江戸川区の「デジタル技術活用促進助成事業(DX導入)」は、DXにかかる費用を助成率3分の2・上限200万円まで助成する制度です。ただしパソコン本体や汎用ソフトは対象外で、対象になるのはシステム開発やクラウド利用料など、業務の仕組みそのものを変える費用に限られます。
この助成金には他の補助金にあまりない前提条件があります。申請の前に、区の伴走支援を1回以上受けていなければならないという順番のルールです。この記事では、対象経費の線引きと、申請までに済ませておくべき手順を整理します。
デジタル技術活用促進助成事業(DX導入)の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人・個人事業主) |
| 制度名 | デジタル技術活用促進助成事業(DX導入) |
| 対象業種 | 業種不問(中小企業基本法上の中小企業者に該当する事業者) |
| 利用目的 | DXによる生産性向上(システム開発・データ活用) |
| 対象地域 | 東京都江戸川区(区内に本店または主たる事務所を有する事業者) |
| 従業員数 | 業種ごとの中小企業基準内(製造業等は資本金3億円以下または従業員300人以下) |
| 補助上限額 | 200万円 |
| 補助率 | 3分の2以内(SDGs達成に資する取り組みは5分の4以内) |
| 申請受付 | 第2回:令和8年7月1日〜9月4日/第3回:令和8年10月中旬〜11月中旬(予定) |
| 公式サイト | https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e093/shigotosangyo/jigyosha_oen/sangyo_jigyosya/jyosei/seisanseikojo/dounyu.html |

対象になる事業者と、申請前に必要な「伴走支援」
対象は、江戸川区内に本店または主たる事務所を置く中小企業者です。中小企業基本法第2条第1項に規定する中小企業者(業種ごとに資本金・従業員数の上限が定められ、製造業その他は資本金3億円以下または従業員300人以下、卸売業は1億円以下または100人以下、小売業は5,000万円以下または50人以下、サービス業は5,000万円以下または100人以下。どちらか一方を満たせば該当)であれば、個人事業者・NPO法人・医療法人・各種組合・社会福祉法人も対象に含まれます。
この助成金には、申請そのものより前に済ませておくべき手続きがあります。 江戸川区が実施する「江戸川区中小企業DX促進・伴走支援事業(DX応援隊)」の伴走支援を、申請時点で1回以上受けていることが必須です。DX応援隊は区の無料相談窓口で、専門家がDXの進め方や事業計画づくりを一緒に整理してくれます。伴走支援を受けていないと、どれだけ良い事業計画があっても申請できません。前年度の税金を滞納していないこと、過去にこの助成を受けたことがないことも要件です。
対象経費とパソコンが対象外になる理由
対象経費として区が挙げているのは、次のような費用です。
- 機械装置費(DX導入に直接必要な設備・装置)
- 委託費・外注費(システム設計・開発の委託費など)
- クラウド使用料・サービス利用料等
- 専門家依頼経費
- デジタル技術習得経費(研修等)
一方、他の業務にも流用できる汎用のハード・ソフトは対象外です。パソコン本体、生成AIサービス、Word・Excel・PowerPointが該当します。「機器の置き換え」として計画書を書くと対象外になります。データを活用して新たな付加価値を生む取り組みとして組み立てる必要があります。
具体的にどんな取り組みが対象になり得るか、3パターンで見てみます。
- 小売店が在庫管理をデジタル化: 在庫データと販売データを連携させる独自システムを外注開発。委託費やクラウド利用料が対象経費になり得る
- 製造業が生産管理をデータ活用型に刷新: 稼働データを蓄積・分析し、新たな付加価値を生む仕組みを構築
- 飲食・サービス業が予約・顧客データを一元化: 複数店舗の予約と顧客データをクラウドで一元管理。年間利用料も対象経費になり得る
小規模な取り組み向けには「IT導入」という別メニューもあります。上限50万円・助成率3分の2で、ソフトの初期設定・カスタマイズ費用やクラウド使用料が対象です。既存ソフトの購入、汎用ハード、バージョンアップ費用、区の承認前に発注した経費は対象外になります。DX導入との同時申請が可能かどうかは公式ページに明記がないため、区分の重複可否は事前に窓口へ確認してください。
助成率はSDGs該当で3分の2から5分の4に上がる
助成率は原則3分の2以内ですが、SDGs達成に資する取り組みの場合は5分の4以内に引き上げられます(上限額200万円は共通)。
| 投資額(税抜) | 助成率3分の2の場合 | 助成率5分の4(SDGs対応)の場合 |
|---|---|---|
| 150万円 | 100万円 | 120万円 |
| 240万円 | 160万円 | 192万円 |
| 300万円 | 200万円(上限) | 200万円(上限) |
投資額300万円のシステム開発なら、3分の2助成でも上限の200万円に達します。投資額240万円なら、SDGs要件に当てはまれば助成は160万円から192万円に増え、自己負担は80万円から48万円に下がります(該当可否は審査で判断されます)。
申請の流れと必要書類
流れは次のとおりです。
- 事前ステップ:DX応援隊の伴走支援を1回以上受ける(無料相談)
- 申請書類の準備:助成金交付申請書兼請求書、事業所概要、事業計画書、事業概要イメージ資料、前年度納税証明書(個人事業者は開業届または確定申告書の写し)。グループ申請の場合はグループ構成表等も必要
- 申請:経営支援課相談係へ窓口持参・郵送、またはGビズIDを取得したうえで電子申請
- 審査・交付決定
- 交付決定後に事業実施→実績報告
2026年度(令和8年度)の第2回募集の受付は7月1日(水)〜9月4日(金)です。第1回は5月29日で締切済み。第3回は10月中旬〜11月中旬に予定されています(予算残額により実施有無が変わる可能性があります)。
国のIT関連の補助金もあわせて検討したい方は、こちらの記事で解説しています。
よくある質問
パソコンやタブレットの購入費は対象になりますか?
対象になりません。区の公式ページに、流用できる汎用性の高いハード・ソフトは対象外と明記されています。パソコン本体、生成AIサービス、Word・Excel・PowerPointが該当します。対象はシステムの設計・開発委託費やクラウド利用料です。
伴走支援(DX応援隊)を受けていないと申請できませんか?
はい。申請時点で、DX応援隊の伴走支援を1回以上受けていることが要件です。締切直前に気づいても間に合いません。DXを検討し始めた段階で相談窓口に問い合わせておくのが安全です。
DX導入とIT導入のどちらに申請すればよいですか?
上限額と取り組みの規模で選び分けます。DX導入は上限200万円で、データ活用による大きめの取り組み向けです。IT導入は上限50万円で、小規模なソフト導入や業務効率化向け。助成率3分の2と、汎用ハードが対象外の点は共通です。
