海外の産油国・産ガス国で、水素やアンモニアの製造技術を根付かせたい。CCS(CO2の回収・貯留)の実証を現地と組んで進めたい。そういう事業を構想している企業にとって、この補助金は事業費の一部(経費区分によっては最大2/3)をカバーしてくれる数少ない選択肢です。
「資源国脱炭素化・エネルギー転換技術等支援事業費補助金」は、経済産業省・資源エネルギー庁が実施する国の補助金です。資源国(産油国・産ガス国)向けに、水素・アンモニア・バイオ燃料の製造や、CCS/CCUSといった先端技術の移転・調査研究を行う事業者を支援します。令和8年度は9月25日正午締切の三次公募が実施中で、これは令和7年度事業の五次公募と共通の公募として同時に行われています。
資源国脱炭素化・エネルギー転換技術等支援事業費補助金の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人・コンソーシアムも可) |
| 制度名 | 資源国脱炭素化・エネルギー転換技術等支援事業費補助金(令和8年度三次公募/令和7年度五次公募) |
| 対象業種 | 業種指定なし(資源国向けの脱炭素・エネルギー転換技術支援事業を実施する事業者) |
| 利用目的 | 研究開発・実証事業、海外展開、エコ・SDGs活動支援 |
| 対象地域 | 全国(事業実施地は産油国・産ガス国等の資源国) |
| 従業員数 | 規定なし(大企業・中堅企業・中小企業者・小規模企業者いずれも対象) |
| 補助上限額 | 予算の範囲内(令和8年度予算額は約12億円)。個別案件の上限は公募要領・審査による |
| 補助率 | 経費区分により定額、2/3、または1/2(交付要綱・別表) |
| 申請受付 | 令和8年9月1日(火)〜9月25日(金)正午必着 |
| 公式サイト | https://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0WJ200000CDeO1MAL |
自分が対象かどうかを確かめる
対象になるのは、資源国(産油国・産ガス国)に対して脱炭素化・エネルギー転換に資する技術の移転や調査研究を行う事業者です。日本国内の企業だけでなく、現地法人との共同申請も想定されています。
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対象外になりやすいケースは、事業の実施場所が資源国以外(純粋な国内向け設備投資など)にとどまるケースです。この補助金は「資源国との関係強化」という枠組みの事業なので、国内完結の脱炭素設備更新は別の補助金(省エネ補助金等)を探すことになります。
いくらもらえるか
公募要領には、個々の案件ごとの補助上限額は明記されておらず、予算の範囲内で採択という設計です。令和8年度の予算規模は約12億円です。
交付要綱(経済産業省)の別表によると、補助率は経費区分ごとに「定額」「2/3」「1/2」のいずれかと定められています。対象経費の区分は人件費・事業費・委託費/外注費の3つで、どの区分がどの補助率に該当するかは公募要領の様式・積算基礎資料に規定されています。
例えば、資源国での水素製造技術の実証調査(人件費・現地調査費・委託費で合計3,000万円の事業費)を計画する場合、経費区分ごとの補助率に応じた金額が交付されます。申請前に、自社の事業費の内訳(人件費/事業費/委託費・外注費)を公募要領の対象経費区分に当てはめて積算することが第一歩です。
対象になる経費・ならない経費
対象経費は次の3区分です。
- 人件費(事業に従事する人員の労務費)
- 事業費(現地調査・セミナー開催・共同研究にかかる直接経費)
- 委託費・外注費(外部への委託・調査発注費用)
対象外になりやすいのは、事業と直接関係のない一般管理費や、資源国以外での活動にかかる費用です。交付決定前に発生した費用は対象外になるため、見積・準備段階と、実際に契約・支出するタイミングを分けて管理する必要があります。
申請の流れと期限
- 公募要領・交付要綱・積算基礎資料を確認する(産油国事業・資源国脱炭素化事業で別ファイル)
- GビズIDプライムアカウントを取得する(未取得の場合は2〜3週間見ておく)
- Jグランツ上で電子申請(〜令和8年9月25日正午必着)
- 審査・採択(実施団体による審査を経て交付決定)
- 交付決定後に事業を開始し、完了後に実績報告
締切から逆算すると、GビズIDを持っていない事業者は、今すぐ取得手続きに動く必要があります。9月25日正午という締切時刻も見落としやすいポイントで、17時ではなく正午である点に注意してください。
落ちる・返還になる要因
- 交付決定前の契約・発注・事業着手:この補助金に限らず、国の補助金全般で共通のルールです。交付決定通知を受け取る前に契約してしまうと、その部分は補助対象から外れます
- 事業実施地が資源国以外に偏っている:制度趣旨が「資源国との関係強化」にあるため、実質的に国内活動が中心の計画は審査で不利になります
- 実績報告の未提出・遅延:事業完了後の実績報告を怠ると、交付決定が取り消され、既に受け取った補助金の返還を求められることがあります
- コンソーシアムの体制変更:申請時に想定していた現地パートナーとの体制が事業実施中に崩れると、計画の変更申請が必要になります
よくある質問
この補助金は令和7年度と令和8年度、どちらに申請すればよいですか?
同じ公募(応募期間は令和8年9月1日〜9月25日正午)の中で、令和7年度・令和8年度どちらの予算からも交付されうる仕組みです。事業者側が年度を選んで申請するものではなく、審査結果にもとづいて充当される予算年度が決まります。どちらの年度で採択されても、対象事業・対象経費の考え方は同じです。
産油国石油精製技術等対策事業費補助金とは何が違いますか?
同じ公募要領のもとで対象事業が異なる2つの補助金です。産油国石油精製技術等対策事業費補助金は産業人材育成や環境対応技術の導入・共同研究が中心、資源国脱炭素化・エネルギー転換技術等支援事業費補助金は水素・アンモニア・バイオ燃料の製造やCCS/CCUSといった脱炭素技術が中心です。事業内容によってどちらに応募するかが決まります。
個人事業主でも申請できますか?
公募要領では大企業・中堅企業・中小企業者・小規模企業者が対象とされています。個人事業主が対象に含まれるかどうかは、事業の実施体制(経営基盤・資金管理能力の有無)によって判断されるため、事前に事務局へ確認することをおすすめします。
コンソーシアムで申請する場合、代表者はどう決めますか?
日本法人と現地法人の共同申請が想定されていますが、代表となる申請者(補助金の交付を受ける主体)は日本国内に拠点を持つ事業者である必要があります。詳細な体制の組み方は公募要領を確認してください。
採択されなかった場合、再応募はできますか?
このシリーズの公募は年度内に複数回(一次・二次・三次…)実施されています。次回の公募が予定されていれば再応募は可能ですが、令和8年度の次回公募の有無・時期は本記事の情報取得時点では確認できていません。資源エネルギー庁またはNRI事務局の告知を確認してください。
