避難所になる病院や公民館で、停電しても空調と照明を止めない。そのための設備を入れる費用の1/3を、国の補助金が持ちます。上限はコージェネレーションで最大2億4,000万円です。交付決定の前に契約や発注を済ませた事業は、補助の対象外になります。
天然ガス利用設備による強靱性向上対策事業費補助金の要点まとめ
正式名:天然ガス利用設備による強靱性向上対策事業費補助金(令和8年度)
だれが
- 申請者
- 法人(設備の所有者・使用者)
- 対象業種
- 業種の指定なし(避難所等になる建物の法人)
- 利用目的
- 停電対応CGS・GHPの導入と更新
- 対象地域
- 全国
- 従業員数
- 公式ページに記載なし(事業部へお問い合わせください)
いくら
- 補助上限額
- CGS最大2億4,000万円(中圧)。GHPは6,600万円
- 補助率
- 補助対象経費の1/3以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年9月25日〜2026年11月20日
- 事業の完了
- 2027年2月26日まで
CGSは、発電と同時に出る排熱を冷暖房や給湯に使うコージェネレーションシステムです。GHPは、ガスで動くガスヒートポンプエアコンです。どちらも「停電対応型」に限ります。令和8年度の三次公募は、2026年9月25日に始まりました。公式ページは三次公募の終わりを「予算終了まで」としているため、11月20日より前に締め切られる場合があります。
うちの法人は対象になる?
次のすべてに当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
建物は、次のどれかです。設備は建物と同じ敷地に置き、停電時に役立つ屋内空間の床面積を図面で示します。
- 公共性の高い建物:防災計画で指定された避難所や福祉避難所、国・自治体・社会福祉法人・医療法人・学校法人が所有し運営する庁舎、病院、学校など
- 避難所の機能が高い建物:避難所、帰宅困難者の受け入れ先、協定で物資を出す建物など
- 審査委員会が認めた、その他の建物
病院・学校・児童福祉施設は、地域に開かれた経営だと確認できれば、法人格の種類を問いません。
避難所の機能が高い建物には、さらに3つの条件があります。自治体との協定(見込みでも可)か、それに準じる取組があること。CGSなら単機の発電能力が25kW以上、GHPだけなら室外機2台以上で冷房能力の合計が112kW以上であること。停電時に空調・照明・コンセントのうち2つ以上を避難スペースへ送れることです。公共性の高い建物には、この3つの条件は書かれていません。
ガスは、中圧ガス導管か、耐震性を向上させた低圧ガス導管で届いている必要があります(供給の見込みでも可)。後者は、日本ガス協会の指針で「耐震性あり」とされた導管か、鋼管やポリエチレン管などを使った導管です。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 住宅や集合住宅の専有部に入れる
- ✕ 排熱を使わないモノジェネ設備
- ✕ 交付決定前に契約や発注をした
- ✕ 中古品や使用済みの設備を入れる
いくら補助される?
補助対象経費の1/3以内です。上限は、設備とガスの供給方式で決まります。1事業あたりの額で、複数年の計画では合計額です。
| 設備 | 供給方式 | 上限 |
|---|---|---|
| 停電対応CGS | 中圧ガス導管 | 2億4,000万円 |
| 停電対応CGS | 耐震性を向上させた低圧ガス導管 | 6,000万円 |
| 停電対応GHP | 区分なし | 6,600万円 |
補助額は、経費の区分ごとに1/3を掛けた額の合計で出します。入金は、支払いを終えて確定検査に合格したあとです。次は、費用を仮に置いた計算例です。
- 社会福祉法人の老人福祉施設がGHPを入れる:9,000万円 × 1/3 = 3,000万円
- 中圧ガスの病院がCGSを入れる:6億円 × 1/3 = 2億円
- 低圧ガスの学校がCGSを入れる:2億円 × 1/3 ≒ 6,667万円 → 上限の6,000万円
上限に届くのは、低圧のCGSで補助対象経費が1億8,000万円のときです。中圧のCGSは7億2,000万円、GHPは1億9,800万円で届きます。補助額が上限を超えた分は、自己負担になります。
何に使える?
対象にならないもの
- 廃棄物の処理にかかる費用
- 見積書の作成費用と振込手数料
- 消費税と地方消費税
- ガス導管の本支管工事費と工事負担金
- 設備建屋と、建屋に付随する設備
- 対象設備と対象外の設備をつなぐ配管や配線
- リース会社など、間に入る会社の経費
対象になるもの
- 設計費
- 既存設備の撤去費(解体・運搬)
- 新規設備機器費(CGS・GHP本体、熱交換器、計測装置など)
- 新規設備設置工事費
- 敷地内ガス管の敷設費
GHPは、建物が避難所の機能が高い区分の場合、避難スペースの室内機だけが対象です。蒸気・温水の配管や電気配線は、対象設備どうしをつなぐ分だけ対象です。ガス配管を補助事業の外の設備と共用するときは、断面積の比で按分した額が対象になります。
申請の流れ
- センターに事前相談する(事業者→都市ガス振興センター。複数年の計画や関係者が多い共同申請は、申請の前に)
- 避難所の協定を自治体と詰める(避難所の機能が高い建物だけ。事業者→自治体。見込みでも出せる。申請の前に)
- 概算見積と図面をそろえる(事業者→工事業者。見積は概算でよい)
- jGrantsで交付申請する(事業者→センター。11月20日23時59分までの入力分)
- 審査を受け、交付決定を待つ(センター→事業者。決定の前に契約しない)
- 3社以上の相見積で発注し、工事する(事業者→工事業者。2027年2月26日までに完了)
- 検収と振込を終え、30日以内に実績報告を出す(事業者→センター。確定検査のあとに請求)
jGrantsの利用には、GビズIDのプライムかメンバーのアカウントが要ります。GビズIDは、国の電子申請に共通で使うIDです。
審査は先着順ではなく、建物の区分と費用対効果の順に採択されます。公共性の高い建物が先で、避難スペースの床面積を補助対象経費で割った値が大きい順に採択されます。中小企業が賃金引上げの表明書を出す場合と、くるみん認定や健康経営優良法人などのワーク・ライフ・バランス等推進企業の認定がある場合は、この値に加点されます。
必要な書類
準備できた 0 / 19
履歴事項全部証明書は、申請日より3か月以内のものです。決算が赤字なら、財務諸表は前2年分もつけます。避難所の機能が高い建物で協定が見込みの場合は、先方の担当者名と、事業完了までに協定が発効すると読める議事録を出します。公共性の高い建物は、防災計画での指定や、所有・運営がわかる証明書類か契約書の写しをつけます。CGSなら別紙5のCGS計算シート、GHPなら別紙6の室内機接続判定シートも要ります。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に契約や発注をした:リース、機器購入、工事請負のどれでも、決定前の契約は対象外です。
- 期限までに工事が終わらなかった:補助対象外の工事だけが遅れても、全体が2027年2月26日までに終わらなければ交付されません。
- 支払いが振込ではなかった:手形、割賦、相殺は認められません。振込証明書などの証憑を残します。
- 虚偽の記載や改ざんがあった:交付決定が取り消され、交付済みの額に年利10.95%の加算金がつきます。
- 耐用年数の内に設備を処分した:センターの事前承認が要り、原則として残存簿価に相当する補助金を返すことになります。
併用・税金・複数年の計画
国の他の補助金との重複受給はできません。併願する場合は、センターに相談します。
補助金のうち固定資産の取得に充てた部分には、法人税法第42条の圧縮記帳が使えます。圧縮記帳は、補助金を受けた年に税負担が重くならないよう、資産の帳簿上の価額を補助金の分だけ減らして計上する方法です。既存設備の撤去費には使えません。
新築の建物に入れる場合や、経費が1.5億円以上で単年度では難しい場合は、2年を上限とする計画で申請できます。2年目の交付は保証されません。
よくある質問
個人の住宅や家庭用の設備は対象になりますか?
対象になりません。この補助金が対象にするのは、避難所などになる建物に入れる停電対応型の設備です。住戸や集合住宅の専有部、店舗兼住宅の住居部分に入れる家庭用の設備は、公募説明資料で対象外とされています。申請できるのは法人で、設備の所有者と使用者が申請者になります。住宅向けの設備を考えている場合は、別の制度を探すことになります。
どんな建物が対象になりますか?
建物は3つの区分に分かれます。ひとつは、防災計画で指定された避難所や福祉避難所と、自治体や社会福祉法人、医療法人、学校法人が所有し運営する庁舎、病院、学校などの、公共性の高い建物です。もうひとつは、避難所や帰宅困難者の受け入れ先、協定で物資を出す建物など、避難所の機能が高い建物です。残るひとつは、審査委員会が認めたその他の建物です。避難所の機能が高い建物は、自治体との協定か、それに準じる取組も要ります。
CGSとGHPの設置条件を教えてください。
どちらも、停電時に再稼働か稼働継続できる停電対応型です。CGSは、平時に排熱を使う設備に限ります。ここから先の規模の条件は、避難所の機能が高い建物の場合です。CGSは単機の発電能力が25kW以上、GHPだけなら室外機が2台以上で冷房能力の合計が112kW以上です。停電したときに空調、照明、コンセントのうち2つ以上を避難スペースへ届けられることも条件です。避難スペースは避難者を迎え入れる部屋で、機械室やバックヤードは含まれません。
補助の上限額はいくらですか?
上限は、設備とガスの供給方式で決まります。停電対応CGSは、中圧ガス導管なら2億4,000万円、耐震性を向上させた低圧ガス導管なら6,000万円です。停電対応GHPは6,600万円です。補助額は、経費の区分ごとに補助率の1/3を掛けた額を合計して出します。上限を超える分は補助されず、自己負担になります。
契約や発注はいつからできますか?
交付決定の通知を受けたあとです。決定の前にリース契約、エネルギーサービス契約、機器の購入契約、工事の請負契約を結んだ事業は、補助の対象になりません。申請のときの見積書は、概算でも構いません。3社以上の相見積は、交付決定のあとに取ることを公募説明資料が勧めています。見積の依頼には、所定の書式(別紙7)を使います。
工事はいつまでに終えればよいですか?
2027年2月26日までに、補助事業を完了させます。完了とは、すべての工事を検収し、支払いを終え、30日以内に実績報告書を出し、センターの確定検査に合格した日です。補助対象でない工事だけが遅れても、全体が期限内に終わらなければ補助金は出ません。11月末までに完了しない見込みなら、12月10日までに中間報告を出します。
業者の選び方に決まりはありますか?
競争入札か、3社以上の相見積で発注先を選びます。相見積の3社が元請と下請の関係になることは認められません。契約は、補助対象外の工事も含めて合計が最も安い事業者と結びます。ただし補助対象経費は、3社のうち補助対象部分が最も安い額で決まります。「代理店だから」「対応が早いから」という理由では、1社に絞れません。
リースやエネルギーサービスでも申請できますか?
できます。ただし、設備の所有者と使用者の共同申請になります。リースなら、リース会社が筆頭申請者で、設備を使う事業者が共同申請者です。補助金相当額の全額を総支払料金に反映する計算書を、誓約します。リース会社など間に入る会社の経費は、補助の対象になりません。契約期間は、設備の耐用年数に合わせます。
補助金はいつ振り込まれますか?
工事が終わって支払いも済み、センターの確定検査に合格したあとです。検査後に補助金の額を確定する通知が届き、精算払請求書(様式第13)を出すと、センターが支払います。工事の途中で入金されることはないため、資金計画に注意が要ります。工事代金の支払いは金融機関の振込に限り、手形や割賦は認められません。
申請はどうやりますか?
国の補助金申請システム「jGrants」から電子申請します。事前にGビズIDのプライムかメンバーのアカウントが要ります。jGrantsの募集ページは、「強靱性」や「都市ガス振興センター」で検索すると出ます。受付は、2026年11月20日23時59分までの入力分です。やむを得ない場合は、事前に連絡すれば電子メールでの申請も認められます。
他の補助金と併用できますか?
国の他の補助金との重複受給はできません。併願を考えているときは、必ず事前にセンターへ相談してください。補助金は目的外に使えず、導入する設備は、国内の法令や技術基準を満たした新品で未使用のものに限ります。圧縮記帳は、固定資産の取得に充てた部分には使えますが、既存設備の撤去費には使えません。
複数年かけて工事する計画でも申請できますか?
2年を上限とする計画で申請できます。対象は、新築の建物に入れる場合と、経費が1.5億円以上で単年度では難しい場合です。初年度は原則として全体の補助対象経費の10%以上を申請し、設計費だけの申請は認められません。初年度に50%以上を申請すると、単年度の案件と同じ順位で審査されます。2年目の交付は保証されません。
補助金を受けたあとにやることはありますか?
設備は、法定耐用年数以上使う前提です。耐用年数の内に廃棄や譲渡をする場合は、センターの事前承認が要ります。原則として、残存簿価に相当する補助金を返すことになります。事業完了の翌年度の4月から翌年3月までの燃料使用量などの実測データも、報告します。CGSでは、CO2排出削減量も確認されます。
問い合わせ先はどこですか?
都市ガス振興センター 事業部 事業グループ(電話 03-6435-7692)です。受付時間は、9時から12時と13時から17時20分で、土日祝日、5月1日、12月29日から1月4日は休みです。取得した財産の処分については、事業管理グループ(電話 03-6435-7695)が窓口です。連絡するときは、補助金の年度、名称、交付番号、事業者名を伝えます。
