自社だけで、この補助金は使えますか。使えません。申請できるのは、同じ補助事業を行う10者以上のグループで、取りまとめ役の代表事業者が1本の申請を出します。
この記事は3次締切(2026年10月30日17時)の話です。2次締切(8月25日)はすでに終わっています。上限は基盤導入経費と消費動向等分析経費の合計で3,000万円です。
デジタル化・AI導入補助金複数者連携枠の要点まとめ
正式名:デジタル化・AI導入補助金2026「複数者連携デジタル化・AI導入枠」
だれが
- 申請者
- 事業者・団体(10者以上のグループ。代表事業者が申請)
- 対象業種
- 業種の指定なし(商業集積地・サプライチェーンの事業者)
- 利用目的
- 複数者でのITツール導入(会計・受発注・決済、分析ツールなど)
- 対象地域
- 全国
- 従業員数
- 構成員は中小企業・小規模事業者等
いくら
- 補助上限額
- 3,000万円(基盤導入経費と消費動向等分析経費の合計)
- 補助率
- 3/4(ソフト50万円以下の部分)・2/3・1/2(ハード)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年3月30日〜2026年10月30日17時(3次締切)
- 事業の完了
- 2027年5月31日17時まで(予定)
グループは申請できるか
次の7つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 7
構成員は同じ補助事業を行う事業者で、同じ会社の複数の支店は1者と数えます。代表事業者になれるのは、取りまとめができる中小企業、商店街振興組合や事業協同組合などの商店街の団体、商工会、商工会議所です。グループの発足の経緯と事業内容は、合理的に説明できる必要があります。
GビズIDプライムは国の電子申請に共通で使うIDです。自己宣言はIPAの「SECURITY ACTION」の一つ星か二つ星で、代表事業者にも参画事業者にも必要です。労働生産性は営業利益・人件費・減価償却費の合計を年間の総労働時間で割った値で、グループで2年間に年平均5%以上伸ばす計画を立てます。
次のどれかに当たると申請できません。
- ✕ 他のグループの構成員を兼ねている
- ✕ IT提供事業者か外部専門家である
- ✕ 大企業が株式の2分の1以上を持つ
- ✕ 親会社と50%超の子会社を別に数える
- ✕ 2025年の交付決定から12か月以内
- ✕ 同じ期間に通常枠かインボイス枠にも申請
- ✕ 直近3年の課税所得が年平均15億円超
- ✕ 法人格のない任意団体
他のグループのIT提供事業者・外部専門家も対象外です。課税所得の15億円は、申告済みの直近3年分の平均で見ます。同窓会やPTAのような法人格のない任意団体も申請できません。大企業の子会社などは、複数の大企業の合計なら3分の2以上の保有で対象外になり、規模が中小企業の範囲でも変わりません。親会社が議決権の50%超を持つ子会社は同一法人とみなされ、2社で1者分です。
12か月の制限は、IT導入補助金2025の通常枠・インボイス枠・複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた事業者にかかります。重複申請の制限は2026年の通常枠とインボイス枠が相手で、セキュリティ対策推進枠との重複は可能です。
参画事業者は、中小企業・小規模事業者等であることが条件です。業種ごとに資本金か従業員数の上限があり、どちらか一方を満たせば該当します。製造業・建設業・運輸業は資本金3億円以下または従業員300人以下、卸売業は1億円以下または100人以下です。サービス業は5,000万円以下または100人以下、小売業は5,000万円以下または50人以下です。
小規模事業者は商業・サービス業で従業員5人以下、製造業その他で20人以下です。ソフトの補助率が4/5になるのは、この区分です。
いくら戻ってくるか
経費は3つに分かれ、補助率も上限も別々です。
| 経費の区分 | 補助率 | 補助の上限 |
|---|---|---|
| 基盤導入経費:会計・受発注・決済のソフトとオプション・役務 | 50万円以下の部分3/4(小規模事業者は4/5)、超える部分2/3 | 1機能だけなら構成員1者あたり50万円、2機能以上なら350万円 |
| 基盤導入経費:ハードウェア | 1/2 | PC・タブレット・プリンターなど10万円、POSレジ・券売機20万円 |
| 消費動向等分析経費:需要予測、電子地域通貨、人流分析のAIカメラなど | 2/3 | 50万円 × 構成員数 |
| その他経費:代表事業者の取りまとめ費、外部専門家の謝金・旅費 | 2/3 | 基盤導入と分析の合計の10%に2/3を掛けた額か200万円の低い方 |
基盤導入経費と消費動向等分析経費をあわせた上限は3,000万円です。役務の費用は、構成員1者あたり200万円までです。
- 会計ソフト(1機能)の経費が40万円の中小企業:40万円 × 3/4 = 30万円
- 同じ経費で小規模事業者:40万円 × 4/5 = 32万円
- 18万円のノートPCを入れる構成員:18万円 × 1/2 = 9万円
- 50万円のPOSレジを入れる構成員:50万円 × 1/2 = 25万円。上限の20万円で止まる
- 構成員10者のすべてが、合計900万円の人流分析システムを入れる場合:900万円 × 2/3 = 600万円。50万円 × 10者の500万円が上限なので、500万円で止まる
- 基盤導入と分析の合計が2,000万円の場合のその他経費:2,000万円 × 10% × 2/3 = 約133万円(200万円の上限には届かない)
構成員10者が上限いっぱいまで使うと、3,000万円で止まります。2機能以上を入れた10者がそれぞれ350万円の上限まで使えば3,500万円になり、全体の上限で絞られます。
何に使えるか
認められる取組みは、インボイス対応のデータ連携や異業種間のデータ連携、電子地域通貨によるキャッシュレス化、人流・消費者の分析など、複数者がつながって生産性を上げるものです。対象経費の線は新しく入れるソフトか、すでに持っているものかで引かれます。
対象にならないもの
- すでに購入したソフトの増台、追加ライセンス、バージョンアップの費用
- 製品が完成しておらず、スクラッチ開発(ゼロから作る開発)が伴うソフト
- 大幅なカスタマイズが必要なもの
- 従量課金のもの、恒常的に使われないもの
- 対外的に無償で提供されているもの(スマートレジ関連を除く)、中古品、リース・レンタル契約のもの
- 補助金の申請・報告の代行費、消費税
- 交付決定(申請が認められたという事務局からの通知)より前に実施した取組み
対象になるもの
- 基盤導入経費:会計・受発注・決済のソフトとオプション・役務(クラウド利用費は最大2年分)、PC・プリンター・スキャナー・複合機、POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機
- 消費動向等分析経費:消費動向分析・需要予測・電子地域通貨・キャッシュレス・生体認証決済のシステム、AIカメラ・ビーコン・デジタルサイネージ(クラウド利用費は1年分)
- その他経費:代表事業者が取りまとめるための人件費・消耗品費・印刷費・広報費・会議費など、外部専門家の謝金・旅費
その他経費は、経済産業省の「補助事業事務処理マニュアル」に沿って計上します。経理の処理がマニュアルに沿っていないと、補助対象外になることがあります。
申請の流れ
- グループを作り、代表事業者を決める。IT提供事業者と外部専門家を選ぶ(代表事業者・参画事業者。外部専門家の助言は必須ではない)
- 事業計画を立て、ITツールを選んで見積もりを取る(グループ→IT提供事業者)
- 代表事業者がGビズIDプライムを取り、SECURITY ACTIONを宣言する(代表事業者。IDは発行に約2週間。参画事業者も宣言する)
- 参画事業者の情報と書類を取りまとめ、申請マイページから出す(代表事業者→事務局。2026年10月30日17時まで。参画事業者のGビズIDでは申請できません)
- 交付決定を待つ(事務局→代表事業者。3次締切分は2026年12月10日の予定。契約はこのあと)
- 各構成員がIT提供事業者と契約・導入・支払いをして、実績報告を出す(構成員→事務局。2027年5月31日17時の予定)
締切の2週間前にあたる10月16日ごろには、代表事業者のGビズIDプライムを申請しておく計算です。代表事業者は、本人が管理する携帯電話番号を1つ登録します。申請に必要なパスワードがSMSで届き、ほかの申請やIT導入支援事業者に使われている番号は使えません。出した申請は、結果が公表されるまで取り下げられません。編集部としては、10者の書類集めより先にグループの組成の合意を固めることを勧めます。
必要な書類
準備できた 0 / 11
様式1〜8は、参画事業者情報、導入ITツール情報、実施事業区分、経費、事業全体経費です。選定理由書はIT提供事業者や外部専門家を使う場合に出します。履歴事項全部証明書・法人税の納税証明書・貸借対照表・損益計算書は代表事業者の書類で、証明書は3か月以内、決算書は直近のものです。履歴事項全部証明書は全ページが必要で、現在事項証明書や登記情報提供サービスのものは認められません。納税証明書は税務署が出す「その1」か「その2」で、税目は法人税です。消費税の証明書や領収書は使えません。
参画事業者が組合などに属するときは組合員等の名簿、属さないときは活動を証明する資料(代表事業者の確認書)を出します。代表事業者が商店街の団体などでないときは参画事業者の証明書類も要り、法人は履歴事項全部証明書と法人税の納税証明書、個人事業主は本人確認書類・所得税の納税証明書・確定申告書の控えです。個人事業主の本人確認書類と確定申告書の控え(令和7年分)は、システムに添付できません。最終確認画面の備考欄に「システム上添付できない」と書いて申請し、提出のあとに別途出します。
代替書類は認められません。参画事業者が書類を自分で出したいときは、代表事業者を通して事務局に連絡して案内に従います。
もらえなくなる・通らなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に契約した:交付決定前の契約・発注・納品・支払いは補助の対象外です。契約は決定通知のあとに、構成員ごとに行います。
- ITツールを使わない参画事業者がいる:参画事業者がITツールを利用しない場合は、グループ構成員として認められません。10者に満たなくなると、グループとしての要件を欠きます。
- 導入したITツールを解約した:導入日から1年未満、または実績報告で申告した利用期間より前に解約すると、交付決定の取消しになる場合があります。一部だけの解約でも同じです。辞退の扱いになり、交付された補助金の全部または一部の返還と加算金が必要になる場合があります。
- 支払いが構成員本人の口座ではない:支払いは、購入する構成員名義の口座からの銀行振込か、クレジットカードの1回払いです。別名義の口座からの支払いは補助の対象外です。
- 実質的な値引きを受けた:キャッシュバックやポイントで自己負担を減らす販売方法は、不正な使い方として交付決定の取消しの対象になります。
勘違いされやすい4点
2次締切の情報はそのまま使えるのか
枠の中身は同じ公募要領で決まっているので、基本は使えます。変わるのは日程です。3次締切は2026年10月30日17時で、交付決定は12月10日の予定です。事業実施は2027年5月31日17時までの予定です。公募要領の改訂は、2次締切より後では8月28日の1回だけです。不採択理由の開示範囲と、取消処分を受けた事業者と同一法人の扱いを追記した2点でした。上限額や補助率の改訂ではありません。
通常枠と何が違うのか
単独の申請か、グループの申請かが最大の違いです。ほかにも、補助の対象と事前登録の要否が異なります。
| 比べる点 | 通常枠 | 複数者連携枠 |
|---|---|---|
| 申請する単位 | 単独(1法人・1個人事業主) | 10者以上のグループ(代表事業者が申請) |
| ITツールの事務局への登録 | 必要 | 登録が好ましいとされるが、定義に合えば未登録でも申請できる |
| ハードウェア | 対象外 | 対象 |
| 事務費・外部専門家の謝金 | 対象外 | 対象 |
| 同じ期間の重複申請 | 複数者連携枠とは不可 | 通常枠・インボイス枠とは不可 |
セキュリティ対策推進枠だけは、この枠と並行して申請できます。
賃上げ計画は必要なのか
この枠に賃上げの目標はありません。公募要領の比較表で、複数者連携枠の賃上げ目標は「なし」です。求められるのは、グループの労働生産性を年平均5%以上伸ばす2年間の計画です。IT導入補助金2024・2025の通常枠か複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた事業者が構成員にいる場合は、6%以上になります。
申請だけして使わない構成員でも数えてもらえるのか
数えてもらえません。参画事業者がITツールを使わない場合は、グループ構成員として認められません。代表事業者だけがITツールを導入して参画事業者が使わないパターンは、申請不可の例として公募要領に載っています。10者の数に入れるには、全員がツールを使う設計が必要です。
関連する記事: 同じ10月30日締切には、取引先にアカウントを配る発注側の枠もあります。
よくある質問
何者以上のグループで申請できますか
10者以上です。公募要領は、同じ補助事業を実施するグループ構成員が10者以上のまとまりであることを求めています。構成員には、代表事業者と参画事業者の両方が入ります。同じ事業者が複数の支店にツールを入れる場合は、事業者単位で1者と数えます。親会社が議決権の50%超を持つ子会社は同一法人とみなされ、どちらか1社からしか申請できません。構成員は1つのグループにしか所属できず、別のグループでの申請もできません。商店街の組合が代表でも、組合員の全員が参加する必要はなく、10者以上いれば申請できます。
代表事業者になれるのは誰ですか
取りまとめと執行管理ができる中小企業・小規模事業者等か、商店街の団体(商店街振興組合・事業協同組合・協同組合連合会など)か、商工会か、商工会議所です。法人であることも必要です。代表事業者は、交付申請と実績報告、効果報告の取りまとめと提出、事務局やIT提供事業者との窓口を担います。他のグループの代表事業者や参画事業者にはなれません。自分でITツールを導入して使うこともできます。
外部専門家とIT提供事業者の役割は何ですか
IT提供事業者は、グループが選ぶITツールの提供元で、導入や運用をサポートします。外部専門家は、ツールで得たデータの活用などに助言する人です。中小企業診断士、ITコーディネータ、情報処理安全確保支援士のほか、自治体や商工会議所でDX計画の立案や伴走支援に関わった経験のある人などが想定されています。外部専門家の助言は必須ではありません。どちらも構成員にはなれず、IT提供事業者が外部専門家を兼ねることも認められません。
参画事業者は全員が同じITツールを入れる必要がありますか
同じツールにそろえる必要はありません。事務局のよくある質問は、全員が同じITツールを入れなくてよいと答えています。電子地域通貨とAIカメラを組み合わせる例も挙げています。異なるツールを入れる理由は、申請書に書きます。ただし、ITツールを使わない参画事業者は構成員として認められません。ツールの組み合わせは、IT提供事業者に先に確かめてください。参画事業者にも、SECURITY ACTIONの宣言が必要です。
労働生産性5%の計算はどうしますか
各構成員が「(営業利益+人件費+減価償却費)÷年間の総労働時間」を出して代表事業者に出します。代表事業者がその平均をグループの労働生産性とし、事業前と比べた年平均の伸びが5%以上なら達成です。年平均は複利で計算します。実績100が2年後に110なら、年平均は4.88%で、5%に届きません。代表事業者自身がツールを導入していなければ、その分は計算に含めません。達成できなかった場合や効果報告をしなかった場合は、補助事業名・代表事業者名・構成員数が公表されます。
ハードウェアも補助されますか
補助されます。基盤導入経費のハードウェアは補助率1/2です。PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機は10万円まで、POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機は20万円までです。ハードウェアは、補助対象のソフトの使用に資するものに限られます。購入後は、納品書と設置の現物写真を実績報告で出す必要があります。中古品とリース・レンタル契約のものは対象外です。
契約はいつすればよいですか
交付決定のあとです。3次締切分の交付決定は2026年12月10日の予定です。契約・発注と、納品・導入と、請求・支払いのうち、契約・発注が最初になる必要があります。支払いの前には、IT提供事業者からの請求も要ります。構成員はそれぞれ、IT提供事業者と個別に契約・導入・支払いをします。実績報告までに、すべてのツールの導入と利用開始を終えている必要があります。順番が逆だと、補助金が交付されず、交付決定の取消しになる場合があります。
不採択だったときや、3次に間に合わなかったときはどうなりますか
次の締切に申請し直す形になります。4次以降の日程は、本記事の時点では確認できていません。公募要領には、受付スケジュールは事業ホームページで順次公表すると書かれています。公表されていない日程を前提に計画を立てるのは避けたほうが安全です。審査内容は開示されず、不採択理由も事務局が通知する事項以外は開示されません。結果は、代表事業者に申請マイページで通知されます。
通常枠やインボイス枠と同時に申請できますか
できません。同じ期間に受け付けている2026年の通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)との重複申請は不可です。セキュリティ対策推進枠との重複申請は可とされています。IT導入補助金2025の通常枠・インボイス枠・複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた事業者(セキュリティ対策推進枠を除く)は、決定日から12か月以内は申請できません。2025年の複数社連携の受給者は、ツールが重複すると不採択になる場合もあります。
補助金はいつ入金されますか
実績報告のあとに補助額が確定して交付されます。入金までの日数は、公募要領に記載がありません。ソフトやハードの代金はまず構成員が自分で払うので、資金繰りに入れておいてください。支払いは、購入する構成員名義の口座から出す必要があります。事業実施期間は、交付決定から2027年5月31日17時までの予定です。10者分の支払い証憑を、それぞれの名義でそろえる必要があります。
構成員が途中で事業をやめたらどうなりますか
廃業や倒産や事業譲渡などで補助事業を取りやめる場合は、辞退の手続きが必要です。辞退すると、交付された補助金の全部または一部の返還が必要になることがあります。申請内容に変更が生じたときは、IT提供事業者に共有して事務局へ報告します。住所や代表者名の変更は、申請マイページから変更申請を出します。報告の内容によっては、交付決定の取消しになる場合があります。
書類をシステムで出せないときはどうしますか
事務局のメールアドレス(fukusuu@it-shien.smrj.go.jp)に問い合わせて、指示に従います。件名は【複数者連携デジタル化・AI導入枠】(補助事業グループ名)_(事業者名)の形です。参画事業者が書類を個別に出したいときは、代表事業者を通して事務局へ連絡します。申請全般の問い合わせは、コールセンター(電話 0570-666-376、平日9時30分から17時30分)です。
