新しい機械を入れると、翌年度から固定資産税が増えます。東海市の企業立地交付金は、その増えた分の税額に相当する額を、市が交付金として返す仕組みです。初年度は全額、翌年度は75%、翌々年度は50%です。
この記事で扱うのは、すでに市内に工場等を持つ中小企業向けの「中小企業再投資交付金」です。対象になるのは、再投資した分の固定資産税評価額が2,000万円以上のときです。工場等を市内に持たない企業の新設は、別の交付金(工場等新設交付金)になります。
東海市企業立地交付金(中小企業再投資交付金)の要点まとめ
正式名:東海市企業立地交付金(中小企業再投資交付金)
だれが
- 申請者
- 市内に工場等を持つ中小企業(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 業種の指定なし(工場・研究所・物流施設が対象)
- 利用目的
- 工場等の増築・改築、機械装置の取得
- 対象地域
- 愛知県東海市
- 従業員数
- 業種別の基準あり(本文で説明)
いくら
- 補助上限額
- 1年度あたり1億円(実際の額は税額で決まる)
- 補助率
- 固定資産税等相当額の100%→75%→50%(3年)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 認定申請は課税が始まる年度の5月31日まで
- 事業の完了
- 認定申請の前に工事・取得を終える
- 公式サイト
- 東海市「東海市企業立地交付金」
うちの会社は対象になる?
次の6つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
工場等とは、工場、研究所、物流施設のことです。工場は物の製造・加工に使う施設で、日本標準産業分類の製造業が目安になります。物流施設は、商品の保管・仕分け・配送を一体で行う施設です。
再投資には、3つの形があります。既存工場の増築や改築、市内の別の場所への工場等の設置、そして機械・装置(償却資産)の取得です。償却資産とは、法人税法でいう機械及び装置のことです。
中小企業者は、中小企業基本法の定義で見ます。業種ごとに資本金と従業員数の上限が決まっていて、どちらか一方を満たせば該当します。
| 業種 | 資本金 | 従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業・運輸業・その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
評価額の2,000万円は、再投資をした部分の家屋と償却資産の固定資産税評価額の合計です。土地は、この合計に入りません。
工場等は、工業地域か工業専用地域にあるのが基本です。それ以外の地域は、土地利用計画と周辺の生活環境に支障がない場合に限ります。
工業地域などの外で、新たに土地を確保して工場等を建てるときは、条件が増えます。開発許可の基準に合い、市の将来の土地利用に支障がない地域であることが必要です。隣地の同意が必要で、同意書を出します。市街化調整区域なら農地法などの基準にも合わせます。緑地の整備や操業時間にも配慮が求められます。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 市内にまだ工場等がない
- ✕ 再投資分が2,000万円未満
- ✕ 再投資で規模が半分以上縮む
- ✕ 事務所・店舗が建物の半分以上
市内に工場等がない企業の新設は、工場等新設交付金です。こちらは敷地3,000平方メートル以上、評価額1億円以上が要件になります。
事務所が併設された工場は、工場の面積が延床面積の50%以上なら、建物全体が工場とみなされます。逆に事務所や店舗などが50%以上なら、交付の対象になりません。
いくら交付される?
交付額は、再投資した部分の固定資産税と都市計画税に相当する額に、年度ごとの割合を掛けた額です。1,000円未満は切り捨てます。機械だけを取得した場合は、初年度の1回だけで、割合も50%です。
| 区分 | 初年度 | 翌年度 | 翌々年度 |
|---|---|---|---|
| 増築・改築や土地・家屋を伴う再投資 | 100% | 75% | 50% |
| 機械・装置(償却資産)だけを取得 | 50% | なし | なし |
算定の税率は、固定資産税が1.4%、都市計画税が0.3%です。都市計画税がかかるのは、土地と家屋だけです。
- 課税標準額3,000万円の機械を取得する:3,000万円 × 1.4% = 42万円 × 50% = 21万円(初年度のみ)
- 手引きの算定例(土地・家屋・償却資産の税額相当額の合計6,449,500円):初年度は644万9,000円、翌年度は75%で483万7,000円、翌々年度は50%で322万4,000円
交付額が1年度で1億円を超えるときは、その年度は1億円になります。
土地は、新たに取得したか借り受けた場合に限り、算定に入ります。すでに持っている土地は対象外です。家屋と償却資産は、再投資をした部分だけです。借りている土地や家屋でも対象になり、算定には借りている分の固定資産税等を使います。
増築・改築部分の課税額が明細書に単独で載っていないときは、家屋全体の課税標準額を床面積で按分します。
何に使える?
交付金は、使い道を決めて渡すお金ではありません。再投資に伴って課税される税額が基準です。何が算定に入るかを整理します。
入らないもの
- 工場とは別の敷地に単独で建てた事務所
- 事務所・店舗・福利厚生施設が建物の50%以上を占める建物
- 償却資産のリースや賃貸(申告と納税をしている場合は対象)
- 評価額が2,000万円に届かない部分の再投資
入るもの
- 工場等の増築・改築部分の家屋
- 新たに取得・賃借した土地
- 機械・装置(償却資産)
- 市内の別の場所に新たに設置した工場等
隣り合っていない複数の工場で同じ時期に再投資した場合は、1つの工場だけで要件を満たせば、ほかの工場の分も対象です。たとえばA工場の再投資が5,000万円、B工場が1,000万円なら、B工場の分も入ります。どちらも1,000万円ずつなら、どちらも対象外です。
申請の流れ
着工する前、または機械を取得する前に、商工労政課へ事前協議を申し込みます。事前協議では、場所と施設配置、投資の規模とスケジュール、償却資産の種類を話します。
- 事前協議をする(事業者→市の商工労政課。着工・取得の前)
- 公害防止協定を結ぶ(事業者→市。認定申請の前まで)
- 工事・取得を終えて操業する(事業者。固定資産税が初めて課される)
- 認定を申請する(事業者→市。最初に課税される年度の5月31日まで)
- 審査と現地調査を受け、認定される(市→事業者。7月中が目安)
- 交付を申請する(事業者→市。各交付年度の2月末日まで)
- 交付決定を受けて入金される(市→事業者。決定は3月中、交付は3月末日)
交付を申請するのは、初年度だけではありません。翌年度、翌々年度も、毎年2月末日までに出します。
公害防止協定は、市と事業所が結ぶ約束です。公害防止計画書に沿って、大気・水質、騒音・振動、悪臭、緑地整備などの対策を進めます。敷地面積の10%以上の緑地整備や、年2回の測定と報告が盛り込まれることがあります。過去に結んだ協定があれば、その写しを使います。
必要な書類
認定申請のときに出す書類です。
準備できた 0 / 8
個人事業主は、法人登記事項証明書ではなく住民票抄本を出します。土地を新たに取得・賃借したなら、土地の登記事項証明書か借用契約書の写しも要ります。土地や家屋を借りている場合は、固定資産公課証明書の写しも出します。
交付申請のときは、交付申請書と、課税明細書・償却資産申告書の写し(翌年度以降)、市税の完納証明書です。認定申請のときに「申請に関する同意書」を出しておくと、償却資産の名寄帳と完納証明書を省けます。同意書は任意です。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 認定を取り消された:公害防止対策をしない、偽りで認定を受けた、暴力団員等だと分かった場合です。
- 要件を欠いた:交付期間中に認定の要件を満たさなくなると、交付されないか、返還を求められることがあります。
- 操業をやめた:工場等の操業を廃止・休止した、またはその状況にあると認められた場合です。
- 市税を滞納した:交付期間中の滞納は、不交付の理由になります。
- 税額が変わった:固定資産税等の額が下がると、下がった額で算定し直します。受け取りすぎた分は返します。
- 不正があった:偽りその他の不正な手段で交付を受けた、または受けようとした場合です。不正による返還には、年2.7%の加算金が付きます。
廃止・休止や、合併・相続・譲渡による承継があったときは、速やかに届出書を出します。
次世代産業分野なら何が変わる?
市は、次世代自動車、航空宇宙、環境・新エネルギー、ロボット、健康長寿、情報通信の6分野を「次世代産業分野」にしています。この分野の再投資は、別の交付金(次世代産業分野中小企業再投資交付金)になります。
違いは2点です。割合は、3年間とも100%です。機械だけを取得した場合も、初年度は100%です。
認定には、次世代産業審査会の審査が加わります。新設・再投資した工場や設備の延床面積、売上、従業員数のどれかで、次世代産業分野の占める割合が50%以上(見込みを含む)であることが基準です。
愛知県と連携した市の補助制度(次世代産業立地補助金、中小企業高度先端産業立地補助金)が、別のページで案内されています。この交付金との併用の可否は、市のページに記載がありませんでした。商工労政課に確かめてください。
この交付金が税金の計算でどう扱われるかも、市の資料に記載がありません。受け取る前に、税理士へ確かめておくことを勧めます。
よくある質問
新設の交付金と再投資の交付金は、どう分かれますか?
市内に工場等を持っていない企業が新たに設置するのが新設で、すでに持っている企業が増築・改築や機械の取得をするのが再投資です。新設は、工業地域等の敷地3,000平方メートル以上と評価額1億円以上が要件で、中小企業かどうかは問いません。再投資は、中小企業が対象で、評価額2,000万円以上が要件です。
機械だけを入れ替える場合も対象ですか?
対象になります。既存の工場内に機械・装置だけを取得する場合も、再投資に含まれます。ただし再投資した分の評価額が2,000万円以上であることが要件です。交付は初年度の1回だけで、割合は税額相当額の50%になります。土地や家屋と同時に申請した場合は、すべて3年間が対象になります。規模が半分以上縮む入れ替えは対象外です。
すでに持っている土地の税金も算定に入りますか?
入りません。土地が算定に入るのは、新たに土地を取得したか借り受けた場合に限られます。家屋と償却資産も、再投資をした部分だけです。増築した工場なら、増築部分の家屋に係る固定資産税と都市計画税が基準になります。増築部分の課税額が明細書にないときは、床面積で按分して出します。
借りている工場や土地でも使えますか?
使えます。土地や家屋を賃借している場合も対象で、借りている分に係る固定資産税等で交付額を算定します。その場合は、固定資産公課証明書の写しを認定申請と交付申請で出します。機械・装置のリースや賃貸は原則として対象外です。ただし、利用者が申告と納税を行っているときは、対象になります。
認定申請の期限を過ぎてしまったら、どうなりますか?
期限は、土地・家屋・償却資産に最初に固定資産税等がかかった年度の5月31日です。期限を過ぎた場合の扱いは、市の資料に書かれていませんでした。救済があるかどうかは、商工労政課に聞くしかありません。そもそも着工や取得の前に事前協議を済ませておけば、課税時期と期限を逆算できるので、この事態を避けられます。
着工してしまった後でも、事前協議はできますか?
市の資料は、事前協議を「着工前」または償却資産を「取得する前」と位置づけています。着工後の扱いは書かれていません。すでに工事が始まっている場合は、できるだけ早く商工労政課に連絡してください。電話は052-613-7689か0562-38-6304です。工事や取得の時期は、認定申請の期限にも影響します。
複数の工場で同時に再投資する場合は、どうなりますか?
隣り合っていない別々の工場で同じ時期に再投資した場合、1つの工場で認定要件を満たせば、ほかの工場の再投資分も対象になります。たとえばA工場が評価額5,000万円、B工場が1,000万円なら、B工場の分も入ります。どちらの工場も2,000万円に届かない場合は、どちらも対象外です。
何回でも申請できますか?
再投資の交付金は、申請の回数に上限がありません。要件を満たす再投資のたびに、認定を受けられます。新設の交付金は、1企業につき1回が上限です。新設の交付金を受けた翌年度に再投資をしても、新設と再投資は別の事業なので、要件を満たしていれば再投資の交付金も受けられます。
工場に事務所が併設されている場合は?
工場の面積が建物全体の延床面積の50%以上なら、建物全体が工場とみなされ、事務所の部分も対象です。事務所、店舗、福利厚生施設などの面積が50%以上を占める建物は、工場とみなされず、対象外になります。工場とは別の敷地に事務所だけを建てた場合も、対象になりません。計画段階で、延床面積の内訳を整理しておくと確実です。
交付金はいつ入金されますか?
交付の時期は、毎年3月末日です。市のページでは、交付申請が2月中、交付決定が3月中とされています。初年度分は、固定資産税が初めて課された年度の3月末に交付されます。交付年度ごとに、市税の完納も確認されます。投資した時点で資金が戻るわけではないので、設備投資の資金計画には、この時間差を織り込んでください。
交付後に返還を求められることはありますか?
あります。認定を取り消された場合や、交付期間中に要件を欠いた場合、操業をやめた場合、市税を滞納した場合などは、交付されないか、すでに交付した分の返還を求められることがあります。税額が下がり、受け取りすぎになった場合も同様です。操業の廃止・休止や承継があったときは、速やかに届出書を出してください。
問い合わせ先はどこですか?
東海市の環境経済部 商工労政課です。電話は052-613-7689か0562-38-6304で、ファクスは052-603-6910です。市のページには、専用の問い合わせフォームもあります。開庁は平日の午前9時から午後4時までです。事前協議の申し込みも、同じ課になります。計画の段階で一度相談しておくと、認定申請の準備が進めやすくなります。
