ワーケーションの決まりを、すでに就業規則に書いている会社は対象外です。申請する日の時点で規定がある会社は、奨励金を受けられません。
東京都内で事業をしている中堅・中小企業が、これから規定を新しく作って社員に1回ワーケーションをしてもらうと、10万円(定額)が支給されます。窓口は東京しごと財団で、申請は2027年2月26日までですが、予算の枠が埋まると期限より前に受付が終わることがあります。1社につき1回だけで、令和7年度や今年度に受給した会社は申請できません。
ワーケーション勤務導入奨励金の要点まとめ
正式名:令和8年度ワーケーション勤務導入奨励金
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 指定なし(風俗営業などは対象外)
- 利用目的
- ワーケーション勤務の規定づくりと実施
- 対象地域
- 東京都内
- 従業員数
- 都内勤務の常時雇用2人以上、全体で999人以下
いくら
- 補助上限額
- 10万円
- 補助率
- 定額
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年4月28日〜2027年2月26日
- 事業の完了
- 支給決定日から3か月以内
うちの会社は対象になる?
次の6つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
「常時雇用する労働者」とは、期間の定めなく雇っている人のほか、1年を超えて続けて雇われている人や、採用時から1年を超えて雇われる見込みの人です。登録型の派遣労働者は含みません。2人のうち1人は、申請日の時点で6か月以上雇っていて、雇用保険に入っている人である必要があります。個人事業主も対象ですが、都内の税務署に開業届を出していることが条件です。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 申請日にワーケーションの規定がある
- ✕ 昨年度までに本奨励金を受けた
- ✕ 過去5年に重大な法令違反がある
最低賃金や36協定(時間外労働に関する労使協定)など、労働関係法令を守っていることも条件です。法人は本店か支店・営業所が都内にあることが必要で、営業実態がなく法人都民税が免除されている場合は対象外です。東京都の政策連携団体なども対象外です。
いくら戻ってくる?
支給額は10万円の定額です。かかった費用に応じて増えも減りもしません。
- 従業員8人の会社が規定を作り、社員1人が1回実施する:10万円 × 1回 = 10万円
- 従業員300人の会社が同じ取組をする:10万円 × 1回 = 10万円
- 同じ代表者が2つの法人を持つ:別法人でも同じ企業とみなされ、合わせて1回の申請
金額は一律なので、規定づくりにかけた費用が10万円を超えても、上乗せはありません。社労士に頼むかどうかは、費用と手間を見比べて決める形になります。
何をすれば受け取れる?
支給が決まってから3か月以内に、次の2つを順に行います。順番が決まっていて、先に規定、次に実際の勤務です。
- 「ワーケーション勤務を可能とする規定」を新しく作って施行する
- 社員1人以上が、1回以上ワーケーション勤務をする
規定には、次の4つを入れる必要があります。
- ワーケーション勤務の定義(実際の働き方に合わせて)
- 申請の手続きの方法
- 労働時間の管理方法(始業・終業時刻の把握)
- 情報の取り扱い
就業規則など社内の規定に明記し、労働者の合意を得て社内に周知します。名称は問われません。会社が所属する事業所のほか、勤務する任意の場所で働けると書いておくことも必要です。
実際の勤務は、次の3つを満たすものだけが対象です。
- 作った規定の申請手続きを通し、承認を受けている
- 年次有給休暇などの休暇に連続している
- 普段の職場や自宅とは違う場所で働く
宿泊の有無は問われません。休日と休暇は別物で、休日は土日祝日などもともと働く義務のない日、休暇は有給休暇のように働く義務のある日を会社が免除する日です。休暇か、休暇に連続する休日の前後(または中間)に実施した勤務が対象になります。土日だけの勤務は、休暇に連続していないので対象外です。
対象者は、申請日の時点で都内の事業所に所属する常時雇用の労働者から選びます。経営者は労働者に含まれないため、対象者にできません。
申請から振込までの流れ
- 規定がないことを確かめる(事業者。就業規則とテレワーク規定の両方を見る)
- 財団に支給申請をする(事業者→東京しごと財団。2027年2月26日まで。電子申請か郵送。予算が尽きれば前に終わる)
- 支給決定の通知を待つ(財団→事業者。この日が起点になる)
- 3か月以内に規定を作り、社員が1回ワーケーションをする(事業者。規定は実績報告までに労働基準監督署へ届け出る)
- 実績報告書を出す(事業者→財団。支給決定日から4か月以内、取組期間の終了後1か月以内)
- 確定通知を受けて請求する(事業者→財団。電子はJグランツに口座を入力、郵送は請求書と印鑑証明書。振込は請求から約1か月後)
支給決定の前に実施したワーケーション勤務は、実績に含められません。規定づくりも、申請してから進める形です。
必要な書類(申請時)
準備できた 0 / 9
雇用保険の確認通知書は労働者2人分です。就業規則は、常時雇用10人以上なら労働基準監督署の届出印があるものが必須です。10人未満で規定を作っている場合は、届出印の有無を問いません。テレワークの規定と水道光熱費の書類は、該当する会社だけが出します。履歴事項全部証明書は、発行から3か月以内のものです。個人事業主は、開業届、住民票記載事項証明書、個人の都民税と事業税の納税証明書を出します。
実績報告では、作った規定、ワーケーション勤務を申請した資料、タイムカードなどの勤務状況が分かる書類、宣言書を出します。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 申請日に規定があった:就業規則やテレワーク規定にワーケーションの規定がある会社は対象外です。
- 休暇に連続していなかった:年休などに連続しない勤務や、自宅・普段の職場での勤務は、対象になりません。
- 3か月以内にやらなかった:取組期間内に実施しないで中止すると、再度の申請はできません。
- 宣言書が取れなかった:実績報告までに、都の「テレワーク東京ルール」実践企業宣言に登録し、「テレワーク推進リーダー設置」の表示がある宣言書を取る必要があります。
- 報告が期限に遅れた:実績報告が期限を過ぎると、中止したものとして扱われます。
電子申請か郵送か
電子申請は、国の電子申請システム「Jグランツ」から出します。使うには「GビズID」(法人や個人事業主向けの共通ログインID)のアカウントが要ります。発行には審査があり、時間がかかります。IDが間に合わなくても申請期限は延びません。その場合は郵送に切り替えます。
社労士や行政書士など、会社の在籍者以外による代行申請は、Jグランツではできません。郵送で出し、委任状(様式第10号)を添えます。郵送と電子の併用はできず、持参も受け付けていません。申請書類の中身は電子も郵送も同じです。違うのは出し方と、確定後の請求の手続きです。電子申請の請求は、Jグランツで口座情報を入力するだけで、請求書や印鑑証明書は要りません。
よくある質問
すでにテレワーク規定があっても申請できますか?
テレワークの規定があるだけなら申請できます。対象外になるのは、ワーケーション勤務を可能とする規定がすでに整っている会社です。テレワーク規定にワーケーションを認める内容が入っているなら、対象外と判断される可能性が高くなります。申請のときに、就業規則とテレワーク規定の両方を出すので、財団も内容を確かめます。判断に迷うときは、申請の前に財団へ問い合わせてください。
従業員が1人だけの会社でも対象ですか?
対象外です。都内に勤務する常時雇用の労働者が2人以上いることが条件です。そのうち1人は、申請日の時点で6か月以上続けて雇っていて、雇用保険に入っている必要があります。雇用保険の被保険者が2人いなければ、1人分を確認通知書で、もう1人分を労働契約書などで示します。社長は労働者に含まれないので、人数にも数えられません。
社長がワーケーションをしても対象になりますか?
なりません。ワーケーション勤務をする対象者は、申請日に都内の事業所に所属している常時雇用の労働者から選びます。経営者は労働者に含まれないため、対象者にできません。社長本人が出かけても、実績として認められないので、実際に行く社員を先に決めておきましょう。休暇を取れる時期もあわせて、社員と調整しておくと安心です。
どんな勤務がワーケーションとして認められますか?
規定の手続きで申請・承認された勤務で、年次有給休暇などの休暇に連続し、普段の職場や自宅とは違う場所で行うものです。宿泊の有無は問われません。タイムカードなどで勤務状況を示す必要があります。休暇の前後どちらでも構いません。ただし、土日祝日のような休日だけにつなげた勤務は対象になりません。休暇に連続する休日の前後や中間なら対象です。
規定は何を書けばいいですか?
必要なのは4つで、ワーケーション勤務の定義、申請の手続き、労働時間の管理方法、情報の取り扱いです。会社の事業所のほか、勤務する任意の場所で働けると明記することも求められます。名称は就業規則でもテレワーク規定でも構いません。労働者の合意を得て文書にし、社内に周知します。具体的な条文の例は、公式ページには載っていません。
従業員が10人未満でも労働基準監督署への届出は要りますか?
要ります。通常、就業規則の届出義務がない10人未満の会社でも、この奨励金では、ワーケーション勤務に関する項目を定めた規定を、実績報告までに労働基準監督署へ届け出る必要があります。届出済みであることは、実績報告の書類で確かめられます。届出先や手続きの細かい方法は、管轄の労働基準監督署に聞いてください。
規定は申請の前に作っておいてもいいですか?
作らないでください。申請日に規定があると対象外で、支給前に実施したワーケーション勤務も実績に含められません。規定を作って施行するのは、支給決定のあとの3か月の間です。社内で検討したり、案を用意したりするのは問題ありませんが、施行は決定を待ちましょう。申請から決定までの期間は、公式ページに載っていません。
社労士に申請を頼めますか?
郵送なら頼めます。社労士や行政書士などが代理で出す場合は、委任状(様式第10号)を添えます。電子申請のJグランツでは、会社の在籍者以外の代行申請ができません。財団からの通知は、代理人ではなく申請した会社に届きます。連絡先の欄には、実際の実務担当者を書く決まりです。内容を説明できる会社の担当者が電話に出られるようにしておきましょう。
振込はいつですか?
実績報告のあと、財団の審査を経て奨励額確定の通知が届きます。そこから請求の手続きをします。電子申請ならJグランツに口座を入力し、郵送なら請求書兼口座振替依頼書と印鑑証明書(原本)を送ります。請求の受領後、約1か月で指定口座に振り込まれます。申請から振込までに全体で何か月かかるかは、公式ページに書かれていません。資金繰りの予定に入れるときは、余裕を見ておいてください。
去年受けた会社も申請できますか?
申請できません。令和7年度と令和8年度に本奨励金を受けた会社や、申請中の会社は対象外です。申請は1事業者につき1回で、重複したときは先の申請が有効になります。代表者が同じなら別法人でも同じ企業とみなされます。同じ取組で要件を満たす国や都の補助金などを受けた(受ける)場合は、この奨励金は併給されません。サテライトオフィス勤務導入奨励金など個別の制度との組み合わせは、公式ページに書かれていないので財団に聞いてください。
問い合わせ先はどこですか?
公益財団法人東京しごと財団 企業支援部 雇用環境整備課 テレワーク定着支援係です。電話は03-5211-0395で、平日の9時から17時(12時から13時を除く)に受け付けています。問い合わせるときは、「令和8年度ワーケーション勤務導入奨励金について」と伝えてください。審査の経過や結果、書類の到着確認には、答えてもらえません。
