畜産の補助金は国が畜産クラスター事業(施設や機械)、配合飼料価格安定制度やマルキン(価格や収入が落ちたときの下支え)、新規就農の資金などを用意し、県や市町村が飼料の値上がり分の支援金や家畜の導入、電気柵といった身近な支援を出す形で分かれています。施設と機械の整備に使う畜産クラスター事業は補助率が1/2以内です。
飼料の値上がりに困っている農家が最初に見るのは、配合飼料価格安定制度と自治体が出す飼料高騰の支援金です。田んぼで家畜のえさ用の米をつくる飼料米の補助金は畜産の補助金とは窓口が違い、水田活用の直接支払交付金(水活)で出ます。国の制度の多くは地域の畜産クラスター協議会や県の畜産課、地域農業再生協議会といった窓口を通すので、個人が農林水産省に直接申し込む形ではありません。
この記事では、制度の仕組みと畜種ごとの違いを先に整理しました。そのあとに国の主な制度を目的別に説明し、融資や保険との違い、代表的な補助金の金額と締切の暦、よくある注意点、都道府県ごとの一覧を載せています。自分の県の制度は一覧から各制度の記事へ進めます。
畜産の補助金の概要
畜産の補助金は、お金を出す側で国・都道府県・市町村・JAや財団などの団体に分かれます。国の制度は事業の枠組みを作り、実際の受付は県や協議会、基金を管理する団体が受け持つことが多く、同じ制度でも受付の窓口は地域ごとに違います。
補助金・融資・保険の違い
畜産の支援には返さなくてよい補助金のほかに、借りて返す融資と備えるための保険があります。補助金は施設の整備や機械の導入など、決まった目的の費用の一部を出す仕組みです。融資は日本政策金融公庫などから低い利率で借りるもので、借換えや運転資金にも使えます。保険は家畜の病気や事故、収入の落ち込みに備えるものです。
農林水産省の「畜産農家・関係団体に対する支援」のページは、生産者が使う目的別に融資と補助の事業を紹介しています。ページに並ぶ分類は「畜産関係事業概要」「畜産経営安定対策」「畜産関係融資制度」「家畜の病気を防ぐために」の4つです。補助金の記事を探していても、実際に先に使うのは融資や経営安定対策のほうだったという農家は少なくないと私は見ています。資金繰りに困っているときは、補助金を待たず融資の相談窓口に先に連絡するほうが早く動けます。
国・都道府県・市町村・JAの4層
国の制度は畜産クラスター事業のように全国で同じ枠組みで募集されるものと、マルキンのように法律に基づいて基準を下回った差額が交付されるものに分かれます。国の予算は毎年度の当初予算と補正予算で組まれ、農林水産省の同じページに令和2年度から令和9年度の概算要求まで、年度ごとの概要がまとめられています。
都道府県は国の事業の窓口を務めるほか、県独自の補助を出します。たとえば県内の畜産農家に配合飼料や輸入乾牧草の購入費の一部を出す支援、家畜の導入への補助などです。市町村はさらに身近な支援を出します。この記事の下の一覧にも千葉市の飼料給付金、水俣市の資材高騰の支援金、雫石町の電気柵の補助など、市町村の制度が並んでいます。
JAや畜産会、各種の基金協会も、会員向けの補助や積立ての事業を持っています。国の補助を受けるときの窓口になる団体もあるので、入っているJAや畜産会に先に聞くと話が早く進みます。
補助率と額の決まり方
畜産の補助金の額は、おおむね次の3つの形で決まります。
- かかった費用に割合をかける「補助率」。畜産クラスター事業の施設整備と機械導入は、1/2以内です。
- 頭数や面積に単価をかける「単価制」。千葉市の粗飼料の給付金のように、牛1頭あたりの定額で出す支援金がこの形です。
- 価格や収入が基準を下回った差額を補う「補塡」。配合飼料価格安定制度やマルキンがこの形で、事前の申請ではなく加入と積立てが前提です。
「1/2以内」は半分もらえるという意味ではありません。対象経費の半分が上限で、実際の補助額はそこから国や県の予算の範囲で決まります。さらに対象になるのは、制度が認めた経費だけです。事務所や居住部分、制度の対象外の設備は補助率をかける前に外されます。
個人や小規模でも使えるか
結論から言うと個人の畜産農家も使える制度はあります。畜産クラスター事業の実施要領では、事業に取り組む者として法人のほかに「畜産を営む者」も挙げています。個人の場合は3年以内に法人になる計画があるか、青色申告の承認を受けて継続する見込みがあり、原則45歳未満か後継者の確保が見込まれること、そのうえで県知事が認めることなどの条件が付きます。
マルキンや加工原料乳の補給金のような経営安定の制度も、個人の経営が使えます。一方で販売額の少ない小さな経営には、自治体の支援金のほうが現実的な場合があります。藤崎町のように、販売金額に応じて額を決める自治体の支援金もあります。最初に確認する順番は市町村、県、国の順で足りると考えています。身近な窓口のほうが条件の幅が広く、申請の書類も軽いことが多いからです。
畜種別(酪農・肉用牛・養豚・養鶏)の違い
畜種によって、使える経営安定の制度が違います。農林水産省の「主な畜産経営安定対策」のページは、次のように整理しています。
| 畜種 | 経営安定のための主な制度 |
|---|---|
| 酪農 | 加工原料乳生産者補給金、加工原料乳生産者経営安定対策事業 |
| 肉用牛(繁殖) | 肉用子牛生産者補給金 |
| 肉用牛(肥育) | 肉用牛肥育経営安定交付金(牛マルキン) |
| 養豚 | 肉豚経営安定交付金(豚マルキン) |
| 養鶏(採卵) | 鶏卵生産者経営安定対策事業 |
施設や機械の整備は、畜種を問わず畜産クラスター事業で受けられます。実施要領は、整備できる家畜飼養管理施設を畜種別に挙げています。乳用牛なら搾乳牛舎や搾乳施設、肉用牛なら繁殖雌牛用の牛舎や肥育牛舎、養豚なら繁殖母豚舎や分娩ほ育豚舎、養鶏ならウインドレス鶏舎や孵卵施設などです。
畜産クラスター事業(施設・機械・家畜導入)
畜産クラスター事業は畜舎や堆肥舎、機械を新しくするときの中心になる国の制度です。農林水産省は畜産クラスターを畜産農家をはじめ地域の関係事業者が連携し、地域ぐるみで高収益型の畜産を実現するための体制だと説明しています。
仕組み:畜産クラスター計画と協議会
この事業を使うには、地域の畜産クラスター協議会が作る「畜産クラスター計画」に自分の経営が「中心的な経営体」として位置づけられている必要があります。個人が国に直接申し込むのではなく、協議会(施設整備は協議会が事業実施主体)を通じて動きます。機械導入のほうは、基金を管理する団体が事業実施主体になります。
流れの細かい手順は協議会や県の案内で決まるので、ここでは大きな順番だけ書きます。先に協議会や県の畜産担当に相談して計画へ入れてもらい、事業の実施計画を出し、交付の決定を受けてから着手します。計画に入っていない経営は補助の対象になりません。
対象になる施設・機械・家畜
令和7年度補正予算の実施要領で、補助の対象は大きく分けて次のとおりです。
- 施設の整備:家畜飼養管理施設(牛舎・豚舎・鶏舎など)、家畜排せつ物処理施設(堆肥舎など)、自給飼料に関わる施設、畜産物の加工や展示・販売の施設、そして既存の施設の補改修
- 機械の導入:購入のほか、リース方式にも対応。実施要領は、一定の場合に中古の機械装置も対象にできると定めています
- 家畜の導入:施設の整備と一体で、貸し付ける家畜の導入経費
施設の補助率は、実施要領の別表で「1/2以内」です。機械導入のうち収益性向上対策の補助率も「1/2以内」です。農林水産省の令和7年度補正のポイント資料には施設の補改修や中古機械の導入を進めること、酪農の搾乳牛舎の申請受付を再開したこと、建築費の高騰を踏まえて知事特認の単価を引き上げたことが書かれています。
成果目標と飼料作付の条件
補助を受けるには事業が終わったあとの成果目標を決めます。収益性向上対策の実施要領では中小規模の経営(大規模経営以外)は、次のどれかを目標にします。
- 単位頭羽数あたりの販売額を10%以上増やす
- 生産コストを10%以上減らす
- 農業所得または営業利益を10%以上増やす
大規模な経営は、同じ3つの目標の割合が15%になります。目標は「やるつもり」で終わらず、事業の評価で達成状況を報告します。
搾乳牛舎など酪農の施設を整備する場合は、飼料作付の要件も付きます。令和7年度補正のポイント資料では1頭あたりの飼料作付面積の基準を、北海道が40a、都府県が10aとしています。国産飼料を買った分を面積に換算して満たす方法や、都府県では給与する飼料の10%分を国産に置き換える方法も認められています。
令和7年度補正では、これとは別に「持続性向上タイプ」が加わりました。収益性が直ちに上がらなくても国産飼料の生産、新規就農や経営継承の支援、アニマルウェルフェア、家畜衛生、野生鳥獣の被害防止といった取組から目標を選べます。堆肥舎だけの改修も、収益性向上の目標なしで認められる扱いです。
着手のタイミングと税金
事業の着手は、原則として交付決定のあとです。実施要領は、緊急でやむを得ない事情があるときに限って、事業の内容が明確になり補助金の交付が確実になった段階で交付決定前に着手できるとしています。ただしその場合、交付決定までに起きたあらゆる損失は自分の責任になると書かれています。発注や契約を急ぐ前に、協議会に着手してよい日を書面で確かめるのが無難です。
税金の扱いも先に調べておきます。農林水産省の「畜産クラスター事業等に係る税務申告時の取扱い」のページは、施設整備事業と機械導入事業の補助金は所得税法・法人税法の「国庫補助金等」にあたり、固定資産の取得や改良に充てた分には圧縮記帳が認められるとしています。旅費や調査費など、固定資産の取得にあたらない部分には適用できません。機械導入のほうで圧縮記帳が認められるのは、購入方式と、所有権が移転するファイナンスリース方式に限られます。ファイナンスリースの場合は、リース事業者が補助金を引く前の金額を課税売上げに計上する点に注意するよう求めています。実際の仕訳は、税理士か税務署に確かめてください。
繁殖雌牛の更新(優良繁殖雌牛更新加速化事業)
畜産クラスターの枠の中には、肉用牛の繁殖経営向けの「優良繁殖雌牛更新加速化事業」もあります。農林水産省のQ&Aによると、120か月齢以上の高齢の繁殖雌牛を出荷し、育種価が一定水準以上の繁殖雌牛を導入する取組に対して、1頭あたり10万円以内または15万円以内の奨励金を出す事業です。
同じQ&Aは、国や農畜産業振興機構から繁殖雌牛の導入や更新の補助金を受けた牛は、対象外になると注意しています。県や市町村の補助との重複は可能ですが、国の交付金が財源なら、その交付金のルールに従うとしています。使う前に他の補助と重ならないかを台帳で確認する作業が要ります。
ICT化・省力化の機械(ICT化等機械装置等導入事業)
搾乳ロボットや給餌の自動化機械のように、省力化に使う機械は「ICT化等機械装置等導入事業」で受けられる場合があります。令和7年度補正の実施要領では、畜産ICT応援会議が計画づくりや機械の選定を支え、機械装置の導入とその機械と一体の施設整備を2分の1以内で支援します。上限は機械装置が1経営体あたり3,000万円、一体的な施設の整備が1経営体あたり5,000万円です。
スマート化や搾乳ロボットの補助は、畜産クラスターと同じ仲間の事業でも窓口が違います。ここが取りこぼしやすい点です。ICT化の枠は畜産ICT応援会議という別の組織が窓口になるので、先に県の畜産課に「ICT応援会議はどこか」を尋ねます。
経営安定対策(マルキン・補給金)
価格が下がったときに差額を補う仕組みは、補助金とは別の入口です。使うには、加入や積立てが先に必要です。
肉用牛の肥育:牛マルキン
肉用牛肥育経営安定交付金(牛マルキン)は標準的販売価格が標準的生産費を下回ったときに、その差額の9割を交付金として出す制度です。農林水産省の令和8年度概算要求の資料は、交付金のうち4分の1にあたる額は生産者の負担金を積み立てた積立金から出すと説明しています。
肉用牛の繁殖:肉用子牛生産者補給金
繁殖経営には、肉用子牛生産者補給金があります。肉用子牛の価格が保証基準価格を下回ったときに、補給金を出す仕組みです。同じ資料によると財源の積立金は国が1/2、県が1/4、生産者が1/4の割合で積み立てます。
豚・鶏卵
養豚には肉豚経営安定交付金(豚マルキン)、採卵養鶏には鶏卵生産者経営安定対策事業があります。農林水産省の「主な畜産経営安定対策」のページから、それぞれの制度の案内に進めます。対象となる条件や積立金の額は、基金を運営する団体の案内で決まります。
酪農:加工原料乳生産者補給金
酪農には、加工原料乳生産者補給金があります。農林水産省の説明では平成30年4月から、補給金の交付対象は指定生乳生産者団体に販売を委託する生産者に限らず、計画的に乳製品向けに仕向けるすべての生産者に広がりました。単価や交付対象数量は毎年度、国が定めます。
令和8年度の交付を受けるには、年間販売計画の提出が必要でした。次の年度は提出の期限や窓口が変わることがあるので、前の年度の期限を当てにせず、農林水産省のページで確かめます。
配合飼料価格安定制度と飼料高騰への支援
飼料の値上がりは、畜産経営の大きな悩みの一つです。国の制度と自治体の支援金の両方があり、探す場所が分かれます。
配合飼料価格安定制度の仕組み
配合飼料価格安定制度は、配合飼料の価格が上がったときの影響を和らげる基金の制度です。農林水産省の概要資料は、二段階の仕組みだと説明しています。
- 通常補塡:生産者と配合飼料メーカーの積立てで運営します。当該四半期の輸入原料価格が、直前1年間(直前4四半期)の平均を上回ったときに出ます。積立金は生産者が1トンあたり800円、飼料メーカーが1,600円です。
- 異常補塡:通常補塡を補う仕組みで、国と配合飼料メーカーが1/2ずつ積み立てます。当該四半期の輸入原料価格が、直前1年間の平均の115%を超えたときに出ます。
補塡の単価は四半期ごとに変わり、農林水産省が輸入原料価格と補塡金の一覧を公表しています。この記事には補塡の単価を書きません。読む日によって数字が変わるためです。その四半期の単価は、農林水産省の「配合飼料価格安定制度について」のページで確かめられます。
通常補塡の基金は3つあります。全農系の全国配合飼料供給安定基金、専門農協系の全国畜産配合飼料価格安定基金、商系の全日本配合飼料価格畜産安定基金です。どの基金に入るかは、普段飼料を買っている取引先で決まります。
制度に入っていないと他の補助が受けられない場合
農林水産省は令和5年度から、畜産関係の事業に参加する条件として配合飼料価格安定制度への継続加入を確かめるクロスコンプライアンスを導入しています。令和8年度は前年度に制度に加入していた生産者について、加入を引き続き確認します。確認は事業の申請の段階で数量契約書のコピーなどで行われます。配合飼料を使わない生産者や、前の年度から継続して未加入の生産者は自己申告書で確認します。
畜産クラスターなどの補助事業に申し込む農家は、飼料の補塡制度に入っていることが実務では前提に近くなります。すでに入っている方は書類を用意するだけですが、まだ入っていない方は補助の申請より前に基金に相談しておくのが安全です。ただし対象となる事業は限られていて、法律に基づく事業や災害・法定伝染病対応の事業などは含まれません。
国の緊急対策と地方創生臨時交付金
配合飼料価格が大きく上がった局面では、制度の補塡に上乗せして国が緊急対策の補助を出すことがあります。たとえば農畜産業振興機構が公開している過去の要綱には、令和4年度の第4四半期に生産コストの削減と飼料自給率の向上につながる取組を実践する経営体へ補塡金を出す事業がありました。こうした上乗せの有無はその時々の経済対策と補正予算で決まるので、農林水産省の「畜産農家・関係団体に対する支援」のページで、年度ごとの概要を見るのが確実です。
もう一つの入口が、自治体の物価高騰対策です。国が地方に配る重点支援の交付金を財源に、市町村や県が畜産農家へ飼料代の支援金を出す例があります。この記事の下の全国一覧にも千葉市の配合飼料の給付金、千葉市の粗飼料の給付金、水俣市の農畜産物の生産資材の価格高騰対策の支援金などが載ります。
こうした自治体の支援金は販売金額の下限や畜産会などの会員であることを条件にする場合があります。額も飼料の値上がり分を計算して出す形から、一律の定額まで自治体で大きく違います。申請の期間が数か月と短いものが多いので、飼料が値上がりしている時期は毎月市町村の農政担当のページを見るのが現実的です。
飼料米・国産飼料の補助金(水田活用の直接支払交付金)
「飼料米 補助金」という言葉で調べる人は畜産農家よりも、田んぼでえさ用の米をつくる耕種農家が中心だと私は見ています。飼料米は家畜のえさに回す米のことで、水田活用の直接支払交付金(水活)の戦略作物助成として、面積と収量に応じて交付されます。畜産農家にとっては、国産の飼料を安く手に入れる方法としても関わります。
飼料米の交付単価(いくら)
水活の単価は、国が全国共通で定めています。農林水産省の「経営所得安定対策等の概要(令和8年度版)」と、青森県農業再生協議会の「令和8年度 経営所得安定対策等のあらまし」は、戦略作物助成の10aあたりの単価を次のように示しています。
| 対象作物 | 10aあたりの交付単価 |
|---|---|
| 飼料用米・米粉用米 | 数量に応じて5.5万円〜10.5万円(一般品種の飼料用米は5.5万円〜7.5万円) |
| WCS用稲 | 8.0万円 |
| 加工用米 | 2.0万円 |
| 麦・大豆・飼料作物 | 3.5万円(多年生牧草で収穫のみの年は1.0万円) |
一般品種の飼料用米の数量払は、令和6年産から段階的に引き下げられ、令和8年産は標準単価が6.5万円(5.5万〜7.5万円)です。多収品種(えみゆたか、ゆたかまる)は従来どおり5.5万円〜10.5万円です。「飼料米の補助金が廃止になった」という話を聞くことがありますが、同じ資料を読むかぎり制度そのものは続き、一般品種の単価が下がったというのが正確な見方です。
申請の窓口と期限(いつまで)
申請は、地域の農業再生協議会(市町村ごとにあります)に相談して進めます。飼料用米は複数年契約や単年契約の形で取り組むため、販売先との契約が前提になります。令和8年度のあらましは複数年契約の継続分に加えて、単年契約を含む新規契約分も支援対象だと書いています。
申請の締切は地域の協議会ごとに決まります。手元の公式資料から全国共通の「いつまで」は確認できなかったので、この記事に日付は載せません。作付けの前に、協議会へ早めに行ってください。入金の時期も手元の資料には記載がなく確認できませんでした。交付金の支払いの時期は県や協議会の案内で決まるので、申請時に聞いておきます。
消費税と課税の扱い
飼料米の交付金について、消費税の扱いは手元の公式資料から確認できませんでした。同じ青森県の資料では畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策)の数量払の単価を、課税事業者向けと免税事業者向けに分けて示しています。水活の戦略作物助成は一つの単価で示しているので、同じ区分があるかどうかは窓口か税務署で確かめる必要があります。税の扱いは確定申告に影響するため、受け取る前に確認することを勧めます。
畜産農家が使うときの考え方
畜産農家が飼料米の補助を直接受ける場面は、自分で水田を持ち飼料米を作るときです。そうでなければ耕種農家と契約して国産の飼料米や稲WCS(飼料用の稲を丸ごと発酵させた飼料)を買う形で関わります。畜産クラスター事業は、国産飼料の生産・利用を成果目標の一つに挙げています。酪農の牛舎の飼料作付要件では、国産飼料を買った分を面積に換算して満たす方法も認められています。
畜舎・施設・機械の補助金の探し方
畜舎や機械の補助金は国の畜産クラスター事業のほかに、県や市町村にも独自の補助があります。
- 国:畜産クラスター事業。補助率1/2以内。協議会を通す
- 県:県の畜産課が、県独自の施設整備や家畜導入の補助を出すことがある
- 市町村:畜舎の改修や機械の導入、堆肥の利用促進などの補助を持つ自治体がある
- 団体:JAや畜産会の事業
県や市町村の補助は国の補助とは別に、小さな改修にも使えることがあります。たとえば千葉県の「堆肥等利用促進事業」は、堆肥の利用を進める県の補助です。国の事業は計画への位置づけや成果目標の設定に時間がかかりますが、小さな案件なら県や市町村の補助のほうが早く動くことがあります。
大きな整備の見積もりを取る前に、自治体の補助がある地域かどうかを調べ、国の事業に載せるか自治体の補助で足りるかを決めます。自治体の補助と国の補助は、同じ経費に重ねられないのが基本です。
新規就農して畜産を始める場合
新しく畜産を始める人は就農の資金と畜産の補助金の両方を使えます。
就農準備資金と経営開始資金
農林水産省の「就農準備資金・経営開始資金」のページによると、次世代を担う農業者を目指す49歳以下の人が対象です。
| 資金 | 内容 | 交付主体 |
|---|---|---|
| 就農準備資金 | 道府県の農業大学校や先進農家などで研修を受ける期間、月13.75万円(年間最大165万円)を最長2年間 | 都道府県、市町村、青年農業者等育成センターなど |
| 経営開始資金 | 経営開始から経営が安定するまでの最大3年間、月13.75万円(年間165万円) | 市町村 |
どちらも申請様式を作る前に交付主体(都道府県や市町村)に必ず相談するよう案内されています。経営発展支援事業と一緒に助成を受ける場合は、経営発展支援事業の補助対象事業費の上限が500万円になります。
新規就農者向けの上乗せ
畜産クラスター事業には「新規就農優先枠」があり、新規就農者を優先的に支援する枠として別添に定められています。持続性向上タイプでは新規就農者や経営継承者への支援チームを作り、年3回の支援会議を開くことを成果目標にできます。
融資では、青年等就農資金があります。たとえば安城市の青年等就農資金のように、市が案内する貸付制度の例があります。補助金と融資を組み合わせて、初期の施設費をまかなう方法が一般的です。畜産は牛舎や機械の初期費用が大きいので、就農の資金だけでは足りません。計画を作る段階で、使う補助金と融資の組み合わせを市町村の就農相談窓口に聞いておきます。
親から継ぐとき
後継者として親の経営を継ぐときにも使えます。畜産クラスター事業の持続性向上タイプでは既存の牛舎を使う親子の承継のような取組が、成果目標の例として挙がっています。個人の経営では後継者の確保が見込まれることが、補助の条件の一つになっています。
家畜の導入・衛生・環境・ブランドの補助金
繁殖雌牛・子牛の導入
繁殖雌牛や子牛を導入する費用に、県や市町村が補助を出している地域があります。国の側では前述の優良繁殖雌牛更新加速化事業と、肉用子牛生産者補給金があります。県や市町村の補助は導入する牛の条件が制度ごとに違うので、導入の前に要綱で確認します。
家畜衛生・防疫
鳥インフルエンザや豚熱といった家畜伝染病への備えは、農林水産省の「家畜の病気を防ぐために」のページにまとまっています。発生した農家向けの資金繰りの手当として農林水産省の融資のページは、家畜等の処分で経営に深刻な影響を受けた農家向けに、迅速に資金を融通する「クイック融資メニュー」を設けていると案内しています。畜産クラスター事業の持続性向上タイプでも、車両消毒ゲートや野生動物の侵入防止柵が対象に加わりました。
環境対策・臭気・排せつ物処理
家畜排せつ物の処理施設は、畜産クラスター事業の対象に含まれます。このほかに、臭いの対策に使う薬剤の購入を補助する自治体があります。堆肥の利用を促す県の補助もあり、一覧では千葉県の堆肥等利用促進事業が当てはまります。臭気や排せつ物の問題は近隣の住民との関係に直結するので、国の事業に載せる前に市町村の補助を先に確認する価値があります。
暑熱対策・鳥獣害・ブランド化・GAP
猛暑の対策は、補助の有無も事業の名前も県によって違います。この記事では特定の県の制度は載せません。県の畜産課のページで「暑さ対策」を探してください。
野生鳥獣による農畜産物の被害を防ぐ電気柵は、市町村の補助が多いテーマです。たとえば雫石町の電気柵設置補助金は、ツキノワグマやイノシシなどによる農畜産物の被害を防ぐ電気柵の設置費用を補助しています。家畜や飼料の被害が対象に入るかは、町の要綱で確かめてください。
GAP(農業生産工程管理)の認証の取得に補助が出る地域があります。ブランド化の事業は県や市町村の販路開拓の補助に組み込まれていることが多く、安城市の農畜産物販路開拓推進事業のように、農畜産物の販売促進を後押しする制度が使えることがあります。
融資と保険
畜産の融資制度
農林水産省の「畜産関係の融資制度について」のページは、次の資金を案内しています。
- クイック融資メニュー(家畜疾病経営維持資金):鳥インフルエンザや豚熱などで家畜等を処分した農家向け
- 畜産リノベ資金:既往債務の借換えのための、長期・低利の資金
- 酪肉支援資金(酪農・肉用牛担い手緊急支援資金):令和7年度〜令和8年度の緊急対策。経営環境が厳しい酪農・肉用牛経営向けに、3年分の償還額を借り換えられる
- 農林漁業セーフティネット資金:中東・ウクライナ情勢や原油価格の上昇などで影響を受けた畜産経営者向けの長期・低利融資
借入金の返済に困っている場合は、返済猶予などの条件変更や既往負債の借換えを検討できると案内しています。補助金は後払いが基本のため、資金が足りないときはつなぎ資金の融資を並行して相談します。
収入保険・農業共済
農林水産省は、農業保険として収入保険と農業共済の2つを用意しています。保険料の一部を国が補助する公的保険です。様々なリスクをカバーしたい人には収入保険を勧めています。家畜の病気や事故に備える家畜共済は、農業共済の一つです。
代表的な畜産の補助金の金額
国の制度と上限の大きい自治体の制度を、上限額で比べた表です(制度名を押すと下の全国一覧のその制度へ移ります)。
