この事業で補助を受けるのは、新規就農を目指す本人ではありません。研修を引き受ける市町村・農協・農家の側です。
県が支えるのは、梨かぶどうの就農研修です。研修に使った樹園地は、修了後に研修生へ譲渡か貸与することが原則になります。
果樹新規就農円滑化事業の要点まとめ
正式名:果樹新規就農円滑化事業(研修環境整備支援事業)
だれが
- 申請者
- 研修を実施する市町村・農協・農業法人・農業者など
- 対象業種
- 農業(梨・ぶどうの研修。ほかの品目は知事が認めたもの)
- 利用目的
- 果樹の就農研修に使う施設・機械の整備と研修経費
- 対象地域
- 埼玉県内
- 従業員数
- 公式ページに記載なし(農業支援課へお問い合わせください)
いくら
- 補助上限額
- 研修生1名あたり、整備750万円・研修経費72万円
- 補助率
- 3/4以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 公式ページに記載なし(管轄の農林振興センターへ事前相談)
- 事業の完了
- 完了後30日以内か3月15日の早い方までに実績報告
- 公式サイト
- 埼玉県「果樹新規就農円滑化事業」
自分は対象になる?
申請できるのは、研修を行う側です。次の4つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
農家や農業法人が一人で実施する場合は、実施体制に市町村・県・農協のいずれかを入れる必要があります。研修生を受け入れる前に、面談か体験研修で資質を見極める審査も要ります。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 研修生の親族が所有する農地を使う
- ✕ 研修生の親族が経営する農業法人
- ✕ 農業以外にも使える汎用性の高い物
親族は、研修生から見て三親等以内の人です(親や子、きょうだい、祖父母、孫、おじ、おば、おい、めいなどが入ります)。汎用品は、研修に欠かせないと知事が認めれば対象になる場合があります。
研修生にも条件があります。埼玉県内で、研修を受けた品目で就農することです。時期は原則として修了後1年以内で、就農計画を県に出します。
いくら補助される?
補助は2種類あり、併せて受けられます。どちらも補助率は3/4以内で、実際の額はこれ以下になることがあります。以下は上限の率で計算した例です。
- 果樹棚と多目的防災網の設置に600万円:600万円 × 3/4 = 450万円
- スピードスプレーヤと選果機に1,200万円:1,200万円 × 3/4 = 900万円 → 上限の750万円
- 研修の資材費とリース料に80万円:80万円 × 3/4 = 60万円
- 研修の経費に100万円:100万円 × 3/4 = 75万円 → 上限の72万円
整備の補助は、事業費の合計が税抜50万円に届かないと対象外です。50万円なら補助は37.5万円になります。
上限は研修生1名あたりです。研修経費の72万円は、連続する24か月以内の期間が対象です。両方を上限まで使えば、1名で合計822万円になります。
何に使える?
対象にならないもの
- 税抜単価が10万円に届かない物
- 事業費の合計が税抜50万円未満の整備
- 研修生の親族が所有する農地での研修
- 補助対象期間より前や後の、リース料・保険料・賃借料
対象になるもの
- 研修用樹園地の果樹棚・多目的防災網の設置と修繕
- 研修に必要な農業用施設の設置・移設・修繕
- 農業用機械の導入と修繕(スピードスプレーヤ、選果機、乗用モアなど)
- 研修経費(資材の消耗品費、機械・施設の賃借料とリース料、傷害保険料、樹園地の賃借料など)
整備した財産は、天災に備えて共済や保険に入ることが原則です。購入先は2者以上の見積書で選びます。中古品は、中古資産耐用年数(国が定めた、その資産を使える年数)が2年以上のものに限ります。
果樹棚・防災網と農業用施設の整備は、事業完了後1年以内に研修生を受け入れる見込みがあれば、受け入れ前に実施できます。農業用機械の導入は、この例外に入っていません。
申請の流れ
- 事前に相談する(実施主体→管轄の農林振興センターか農業支援課。申請前に必ず)
- 研修生を審査して受け入れを決める(実施主体。面談や体験研修で資質を見る)
- 交付申請書と添付書類を出す(実施主体→農林振興センター。メールか郵送。期限は年度ごとに定められる)
- 交付決定の通知を受ける(県→実施主体)
- 事業を行い、実績報告を出す(実施主体→県。完了後30日以内か3月15日の早い方まで)
- 額の確定後に請求する(実施主体→県。支払いは確定後で、必要なら概算払)
- 修了後に樹園地と財産を研修生へ渡す(譲渡か貸付から30日以内に県へ届出)
交付決定の前に着手してよいかは、要綱と要領に書かれていません。契約や発注の前に、事前相談で確かめてください。
交付決定のあとで内容を変えたり、事業を中止したりするときは、変更交付申請(様式第3号)が要ります。
必要な書類
準備できた 0 / 8
参考見積書と仕様・カタログの写しは、施設や機械の整備を申請するときに要ります。見積書を2者以上取るのは、購入先を選ぶときの原則です。履歴書は任意の様式です。
果樹棚・防災網や農業用施設の整備を研修生の受け入れ前に行う場合、就農計画・誓約書・履歴書は申請時に要りません。研修生が決まったら、県に出します。
交付申請書を出すと、暴力団排除の誓約事項に同意したものとみなされます。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 親族の農地を研修に使った:研修用樹園地は、研修生の親族が所有する農地ではないことが条件です。
- 樹園地を研修生に渡さない:整備した財産は、原則として修了後に研修生へ譲渡か貸与します。
- 財産を無断で転用した:耐用年数が過ぎるまで、知事の承認なしに転用や譲渡はできません。研修生への譲渡と貸付は承認不要で、届出になります。
- 研修の中断を報告しなかった:研修を中断したときや研修生が就農を断念したときは、速やかに県へ報告し、新たな研修生を募集します。
- 虚偽の申請や指示違反:交付決定が取り消され、補助金の返還を命じられることがあります。
消費税と書類の保管
消費税の仕入控除税額(事業者が仕入れにかかる消費税として差し引ける額)が分かるときは、その分を減らして申請します。額が確定した後に控除額が出た場合は、県へ報告して返還します。
帳簿と証拠書類は、完了した年度の翌年度から5年間保管します。取得財産があれば、処分制限の期間が終わるまで保管が続きます。他の補助金との併用は、公式ページに記載がありません。
よくある質問
新規就農を目指す本人は申請できますか?
申請できません。補助を受けるのは、研修を実施する市町村・農協・農業法人・農業者などです。農業法人と農業者は、県内に所在するか圃場を持つ必要があります。就農希望者は研修生として受け入れてもらう立場になります。研修生には、県内で研修を受けた品目で就農することや、就農計画を県に出すことなどの条件があります。研修先を探すときは、市町村やJAの窓口で取り組みの有無を聞いてください。
対象の品目は何ですか?
梨とぶどうです。それ以外の品目は、知事が適当と認めたものに限られます。公式ページには、県内で梨またはぶどうの研修を実施する主体に補助すると書かれています。他の果樹で研修を考えている場合は、申請を決める前に管轄の農林振興センターへ相談してください。認められるかどうかは、窓口の判断になります。
補助率と上限はいくらですか?
補助率はどちらも3/4以内です。研修環境の整備は研修生1名あたり750万円、研修経費は72万円が上限になります。研修経費の72万円は、連続する24か月以内の期間が対象です。2つの支援は併せて実施でき、上限まで使えば1名で822万円になります。実際の額は、予算の範囲内で県が決めます。
親族の農地は研修に使えますか?
使えません。研修用樹園地は、研修生の親族が所有する農地ではないことが条件です。親族は三親等以内の人を指します。事業実施主体が農業法人の場合も、研修生の親族が経営するものは対象外です。農家が自分の子どもを研修生にする形は、この事業では認められません。親族に当たるかどうか迷う場合は、事前相談で伝えてください。
機械の購入は何円から対象ですか?
税抜の単価が10万円以上で、事業費の合計が税抜50万円以上のものです。1つでも10万円に届かない物は対象に入りません。合計も50万円未満なら、整備の補助自体が受けられません。購入先の選定では、2者以上の見積書を取るのが原則です。見積書を取れる業者が限られる場合は、その理由を書いて出します。
申請はいつまでにすればよいですか?
公式ページに受付期間は書かれていません。交付要綱には、申請書の提出期限は年度ごとに別に定めるとあります。期限を過ぎたあとで受け付けてもらえるかは分かりません。事業を考え始めた時点で、管轄の農林振興センターか農業支援課(048-830-4052)に事前相談をしてください。公式ページも、申請の前には必ず相談するよう求めています。
整備した樹園地や機械は、修了後どうなりますか?
原則として、研修生に譲渡か貸与します。研修生が別の樹園地を確保し、元の樹園地で新しい研修生を受け入れる見込みがあるときは、この限りではありません。譲渡や貸付をしたら、30日以内に様式第9号で県へ届け出ます。樹園地の所有権を移したい場合は、実施主体が樹園地提供者と研修生の協議の場を設けるよう努めます。
研修生に必要な保険はありますか?
研修期間中は、研修生を傷害保険などに入れます。実施主体が研修生と雇用契約を結ぶ場合は、厚生年金保険と健康保険に加え、雇用保険と労災保険などの労働保険にも入れます。傷害保険料は、研修経費の補助対象です。補助対象期間内にかかる費用に限られるので、保険の期間と補助の対象期間を合わせておいてください。
研修生を選ぶときの決まりはありますか?
受け入れの前に、面談か体験研修などで資質を見極める審査をして、結果を踏まえて受け入れを決めます。研修生は、研修終了後に原則1年以内の就農を目指す人です。研修元からの研修が続く場合は、3年以内になります。審査の方法は実施主体が決めますが、受け入れの経緯は県に説明できるようにしておいてください。
実績報告はいつまでに出しますか?
補助事業の完了後30日以内か、その年度の3月15日の早い方が原則です。事業を年度末近くに終えると、期限は3月15日になります。研修生側にも報告があり、研修期間中は年に1回、研修状況報告書を県の指定する日までに出します。就農後は1か月以内に就農報告を出します。
問い合わせ先はどこですか?
県の農林部 農業支援課 新規参入支援担当(電話 048-830-4052)です。申請書類は、管轄の農林振興センターに出します。センターの連絡先と管轄の市町村は、公式ページの一覧で確かめられます。たとえば草加市ならさいたま農林振興センター(048-822-1007)、川越市なら川越農林振興センター(049-242-1804)です。
