新卒を採用しただけでは、この助成金は出ません。山口市の「新卒・第二新卒者雇用促進助成金」は、正規雇用に加えて初任給等を3%以上引き上げた企業に、1人あたり20万円を助成する制度です。1事業者につき3人が上限で、最大60万円になります。
なぜ「雇用」だけでなく「引き上げ」まで求めるのか。制度の目的に立ち返ると理由が見えてきます。採用しただけでは、若手はすぐ辞めてしまうからです。処遇を上げてでも定着させる企業を後押しする、という設計です。
対象になる「新卒者等」の定義
対象は、次の条件を満たす人材です。
- 大学(短期大学を除く)またはこれに準ずる学校を卒業後3年以内
- 正規雇用(直接雇用・無期雇用)で、週の所定労働時間が30時間以上
- 雇用保険の一般被保険者として雇用されている
「新卒」だけでなく「卒業後3年以内」の第二新卒も含むのがこの制度の特徴です。新卒一括採用のタイミングを逃した人材を採用した場合でも対象になります。
対象になる企業/対象にならない企業
事業者側の要件は、次のとおりです。
- 対象になる:山口市内に主たる事業所を有する中小企業
- 対象になる:雇用保険の適用事業主で、市税を滞納していない
- 対象になる:「やまぐちしごと応援サイト」に登録済み、または登録予定
- 対象にならない:過去6か月間に解雇の実績がある事業者
過去6か月の解雇実績という条件は見落とされがちです。直近で人員整理をした企業は、対象から外れる可能性があります。
助成額のシミュレーション:採用人数別に見る
助成額は1人20万円、事業者あたり最大3人・60万円が上限です。
| 採用人数 | 助成額の計算 | 助成額 |
|---|---|---|
| 1人 | 20万円×1人 | 20万円 |
| 3人 | 20万円×3人 | 60万円(上限到達) |
| 5人 | 上限3人を超過 | 60万円(上限のまま) |
5人採用しても、助成対象になるのは3人分までです。採用人数が多い企業ほど、上限の存在を早めに意識しておく必要があります。
この補助金の概要(早見表)
| 検索項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人・個人事業主) |
| 制度名 | 山口市新卒・第二新卒者雇用促進助成金 |
| 対象業種 | 業種指定なし(山口市内の中小企業) |
| 利用目的 | 新卒・第二新卒者の正規雇用促進、初任給引き上げによる定着支援 |
| 対象地域 | 山口県山口市 |
| 従業員数 | 中小企業基本法に定める中小企業者の範囲内 |
| 補助上限額 | 1人あたり20万円、事業者上限60万円(3人分) |
| 補助率 | 定額(初任給等3%以上引き上げが条件) |
| 申請受付 | 令和8年4月1日〜令和9年2月28日(予算額に達し次第終了) |
| 公式サイト | https://www.city.yamaguchi.lg.jp/soshiki/63/139830.html |
※この表の項目(対象業種・利用目的・対象地域・従業員数)は、GRANTOSの補助金診断の検索軸に対応しています。
申請できるのは「初任給引き上げ」だけではない
助成の条件は、初任給・賃金の3%以上引き上げだけではありません。次のような処遇改善・採用力強化の取り組みも、要件として認められています。
- 奨学金返還支援制度の導入
- 入社支度金等の新設
- 単身赴任手当等、各種手当の新設
- テレワーク・フレックスタイム制度の導入
- ボランティア休暇等、新たな休暇制度の導入
初任給を3%上げなくても、これらの取り組みのいずれかを行っていれば対象になり得ます。ただし、賃金以外の取り組みごとの個別の助成額は公式ページに明記されていません。
申請は雇用開始から6か月経過後、90日以内
申請のタイミングは、次のとおりです。
- 新卒者等を正規雇用として採用
- 6か月以上継続して雇用
- 雇用開始日から6か月経過後90日以内に交付申請
- 交付決定後、請求手続きへ
採用してすぐには申請できません。半年間の雇用継続という実績を積んでから、はじめて申請の資格が生まれます。この間に離職してしまうと、対象にならない可能性があります。
似ている別の制度、採用活動そのものを支援するものもある
山口市には、名前が紛らわしいもう一つの補助金があります。「中小企業等採用活動支援補助金」です。支援する対象がまったく違います。
| 新卒・第二新卒者雇用促進助成金 | 中小企業等採用活動支援補助金 | |
|---|---|---|
| 支援する対象 | 採用後の処遇改善(初任給引き上げ等) | 採用活動そのもの(求人掲載・人材紹介等) |
| 対象経費 | ー(定額助成) | 求人情報掲載、人材紹介サービス、企業説明会等 |
| 補助率・上限 | 1人20万円・上限60万円 | 経費の1/2、内容ごとに5万〜20万円 |
| 申請タイミング | 採用後6か月経過後 | 採用活動の実施後 |
「採用にかかった費用」を助成してほしいなら採用活動支援補助金、「採用したあとの処遇改善」を助成してほしいなら新卒・第二新卒者雇用促進助成金。両方使える場合は、対象経費が重複しないかを確認したうえで、それぞれ申請することになります。
よくある質問
パート・アルバイトで採用した場合も対象になりますか?
対象外です。週所定労働時間30時間以上の正規雇用(無期雇用)が条件のため、短時間勤務や有期雇用は対象になりません。
6か月以内に退職してしまった場合はどうなりますか?
対象外になります。6か月以上の継続雇用が申請の前提条件のため、その前に退職すると助成金を受け取れません。
初任給を3%引き上げず、休暇制度の新設だけで申請できますか?
制度上は可能と読み取れますが、その場合の助成額の扱いが公式ページに明記されていません。申請前に山口市ふるさと産業振興課へ確認することをおすすめします。
自治体の新卒・若手採用系の助成金は、採用時点ではなく「一定期間の継続雇用」を条件にする制度が多くあります。この時間差でつまずきやすいポイントは、GRANTOS公式LINEの登録者限定ページで紹介しています。
山口市の制度以外にも、自分の事業が対象になる補助金・助成金が他にないか気になる方は、3分でできる補助金診断も活用してみてください。
処遇改善の選び方や、採用活動支援補助金との組み合わせなど、実務に迷う場合は専門家に相談するのも一つの手です。
免責事項: 本記事の内容は2026年7月時点で確認できた情報にもとづきます。助成額・対象要件・受付状況は変更される場合があるため、申請前に必ず山口市の公式ページで最新情報をご確認ください。
出典:
