事務所を建てるか、手を入れるか。起業する人が最初にぶつかるのは、たいてい施設の見積です。三次市の起業支援事業補助金は、その施設整備費と広告料の1/2(上限100万円)を補助します。ただし開業届を出したあとでは対象外です。
対象は、市内に住む20歳以上69歳以下の新規起業者です。三次商工会議所か三次広域商工会の経営指導を受けていることも条件になります。順番を間違えやすい制度なので、動く順に整理しました。
三次市 起業支援事業補助金の要点まとめ
正式名:三次市起業支援事業補助金
だれが
- 申請者
- 市内に住む新規起業者(20歳以上69歳以下)
- 対象業種
- 公式ページに記載なし(風俗営業など一部は対象外)
- 利用目的
- 起業のための事務所の新築・増改築等(施設整備)と広告
- 対象地域
- 広島県三次市
- 従業員数
- 公式ページに記載なし(大企業の出資率が1/2未満)
いくら
- 補助上限額
- 100万円
- 補助率
- 対象経費の1/2以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 公式ページに受付期間の記載なし(商工観光課へ)
- 事業の完了
- 交付決定後に着工し、交付年度の2月末日までに完了
- 公式サイト
- 三次市「三次市起業支援事業補助金」
まず確かめたい「開業届」の順番
この制度の分かれ目は、開業届を出すタイミングです。公式ページは、すでに開業届を出して開業している場合を対象外としています。
開業届は、個人事業を始めたことを税務署に知らせる書類です。法人なら設立の登記にあたります。これを先に出してしまうと、あとから補助金のことを知っても間に合いません。
物件や施工業者を決める前に、商工観光課へ「開業届はまだ」と伝えて相談する。この順番が安全です。
自分は対象になる?
次の6つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
年齢は、申請する人本人の年齢です。大企業の出資率が1/2未満であることも条件です。大企業が株式や出資金の半分以上を持つ会社は、起業しても外れます。
指導は、三次商工会議所または三次広域商工会の経営指導等を受けている方が対象です。証明は専用の様式(経営指導等証明願)で受けます。
次のいずれかに当たると対象外です。
- ✕ すでに開業届を出して開業している
- ✕ 営業時間が17時以降だけ
- ✕ 営業日が週4日未満
- ✕ 市外に本店がある事業者のチェーン店・支店
- ✕ 市内の店を閉めて出店し直す
- ✕ 同じ事業で他の助成を受けた
市内で営業中の方(過去6か月以内に営業していた方を含む)が、その店舗を閉店して新たに出店する場合も外れます。起業しようとする人が、旧制度を含む三次市の女性起業支援事業補助金か若者・シニア起業支援事業補助金の交付を受けている場合も対象外です。風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の適用を受ける事業や、公序良俗に反する事業も入りません。
何に使える?
補助の中身は、起業のために行う事務所の新築、増改築等の施設整備と、広告にかかる経費です。借地や借家の場合は、地権者などの承諾が得られていることが条件になります。
対象にならないもの
- 消費税および地方消費税に当たる額
- 三次市三次町街なみ整備助成事業補助金の対象になる部分の店舗改装費
- 市内に本店のない施工業者・印刷業者に頼んだ工事や制作物
対象になるもの
- 事務所の新築または増改築等の施設整備費
- 広告料(印刷物の制作は市内に本店のある広告・印刷関連業者)
施工業者は、市内に本店を持つ建築関連業者(個人も可)で、建設業法にもとづく国土交通大臣か広島県知事の許可を受けている必要があります。広告料だけの上限額は、公式ページに書かれていません。
いくら戻る?
補助率は対象経費の1/2以内で、上限は100万円です。千円未満の端数は切り捨てになります。
- 施設整備と広告料で160万円かかる:160万円 × 1/2 = 80万円
- 施設整備と広告料で300万円かかる:300万円 × 1/2 = 150万円 → 上限の100万円
- 税込みの見積が220万円で、うち消費税が20万円:税を除く200万円 × 1/2 = 100万円
上限の100万円に届くのは、税を除いた対象経費が200万円以上のときです。見積書は税抜の額で見ておくと、手元に残る自己負担を読み違えません。補助金は工事のあとに入金される形なので、工事費の全額をいったん支払う資金は自分で用意することになります。
ほかの三次市の制度と重ねられる?
同じ三次市の創業・開業まわりの補助金は、互いに外れる条件をもっています。ここを知らずに順番を決めると、あとで片方が使えなくなります。
| 制度 | 起業支援との関係 |
|---|---|
| 新規開業支援事業補助金(広告宣伝・上限20万円) | 新規開業側が、起業支援の交付を受けた人を対象外と定めている |
| 空店舗出店支援事業補助金 | 公式ページに併用の記載なし。起業支援は同じ事業への国・県・市の助成を受けていると対象外 |
| 三次町街なみ整備助成事業補助金 | 対象になる部分の店舗改装費は、起業支援の対象外 |
| 女性起業支援・若者シニア起業支援(旧制度を含む) | すでに交付を受けた人は、起業支援を使えない |
新規開業支援の広告補助を使いたい人は、起業支援を受けないほうを選ぶことになります。どちらが有利かは、施設整備費と広告費の大きさで決まります。施設整備に100万円分の補助が見込めるなら、広告宣伝で最大20万円の新規開業支援より、起業支援のほうが大きくなります。広告料も起業支援の対象経費に入っています。
空店舗と起業支援が同じ工事に重なるかどうかは、公式ページに書かれていません。物件が空店舗に当たるときは、申請前に商工観光課へ確かめてください。
申請から入金までの流れ
- 商工会議所か商工会で経営指導を受ける(起業する人→三次商工会議所または三次広域商工会)
- 経営指導等証明願を出して証明を受ける(起業する人→同じ窓口。様式は市のページにある)
- 書類をそろえて申請する(起業する人→三次市 商工観光課 商工労働・企業誘致係)
- 交付決定を待つ(市→起業する人。決定の前に着工しない)
- 着工して、交付年度の2月末日までに工事を終える(市内の建築関連業者)
- 実績報告書を出す(起業する人→商工観光課。写真・請求書と領収書の写しなどを添える)
工事の内容を変えるときは変更承認申請書、工事の途中で資金が要るときは概算払の申請書が用意されています。使えるかどうかは窓口で確かめてください。
必要な書類
準備できた 0 / 7
経営指導等証明願は、三次商工会議所用と三次広域商工会用で様式が違います。そのほか、市長が必要と認める書類を求められることがあります。
起業計画書には、起業の動機、職歴や資格、販売先と仕入先、必要な資金と調達方法、起業後の月ごとの売上と経費の見通しを書く欄があります。申請書には、市が市税・料の納付状況を公簿で確認することへの承諾の文が入っています。
工事が終わったあとの実績報告書には、事業実績書、収支決算書、工事の写真、請求書と領収書の写し、開業したことが確認できる書類を添えます。工事費の支払い証明は、領収書か振込の控えを残しておいてください。
もらえなくなるとき
- 交付決定の前に着工した:決定後の着工が条件です。先に始めた工事の費用は対象にならないおそれがあります。
- 開業届を先に出していた:すでに開業している場合は対象外です。出す前に相談してください。
- 市外の業者に頼んだ:施工業者も広告の印刷物も、市内に本店のある業者が条件です。
- 2月末までに工事が終わらなかった:交付決定日の属する会計年度の2月末日が完了の期限です。冬の工期は余裕を見てください。
よくある質問
個人事業主でも法人でも申請できますか?
対象者の条件は「市内に住所を有する新規起業者で20歳以上69歳以下の方」です。住所と年齢を問う書き方なので、基本は個人が起業する場面が前提です。法人を設立して起業する場合は、代表者の住所と年齢で足りるのかを、事前に商工観光課へ確認してください。
すでに開業届を出してしまいました。もう使えませんか?
公式ページは、すでに開業届を提出して開業している場合を対象外としています。届を出したあとに対象となる例外は示されていません。ほかの三次市の補助金には、新規開業支援事業補助金のように、開業日から90日以内の広告宣伝が対象のものがあります。状況によって使える制度が変わるため、商工観光課に相談してください。
70歳を過ぎていたら対象外ですか?
対象は20歳以上69歳以下です。70歳以上の人が申請できるかどうかについて、公式ページに例外の記載はありません。年齢を数える基準日が申請日なのか交付決定日なのかは、窓口で確かめてください。69歳に近い人は、基準日を確認したうえで申請を急いだほうが安全です。
事務所を借りて起業する場合も対象になりますか?
借地や借家の場合は、地権者などの承諾が得られていることが条件です。賃借料そのものを補助する制度ではなく、新築・増改築などの施設整備費と広告料が対象です。借りた物件に手を入れる工事なら、貸主の承諾書があるかを先に確かめてください。空店舗の家賃を補助する制度は、別に空店舗出店支援事業補助金があります。
広告料だけを出したい場合も申請できますか?
補助対象事業は「起業のために行う事務所の新築または増改築等施設整備」と書かれています。広告料は対象経費に入りますが、施設整備をしない場合に広告料だけで申請できるかは、窓口の判断になります。広告宣伝だけが目的なら、開業日から90日以内の広告費を補助する新規開業支援事業補助金のほうが合う可能性があります。
補助金はいつ受け取れますか?
流れは、交付決定、着工、工事の完了、実績報告の順です。実績の確認を経て補助金が交付される形のため、工事費は先に事業者が支払う必要があります。入金の時期は窓口で聞いておくと安心です。概算払の様式が用意されているので、資金が心配なときは使えるかどうかを窓口に確かめてください。
経営指導は何回受ければいいですか?
公式ページに、回数や期間の決まりは書かれていません。条件は、三次商工会議所または三次広域商工会の経営指導等を受けていることです。その証明として、経営指導等証明願を窓口に出して、証明を受けます。回数や時期は、窓口で聞いておくと安心です。申請書類のうち、この証明願だけは市役所ではなく商工会議所か商工会に出す点にも注意してください。
施工業者は市外でもいいですか?
だめです。事務所の新築や増改築を行う施工業者は、市内に本店を持つ建築関連業者(個人も可)で、建設業法にもとづく国土交通大臣か広島県知事の許可を受けた業者に限られます。見積を取る前に、本店の所在地と許可の有無を聞いておくと、契約後のやり直しを避けられます。
営業時間や営業日に決まりはありますか?
あります。営業時間が17時以降だけで昼間の営業がない場合と、営業日数が週4日未満の場合は、対象外です。夜だけのバーや、週末だけ開く店は外れる可能性が高いといえます。起業計画書を作る時点で、営業時間と営業日をこの条件に合わせて組んでおいてください。
3年以上続けられなかったらどうなりますか?
対象者の条件に「3年以上継続して事業を実施する方」とあります。3年以内にやめた場合に補助金を返すのかどうかは、案内に説明がありません。申請の前に商工観光課へ確かめてください。3年の継続は申請の時点で問われる条件で、起業計画書には起業後の月ごとの売上と経費の見通しを書く欄があります。3年続けられる数字になっているかを、書きながら点検してください。
申請はいつまでにすればいいですか?
公式ページに受付期間の記載はありません。予算がなくなり次第終了するのかも書かれていません。ただし、交付決定のあとに着工し、会計年度の2月末日までに完了する必要があります。年度の後半に申請すると工事に使える期間が短くなるので、起業の計画が固まったら早めに商工観光課へ相談してください。
問い合わせ先はどこですか?
三次市 産業振興部 商工観光課 商工労働・企業誘致係(電話 0824-62-6171)です。申請書類を出すのもこの窓口です。経営指導等証明願だけは、三次商工会議所または三次広域商工会が証明します。開業届のタイミングや、ほかの補助金との重なりなど、公式ページだけでは判断できない点を確かめられます。
