太陽光の工事は、金額より先に「順番」でつまずきます。契約書に判を押してから事前申込をすると、その工事は助成の対象外になるからです。
東京都環境公社(クール・ネット東京)が受け付ける家庭における太陽光発電導入促進事業は、都内の住宅に太陽光発電を付ける所有者が対象です。既存住宅なら1kWあたり最大15万円(3.75kW以下は上限45万円)、新築なら1kWあたり12万円(3.6kW以下は上限36万円)が助成されます。契約の前に事前申込を済ませることが、最初の条件です。
家庭における太陽光発電導入促進事業の要点まとめ
正式名:家庭における太陽光発電導入促進事業
だれが
- 申請者
- 住宅の所有者(個人・法人・管理組合)
- 対象業種
- 指定なし(住宅の所有者が申請)
- 利用目的
- 住宅への太陽光発電システムの設置
- 対象地域
- 東京都内
- 従業員数
- 規定なし
いくら
- 補助上限額
- 既存住宅は1kWあたり15万円(3.75kW以下は上限45万円)ほか
- 補助率
- 1kWあたりの単価制。パワコン更新は1/2
いつ・どこへ
- 申請受付
- 事前申込は2026年5月29日から(終了日は公式ページで確認)
- 事業の完了
- 設置は2029年3月30日まで。交付申請は事前申込から1年以内
自分の家は対象になる?
次の項目にすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
パネルはJET認証など、決められた認証を受けた製品に限ります。どの製品が当たるかは、施工業者に型番で確かめてもらうと早く済みます。申請者になれるのは、機器を所有して設置する個人・法人・管理組合です。リース会社がパネルを貸す場合は、借りて使う人と共同で申請します。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 契約を事前申込より先にした
- ✕ 既存の太陽光への増設である
- ✕ 代金を現金で支払う
- ✕ 発電出力が50kW以上である
契約が先になっても救われる例外が1つあります。契約を結んだ日が2026年4月1日から6月30日までなら、契約後でも2027年3月31日までに事前申込をすれば、令和8年度の助成として扱われます。それ以外の日付の契約は、事前申込が先でなければなりません。
いくら戻ってくる?
助成額は「1kWあたりの単価 × 発電出力」で決まります。新築か既存か、出力が3.6kW(新築)や3.75kW(既存)を超えるかで単価が変わります。
| 区分 | 出力 | 助成額 |
|---|---|---|
| 新築住宅 | 3.6kW以下 | 1kWあたり12万円(1棟36万円まで) |
| 新築住宅 | 3.6kW超 | 1kWあたり10万円 |
| 既存住宅 | 3.75kW以下 | 1kWあたり15万円(1棟45万円まで) |
| 既存住宅 | 3.75kW超 | 1kWあたり12万円 |
新築は住宅の建築と同時に付ける場合、既存は建築後に付ける場合です。3.6kW以下と3.75kW以下の区分は、「1棟あたりの額」と「出力 × 単価」のうち小さい方になります。どの区分でも、助成対象経費の合計が上限です。国や区市町村の補助を併せて受けるときは、助成金と補助金の合計が対象経費を超えない範囲になります。
- 既存住宅に2.5kWを付ける:2.5kW × 15万円 = 37.5万円
- 新築住宅に3.6kWを付ける:3.6kW × 12万円 = 43.2万円 → 上限の36万円
- 既存住宅に4.5kWを付ける:4.5kW × 12万円 = 54万円
- 新築住宅に5.0kWを付ける:5.0kW × 10万円 = 50万円
発電出力は、パネルの合計出力とパワコンの定格出力のうち小さい方で数えます。パネルが5.0kWでもパワコンが4.0kWなら4.0kWです。既存住宅なら4.0kW × 12万円 = 48万円で、5.0kWで計算した60万円にはなりません。見積書にパネルとパワコンの出力がそれぞれ書かれているかを確かめると、助成額の見込みが外れにくくなります。
陸屋根(傾きのほとんどない平らな屋根)の住宅には、上乗せがあります。
- 防水工事(既存住宅の陸屋根):1kWあたり18万円
- 架台の設置(集合住宅):1kWあたり20万円
- 架台の設置(既存の戸建住宅):1kWあたり10万円
上乗せはどれも、架台や防水の材料費と工事費の合計が上限です。たとえば既存の戸建住宅の陸屋根に4.0kWを付けるなら、本体の48万円に架台の4.0kW × 10万円 = 40万円と、防水の4.0kW × 18万円 = 72万円が加わる計算です。ただし実際の費用が計算より少なければ、その費用までしか出ません。
機能性PV(公社が認定した、機能に優れた太陽光発電システム)を選ぶと、区分に応じて1kWあたり1万円から10万円が本体の額に加わります。区分の中身は公式ページで確かめます。
何に使える?
対象にならないもの
- 諸経費
- 消費税・地方消費税
- 事前申込より前に契約や工事をした分(4月1日〜6月30日の契約の例外を除く)
- 助成の目的を超える過剰な仕様や、居住部分以外で使う設備の経費
- キャッシュバックやポイント還元、施工業者からの還付など、実質的に負担していない分
対象になるもの
- 太陽光発電システムの機器費(パネル、パワコンなど)
- 設置の工事費と材料費
- 陸屋根の架台設置と防水工事の費用(上乗せの対象)
- リフォーム瑕疵保険の保険料と検査料(1契約7,000円まで)
リフォーム瑕疵保険は、入る場合に限って助成が付きます。契約者になるのは、工事の請負契約を結ぶ施工業者です。
すでに太陽光を付けている家には、別の使い道もあります。パワーコンディショナの更新は、費用の1/2(1台あたり上限10万円)が助成されます。パネルが対象の認証を受けていて、発電した電気を居住部分で使っていることが条件です。
申請の流れ
- 見積もりを取る(所有者→施工業者。契約はまだしない)
- 事前申込をする(所有者→クール・ネット東京。契約の前に。見積書と個人情報の同意書を添える)
- 契約して工事をする(所有者→施工業者。代金は本人が金融機関やカードで払う)
- 交付申請兼実績報告を出す(所有者→公社。事前申込から1年以内、遅くとも2029年3月30日まで)
- 交付決定と振込を待つ(公社→所有者。審査は書類のほか、必要に応じて現地調査)
事前申込から1年以内に交付申請が出ていないと、公社は事前申込を廃止します。納期や工期の事情があるときは、期限の前に公社へ相談します。事前申込の名義は、あとから変更や追加ができません。
必要な書類
事前申込のとき
準備できた 0 / 2
交付申請のとき
| 書類 | どこで手に入るか |
|---|---|
| 交付申請兼実績報告書 | クール・ネット東京 |
| 交付申請用計算書 | クール・ネット東京 |
| 本人確認書類 | マイナンバーカード等 |
| 工事の契約書の写し | 施工業者 |
| 支払いの証明書類 | 金融機関・カード会社 |
| 助成対象経費の内訳 | 施工業者 |
| パネルとパワコンの保証書 | 施工業者 |
| 接続契約のご案内 | 電力会社 |
| 住宅の全景写真 | 自分で撮影 |
| 設置後のパネル写真 | 自分で撮影 |
| パネルの割付図 | 施工業者 |
| 通帳・口座証明書 | 金融機関 |
法人は、本人確認書類の代わりに商業登記の現在事項証明書などを出します。陸屋根では建物の登記事項証明書が要り、登記上も陸屋根と分かるものにします。リース・電力販売の契約書類と覚書、国などの補助の額の確定通知書、瑕疵保険の保険証券は、該当するときだけ出します。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 契約を事前申込より先にした:事前申込を受け付けた日より前の契約・工事は、経費に入りません。4月1日〜6月30日の契約だけが例外です。
- 代金を現金で払った:令和8年度に事前申込を受け付けた分から、実績報告で金融機関発行の証明書が必須です。現金の受け渡しは対象外です。
- ほかの都・公社の助成と重ねた:同じ機器に、都や公社の同種の助成を二重に受けることはできません。
- 出力の数え方を誤った:パネルとパワコンの小さい方で出力を数えるため、見込みより助成額が下がることがあります。
- 不備の修正に応じなかった:修正を求められた日の翌日から180日以内に直さないと、申請が撤回されたものとして扱われます。
助成を受けたあとの約束
助成を受けた太陽光発電システムには、処分制限期間が17年あります。期間内に売却したり、他の人に貸したり、廃棄したりするときは、事前に公社の承認が要ります。助成金を受け取ったあとなら、算出された額を公社に納めるよう求められることがあります。
住宅を売って持ち主が変わるときも、公社に承継の承認を申請する手続きがあります。設置にあたっては、環境省の「太陽光発電の環境配慮ガイドライン」に沿うことと、都の環境確保条例の騒音・振動の基準を守ることが、交付の条件です。
よくある質問
助成額は結局いくらになりますか?
既存住宅は3.75kW以下で1kWあたり15万円(1棟45万円まで)、3.75kWを超えると1kWあたり12万円です。新築住宅は3.6kW以下で1kWあたり12万円(1棟36万円まで)、3.6kWを超えると10万円です。たとえば既存住宅に4.0kWを付けるなら4.0kW × 12万円 = 48万円です。陸屋根の防水や架台、機能性PVを使う場合は、その分が加わります。
契約をしてしまったあとでも申し込めますか?
原則として、事前申込は契約より前です。ただし契約を結んだ日が2026年4月1日から6月30日までの場合に限り、契約後でも2027年3月31日までの事前申込が認められます。この期間に当たらない契約は、助成の対象外です。契約書の日付を確かめ、迷うときは契約書を結ぶ前にクール・ネット東京の太陽光担当(03-6633-3821)へ聞きます。
工事代金を現金で払うと対象外になりますか?
対象外です。令和8年度に事前申込を受け付けた分から、実績報告で金融機関が発行した証明書などの提出が必須になりました。認められるのは、ローン契約明細書、ATMや窓口の振込明細、ネットバンキングの振込履歴、クレジットカードの利用明細などです。経費の支払いは、助成を受ける本人が行う必要があります。契約の時点で支払い方法を決めておきます。
パネルの出力とパワコンの出力が違うときはどうなりますか?
助成額の計算に使う出力は、パネルの公称最大出力の合計とパワコンの定格出力の合計のうち、小さい方です。小数点以下第3位は四捨五入します。パネルが5.0kWでパワコンが4.0kWなら、4.0kWで計算します。見積書の段階で、両方の出力が何kWかを施工業者に確かめておくと、助成額の見込みが外れません。
新築でも使えますか?
使えます。住宅の建築と同時に設置する場合は新築の単価(3.6kW以下で1kWあたり12万円、3.6kWを超えると10万円)が当てはまります。建築後に付ける場合は既存の単価です。新築の戸建住宅は、陸屋根の架台の上乗せの対象外です。ハウスメーカーに頼む場合は、事前申込を誰が行うか、契約の前に済ませられるかを早めに詰めておきます。
国や区市町村の補助と併用できますか?
国や他の地方公共団体の補助を受ける場合は、助成金とその補助の合計が助成対象経費を超えない範囲で交付されます。一方、都や公社が出す同種の助成は、同じ機器に重ねて受けられません。区市町村の補助は年度ごとに実施の有無や条件が変わります。お住まいの区市町村の公式ページで、都の助成と併用できるかを確かめます。
マンションの管理組合でも申請できますか?
管理組合も申請者になれます。陸屋根の集合住宅では、架台の設置に1kWあたり20万円の上乗せがあります。既存の集合住宅なら、防水工事にも1kWあたり18万円が加わります。発電した電気を各住戸が戸別の契約で受電する場合は、受電する1住戸ごとに、3.6kW以下の新築なら36万円、3.75kW以下の既存なら45万円が上限です。ほかの区分所有者の承諾が要るので、決議の段取りは早めに進めます。
すでに付けている太陽光のパワコンだけ替えるときは?
パワーコンディショナの更新だけでも助成されます。費用の1/2が助成され、1台あたりの上限は10万円です。更新するパワコンは未使用品で、すでに設置済みのパネルが認証を受けていて、発電した電気を居住部分で使っていることが条件です。パネル本体の助成は新しく設置する場合の制度なので、パワコンの更新とは分けて考えます。
事前申込をしたあと、いつまでに申請すればいいですか?
交付申請兼実績報告は、事前申込を受け付けた日から1年以内に出します。1年以内に出さなかった事前申込は、公社が廃止します。契約から工事、支払いまでを1年の中に収める計画にします。納期の遅れなど事情があるときは、期限の前に公社と協議します。どの場合も、2029年3月30日が申請の最終日です。
助成を受けたあとに売却や撤去をしても大丈夫ですか?
処分制限期間は17年で、その間に売却・貸与・廃棄をするときは、事前に公社の承認を受けます。承認を受けずに処分すると、助成金の返還を求められることがあります。住宅を売る場合も、助成を受けた設備であることを買う人に伝えて、約束を引き継いでもらう必要があります。
問い合わせ先はどこですか?
申請の受付は、東京都環境公社(クール・ネット東京)の温暖化対策推進課 創エネ支援チーム 太陽光担当(03-6633-3821)です。制度そのものについては、東京都環境局気候変動対策部家庭エネルギー対策課(03-5388-3533)が窓口です。契約の前に、自分の家が新築と既存のどちらの区分に当たるか、陸屋根の上乗せが使えるかを電話で確かめておくと、手戻りが減ります。
