老舗の菓子のパッケージを刷新したい。地元の食材を使った料理を、写真に撮りたくなる盛り付けに変えたい。やりたいことが決まっても、デザイン委託や広告の見積を取った時点で手が止まることがあります。
東京都と東京観光財団が出すこの助成金は、多摩・島しょ地域で土産品や食を磨き上げる取組の費用の3分の2(大企業は2分の1)を、上限600万円まで助成します。本店が23区内でも、事業を多摩・島しょ地域で行えば対象です。ただし助成の対象期間は2027年4月1日からで、それより前に結んだ契約と済ませた支払いは出ません。
多摩・島しょ観光プロモーション助成金(第2回)の要点まとめ
正式名:土産品等を活用した多摩・島しょ観光プロモーション事業助成金(第2回)
だれが
- 申請者
- 観光協会等・商工会等・法人・個人事業者
- 対象業種
- 観光関連事業者など(宿泊・飲食・小売ほか)
- 利用目的
- 土産品・現地食の磨き上げとプロモーション
- 対象地域
- 東京都(取組は多摩・島しょ地域で実施)
- 従業員数
- 規定なし(大企業は助成率が1/2)
いくら
- 補助上限額
- 600万円
- 補助率
- 対象経費の2/3(大企業は1/2)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年10月15日〜2026年12月18日
- 事業の完了
- 2028年3月31日まで
うちは対象になる?
民間事業者なら、次の5つにすべて当てはまれば対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
土産品等とは、旅行者が持ち帰る商品と、現地でその場で味わう飲食物のことです。どちらも地域の自然、歴史、文化、産業の特色を反映していることが条件になります。多摩地域は区部と島しょ地域を除く都内で、島しょ地域は大島町から小笠原村までの9町村です。
申請できるのは民間事業者のほか、観光協会等、商工会等、NPO法人、一般・公益の社団法人や財団法人です。民間事業者は宿泊、飲食、小売のほか、旅行者向けに商品やサービスを開発・販売する事業者も入ります。個人事業者も含まれます。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 直近1年以内に休業・休眠した(災害除く)
- ✕ 開業や運転資金が目的の事業
- ✕ 特定の顧客向けで汎用性がない事業
- ✕ 単発で地域への定着がない事業
1事業者につき申請は1件です。同じ内容で、国、都道府県、財団、東京都中小企業振興公社などから助成を受けている場合も申請できません。
大企業の助成率が下がる点も押さえておきます。中小企業は、中小企業基本法の定義で決まります。業種ごとに資本金と従業員数の上限があり、どちらか一方を満たせば中小企業です。
いくら戻ってくる?
助成額は、助成対象経費の合計(税抜)に助成率を掛けた額です。中小企業は3分の2、大企業は2分の1で、千円未満は切り捨てます。上限の600万円に届くのは、中小企業なら助成対象経費が900万円のときです。
次の金額は計算のための仮の数字で、公式ページに載っている費用ではありません。
- 菓子店がパッケージのデザイン委託と英語併記の制作に使う:300万円 × 2/3 = 200万円
- 織物の土産物でホームページ改善とSNS広告に使う:900万円 × 2/3 = 600万円(上限ちょうど)
- ホテルが地元食材のメニュー磨き上げと動画発信に使う:1,200万円 × 2/3 = 800万円 → 上限の600万円
- 大企業が同じ1,200万円の事業をする:1,200万円 × 1/2 = 600万円
3つ目の例では、上限を超える600万円は自己負担です。上限に届く規模の事業なら、手元資金の準備も申請の前に考えておく必要があります。
事業で収入が出ると、助成額が減る場合があります。募集要領の例では、総事業費990万円・助成対象経費900万円・事業の収入500万円のとき、助成金の予定額600万円から収益相当額110万円を引いて、確定額は490万円です。入場料、協賛金、寄付金など、その事業に関わる収入はすべて帳簿で管理して実績報告に載せます。
助成金とは別に、専門家(アドバイザー)の派遣が10回まで付きます。助成の対象期間が終わる年度の翌年度の末までには、広報プロモーターが磨き上げた土産品や食をメディアで発信する広報支援もあります。
何に使える?
対象にならないものを先に挙げます。
- 土産物やパッケージの量産のための製造費
- 土地・建物・施設の取得費と、土地などの賃借料
- 自社の人件費、旅費(専門家の指導に係るものは可)
- 事務用消耗品、光熱水費、既存サーバーの使用料などの経常的な経費
- 商標や特許の出願後の費用(審査請求、登録料、維持年金)
- 研修などの人材育成費だけで申請すること
- 消費税と地方消費税
- 2027年4月1日より前に契約、実施、支払いをした経費
対象になるのは次の4区分です。
- 外注・委託費:マーケティング調査・分析、広報戦略の策定、デザインの委託
- 人材育成費:商品の磨き上げ手法を学ぶ講座の参加費、マニュアルの作成費
- 産業財産権の出願・導入費:磨き上げた商品の商標や特許の出願(調査を含む)
- 広告費:外部委託のカタログ・パンフレット・ホームページ・映像の制作、新聞・雑誌・Web広告、自社で開くPRイベントの会場費や出演料
人材育成費は、自社内の研修でも専門家のアドバイスを受けて行う場合に限り対象です。
親会社、子会社、グループ企業、代表者の三親等以内の親族が経営する会社との取引は、原則として認められません。取引先を決める前に確認しておくと安心です。この点に迷う場合は、財団に事前に相談する形が用意されています。
申請の流れ
申請は郵送が基本です。メールだけの申請と持ち込みは受け付けません。
- 募集要領と様式を取り寄せる(事業者→東京観光財団のホームページ。早めに)
- 見積書と仕様書をそろえる(事業者→委託先。1件100万円以上は2社以上)
- 申請書類を郵送し、電子データをメールでも送る(事業者→東京観光財団 地域振興部 事業課。12月18日必着)
- 一次審査(書類)と二次審査(面接)を受ける(財団→事業者。2027年1月上旬から3月上旬)
- 交付決定の通知を受ける(財団→事業者。2027年3月中旬から下旬)
- 2027年4月1日以降に契約して事業を進める(事業者。最長で2028年3月31日まで)
- 完了から30日以内に実績報告を出す(事業者→財団。完了検査のあと額が確定し、請求して支払い)
書類を送る方法は、簡易書留や特定記録など、配達の記録が残る方法です。提出後の修正と加筆は認められません。書類の返却もありません。
必要な書類
準備できた 0 / 11
交付申請書と誓約書は、原本(実印押印)とコピーを1部ずつ出します。登記簿謄本と印鑑証明書は、発行後3か月以内のものです。個人事業者は、登記簿謄本の代わりに開業届の写しを出し、納税証明書は事業税が課税か非課税かで種類が変わります。観光協会などの団体は、定款、役員名簿、当該年度の事業計画書も加わります。見積書は100万円未満でも1社分が必要です。法令上の許認可が要る事業では、その許認可証の写しも出します。申請後に取る許認可は、実績報告のときに出します。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 2027年4月1日より前に契約した:対象期間より前の契約と支払いは、助成の対象になりません。事業の開始は交付決定のあとの4月1日以降です。
- メールだけで出した、または持ち込んだ:どちらも受け付けません。簡易書留などの郵送に、電子データのメール送付を添えます。
- 見積書が1社分だった:1件100万円以上の発注は、原則2社以上から取り、最も安い業者を選びます。契約を100万円未満に小分けにする行為は不正とされます。
- 支払いが期間内に終わらなかった:契約から支払いまでが期間内に完了した経費だけが対象です。支払いは振込が原則で、クレジットカードのリボ払いと分割払いは認められません。
- 同じテーマで他の助成を受けている:国、都道府県、財団、東京都中小企業振興公社などの助成を受けた経費は対象外です。
- 交付決定後に内容を変えた:原則として変更できません。やむを得ない場合は、事前に変更承認申請書を出して承認を受けます。
併用と収入の扱い
観光協会等が申請者の場合は、市区町村からの補助金を併用できます。それ以外の申請者は、国、都、財団、東京都中小企業振興公社などの助成を受けた経費を助成対象にできません。
この回の支援予定数は3件程度です。募集要領の審査の節には「年度を通して5件程度」とも書かれていて、第1回の採択分を含む数なのかは明記がありません。いずれにしても数件の競争になるので、書類審査と面接で事業の新規性と継続性を説明できる準備が要ります。審査では、地域性、新規性、事業性、実現性・確実性、適合性・波及性が見られます。
よくある質問
本社が23区内でも申請できますか?
申請できます。見られるのは本店の所在地ではなく、事業を実施する地域です。都内に登記簿上の本店か支店があり、取組を多摩・島しょ地域で行うなら、本店が23区内でも対象になります。ただし、助成事業の成果は都内で確認できる必要があります。多摩地域は区部と島しょ地域を除く都内、島しょ地域は大島町、利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ヶ島村、小笠原村です。
個人事業主でも申請できますか?
申請できます。民間事業者には法人のほか個人事業者も含まれます。条件は、都内で旅行者向けの事業を営み、2026年10月15日の時点で引き続き1年以上事業をしていることです。事業税が課税される人は、開業届の写しと都税事務所の納税証明書、代表者の住民税納税証明書を出します。非課税の人は、所得税の納税証明書と住民税の納税証明書が必要です。
助成の対象期間はいつからいつまでですか?
2027年4月1日から1年以内で、最長でも2028年3月31日までです。この期間に契約、取得、実施、支払いまで終わった経費だけが対象になります。申請は2026年内に済ませますが、委託先との契約や支払いは2027年4月1日以降です。年内に発注してしまうと助成の対象外になるので、見積と仕様の相談にとどめておく必要があります。
申請はメールだけでできますか?
できません。簡易書留や特定記録など配達の記録が残る方法で書類を郵送し、そのうえで全書類の電子データもメールで送ります。持ち込みも受け付けません。電子データは、PDFでなくExcelやWordなど編集できる形式で送ります。メールの件名は助成金の名前のあとに団体名を付けます。郵送は2026年12月18日の必着です。
何件くらい採択されますか?
この回の支援予定数は3件程度で、東京都と財団のページも同じ数です。募集要領の審査の節には「年度を通して5件程度」とあり、第1回の分を含むのかは明記がないため、件数は目安です。応募の数にもよるので、数件の競争になると見ておくのが現実的です。審査は書類、面接の2段階で、審査の経過と結果への問い合わせには応じてもらえません。異議の申し立ても認められません。
審査はどのように進みますか?
一次審査は書類で、2027年1月上旬から2月上旬の予定です。通過した人は二次審査の面接に進み、2月中旬から3月上旬に申請内容の説明と質疑があります。コンサルタントは同席できません。結果の通知は3月中旬から下旬の予定です。見られる点は、地域性、新規性、事業性、実現性・確実性、適合性・波及性の5つです。
助成金はいつ入金されますか?
事業を終えて実績を確認したあとの、精算払いです。完了から30日以内に実績報告を出し、必要に応じて財団の完了検査を受けます。結果が交付決定の内容に合っていれば額が確定し、確定通知を受けて請求書を出すと、指定の口座に振り込まれます。事業の期間中に費用を立て替える資金が要ります。入金の時期は検査の進み具合で変わります。
土産物の製造費は対象になりますか?
対象になりません。販売する商品やそのパッケージの量産(製造)にかかる費用は、助成対象外です。対象になるのは、磨き上げのためのデザイン委託やマーケティング調査、広告の制作や出稿、商標などの出願、研修といった費用です。パッケージを刷新する場合も、デザインの委託までが対象で、刷って量産する部分は自己負担になります。
見積書は何社分必要ですか?
1件100万円(税込)以上の発注は、2社以上の見積書が必要です。中立な立場で、申請者自身が取ります。100万円未満でも、少なくとも1社分は要ります。見積書には税込と税抜の金額を書き、依頼した仕様書の写しも付けます。業者を決めるときは、競争入札か見積合わせで、最も低い価格を出した業者を選ぶのが原則です。
事業で収入が出たらどうなりますか?
収益が生じた場合は、助成額から差し引かれます。入場料、協賛金、寄付金など、その事業に関わる収入が対象です。総事業費から助成金の予定額を引いた自主財源分を、収入が上回ったときに、その上回った額が控除されます。募集要領の例では、収入500万円で助成金600万円が490万円に減ります。収入は帳簿で管理して、実績報告で出します。
専門家の派遣や広報支援には費用がかかりますか?
アドバイザーの派遣は、助成の対象期間内に10回までです。商品の磨き上げやプロモーションの専門家が、事業計画の実行を助言します。広報支援は、対象期間が終わる日の属する年度の翌年度末までに、広報プロモーターがメディア発信を行うものです。費用負担の定めは、募集要領に記載がありませんでした。気になる場合は、東京観光財団の事業課に聞いてください。
問い合わせ先はどこですか?
事業全般は東京都 産業労働局観光部振興課(電話 03-5000-7321)です。申請方法は東京観光財団 地域振興部 事業課(電話 03-5579-2682、メール chiiki@tcvb.or.jp)です。募集要領と申請様式は、財団のホームページからダウンロードできます。人材育成費の扱いや関連会社との取引など迷う点は、申請の前に事業課に相談しておくと、書類の出し直しを防げます。
