令和8年7月28日の熊本地震で壊れた店舗・工場・機械の復旧費を、国と県が支える補助金です。中小企業は補助率3/4で、1事業者の上限は3億円です。
公募は3回に分かれ、締切は10月26日、11月17日、12月16日です。補助されるのは、元の状態に戻す費用までです。被災前より大きい建物や高性能の機械にしても、上乗せ分は自己負担になります。
くまもと事業者再出発支援補助金の要点まとめ
正式名:令和8年熊本地震に係る「くまもと事業者再出発支援補助金」
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 業種の指定なし(一次産業は加工・販売用のみ)
- 利用目的
- 被災した施設・設備・車両の復旧
- 対象地域
- 熊本県
- 従業員数
- 業種ごとに上限あり(本文の表)
いくら
- 補助上限額
- 3億円
- 補助率
- 中小企業3/4、中堅企業1/2
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年10月1日〜2026年12月16日(3回受付)
- 事業の完了
- 原則、年度内に支払いまで完了
公募回ごとの締切はいつ?
| 公募回 | 受付開始 | 締切 |
|---|---|---|
| 第1次 | 2026年10月1日(木) | 2026年10月26日(月) |
| 第2次 | 2026年11月2日(月) | 2026年11月17日(火) |
| 第3次 | 2026年12月1日(火) | 2026年12月16日(水) |
第1次の受付は10月26日で終わっています。公式ページに載っている公募回は第3次までです。県は、今後の日程を随時掲載するとしています。
申請は事業者単位で、原則1回です。事業所や支店が複数あっても、まとめて1回で出します。施設と設備で分ける場合に限り、最大2回まで出せます。どの回に出すかは、被災証明書と見積書がそろった時点で選ぶのが現実的です。
うちの会社は対象になる?
次の6つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
BCP(事業継続計画)は、災害時に事業を続ける手順をまとめた計画です。県の「熊本県版BCPシート」で作れます。国が認定する事業継続力強化計画でも構いません。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 住宅やアパートだけの復旧
- ✕ 大企業・みなし大企業
- ✕ 農林水産業の生産用の施設・設備
- ✕ 医療法人・NPO・学校法人など
- ✕ 賃貸目的の設備・レンタカー
みなし大企業は、大企業が株式の2分の1以上を持つなど、実質的に大企業の傘下にある会社です。農林水産業でも、加工や販売に使う施設・設備なら対象です。一部の農林水産業協同組合は、別の要件を満たせば対象になります。
中小企業の範囲は業種で決まる
中小企業は、資本金か従業員数のどちらか一方が下の表以内であれば該当します。
| 業種 | 資本金(出資総額) | 常時使用する従業員 |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業ほか | 3億円以下 | 300人以下 |
| ゴム製品製造業 | 3億円以下 | 900人以下 |
| ソフトウェア・情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 旅館業 | 5,000万円以下 | 200人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
小規模事業者は、従業員が製造業・建設業・運輸業ほかで20人以下、卸売業・小売業・サービス業で5人以下です。宿泊業と娯楽業は20人以下です。
規模の判定は、発災時・交付申請時・補助事業の完了時の3回で行います。どの時点でも要件を満たしていることが必要です。中小企業の枠を外れる会社は、資本金10億円未満なら中堅企業(補助率1/2)の扱いです。
いくら戻ってくる?
補助額は、税抜きの補助対象経費から保険金などを引き、補助率を掛けた額です。千円未満は切り捨てます。
| 区分 | 補助率 | 上限 |
|---|---|---|
| 中小企業・小規模事業者 | 3/4 | 3億円 |
| 中堅企業・みなし中堅企業 | 1/2 | 3億円 |
| 多重被災事業者 | 5億円までは定額(10/10) | 15億円 |
| 特定被災事業者 | 中小3/4、中堅1/2 | 15億円 |
計算例です。
- 工場の加工機械を修理する(税抜き800万円):800万円 × 3/4 = 600万円
- 修理費が税抜き1,200万円で、保険金が500万円出た:(1,200万円 − 500万円)× 3/4 = 525万円
- 中堅企業が倉庫を建て替える(税抜き4億円):4億円 × 1/2 = 2億円
- 中小企業が工場を建て替える(税抜き5億円):5億円 × 3/4 = 3.75億円 → 上限の3億円
保険金や共済金を受け取った分は、必ず差し引きます。請求できる保険金を請求しない物件は、補助の対象外です。
多重被災事業者は5億円まで全額
過去10か年度に激甚災害の被害を受けた事業者など、一定の要件をすべて満たすと、5億円までの部分が全額補助になります。
たとえば補助対象経費が6億円なら、5億円は全額で、超えた1億円に3/4を掛けた7,500万円が加わります。合計は5億7,500万円で、上限15億円の範囲内です。
要件には、新型コロナの影響を受けたこと、過去の激甚災害からの復旧で国などの支援を使ったこと、売上の20%以上の減少か厳しい債務状況のどちらかがあることなどが入っています。書類が多いため、定額補助申請マニュアル(県のページに掲載)で確認します。
特定被災事業者は、サプライチェーンに欠かせない小規模事業者などで、知事が認め、九州経済産業局長が承認した場合です。補助額が3億円を超える見込みなら、県に個別に相談します。
何に使える?
対象にならないもの
- 住宅用建物(店舗兼住居は事業用部分だけ面積按分)
- 土地の測量・造成、かさ上げ、土地の購入
- テーブル・椅子、食器・調理器具、書類棚・陳列棚などの汎用備品
- 商品・在庫・仕掛品・原材料、消耗品
- ソフトウェアなどの無形資産
- 賃貸目的の設備・車両(レンタカーなど)
- 保険料、保守費用、租税公課、清掃・消毒費
- 各種申請の手数料、申請代行の費用
- 自社で復旧する場合の人件費
- 仮設店舗や応急処置の費用、逸失利益、家賃
対象になるもの
- 店舗・事務所・工場・倉庫など、登記された建物の修繕費・建替費
- 資産計上している機械などの設備の修理費・入替費
- 事業のみに使っていた車両の修理費・入替費
- 復旧に付随する撤去費、処分費、据付費、運搬費、地盤改良費
- 建築工事に必要な設計費
撤去費や地盤改良費などは、単独では対象になりません。がれきの撤去や建物の解体だけを依頼する場合は、補助されません。
原則は修理・修繕です。次のときは入替や建替もできます。
- 設備が修理不能と認められた
- 建物が「全壊」か「大規模半壊」と判定された
- 見積書を比べると、入替や建替のほうが安い
対象経費の上限は、原状回復に必要な額です。実際の工事より高い工事をする場合は、原状回復だけの見積書も出します。
パソコンやルームエアコンは、資産計上され、被災前から業務のみに使っていたと証明できれば対象になることがあります。県に個別に相談します。登記や資産計上のない施設・設備も、固定資産課税台帳証明書や購入時の契約書で証明できれば対象になる場合があります。
申請の流れ
- 被災の証拠をそろえる(事業者→被災した場所の市町村。被災(罹災)証明書と、被害の写真)
- 復旧の見積書を取る(事業者→工事業者。1件100万円以上は2者以上から)
- 申請書類を2部作って出す(事業者→くまもと事業者再出発支援補助金受付センター。郵送か持参で、各回の締切まで)
- 交付決定を受ける(県→事業者。決定は、補助金の支払いを約束するものではない)
- 復旧して支払いまで終える(事業者。原則、口座振込で支払う。年度内に完了する)
- 完了から15日以内に実績報告を出す(事業者→県。県が別に日を指定すれば、早いほうが期限。BCPと保険の加入も、ここで確認される)
- 額の確定を受けて請求する(県が確定通知→事業者が請求→支払い)
発災日の令和8年7月28日以降なら、交付決定より前に復旧した経費も対象です。写真や書類で被害状況を確認できる場合に限ります。
必要な書類
準備できた 0 / 17
履歴事項全部証明書は法人、住民票は個人事業主です。保険金の書類は、保険金を受け取った場合に出します。決算書は法人の貸借対照表と損益計算書、個人の確定申告書です。建物の登記事項証明書は施設、固定資産台帳または償却資産台帳は設備と車両で使います。入替では、設備のカタログと修理不能申告書も要ります。
申請書類は、同じものを2部用意します。1部を出し、1部は控えとして保管します。ここに挙げたのは基本的なケースで、実際の必要書類は県の「チェックリスト(交付申請用)」で確認します。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 保険金を申告しなかった:受け取りを隠して補助を受けると不正受給です。交付決定が取り消され、補助金の返還と加算金が求められます。
- 請求できる保険金を請求しなかった:その物件は補助の対象外になります。
- BCPや保険の確認が取れない:どちらも実績報告書の審査で確認されます。中小企業と農林水産業協同組合は付保割合30%以上、中堅企業は40%以上の保険・共済が要ります。
- 補助で復旧した財産を無断で処分した:単価50万円以上の財産は、処分制限期間中に譲渡・貸付・廃棄などをするには県の承認が必要です。補助金相当額を返す場合があります。
- 車両を業務外で使った:交付後でも返還を求められます。
併用・税金・公表
同じ施設・設備の復旧に、国や県の別の補助金を重ねて使うことはできません。過去の災害の補助金で直した施設でも、今回の地震で被災したなら申請できます。
消費税は補助の対象外です。申請は、消費税を含まない額で出します。
国庫補助金を受けて固定資産を取得した場合、その分を収入に入れない取扱いがあります。確定申告書に一定の事項を書くことが条件です。経理処理は税理士に相談します。
交付決定を受けた事業者の名称と所在地は、県のホームページで公表されます。
多重被災の定額補助の細かい証明書類は、本記事では概要だけにとどめています。
県は、今回の補助金が今後すべての災害に用意されるとは限らないと案内しています。BCPと保険の用意は、この補助金のためだけでなく、次の災害への備えにもなります。
関連する制度に、被災した事業者の販路開拓などを支える持続化補助金 災害支援枠があります。売上の減少など、施設・設備の直接の被害でない損失は、この補助金では補助されません。
よくある質問
店舗兼住宅は対象になりますか?
事業用の部分だけが対象です。県は、補助対象施設の利用状況表と按分計算書で、事業用の面積の割合を出すと案内しています。復旧費は、事業用のみ、非事業用のみ、基礎や屋根などの全体に効くものの3つに分けます。全体に効く費用には、事業用部分の面積割合を掛けて補助対象経費を出します。住居部分の内装や住宅設備は対象になりません。
保険に入っていない小規模事業者は申請できますか?
申請できます。小規模事業者は保険・共済への加入が義務ではなく、加入推奨とされています。ただし交付要綱では、保険・共済に代わる取組を実施することが求められます。小規模事業者の範囲は、製造業・建設業・運輸業ほかで従業員20人以下、卸売業・小売業・サービス業で5人以下です。判定は発災時、交付申請時、完了時の3回です。
保険金を受け取った場合はどうなりますか?
復旧費から保険金や共済金を差し引いた額が、補助対象経費になります。交付申請の時点で受取額が決まっていなければ、実績報告のときにあわせて出します。受け取った保険金を申告せず補助金を受けたことが分かると、不正受給として交付決定が取り消されます。補助金の返還と加算金も求められるため、受取額は必ず県に伝えます。
修理ではなく入替や建替はできますか?
できます。設備は、メーカーなどの修理不能申告書があれば入替できます。建物は「全壊」か「大規模半壊」の判定があれば建替できます。修理が可能でも、見積書を比べて入替や建替のほうが安ければ選べます。この場合、補助対象経費は修理費が上限です。車両の入替では、被災車両の永久抹消が確認できる書類が要ります。
被災前より高性能の設備に入れ替えてもいいですか?
入れ替えられますが、補助されるのは原状回復に要する費用までです。たとえば全損したパン焼き機を、同じ時間でより多く焼ける機械に替える場合は認められます。食洗器のような別の設備に変えることは認められません。実際の工事とは別に、原状回復だけの見積書も出す必要があります。差額は自己負担です。
被災証明書が取れないときはどうしますか?
まず、被害のあった場所の市町村に、発行できるかを確認します。受付が終わっているなどで出せない場合は、被災(罹災)証明書が提出できない理由書を出します。あわせて、施設の建替なら建築士の建物被災状況報告書、修繕や設備なら専門業者の被災証明書を出します。様式はいずれも県の案内ページにあります。
見積書は何社から取ればいいですか?
1件の工事費が税込100万円以上なら、2者以上から取るのが原則です。次の場合は1者でも構いません。すでに復旧が終わっている、すでに発注や契約をしている、特殊な設備で対応できる業者が他にいない、複数者に頼んだが断られた、のいずれかです。この場合は「見積書が不足している理由書」を出します。
交付決定の前に直した分も対象になりますか?
対象になります。令和8年7月28日の発災日以降に復旧した経費は、交付決定の前でも補助の対象です。ただし、写真や書類で被害の状況を確認でき、復旧の内容が適正と認められる場合に限ります。すでに復旧が終わっている場合の被害写真は、現状の写真に被害の内容を書き足して整理した資料でも出せます。
車両は対象になりますか?
事業のみに使っていた車両は対象です。車検証の所有者であることに加え、車体の屋号表示、運行日誌、保管場所が事業所であること、任意保険の使用目的が事業用であることなどを合わせて確認します。社長車や通勤に使える車は対象外です。発災時に車検が切れていた車両も対象外です。修理不能での入替は、被災車両の永久抹消が条件で、同等品以下の車両に限ります。
借りている建物や設備は対象になりますか?
賃貸物件やリース品は原則対象外ですが、例外があります。借りている側が補助対象者で、復旧後も同じ入居者が事業を続ける場合です。この場合は、所有者の大家かリース会社が申請者になり、賃貸借契約書かリース契約書を出します。店子が大家から物件を譲り受けて、自分で申請することもできます。
以前の災害の補助金で直した設備でも申請できますか?
今回の地震で被災していれば申請できます。平成28年熊本地震のグループ補助金や、令和2年7月豪雨のなりわい再建支援補助金などで復旧した施設・設備も同じです。ただし、そうした施設を取り壊したり、設備を廃棄したりする場合は、財産処分の手続きが必要になることがあります。事前に県へ相談します。
補助金はいつ受け取れますか?
支払いは、補助額を確定したあとの精算払いが原則です。実績報告の審査が終わってから、おおむね2か月かかります。年度末や年度初めはもっと長くなることがあります。一定の要件を満たせば、概算払いを1回だけ請求できます。施設は建屋ごと、設備は機械ごとに、復旧と支払いが終わり使える状態になっていることが要件です。
申請書類を代行業者に頼めますか?
行政書士か行政書士法人に頼めます。県は、行政書士でない人が報酬を得て申請書類を作ることは行政書士法違反になると案内しています。県の受付センターと、商工会議所・商工会でも相談を受けています。熊本県行政書士会の案内も、県の案内ページに掲載されています。
問い合わせ先はどこですか?
くまもと事業者再出発支援補助金受付センターです。電話は096-284-7660で、受付は平日の9時から17時までです。メールはinfo@k-restart2026.comです。持参の場合の提出先は、熊本市中央区神水1丁目3-1のヨネザワ熊本県庁前ビル4階です。車で行くときは、熊本県庁の駐車場を使います。
