水につかった機械の修理見積が届いた。金額を見て、再開の時期が見えなくなる。そういう場面のための制度が、石川県の被災事業者再建支援補助金です。
令和8年8月27日からの大雨で被害を受けた県内の事業者が対象で、施設・設備・車両の復旧費の2/3(小規模事業者)または1/2(中小企業)が戻ります。上限は200万円で、能登半島地震などの被災歴があれば300万円です。募集は2026年11月20日(金)まで。申請には、市町が出す被災証明書が必要です。
提出先が県庁ではなく、最寄りの商工会・商工会議所という点は、先に頭に入れておくと動きやすくなります。
石川県 被災事業者再建支援補助金の要点まとめ
正式名:石川県被災事業者再建支援補助金(令和8年8月27日からの大雨)
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 業種の指定なし(医療法人・一般社団法人・組合などは対象外)
- 利用目的
- 被災した施設・設備・車両の復旧
- 対象地域
- 石川県(県内に事業所がある事業者)
- 従業員数
- 中小企業者の範囲内(小規模事業者は業種により5人以下か20人以下)
いくら
- 補助上限額
- 300万円(原則200万円。過去3災害の被災事業者は300万円)
- 補助率
- 1/2(小規模事業者は2/3)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年10月8日〜2026年11月20日
- 事業の完了
- 2027年1月20日まで
うちは対象になる?
次のすべてに当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 医療法人・社団法人・組合
- ✕ 大雨の時点で創業前
- ✕ みなし大企業
- ✕ 主たる事業場を県外へ移す予定
被災証明書は、市町が出す被害の証明です。罹災証明や被災届出証明でも構いません。発行日が令和8年8月27日より前だと使えません。
中小企業者の範囲は業種ごとに決まっています。製造業その他は資本金3億円以下または従業員300人以下、卸売業は1億円以下または100人以下、小売業は5,000万円以下または50人以下、サービス業は5,000万円以下または100人以下です。どちらか一方を満たせば該当します。小規模事業者は、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)が5人以下、宿泊業・娯楽業と製造業その他が20人以下です。個人事業主本人と同居の親族は、この人数に数えません。
業種は、被災後の実態で判定します。客席が壊れて弁当の製造販売に切り替えた食堂は、「製造業その他」として扱われます。
みなし大企業は、大企業が株式の半分以上を持つなど、中小企業でも対象から外れる会社のことです。BCPは、災害時に事業を続けるための計画です。自社で作った計画、経済産業省の事業継続力強化計画、石川県のBCP計画のどれでも使えます。
個人の農林水産業は、系統出荷だけの収入なら対象外です。ただし農作物の加工や料理の提供に必要な経費は対象になります。
いくら戻ってくる?
対象経費(消費税抜き)に補助率をかけた額が補助されます。上限は200万円で、千円未満は切り捨てです。過去の被災歴があれば上限は300万円に上がります。能登半島地震、奥能登豪雨、令和7年8月6日からの大雨のいずれかで被災し、その証明書も出せる事業者が対象です。
- 小規模事業者が機械の修理に180万円:180万円 × 2/3 = 120万円
- 中小企業の工場で、修理不能と認められた設備を入れ替えて300万円:300万円 × 1/2 = 150万円
- 小規模事業者が店舗の修繕に450万円:450万円 × 2/3 = 300万円 → 上限の200万円(過去の被災歴があれば300万円)
- 中小企業が修理に240万円、保険金が60万円:(240万円 − 60万円)× 1/2 = 90万円
保険金が出る場合は、その額を引いた残りが対象経費です。保険を請求できるのに請求しない経費は、対象に入りません。上限200万円に届くのは、小規模事業者なら対象経費300万円、中小企業なら400万円のときです。
何に使える?
対象にならないものから先に確かめます。
- 棚卸資産(商品・原材料)の損失の補填
- 施設の建て替え・拡大、土地の購入・嵩上げ
- 清掃費・消毒費、施設の解体工事
- パソコン、タブレット、スマートフォン、複合機、事務用品、什器類
- 住居用の建物の修理
- 被災の時点で存在しなかった施設・設備
- 社長車や通勤にも使える車両
- 税理士・弁護士への支払い、保証料・保険料、振込手数料
- 車両の税金・登録費用
対象になるのは、被災した次の3種類の復旧費です。
- 施設修繕費(事務所・店舗・工場などの建物と、駐車場などの構築物)
- 設備修理・購入費(機械設備。業務用車両を除く)
- 車両修理・購入費(被災した業務用車両)
撤去や処分の費用は、修繕や修理と一体で行うときだけ対象になります。撤去や処分だけの申請はできません。
設備や車両は修理が原則です。買い替えが認められるのは、商工会・商工会議所が修理不能と認めたときに限られます。修理できる設備でも、修理見積額を上限にして、新しい設備に入れ替える道があります。車両を入れ替えるときは、被災した車両を廃車(永久抹消)にします。下取りに出す車両は修理可能とみなされ、入替の対象になりません。
原則として、資産計上されている施設・設備・車両が対象です(固定資産台帳などで確認します)。計上していなくても、被災前から所有し事業用のみに使っていたことが売買契約書などで示せれば、対象になる場合があります。
申請から受け取りまでの流れ
交付決定(補助金を出すと決める通知)の前に始めた工事も、この制度では対象になる場合があります。8月27日以降に着手したものに限り、さかのぼって認められます。
- 被災証明書をもらう(事業者→市町。8月27日以降の日付のもの)
- 復旧の見積書を取る(事業者→業者。100万円以上は2者以上から)
- 申請書類を郵送する(事業者→最寄りの商工会・商工会議所。11月20日の当日消印有効、持参も可)
- 採択・交付決定の通知を待つ(商工会・商工会議所→事業者。ヒアリングはなく、書類だけで審査)
- 修理・工事を終えて、支払いまで済ませる(事業者→業者。2027年1月20日まで、銀行振込)
- 実績報告書を出す(事業者→商工会・商工会議所。事業完了から1か月以内か2027年1月29日の早い日まで)
- 補助金額の確定を受けて、精算払請求書を出す(受け取りは後払い)
封筒には「被災事業者再建支援補助金申請書類在中」と書きます。
必要な書類
準備できた 0 / 16
過去の被災証明書は、上限を300万円に引き上げたいときだけです。名寄帳は施設の修繕のとき、固定資産台帳は施設の代わりにも使えます。修理不能申告書は設備・車両を入れ替えるとき、車検証と事業用と分かる資料(外観写真・運行日誌など)は車両のときに出します。永久抹消登録証明書は車両を入れ替えるとき、新旧設備のカタログは設備を入れ替えるとき(新しい方は必須)に出します。保険金の証明書類は保険金が出た場合、賃貸借契約書は賃貸物件のとき、リース品ならリース契約書です。業者選定理由書は、100万円以上の発注で2者の見積書が取れなかったときだけです。申請書類は写しで構いません。控えを手元に残してください。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 現金で払った:1取引で10万円(税抜)を超える現金支払は対象外です。振込が大原則で、小切手・手形・相殺も認められません。
- 支払いが期限に間に合わない:2027年1月20日までに、支払いと工事の両方が終わっている必要があります。ローンで一部でも未払いが残ると対象外です。
- 提出先を間違えた:県の経営支援課や能登事業者支援センターに出しても受理されません。
- 複数の申請をした:同じ事業者の申請は1災害につき1件です。代表者が同じ別法人での重複申請も認められず、判明すると全部が不採択になります。
- 財産を勝手に処分した:取得価格か効用の増加額が1件50万円(税抜)以上の財産は、一定期間の売却・転用に商工会・商工会議所の承認が要ります。
- 事実と違う申請だった:あとから要件を満たさない事実が見つかれば、取り消しと返金です。延滞金は年10.95%がかかります。
他の制度との関係と税金
同じ内容の事業で、他の国や市の補助制度と併用はできません。経費をきれいに分けられるなら、併用できる場合があります。
令和6年能登半島地震や奥能登豪雨で、すでに被害を受けていた施設・設備の場合は、石川県なりわい再建支援補助金を使える場合があります。該当する事業者は、県の経営支援課(076-225-1525)に相談できます。
補助金は法人税・所得税の課税対象で、消費税はかかりません。補助金で固定資産を取得したときは、圧縮記帳(課税を先送りする特例)を使える場合があります。税理士に確認すると確実です。
よくある質問
申請書類はどこに出しますか?
最寄りの商工会または商工会議所です。郵送が基本で、持参もできます。県庁の経営支援課や能登事業者支援センターは提出先ではありません。郵送は締切日の当日消印まで有効です。持参するときは、各窓口の営業時間内に職員へ手渡しします。窓口の住所と電話番号は、公募要領の表紙に載っています。
被災証明書は、いつの日付のものが必要ですか?
令和8年8月27日以降に市町が出した、被災証明書・罹災証明・被災届出証明のどれかです。発災日より前の日付では使えません。能登半島地震などの被災歴で上限300万円を使いたい場合は、その災害の証明書も別に必要です。まず市町の窓口で、事業用の施設・設備の被害として発行してもらえるか確かめてください。
個人事業主でも申請できますか?
申請できます。商工業者であることが条件です。個人の農林水産業は、系統出荷だけの収入なら対象外ですが、農作物の加工や料理の提供に必要な経費は対象になります。医師・歯科医師・助産師、一般社団法人、医療法人、社会福祉法人などは対象外です。迷う場合は、県の経営支援課に問い合わせると確実です。
賃貸の店舗が被災したとき、借りている側は申請できますか?
原則として申請者は施設の所有者(大家)です。ただし店子の事業継続にその施設が欠かせず、大家が修繕する意思がないなど店子に責任のない事情があれば、店子が申請者になれる場合があります。賃貸借契約書の写しが要ります。アパートやマンションなど、入居者が事業をしない賃貸物件は対象外です。
壊れた機械を新しく買い替えても補助されますか?
修理が原則です。商工会・商工会議所が修理不能と認めたときに限り、買い替えが対象になります。修理不能申告書で確認されます。修理できるのに入れ替えたい場合は、修理見積額を上限にして、機能が上の設備へ入れ替えられます。この場合は、修理の見積書と購入の見積書の両方が要ります。
見積書は何社から取る必要がありますか?
発注が100万円(税込み)以上のときは、2者以上から取り、安い方を選びます。複数者から取れない事情があるときや、すでに発注済みのときは、業者選定理由書を出します。中古品を買う場合は、金額にかかわらず、型式と年式が書かれた中古品小売業者2者以上の見積書が必要です。個人からの購入やネットオークションは対象外です。
車両も対象になりますか?
業務用の車両は対象です。資産計上されている車両で、事業のみに使っているものに限ります。社長車や、従業員の通勤にも使える車両は対象外です。買い替えは修理不能と認められたときだけで、名義は交付決定を受けた方にします。車検証と、事業用と分かる外観写真や運行日誌などが要ります。入れ替えるときは、被災した車両を廃車(永久抹消)にする必要があり、下取りに出すと対象外です。
交付決定の前に修理を始めていても大丈夫ですか?
令和8年8月27日以降に着手した工事なら、さかのぼって対象になる場合があります。通常の補助金は交付決定前の発注が対象外ですが、この制度は特例です。ただし、必要な見積書・請求書・領収書がそろわないものは対象になりません。見積書の取得は、もともと交付決定前でも構いません。
保険金をもらった場合はどうなりますか?
風水害保険などの保険金は、復旧費から差し引きます。差し引いた残りが対象経費になります。たとえば修理費240万円で保険金60万円なら、180万円が対象です。保険を請求できるのに請求していない経費は、対象外です。申請時に、保険金・受領金額の証明書類を出します。
補助金はいつ振り込まれますか?
事業が終わったあとの精算払い(後払い)だけです。実績報告書が通ると、商工会・商工会議所が補助金額を確定して通知します。そのうえで、精算払請求書の内容に従って支払われます。最初に工事費を自分で支払う必要があるため、資金繰りを組んでおきます。振込の日付は、公募要領に記載がありませんでした。
実績報告で出す書類は何ですか?
実績報告書、発注書や請求書、振込受領書、復旧後の写真、BCP、復旧資産の資産計上に関する誓約書、精算払請求書、通帳のコピー、取得財産等管理台帳です。報告書の期限は、事業完了から1か月以内か2027年1月29日のいずれか早い日です。期限を過ぎると辞退とみなされます。
補助金は課税されますか?
法人税・所得税の課税対象で、消費税の課税対象にはなりません。事業年度の収益として、支払額が確定した年度に計上します。補助金で固定資産を取得または改良したときは、所得税法・法人税法の圧縮記帳の規定を使える場合があります。具体的な処理は、顧問の税理士に確認してください。
