空調も照明も、古くなったから替えたい。ただ、見積を見ると数十万円から先が重い。岩手県は、そういう設備の入れ替えに、税抜き費用の半分を出します。上限は設備の種類ごとに50万円で、県の認定を受けた事業所なら80万円です。
この補助金で多くの人がつまずくのは、金額よりも順番です。省エネ診断かCO2排出量の算定が申請の前提になっていて、さらに発注や着工が先に進んでいると対象になりません。設備を決める前に、この2つの順番を確かめておくと整理しやすくなります。
事業者向け省エネルギー対策推進事業の要点まとめ
正式名:事業者向け省エネルギー対策推進事業
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 業種の指定なし
- 利用目的
- 空調・換気・照明・給湯設備の省エネ更新
- 対象地域
- 岩手県
- 従業員数
- 中小企業者、または原油換算1,500kl未満の事業所
いくら
- 補助上限額
- 80万円(認定なしは50万円)。設備の種類ごと
- 補助率
- 対象経費(税抜)の1/2以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年4月16日〜2027年1月29日(予算上限に達し次第終了)
- 事業の完了
- 2027年2月26日まで
うちの会社は対象になる?
次の6つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
「中小企業者」は、中小企業基本法で決まっている範囲の会社のことです。業種ごとに資本金と従業員数の上限があり、どちらか一方を満たせば該当します(製造業・建設業・運輸業などは資本金3億円以下か従業員300人以下、卸売業は1億円以下か100人以下、小売業は5,000万円以下か50人以下、サービス業は5,000万円以下か100人以下)。医療法人や社会福祉法人、大企業でも、年間のエネルギー使用量が原油換算で1,500kl(キロリットル)未満の事業所の所有者・管理者であれば対象です。個人事業主も、どちらかに当てはまれば申請できます。
省エネ診断は、専門機関がエネルギーの使い方や建物の構造を調べ、省エネに役立つ措置を示すものです。要綱では、申請日の3年前から請求日までの間に受けていればよいとされています。CO2排出量の算定は、申請日の1年前から申請日までに行ったものが必要です。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 中古品やリースで導入する
- ✕ 既存設備に替えず新設する
- ✕ 発注や着工をもう済ませた
- ✕ 県外の業者だけで購入・施工する
- ✕ 国や自治体が持つ施設に設置する
いくら戻ってくる?
税抜きの費用の半分です。一般は上限50万円、認定ありは上限80万円で、この上限は設備の種類(空調・換気・照明・給湯)ごとに数えます。1種類の費用が、一般なら100万円以上、認定ありなら160万円以上で上限に届きます。
- 事務所の空調を入れ替える:70万円 × 1/2 = 35万円
- 空調だけを入れ替える(認定なし):130万円 × 1/2 = 65万円 → 上限の50万円
- 同じ工事を認定ありで申請する:130万円 × 1/2 = 65万円(上限80万円に届かず65万円)
- 認定ありで空調180万円と換気50万円を入れ替える:空調 180万円 × 1/2 = 90万円 → 上限の80万円、換気 50万円 × 1/2 = 25万円。合わせて105万円
県の手引きにも、設備の種類ごとに補助額を計算する例が載っています。経費は設備の種類ごとに分けて、見積書と明細書に書いてもらいます。補助額に1,000円未満の端数が出たときは切り捨てです。
認定ありの80万円は、申請の時点で「いわて地球環境にやさしい事業所」(いわて脱炭素化経営企業等)の認定を受けているか、認定に向けた手続きを進めていることが条件です。そのうえで、請求の時点では認定を受けている必要があります。
何に使える?
対象にならないもの
- 中古品の設置
- リースによる導入
- 既存設備に替えない新設
- 設置工事を伴わない購入(LED電球だけの交換、コンセント式の照明、移動できる空調など)
- 国の別の補助金を受ける設備
- 国や自治体が持つ施設への設置
- 既存設備の撤去費・処分費
- 消費税・地方消費税
対象になるもの
- 高効率空調機器(従来の機器より省CO2効果が30%以上のもの)
- 高機能換気設備(全熱交換器で、熱交換率40%以上、1人あたり毎時30㎥以上の換気を確保できるもの)
- 高効率照明機器(調光制御機能のあるLED。再エネ一体型の屋外照明は調光制御がなくても可)
- 高効率給湯機器(従来の機器より省CO2効果が30%以上のもの)
- 上の設備の購入費と設置工事費
設置工事を含む費用が対象で、材料費・労務費・設備費などが経費区分として定められています。購入と工事は、県内の事業者を相手にする必要があります。
申請の流れは?
- 県の窓口に事前相談する(事業者→環境生活企画室。電話 019-629-5273)
- 省エネ診断を申し込むか、CO2排出量を算定する(事業者→診断機関)
- 県内の事業者2者以上から見積をもらう(事業者→工事業者)
- 申請書と添付書類を県に出す(事業者→岩手県。郵送か持参。着工予定日の20日前までで、遅くても2027年1月29日まで)
- 交付決定を待つ(県→事業者。通知は原則、申請の受理から14日以内。通知から14日以内なら取り下げられる)
- 交付決定のあとに契約し、2月26日までに事業を終える(事業者→工事業者。支払いまで含む)
- 完了報告と請求書を出す(事業者→県。様式第4号。事業完了日から30日を経過した日か2月26日の早いほうまで)
- 交付の翌年度から2年間、情報発信と報告を続ける(事業者→県。毎年6月末まで)
診断を申請の後に受ける場合は、診断の申込状況がわかる書類を添えて申請できます。診断の結果は、完了報告のときに出します。事業の完了日は、工事の完了日か支払いをした日の遅いほうです。診断報告書の受領日や認定書の交付日がそれより後になるときは、その日が完了日です。
診断報告書が2月26日より後に届くと、工事と支払いが終わっていても事業完了と認められず、補助の対象外です。 診断は、申し込んでから結果が出るまで1か月以上かかります。認定ありの区分で申請するときは、認定書も2月26日までに取得しないと、80万円の区分は使えません。書類に不備があると審査が止まり、決定が遅れます。
必要な書類
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県税の納税証明書は、様式第111号「県税について未納がないことの証明書」で、県税部・県税センターが出します。診断を申請後に受ける場合は、結果の代わりに申込状況がわかる書類を出します。認定ありで申請するなら認定書の写し、中小企業者以外ならエネルギー使用量がわかる書類も要ります。通帳は表紙と1ページ目の両方の写しです。
県内の事業者2者以上から見積書を取ると、補助対象経費が安いほうの見積で計算されます。認定の手続き中に認定ありで申請する場合は、認定申請書の写し(審査中)かエコスタッフ養成セミナーの申込書の写しと、誓約書を出します。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 発注や着工が先だった:業者への発注や設置工事を済ませていると対象外です。契約は交付決定のあとにします。
- 診断や算定が間に合わなかった:診断か算定のどちらもできていないと、申請の条件を満たしません。申請後に診断を受ける場合は、報告書が2月26日までに届く必要があります。
- 申請が遅かった:申請は着工予定日の20日前までに出します。着工日を決めてから逆算してください。
- 予算が先になくなった:先着順で、予算の上限に達し次第、受付が終わります。県の案内ページは予算残額を掲載していて、残りわずかになると告知します。事前相談の電話で、今も受け付けているかを先に確かめてください。1月29日より前に終わることもあります。
- 認定が請求までに間に合わなかった:80万円の区分は、請求の時点で認定を受けている必要があります。
- 同じ設備で国の補助を受けた:国が交付する別の補助金を受けた設備は対象になりません。
- 情報発信や報告をしなかった:補助を受けると、2年間の情報発信、従業員への意識啓発、県への報告が義務になります。
申請回数と補助を受けたあと
同じ事業者が1つの県の会計年度に補助を受けられるのは4回までです。ただし、同じ事業所については年度内に1回までです。次の年度以降に同じ事業所でまた申請できるのは、すでに更新した設備と工区がはっきり分かれている(別室、別棟など)ものに限られます。
補助を受けた設備を売ったり処分したりするときは、県の承認を申請します。補助金の書類は、事業を行った年度の翌年度から5年間(設備の処分制限期間が5年を超えるときはその期間)保存します。県が立入検査をすることもあります。
補助を受けた設備は、法定耐用年数が過ぎるまでJ-クレジット制度に登録しないことに同意する必要があります。法定耐用年数は、税法で設備ごとに決まっている使える年数のことです。認定ありの区分で補助を受けた場合は、同じ期間、認定を受け続けることにも同意します。
よくある質問
個人事業主でも申請できますか?
申請できます。公式ページに、個人事業主も中小企業者の範囲に当てはまるか、年間のエネルギー使用量が原油換算で1,500kl未満の事業所の所有者・管理者であれば補助対象者になると書かれています。県内に事業所があり、省エネ診断かCO2排出量の算定を済ませられることが前提です。まず環境生活企画室に事前相談をしてください。
省エネ診断とCO2排出量の算定は、どちらを選べばよいですか?
どちらか一方で足ります。診断は専門機関に依頼して、申請日の3年前から請求日までの間に受けていればよく、申請の時点では申込状況がわかる書類でも申請できます。算定は自社でも外部委託でもよく、申請日の1年前から申請日までに行ったものが必要です。診断機関の例として省エネルギーセンターなどが紹介されています。
設備は交付決定の前に注文してもよいですか?
注文してはいけません。公式ページの留意事項に、業者へ発注済みであったり設置工事に着手済みであったりしないことが挙げられています。要綱でも、事業着手日は交付決定日以降の契約書等の発行日と定められています。見積は先に取れますが、契約は交付決定の通知を受けてからにしてください。
認定ありの80万円は、どうすれば使えますか?
申請の時点で「いわて地球環境にやさしい事業所」の認定を受けているか、認定に向けた手続きを進めていることが必要です。申請時に認定を取得していない場合は、誓約書を出します。請求の時点では認定を受けている必要があるため、申請から請求までのスケジュールに認定の手続きを入れておきます。
どんな設備が対象になりますか?
高効率空調機器、高機能換気設備、高効率照明機器、高効率給湯機器の4種類です。空調と給湯は、従来の機器より省CO2効果が30%以上あるものが条件です。換気は全熱交換器で熱交換率40%以上、照明は調光制御機能のあるLEDで、調光は、スケジュール制御、明るさセンサ、人感センサのどれかによるものです。リモコンやツマミで人が明るさを変えるだけのものは対象外です。いずれも既存設備からの更新で、設置工事を伴うことが前提になります。詳しい条件は県の手引きと要綱に書かれています。
申請の締切と完了の期限はいつですか?
申請の受付は2027年1月29日(金)までで、事業の完了期限は2027年2月26日(金)です。ただし先着順で、予算の上限に達し次第、受付が終わります。申請は着工予定日の20日前までに出す決まりです。申請後に交付決定を待ち、そのあとで契約と工事をするため、締切の直前に出すと工事期間が足りなくなります。診断報告書の受領も2月26日までに済ませる必要があるので、業者と診断の予定は早めに押さえておくと安心です。
見積書は何社分が必要ですか?
県内の事業者2者以上の見積書の写しが必要です。購入と設置工事のどちらも、県内の事業者から買うか、県内の事業者へ発注することが要綱で定められています。県外の業者だけで購入・施工する計画は対象になりません。2者の見積書を取ると、補助対象経費が安いほうで計算されます。見積書とあわせて、経費の内訳がわかる資料や設備のカタログも添付します。内訳は設備の種類ごとに分けて書いてもらいます。
補助を受けたあとの義務は何ですか?
交付を受けた年度の翌年度から2年間、省エネ効果と経費節減効果の情報発信、従業員への意識啓発を行い、毎年6月末までに県へ報告します。窓口や応接室へのポスター掲示、会社ホームページへの掲載などが例に挙がっています。県が行う成果報告会など、温暖化対策事業への協力も求められます。
補助金はいつ入金されますか?
工事と支払いが終わってからの後払いです。事業を終えたら、完了報告を兼ねた請求書(様式第4号)に、領収書の写し、契約書の写し、設置後の写真などを添えて出します。審査のあとに支払われるため、それまでは自社で全額を立て替える形になります。資金繰りの見通しは、申請の前に立てておいたほうが安全です。
同じ事業所で何回申請できますか?
同じ事業者が1つの会計年度に補助を受けられるのは4回までです。ただし、同じ事業所については年度内に1回までです。事業所が複数ある会社は、事業所ごとに別々の申請ができます。空調と照明を同じ事業所で同時に申請するのは1回の申請でできますが、空調は今年、照明は来年のように年度をまたいで分ける場合、来年に申請できるのは今年の工事と工区がはっきり分かれている部分(別室、別棟など)に限られます。
問い合わせ先はどこですか?
県の環境生活部 環境生活企画室 グリーン社会推進担当です。申請を希望する場合は、事前の相談が必要とされており、相談の電話は 019-629-5273 です。一般のお問い合わせは電話 019-629-5271 で、専用フォームもあります。申請の手引きや記載例は県の案内ページから入手できます。
