従業員が育業(育児休業)から原職に戻った都内の会社に、東京しごと財団が125万円を支給します。加算を積み上げると最大420万円です。
使えるのは、2026年6月22日以降に就業規則を改定して労働基準監督署へ届け出た取組だけです。この日より前の届出は、数に入りません。
働く人の育業応援奨励金の要点まとめ
正式名:令和8年度 働く人の育業応援奨励金
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 業種の指定なし(風俗営業などは対象外)
- 利用目的
- 育業の促進、復職しやすい職場環境の整備
- 対象地域
- 東京都(都内に事業所がある事業者)
- 従業員数
- 常時雇用する従業員が2人以上999人以下
いくら
- 補助上限額
- 最大420万円(基本125万円+加算最大295万円)
- 補助率
- 定額
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年6月22日〜2027年3月19日(4回に分けて受付)
- 事業の完了
- 該当なし(復帰後30日以上の就労実績が要件)
- 公式サイト
- 東京しごと財団「働く人の育業応援奨励金」
うちの会社は対象になる?
次の6つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
「常時雇用する従業員」とは、解雇するとき30日前の予告が必要な人です。期間の定めのない人と、1年を超えて雇う見込みの有期の人が入ります。会社役員と個人事業主は数えません。
雇用保険の加入者2人は、どちらも6か月以上の加入が必要です。1人は復帰した従業員で、育業の開始前(女性は産前休業の開始前)に6か月以上の加入が要ります。もう1人は申請日から6か月さかのぼれば足ります。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 復帰が2025年3月以前
- ✕ 賃金を払った日で日数が不足
- ✕ 同じ事由の他の補助金を申請
- ✕ 過去に育業応援奨励金を受給
- ✕ 対象従業員が代表者の親族
対象従業員が代表者の三親等内の親族(配偶者のほか、血族と姻族のうち三親等以内の人。民法の定めです)だと、対象外です。
復帰した従業員(対象従業員)の育業日数は、男女で条件が変わります。育業は、東京都が決めた育児休業の愛称です。
| 対象従業員 | 育業日数の条件 |
|---|---|
| 男性 | 産後パパ育休を含めて通算58日以上(中小企業等は45日以上でも可) |
| 女性 | 産後休業を含めて通算86日以上 |
- 産後パパ育休は、子の出生後8週間以内に最大4週間まで取れる休業です。2回に分けて取れます。
- 「1か月以上」は30日以上の意味です。2027年2月は28日間なので、1か月に数えません。
- 育業中に出勤した日は、育業日数から引きます。
- 復帰は、2025年4月1日から事前エントリー日の前日までの間に済ませる必要があります。
- 復帰後に30日以上働いた記録(出退勤の記録)が要ります。
いくらもらえる?
基本は125万円です。取組に応じて加算が付きます。最大420万円に届くのは、対象従業員が男性の会社だけです。
| 区分 | 加算額 | 条件 |
|---|---|---|
| 加算① | 30万円 | 同僚の応援評価制度と表彰制度、育業応援プランシート |
| 加算② | 30万円 | 同僚への応援手当(合計20万円以上)、育業応援プランシート |
| 加算①と②の両方 | 50万円 | 2つ合わせて50万円 |
| 加算③〜⑥ | 各20万円 | 男性の育業を進める取組(男性従業員が都内に2人以上いること) |
| 加算⑦ | 45万円 | 対象従業員(男性)が通算88日以上(中小企業等も88日が必要) |
| 加算⑧ | 1人30万円(最大4人で120万円) | 対象従業員のほかに男性が通算58日以上(中小企業等は45日以上) |
加算③〜⑥の「男性従業員が2人以上」は、男性の対象従業員を含めて2人でも構いません。加算③〜⑥は、次の4つです。
- ③ 男性管理職が30日以上育業し、社内に周知する
- ④ 育業メンター制度を整え、パパ向けの育業マニュアルを作る
- ⑤ 助産師などを講師にした両親学級を社内で始める
- ⑥ 育児と仕事の両立に向けた社内研修を開く
計算例です。
- 従業員40人の設計事務所で、女性社員が通算90日の育業から復帰:125万円(加算なし)
- 従業員80人の製造業で、男性社員が通算60日育業。応援評価・表彰制度(加算①)と応援手当20万円(加算②)の両方を整備:125万円 + 50万円 = 175万円
- 男性社員が通算88日育業(加算⑦)。ほかの男性2人が通算58日育業(加算⑧):125万円 + 45万円 + 60万円 = 230万円
- 男性の対象従業員が通算58日育業。ほかの男性3人も通算58日育業(加算⑧):125万円 + 30万円 × 3人 = 215万円
- 男性が対象で、加算①②(50万円)、③〜⑥(80万円)、⑦(45万円)、⑧(4人で120万円)をすべて満たす:125万円 + 50万円 + 80万円 + 45万円 + 120万円 = 420万円
- 女性が対象で、加算①②と③〜⑥まで満たす(都内に男性従業員が2人以上いる会社):125万円 + 50万円 + 80万円 = 255万円
加算⑦と⑧は、対象従業員が男性のときだけ付きます。女性が対象の場合の最大額は募集要項に書かれていません。加算①〜⑥の合計から計算すると、255万円が上限になります。
何に取り組めばいい?
基本の125万円には、次の3つをすべて実施することが条件です。
- 育業計画書をつくる(上司か人事労務担当者が、育業中に面談する)
- 復職前に、意向確認の面談をする(計画書の面談とは別の日に行う)
- 育児と仕事の両立を支援する制度の情報を、従業員に渡す(これも面談とは別の日に行う)
そのうえで、復職しやすい職場環境整備を新たに3つ以上、就業規則に定めます。
数に入らないものから確認します。
- すでに法律を上回る規定がある項目(さらに上回っても対象外)
- 一部の従業員にしか適用しない規定
- 以前の条件より悪くなる改定を含むもの
- 2026年6月22日より前に届け出た規則
数に入るものは、次の7つです。
- 有給の子の看護等休暇への変更(今まで無給だった場合)
- 子の看護等休暇の日数の上乗せ(子1人で6日以上、2人以上で11日以上)
- 中抜けありの時間単位の子の看護等休暇
- 育児短時間勤務を3歳超まで使えるようにする
- 残業免除の対象を、小学校就学前(満6歳の年度末)より上の年齢まで広げる
- 病児保育の費用の補助
- 子連れ出勤制度の導入
法を上回る規定の書き方は、募集要項の別紙4に例があります。法改正があると「上回っているか」の判断が変わるので、規則を施行する日に有効な法律で確かめてください。
申請の流れ
- 事前エントリーをする(事業者→東京しごと財団。LoGoフォームで、受付期間の午前10時から終了日の午後5時まで)
- 結果のメールを受け取る(財団→事業者。受付終了日の翌日から概ね10営業日以内)
- Jグランツで支給申請を出す(事業者→財団。メールのURLから。第3回は2027年1月22日の午後5時まで)
- 審査を受ける(財団→事業者。結果はJグランツに届く)
- 請求書を出して受け取る(事業者→財団。決定通知の受領後に請求し、確認から概ね1か月で振込)
事前エントリーは先着ではありません。受付予定社数を超えると、受付終了後に抽選です。落ちた場合は、次の回に再度エントリーできます。
| 回 | 事前エントリー | 撤回期限日 | 支給申請の期限日 |
|---|---|---|---|
| 第1回(350社) | 2026年6月22日〜6月30日 | 2026年8月21日 | 2026年9月18日 |
| 第2回(400社) | 2026年9月1日〜9月9日 | 2026年10月23日 | 2026年11月20日 |
| 第3回(400社) | 2026年11月2日〜11月11日 | 2026年12月18日 | 2027年1月22日 |
| 第4回(350社) | 2027年1月5日〜1月12日 | 2027年2月19日 | 2027年3月19日 |
予算を超えた場合は、受付期間内でも終了します。回数や予定社数が変わることもあるため、財団のページで確かめてください。
申請には、国が提供する電子申請システムのJグランツが要ります。Jグランツに入るには、法人・個人事業主向けの共通ID「GビズIDプライム」の取得が必要です。発行に時間がかかり、間に合わなくても期限は延びません。エントリーの前に取っておくと安全です。
必要な書類
準備できた 0 / 16
- 履歴事項全部証明書は、発行から3か月以内のものを全ページ出します。法人のみです。開業・廃業等届出書は個人事業主が出します。
- 水道光熱費の領収書か賃貸借契約書は、登記上の本店が本社機能を持たない場合などに出します。雇用契約書か労働条件通知書は、都外に本社がある場合など、都内勤務を確かめる必要があるときに出します。対象従業員の出向書類、旧姓の確認書類も、該当するときだけです。
- 雇用保険の通知書は事業主通知用を、対象従業員を含む2人分出します。
- 育児休業給付金の通知書は被保険者通知用で、「支給終了」の記載があるものが必要です。
- 就業規則は、労働基準監督署の受領印が2026年6月22日から申請日までの日付のものです。10人未満の会社も届出が要ります。
- 出退勤の記録は、復帰日から30日以上の分で、申請のために作った書類では認められません。
- 誓約書は代表者が自署します。様式第1号の「対象従業員の署名」欄は、対象従業員本人が住民票の氏名で自署します。
- 提出はすべてPDFです。ExcelやWordでは受け付けません。個人事業主は代表者の住民票も出します。
- 加算を申請すると、取組ごとに追加の書類(就業規則、周知した資料、賃金台帳の写しなど)が増えます。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 復帰後に待遇が下がった:復帰後の部署、事業所、役職、労働時間、給与が育業前より下がると、原職に復帰したと認められません。育児短時間勤務の制度による短縮は例外です。
- 育業中に賃金を払った:賃金の支払いがある日や、会社の休日だけの休みは、育業に数えません。育業中に働いた日(一時就労)も数えません。
- 書類が期限までに出ていない:期限までに書類がそろわないと、辞退したとみなされます。その年度は再エントリーも再申請もできません。
- 就業規則の届出日が合わない:2026年6月22日より前の届出は対象外です。改定した箇所のページだけを届けた場合も認められません。
- 同じ事由で別の補助金を申請した:国・都・区市町村の補助金を、同じ事由で申請または受給すると、この奨励金は支給されません。
- 税金の納付や法令に問題がある:都税の未納や、過去5年以内の重大な法令違反があると申請できません。
- 偽りの申請:支給決定を取り消し、返還を求めます。事業者名が公表されることもあります。
併用・変更・税金のこと
財団の介護休業取得応援奨励金で同じ目的の加算を受けている場合は、重ねて受けられません。過去に働くパパママ育業応援奨励金などを受給した会社は、この奨励金の対象外です。同じ代表者の別法人や、受給した会社の事業を引き継いだ会社も同じ扱いです。
受け取った奨励金の税金の扱いは、募集要項に記載がありませんでした。経理の処理は税理士に確かめてください。
よくある質問
個人事業主でも申請できますか?
申請できます。都内の税務署に開業届を出していて、都内で実際に営業していることが条件です。常時雇用する従業員が2人以上必要で、事業主本人は数えません。雇用保険に入っている従業員も都内に2人以上必要です。法人と違い、履歴事項全部証明書は不要です。開業・廃業等届出書と代表者の住民票を出します。
男性従業員は何日育業すれば対象になりますか?
産後パパ育休を含めて、通算58日以上の育業が必要です。育児休業だけで58日以上でも構いません。中小企業等(常時雇用が2人以上300人以下)は、45日以上でも申請できます。出生日より前の日は数えません。育業中に出勤した日や賃金が出た日は引きます。育児休業給付金の決定通知書で日数を確認するため、通知書は必ず取っておきます。
女性従業員が対象のときの条件は何ですか?
産後休業を取り、子が2歳になる日の前日までに1か月以上の育業をした場合が対象です。産後休業と合わせて通算86日以上が目安です。出生日は産前休業の日として数えるため、育業の日数には入りません。産前休業を取らずに産後休業に入った場合も、出生日を含む6週間は産前休業を取ったものとして扱います。
事前エントリーに落ちたらどうなりますか?
次の回に再度エントリーできます。事前エントリーは先着ではなく、受付予定社数を超えたら抽選です。倍率は公表されません。エントリーが届いたかどうかや、審査状況を電話で聞くこともできません。結果は受付終了日の翌日から概ね10営業日以内にメールで届きます。届かない場合は、担当者が財団に問い合わせます。
就業規則はいつまでに届け出ればいいですか?
労働基準監督署の受領印が、2026年6月22日から申請日までの日付になるよう届け出ます。施行日も6月22日以降にします。10人未満の会社でも届出は必要です。改定した箇所のページだけを届けたものは認められないため、就業規則の全文を届けます。受領印のあるものを、申請時にPDFで出します。
復帰後に時短勤務にしても対象になりますか?
対象になります。育児・介護のための短時間勤務制度などで、労働時間や給与が変わる場合は、原職への復帰として認められます。その制度が就業規則に定められていることが前提です。本人の希望でも、無期雇用から有期雇用に変えたり、給与の形態を変えたりした場合は認められません。制度に基づく変更かを、復帰前に確かめます。
育業中に少しだけ出勤した日はどうなりますか?
出勤した日は育業日数から引きます。出勤時間が短くても、1日として引かれます。副業をしている場合は、副業先で働いた日も合算して引きます。引いた結果が男性の58日(中小企業等は45日)、女性の通算86日に足りなければ、対象にならないため、育業の日数は余裕を持って数えておきます。
「復職しやすい職場環境整備」は、すでにある制度でも数えますか?
すでに法律を上回る規定がある項目は、さらに上回っても数えません。2026年6月22日以降に新しく整えた規定だけが対象です。前の就業規則(旧規程)と新しい規則を比べ、法を上回る内容が増えたことを示す必要があります。旧規程の内容も、申請書に転記します。10人未満で法定どおりに運用していた場合は、その旨にチェックを入れます。
他の助成金と併用できますか?
同じ事由で国・都・区市町村の補助金を申請または受給すると、この奨励金は支給されません。国や都が団体に委託している事業も、同じ扱いです。財団の介護休業取得応援奨励金で同じ取組の加算を受けた場合も、重ねて受けられません。どの制度が同じ事由に当たるか迷う場合は、申請前に財団へ問い合わせます。
支給が決まってから、振込まではどれくらいですか?
支給決定の通知を受け取ったら、Jグランツの請求フォームから請求を出します。口座の情報が分かる通帳の写しなどを添えます。財団が内容を確認し、確認が終わってから概ね1か月で、指定の口座に振り込まれます。振込の連絡はないため、通帳で確かめます。口座名義が申請時の代表者名と違うと、受け付けてもらえません。
申請したあとで会社の名前や代表者が変わったら?
名称、所在地、代表者名が変わったら、変更届出書(様式第5号)を出します。登記の変更とGビズIDの登録情報の変更を先に済ませ、変更を示す履歴事項全部証明書を添えます。担当者名、メールアドレス、電話番号の変更は、財団へ電話で知らせます。請求のときにGビズIDの情報が申請時と合わないと、請求を受け付けてもらえません。
問い合わせ先はどこですか?
東京しごと財団 企業支援部 雇用環境整備課 育児介護支援係(電話 03-5211-2399)です。受付は平日の9時から17時で、12時から13時と土日祝日、年末年始は休みです。審査の経過や結果、エントリーが届いたかどうかには答えてもらえません。要件の読み方で迷う点は、エントリーの前に確かめておくと、申請の手戻りを防げます。
事前エントリーの後、申請をやめたいときは?
エントリーの受付期間内なら、LoGoフォームから取り下げられます(電話では受け付けません)。受付期間が終わったあと、撤回期限日までなら、財団に電話してから事前エントリー撤回届出書(様式第4号)を出します。その場合は次の回に再度エントリーできます。撤回期限日を過ぎてから申請しない場合は、中止届出書(様式第7号)を出します。中止すると、理由にかかわらず、その年度は再度のエントリーも申請もできません。
