岩手県で家を建てるとき、断熱を強くするだけで県の補助は出るのか。出ません。断熱等性能等級6以上に加えて、太陽光発電とHEMSの導入が必須で、建てる会社も県の登録事業者に限られます。
土台の補助は定額で、等級6なら100万円、等級7なら180万円です。太陽光、HEMS、蓄電池を足すと、最大は257.3万円(等級7の場合)になります。
岩手県 いわて省エネ住宅建設推進事業費補助金の要点まとめ
正式名:いわて省エネルギー住宅建設推進事業費補助金(新築向け)
だれが
- 申請者
- 個人(新築戸建の建築主等)
- 対象業種
- 指定なし(個人が申請)
- 利用目的
- 省エネ性能の高い新築住宅の建設
- 対象地域
- 岩手県(県内に建てる住宅)
- 従業員数
- 規定なし(個人が申請)
いくら
- 補助上限額
- 最大257.3万円(等級7+太陽光+HEMS+蓄電池)
- 補助率
- 定額・2/3・1/3(区分ごとに異なる)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年5月18日〜2026年12月4日(先着・予算で停止)
- 事業の完了
- 2027年3月15日まで(見学会等は除く)
自分は対象になる?
次の6つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
登録事業者とは、岩手型住宅賛同事業者(県建築住宅課の募集に応じた事業者)か、岩手県地域型復興住宅地域住宅生産者グループ(地域の工務店・設計事務所・木材供給事業者などのグループ)に登録している会社です。
契約日の基準は、環境省の交付金の内示日(国が交付を認めた通知の日)の2026年4月9日です。繰越予算を使える場合は、4月1日から内示日までに始めた事業も受け付けることがあるので、個別に相談してください。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 太陽光発電を載せない
- ✕ FIT・FIPの認定を取る
- ✕ すでに完成した住宅
FITは固定価格買取制度、FIPは市場価格に国が上乗せする制度です。この補助では、どちらの認定も取れません。PPAやリースで入れる場合も、事業者による認定は認められません。
いくらもらえる?
補助額は5つの区分の組み合わせです。等級6か7のどちらかと、太陽光、HEMSが必須で、蓄電池だけ選べます。
| 区分 | 補助額 | 必須か |
|---|---|---|
| 断熱等性能等級6 | 定額100万円 | 6か7のどちらか |
| 断熱等性能等級7 | 定額180万円 | 6か7のどちらか |
| 太陽光発電 | 1kWあたり7万円(上限35万円) | 必須 |
| HEMS | 費用の2/3(上限6.6万円) | 必須 |
| 蓄電池 | 費用の1/3(上限35.7万円) | 選択 |
太陽光の上限35万円は5kW分です。kWは、パネルの公称最大出力の合計とパワーコンディショナの定格出力のうち、小さいほうで数えます。HEMSが上限に届くのは費用9.9万円のときです。HEMSは、太陽光の発電量などをつかんだうえで、住宅の暖冷房や給湯を制御できる機器で、ECHONET Lite(機器をつなぐ通信規格)の認証が要ります。蓄電池の上限は、1kWhあたり5.1万円を7kWh分までです。
- 太陽光4kW:4kW × 7万円 = 28万円(HEMS 9万円は 9万円 × 2/3 = 6万円)
- 等級6、太陽光4kW、HEMS(費用9万円):100万円 + 28万円 + 6万円 = 134万円
- 等級7、太陽光5kW、HEMS(費用12万円)、蓄電池(7kWh・費用84万円):180万円 + 35万円 + 6.6万円 + 28万円 = 249.6万円
- 全部が上限に届く等級7:180万円 + 35万円 + 6.6万円 + 35.7万円 = 257.3万円
- 全部が上限に届く等級6:100万円 + 35万円 + 6.6万円 + 35.7万円 = 177.3万円
区分ごとに計算し、千円未満は切り捨てです。等級7を選ぶと、等級6より80万円多くなります。
何が対象で、何が対象外か
線引きは、工事費の総額ではなく「ZEHを上回る基準」に入るかどうかです。ZEHを上回る基準とは、外皮(壁・窓など)の断熱性能を大幅に上げ、高効率な設備と再エネで、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロにすることを目指した住宅の基準です。
対象にならないもの
- 中古の設備
- 10kW以上の太陽光発電設備
- 停電時だけ使う非常用の蓄電池
- 費用が1kWhあたり15.5万円を超える蓄電池(工事費込み・税抜き)
- 県の対象製品として登録を受けていない蓄電池
対象になるもの
- 断熱等性能等級6・7の住宅の材料・設備の購入費と工事費
- 太陽光発電設備の購入費と工事費
- HEMSの購入費と工事費
- 蓄電池の購入費と工事費
等級6の外皮性能(UA値)は、2・3地域で0.28以下、4地域で0.34以下です。等級7は、2・3地域で0.20以下、4地域で0.23以下です。自宅の建築地がどの地域区分に当たるかは、設計者に確かめてください。
あわせて、再エネを除いた設計一次エネルギー消費量が基準から25%以上、再エネを加えて100%以上減っている必要があります。太陽光で発電した電力は、発電量の30%以上を敷地内で使います。
申請の流れ
- 登録事業者と契約する(建築主→登録事業者。2026年4月9日以降)
- 交付申請書を出す(建築主→岩手県建築住宅センター。郵送か持参で2部、2026年12月4日まで)
- 交付決定を受ける(県→建築主。通知から10日以内なら申請を取り下げられます)
- 建築し、気密測定と現場見学会をする(建築主・登録事業者。2027年3月15日までに完了)
- 実績報告書と請求書を出す(建築主→建築住宅センター)
実績報告は、事業の完了から30日たった日と、交付決定を受けた年度の3月31日のうち、早い日までです。
先着の受付で、申請書類がそろったものから順に受け付けます。募集戸数は予定で、断熱等性能等級6が11戸、等級7が8戸の計19戸です。受付状況は、県の案内ページに申請戸数が載ります。
必要な書類
準備できた 0 / 10
蓄電池の仕様書類は、蓄電池を入れるときだけ要ります。アンケートは交付申請と一緒に出します。基準を上回る確認書類は、申請のときは一次エネルギー計算書で、BELS評価書は実績報告で出します。
完了後の実績報告では、次の書類も出します。
- 気密測定の結果報告書と、費用を払ったことが分かる領収書の写し
- 住民票の写し(居住の確認)と、検査済証の写し
- 県産木材の証明書と、現場見学会等の実施報告書
- HEMSコントローラ接続・操作確認報告書(HEMSの画面写真つき)
もらえなくなるのはどんなとき?
- 契約が内示日より前だった:2026年4月9日より前に契約した事業は、原則として受け付けられません。繰越予算の例外は個別相談です。
- 予算に達して受付が止まった:先着のため、12月4日より前に止まることがあります。
- 気密測定の結果が基準を超えた:相当隙間面積(C値)が1平方メートルあたり1.0平方センチメートル以下であることが要件です。
- 3月15日までに完了しなかった:事業は同じ年度の3月15日までに終えます。現場見学会等だけは、3月15日以降でも構いません。
- 現場見学会等を実施しなかった:建設過程や完成時の見学会、ホームページでの公開などが要件です。
取り違えやすい点
- 太陽光とHEMSは任意ではありません。断熱だけで申請はできません。
- 蓄電池だけが選べます。入れない場合は、その分の額が減るだけです。
- 改修は別の事業です。県には「住まいの省エネルギー改修推進事業費補助金」(改修向け)があり、この記事は新築向けです。
- 国の負担や補助を受ける事業とは併用できません。県のQ&Aは、国土交通省・環境省の「みらいエコ住宅2026事業」、経済産業省の「給湯省エネ2026事業」、県の「いわて木づかい住宅普及促進事業」「住みたい岩手の家づくり促進事業」を併用不可と載せています。補助の対象が重なっていなければ併用できる場合もあるので、ほかの補助は実施機関か県に確かめてください。
登録事業者以外と契約してしまうと、あとから補助の対象に戻せません。工務店を決める前に、登録の有無を確かめます。
よくある質問
申請はどこに出しますか?
一般財団法人岩手県建築住宅センター(盛岡市盛岡駅西通1-7-1、電話019-623-4420)に、郵送か持参で出します。申請書類は2部で、1部は写しでかまいません。制度の所管は県土整備部建築住宅課の住宅計画担当(電話019-629-5934)です。書類に不備があると受け付けてもらえないので、先にチェックリストで確かめてください。
蓄電池は入れないといけませんか?
入れなくても申請できます。蓄電池は選択の区分で、入れた場合だけ補助額が足されます。補助は費用の1/3で、上限は35.7万円(1kWhあたり5.1万円を7kWh分まで)です。対象は、太陽光の付帯設備で、平時に充放電を繰り返すものです。停電時だけの非常用電源は対象外で、県の対象製品として登録を受けた製品に限られます。
太陽光は何kWまで対象ですか?
太陽電池モジュールの公称最大出力か、パワーコンディショナの定格出力が10kW未満のものが対象です。補助は1kWあたり7万円で、上限は5kW分の35万円です。5kWを超える容量を載せても、補助額は増えません。補助に使うkWは、パネルの出力の合計とパワーコンディショナの定格出力の小さいほうです。FIT・FIPの認定は取れません。
建売住宅を買う場合も対象ですか?
対象です。要綱は、新築戸建建売住宅の購入者になる個人も補助事業者に含めています。建売は、建売を前提に建築され、一度も登記されておらず、人が住んだことのない住宅です。未完成か、完成(検査済証の発行日)から1年以内のものに限られます。交付申請のチェックリストは建築主と購入者で同じ項目なので、登録事業者、県産木材5立方メートル以上、気密測定などの条件も同じと考えてください。引き渡しは、交付決定の後に行います。
店舗と一緒の住宅は対象になりますか?
対象になります。住宅の一部に店舗などの非住居部分があっても、住居部分が要綱の条件を満たしていれば足ります。県のQ&Aは、次の点に気をつけるよう案内しています。BELS評価書は住居部分だけで取ること。HEMSの計測は住居部分だけのデータが取れるようにすること。太陽光と蓄電池の費用は、住居と非住居の使用割合を出して、住居の分だけを補助の対象にすること。住居と非住居を断熱区画で分ける必要はありません。
現場見学会は何をすればいいですか?
建設の途中か完成時の見学会を開くか、ホームページなどで建築の様子を公開します。公開期間は1日以上です。実績報告のときに、実施内容、公開期間、見学会なら来場者数、実施状況の写真を報告書に書いて出します。ホームページで公開するときは、URLと、そのページを印刷した画面を添えます。見学会の完了は、3月15日以降でも構いません。
気密測定は誰がするのですか?
気密性能試験は、一般財団法人住宅・建築SDGs推進センターが認定した気密測定技能者が実施します。方法は、JIS A2201:2017(送風機による住宅等の気密性能試験法)か、同財団が定める方法です。気密工事が終わったあとに測り、相当隙間面積が1.0平方センチメートル毎平方メートル以下であることを示します。結果は実績報告で提出します。
温熱環境の測定に協力する必要はありますか?
あります。案内ページには、申請者と建設業者に、住宅の温熱環境の測定やヒアリングなどへの協力をお願いする旨が書かれています。大学などの研究機関との連携によるものです。あわせて、ZEHのエネルギー使用状況について、環境省と県への情報提供にも協力します。遵守事項に関する確認書に、この内容が含まれています。
契約をすでに結んでいます。対象ですか?
契約日が2026年4月9日以降で、2027年3月15日までに完了する見込みなら対象になりえます。補助事業の開始日は工事の着手日で、県のQ&Aでは建設業者との契約締結日を指します。完了日は、住宅を引き渡し、工事代金の支払いが終わった日です。4月9日より前でも、繰越予算を使える場合は、4月1日から内示日までに始めた事業を受け付けることがあります。すでに完了している事業は受け付けられません。契約日の確認できる書類を手元に置いて、建築住宅センターへ個別に相談してください。
補助額に端数が出たらどうなりますか?
区分ごとに計算し、千円未満の端数は切り捨てです。申請額は、算定した額と上限額のうち低いほうになります。たとえば太陽光なら、1kWあたり7万円で計算した額と35万円を比べます。HEMSと蓄電池は、税抜きの費用に補助率をかけた額と、それぞれの上限額を比べます。合計は、区分ごとの申請額を足したものです。
受付期間の終わりより前に締め切られることはありますか?
あります。補助金の交付申請額が予算額に達したら、受付終了予定日の2026年12月4日より前でも、受付を停止します。募集戸数は予定で、断熱等性能等級6が11戸、等級7が8戸です。受付の状況は県の案内ページで確かめられます。設計や見積もりに時間がかかるので、早めに登録事業者へ相談してください。
完成後の住宅を売却してもいいですか?
補助の対象になった財産には、処分の制限があります。住宅や、取得価格が単価50万円を超える機械器具などは、減価償却資産の耐用年数に沿って、善良な管理者の注意をもって管理する必要があります。期間内に売却や貸し付けをするときの手続きは、読み取れた範囲では要綱に細かい記載がありません。売却を考えるときは、県の担当に先に相談してください。
