採卵を行った日で数えます。この助成は令和5年10月の制度開始から1人1回だけです。対象要件は次のすべてを満たすことです。
- 都の説明会に参加したあと、調査事業への協力申請をして承認を受ける
- 本人が説明会に参加した日から1年以内に、卵子凍結の医療行為を始める
- 説明会に申し込んだ日から都へ申請する日まで、続けて都内に住民登録をしている
- 説明会に参加した日より後に、登録医療機関で医療行為を始める
- 凍結した卵子を売ったり譲ったりせず、海外へ移さない
- 凍結した卵子で生殖補助医療をするときは、夫(事実婚の相手を含む)の精子を使う
- 凍結したあとも都の調査に続けて回答する
医療行為の「開始」は、採卵に向けた投薬か自然周期の場合の卵胞の発育のモニターやホルモン検査のことです。説明会の前にクリニックで投薬や検査を始めていると、要件を満たせません。
東京都の申請の順番と期限
東京都の手続きは、説明会から助成金が入るまで5つの段階に分かれています。申込みと申請には、都のLoGoフォーム(電子申請)を使います。
- 対象者向けのオンライン説明会に申し込み、参加する(各回175名の先着順。各回の2営業日前の正午が申込みの期限)
- 調査事業への協力申請を出す(住民票の写しと自署の誓約書を添付。審査は約1か月から1か月半)
- 登録医療機関を受診し、卵子を凍結する
- 医療機関に受診等証明書を書いてもらい、アンケートに答えて助成金を申請する
- 審査(不備がなければ約3か月)のあと、承認の通知が届いた約1か月後に口座へ振り込まれる
協力申請は、原則として承認の通知を受け取ってから医療行為を始める順番です。年齢の条件を満たせなくなるおそれがあるなど、やむを得ない場合は承認の前に始めても対象になります。ただし協力申請が認められなかったとき、自分の判断で始めた医療行為の費用は全額が自己負担です。
助成金の申請期限は、卵子凍結の医療行為が終わった日で決まります。医療行為が終わった日は未受精卵子を凍結した日で、多くは採卵の日です。
| 医療行為が終わった日 | 申請期限 |
|---|---|
| 令和8年4月1日〜令和8年12月31日 | 令和9年3月31日 |
| 令和9年1月1日〜令和9年3月31日 | 令和9年6月30日 |
都は「申請期限を過ぎた場合は、いかなる理由であっても対象外」としています。書類が一部そろわなくてもアンケートの回答か申請フォームの電子申請を期限内に済ませれば、期限内の申請として扱われます。受診等証明書の作成には数日から数週間かかることがあるので、凍結が終わったらすぐ医療機関に頼みます。
凍結の翌年度からは凍結した日の1年後から3か月以内に保管の調査に答え、あわせて保管時の助成(2万円)を申請します。調査の案内は対象者だけにLoGoフォームで届き、都外へ引っ越した人も対象です。保管している卵子が残っている限り調査への回答は必須で、答えないと凍結時の20万円を含めてそれまでの助成金の全額を返すことになります。
問い合わせは東京都のコールセンター(03-5320-4362、平日9時から17時)が受けています。
港区の上乗せ助成
港区は、東京都の助成の承認決定を受けた人に区の助成を上乗せしています。額は1人1回だけで、東京都の助成金額20万円を差し引いた金額に対して10万円までです。凍結に35万円かかった人なら、都の20万円を引いた15万円に対して区から10万円が出て合わせて30万円になります。
申請できるのは申請日の時点で港区に住民登録があり、都の助成の承認決定まで終わっている人です。申請期限は、都の「卵子凍結への支援に向けた調査事業調査協力(凍結時)助成承認決定通知書」の日付から3か月以内です。都の承認通知と受診等証明書と領収書のコピーを付けて区の電子申請で出し、マイナンバーカードでの認証が要ります。区は、審査から支払いまで2〜3か月ほどかかると案内しています。
都の助成をまだ申請していない人は、先に都の手続きを済ませます。卵子凍結の前に都の説明会と協力申請が要るのは、港区の人も同じです。
山梨県の卵子凍結支援事業
山梨県は、医療機関と調剤薬局に払った総額の10分の7を上限20万円で補助します。補助は通算2回までです。40万円払った場合は7割の28万円が上限で止まり、20万円になります。
対象は採卵の日に18歳から39歳で、申請日に山梨県内に住所がある人です。採卵の前に県の『卵子凍結セミナー』(動画)を受講し、日本産科婦人科学会に生殖補助医療の実施施設として登録された医療機関で受けます。山梨県は、県内で不妊治療を目的としない未受精卵子凍結を行っている医療機関は山梨大学医学部附属病院だけだと案内しています。
令和8年度の申請期限は令和9年3月31日で、令和8年度中に終わった卵子凍結は翌年度の4月以降に申請できません。県は書類に不備があると支給できないとして、2月中を目安に早めに出すよう呼びかけています。
千葉県柏市の社会的卵子凍結に係る助成
柏市は、採卵の準備のための投薬・採卵・凍結保存の費用に上限20万円を1人1回だけ助成します。上限には初年度の保管料も含まれます。
対象は採卵のときに18歳から39歳の女性で、登録のときから採卵・還付申請まで続けて柏市に住民票がある人です。不妊治療中でなく不妊症の診断を受けたことがないことと、柏市の卵子凍結の助成をまだ受けていないことも条件です。採卵の前に市の事前登録と説明動画の視聴と視聴後のアンケートへの回答が要り、登録の日から1年以内に医療行為を始めます。
医療機関は、日本産科婦人科学会の生殖補助医療の登録施設であれば全国の医療機関で受けられます。申請は採卵の日から3か月以内で、ほかの制度より期限が短めです。事前登録には人数の上限があり、上限に達した時点で受付が終わります。
大阪府池田市の卵子凍結費用助成事業
池田市の広報(2024年10月号)は、日本産科婦人科学会の登録施設で令和6年4月1日以降に行った卵子凍結の費用の一部を助成すると案内しています。額は凍結の費用が上限20万円、保存を続ける費用が1年ごとに2万円(最大5年間)です。対象は採卵日と申請日のどちらにも池田市に住民登録があり、採卵した日に18歳から39歳の人です。
池田市の額を最大20万円とする記事と、最大30万円とする記事があります。凍結の費用だけなら20万円で、保存を続ける費用を5年分受けると合わせて30万円になります。同じ制度を別の数え方で書いたものです。
市の申請書の様式では申請の種別が「凍結保存費用」と「保存継続費用」に分かれていて、保存継続は5回が限度です。編集部は令和8年度の要件を載せた市の公式ページを見つけられなかったので、申請の期限と方法は池田市の子ども・家庭の担当課で確かめてください。
がん治療などの前に行う卵子凍結の助成
がんなどの治療の前に卵子を凍結する場合は、国の「小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業」の対象になることがあります。厚生労働省は、助成を希望する人は居住地の都道府県に申請するよう案内しています。額や要件は都道府県が実施要綱で決めます。
大阪府の例では凍結保存日に43歳未満で、治療が妊娠する力を下げるおそれのある人が対象です。未受精卵子の凍結に係る治療は1回あたり上限20万円で、対象者1人に通算2回までです。大阪府は令和8年度から、凍結保存の維持の費用も助成の対象に加えています(令和7年度以降に温存の治療をして府の助成を受けた人の翌年度以降の費用に限ります)。
この事業は国の研究への参加が条件で、府の指定医療機関で受けることが要件です。がんの治療は急ぐことが多いので、凍結するかどうかは治療を担当する医師と相談して都道府県の窓口へ早めに問い合わせます。
凍結した卵子を使うときの助成
凍結した卵子を将来使う段階にも、東京都と山梨県は助成を設けています。凍結のときの助成とは別の制度で、夫婦(事実婚を含む)での申請です。
東京都の「凍結卵子を使用した生殖補助医療への助成」は、妻の年齢が43歳未満の夫婦が対象です。凍結卵子を融解して受精させた場合は1回につき上限25万円、以前に作った凍結胚を融解して胚移植した場合は1回につき上限10万円です。回数は初めて助成を受けたときに妻が40歳未満なら6回まで、40歳以上なら3回までです。1子ごとに回数をリセットできます。
都の要件は保険が使えず不妊治療を目的としない未受精卵子の凍結保存をしていて、都の登録医療機関で生殖補助医療を受けることです。申請期限は「1回の生殖補助医療」が終わった日が属する年度の3月31日までで、1月から3月に終わった治療は翌年度の6月末までです。
山梨県の「凍結卵子を使用した生殖補助医療支援事業」は、医療機関と調剤薬局に払った総額の7割を上限25万円で補助します。回数は治療を始めたときの妻の年齢が18歳から39歳なら6回、40歳以上なら3回です。
卵子凍結の補助金でよくある注意点
将来に備える卵子凍結の助成で、多くの自治体の制度に共通する注意点です。制度ごとの細かい条件は、各自治体の公式ページで確かめます。
- 説明会やセミナーより前に始めた医療行為は、助成の対象になりません。東京都は説明会に参加する前に出した協力申請もすべて対象外にしていて、柏市も採卵の前の事前登録と動画の視聴を求めています。クリニックの予約は、説明会の日程を確かめてから入れます。
- 東京都には助成の要件になる「対象者向けオンライン説明会」とは別に、誰でも参加できる「卵子凍結を一緒に知る基礎セミナー」があります。都は基礎セミナーについて「助成金要件の説明会とは異なります」と注意しています。基礎セミナーを見ただけでは、助成の要件を満たしません。
- 説明会や登録には有効期限があります。東京都の説明会と柏市の登録は、どちらも1年以内に医療行為を始めないともう一度受け直すことになります。
- 申請期限は厳守です。東京都は期限を過ぎた申請をどんな理由でも受け付けないとし、山梨県も年度中に終わった凍結を翌年度の4月以降に申請することを認めていません。期限は凍結の終わった日で決まり、柏市は採卵の日から3か月以内と短い制度です。
- 引っ越しの予定がある人は、住民登録の条件を先に読みます。東京都は説明会の申込みから申請まで、柏市は登録から還付申請まで、続けて住民登録があることを求めています。途中で区域の外へ移ると、凍結を終えていても助成を受けられないことがあります。
- 対象の医療機関は制度で違います。東京都は都の登録医療機関だけで、柏市は日本産科婦人科学会の生殖補助医療の登録施設であれば全国で受けられます。受診するクリニックが、その制度の対象かを予約の前に確かめます。
- 東京都の助成を受けた人は、凍結した卵子が残っている限り保管の調査に答え続けます。答えないと、それまでに受けた助成金を全額返すことになります。
- 東京都と山梨県は、凍結した卵子で生殖補助医療をするときに夫(事実婚の相手を含む)の精子を使うことを要件にしています。凍結した卵子の売買・譲渡と、海外への移送も禁じています。
- 領収書は原本を手元に残します。東京都は請求書やクレジットの売上票を受け付けず、領収書の合計が申請額以上であることを求めています。次年度以降の調査で使うことがあるので、処分しないようにと案内しています。
- 受診等証明書の文書料や差額ベッド代は、助成の対象外とする制度が多くあります。証明書の作成には数週間かかることがあり、山梨県は年度末に凍結すると3月31日までに証明書が間に合わないおそれがあると注意しています。
予約や契約の前には、次のことを医療機関に確かめておきます。
- 自分が使う自治体の制度の対象になる医療機関か(都の登録医療機関か、学会の登録施設か)
- 採卵から凍結までの費用の内訳と、助成の対象にならない費用(文書料・差額ベッド代など)
- 受診等証明書の作成にかかる日数と文書料
- 凍結した卵子を保管する施設と、2年目以降の保管の更新料
- 採卵の前の投薬や検査を始める日(説明会・事前登録の日より後になっているか)
会社の福利厚生と、企業向けの卵子凍結の奨励金
卵子凍結の費用を、勤め先の福利厚生で補助する会社もあります。上位の記事の多くも、会社の制度を自治体の助成と並べて紹介しています。会社の補助の有無と額は、就業規則や社内の制度で確かめます。
会社の補助と自治体の助成を両方受けられるかは、自治体の公式ページに書かれていません。東京都の要件で対象外になるのは、国や地方公共団体の負担による医療の給付の対象になる医療行為です。会社から補助を受ける予定がある人は、申請の前に都のコールセンターで扱いを確かめます。
会社の側には、東京都の「卵子凍結に係る職場環境整備奨励金」があります。都内の企業(大企業を含む)が卵子凍結のための休暇制度(年5日以上)とテレワーク制度などを整えると20万円、福利厚生制度を整えると40万円が出る事業者向けの制度です。令和8年度は予定30社で、事前エントリーの受付が令和8年7月21日から7月29日まで、交付申請書類の提出期限が8月21日(必着)でした。予定の社数を上回る場合は抽選とされていました。内容と申請の流れは東京都の卵子凍結職場環境整備奨励金の記事にまとめています。
不妊治療と仕事の両立を支える会社には、国の両立支援等助成金(不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース)もあります。卵子凍結そのものに出る制度ではありませんが、休暇制度を整える会社の参考になります。詳しくは両立支援等助成金(不妊治療・女性の健康課題)の記事をご覧ください。
卵子凍結の医療費控除・確定申告の扱い
医療費控除は、1年間に払った医療費が一定額を超えたときに所得税を減らせる仕組みです。国税庁は対象になる医療費を「医師または歯科医師による診療または治療の対価」としていて、健康診断の費用などは原則として含まれないとしています。
将来に備える卵子凍結は病気の治療に当たらず、医療費控除の対象になるかどうかについて国税庁の案内に直接の記載は見つかりませんでした。控除を受けたい人は、申告の前に住んでいる地域の税務署に領収書の内訳を見せて確かめるのが確実です。
助成金を受け取ったときの税金の扱いも、卵子凍結についての国税庁の案内は確認できませんでした。国税庁の質疑応答事例は自治体が出す不妊治療費の助成金を非課税とし、医療費控除を受けるときは医療費から助成金の額を差し引くとしています。東京都の卵子凍結の助成は「調査への協力」に対して出す形の助成で、不妊治療費の助成金と同じ扱いになるかは書かれていません。確定申告が要るかどうかも、税務署で確かめてください。
卵子凍結・不妊治療に関わる募集中の制度の一覧
制度データベースにある不妊治療・妊活に関わる募集中の制度を、都道府県ごとに並べています。並ぶのは区市町村の不妊検査・不妊治療の助成と会社向けの両立支援の制度が中心で、卵子凍結そのものの助成は入っていません。将来に備える卵子凍結の助成は、上の比較の表と各自治体の公式ページで確かめてください。
