特許や商標を出したいと思っても、出願の前に先行技術調査を弁理士へ頼み、出願では弁理士への報酬と特許庁への費用が重なります。福島県内の中小企業なら、その費用の1/2以内を福島県産業振興センターが助成します。
上限は調査が15万円、出願が1件25万円です。本社が県内にあれば、複数の出願をまとめて出願分だけで総額100万円まで広がり、調査と合わせて最大115万円になります。令和8年度第3回の公募は11月30日17時必着です。交付決定の前に調査や出願を済ませて支払った分でも、4月1日以降なら対象になります。
特許等調査・出願経費助成事業の要点まとめ
正式名:特許等調査・出願経費助成事業(国内出願・先行技術調査助成)
だれが
- 申請者
- 福島県内の中小企業者またはそのグループ
- 対象業種
- 業種の指定なし
- 利用目的
- 先行技術調査費用、特許・実用新案・意匠・商標の国内出願費用
- 対象地域
- 福島県内に本社・研究開発拠点・生産拠点等がある事業者
- 従業員数
- 中小企業者であること。人数の基準は公募文書に記載なし
いくら
- 補助上限額
- 115万円
- 補助率
- 助成対象経費の1/2以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年10月7日〜2026年11月30日17時必着
- 事業の完了
- 経費の支払は2027年2月28日まで
自分の会社は対象になる?
次の4つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ みなし大企業に当たる
- ✕ 調査や出願が3月31日以前
- ✕ 他の補助と対象経費が重なる
中小企業者は、実施要領では中小企業支援法第2条第1項の中小企業者を指します。業種ごとに資本金と従業員数の上限が決まっていて、人数や資本金の具体値は公募文書に載っていません。迷う場合は、福島県産業振興センターの技術総務課(024-959-1929)に聞くのが早い方法です。
グループで出す場合は、構成員の3分の2以上が中小企業者で、中小企業者の利益になる事業を営むことが条件です。
みなし大企業とは、中小企業でも大企業の影響が強い会社のことです。実施要領では、次のどれかに当たると対象外になります。
- 同じ大企業が発行済株式の1/2以上を持っている
- 複数の大企業が発行済株式の2/3以上を持っている
- 大企業の役員や職員を兼ねる人が、役員の1/2以上を占めている
発明者(商標なら創作者)は、申請企業の所属であれば足ります。本社や事業所が県外にあっても構いません。出願人の名義は申請者の名称と同じにします。共有出願なら、出願人の中に申請者の名義が含まれていれば対象になります。
いくら戻ってくる?
対象経費の1/2以内で、調査と出願に別々の上限があります。
| 区分 | 上限 |
|---|---|
| 調査に係る経費 | 15万円 |
| 出願に係る経費(1件) | 25万円 |
| 出願に係る経費(本社が県内で複数出願) | 総額100万円 |
調査15万円と出願の総額100万円を足した115万円が、実施要領に載る合計の上限です。本社が県内にない場合は、調査15万円と出願25万円で合計40万円が上限になります。
計算例です。経費は消費税を除いた額で数えます。
- 調査に5万5,000円かかった:5万5,000円 × 1/2 = 2万7,500円 → 千円未満は切り捨てて2万7,000円
- 出願に10万円かかった:10万円 × 1/2 = 5万円
- 調査に40万円かかった:40万円 × 1/2 = 20万円 → 上限の15万円
- 出願に60万円かかった:60万円 × 1/2 = 30万円 → 上限の25万円
- 本社が県内で、出願4件にそれぞれ60万円かかった:25万円 × 4件 = 100万円(総額の上限)
上の最初の2例は、公式の記入例にある数字です。出願の上限は1件ごとに25万円で、100万円に届くのは本社が県内にあって複数の出願をするときです。
共有の特許では、申請企業の持分比率を掛けた額が対象経費になります。経費が40万円で持分が50%なら、40万円 × 50% × 1/2 = 10万円です。募集案内には、持分比率と費用負担割合のうち低い方を使うとも書かれています。
何に使える?
対象にならないもの
- 消費税と地方消費税
- 対象期間の外で支払った経費
- 出願に直接関係しない経費
- 出願後の補正にかかる費用
- 同じ内容の調査を、次の年度以降にもう一度頼む費用
対象になるもの
- 調査:弁理士や特許事務所に払う先行技術調査の報酬と、それにかかる源泉徴収税
- 出願:弁理士や特許事務所に払う書類作成・検討の手数料と、それにかかる源泉徴収税
- 出願:特許庁に払う出願料と、特許出願の審査請求料
- 出願:電子化手数料と、センターが特に必要と認めた経費
- 弁理士へ払う審査請求の軽減申請手数料、早期審査の事情説明書の提出手数料
募集案内は、調査について簡易な自社調査ではなく、弁理士や特許事務所による調査を勧めています。調査結果報告書も、そうした詳しいものを想定しています。
いつ調べて、いつ払った分が対象?
対象になる期間は2026年4月1日から2027年2月28日です。調査は着手が4月1日以降、出願は4月1日以降の出願で、経費の支払も期間内に終えている必要があります。
- 公募期間の前に調査や出願と支払の両方が済んでいる:対象(ただし両方とも4月1日以降)
- 公募期間のあとに調査や出願と支払をする計画がある:対象(ただし両方とも2月28日まで)
- 昨年度に調査や出願をした案件を、今年度に支払う:対象外
- 今年度に調査や出願をしたが、2月末までに支払えなかった:対象外
最後のケースは、採択されていても助成金を受け取れません。弁理士への支払日は、2月28日から逆算して決めておくと整理しやすくなります。
申請の流れ
- 申請書類を用意する(事業者。センターのホームページに様式と記入例があります)
- 申請書を出す(事業者→福島県産業振興センター 技術総務課。11月30日17時必着)
- 書面で審査を受ける(選定委員会。12月中旬の予定。質疑応答も書面)
- 決定の通知を受ける(センター→事業者。12月下旬の予定)
- 弁理士へ費用を払う(事業者→弁理士・特許事務所。採択前の支払でも構いません。2月28日まで)
- 結果報告書と領収書を出す(事業者→センター。事業の完了から20日後か3月10日の、早い方まで)
- 金額の確定と請求(センターが助成額を確定。通知を受けたら請求書を出して振込)
必要な書類
準備できた 0 / 9
申請書類チェックリストは申請書の添付書類の一つで、提出書類に漏れがないか確かめてから一緒に出します。調査結果報告書は調査が済んでいるとき、出願書類の写しは出願が済んでいるときに出します。実施済みの経費は、見積書の代わりに請求書と支払の証拠書類を付けます。個人事業者は登記事項証明書の代わりに住民票の写しと直近の確定申告書の控え、事業協同組合等は定款と組合員名簿を出します。
共有出願なら持分比率の契約書、同じ年度に交付決定を受けた分があれば、その通知書の写しも要ります。書類は原則A4の片面印刷で各1部を用意し、左肩をクリップで留めます。ホチキス留めは避けます。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 支払が2月28日に間に合わない:採択されていても、期間外に払った経費には助成金が出ません。
- 前の年度に調査や出願をしていた:昨年度の案件に今年度払っても対象外です。
- みなし大企業に当たる:資本や役員の関係で大企業の影響が強い会社は、申請できません。
- 名義や発明者が合わない:出願人が自社名と違うか、発明者が自社の所属でない出願は対象になりません。
- 対象外の経費や不備のある領収書:精査で除かれます。支払の証拠書類に不備があれば、助成額の全額または一部が対象外です。
出願の前に知っておきたい制度
出願のときは、震災復興支援早期審査・早期審理制度を使う手があります。審査の期間が、特許の場合で平均約10か月から平均約2〜3か月に縮まります。福島県では、地震で被災していなくても対象です。
使えるのは、出願人の全部か一部が県内に住所か居所を持ち、福島での復興やイノベーションの創出に役立つ発明・意匠・商標のときです。法人なら、県内の事業所の事業に関連することが条件になります。詳しくは特許庁(03-3581-1101)に確かめます。
特許や商標について相談したいときは、INPIT福島県知財総合支援窓口(024-963-0242)が無料で受け付けています。平日の8時30分から17時15分までです。
よくある質問
個人事業主でも申請できますか?
申請できます。提出書類の一覧に、個人事業者は住民票の写しと直近の確定申告書の控えを出すとあります。中小企業者であることと、県内に拠点があることは法人と同じ条件です。事業協同組合などは、定款と組合員名簿を出します。事業の規模が中小企業者に当たるか迷うときは、申請の前に技術総務課へ聞くと確実です。
調査だけの申請はできますか?
できます。申請は、調査だけを出す形か、調査と出願を同時に出す形が原則です。調査の上限は15万円で、費用の1/2以内が助成されます。調査は簡易な自社調査ではなく、弁理士や特許事務所に頼むものが想定されています。出願まで進める場合は、同じ申請に出願の費用も入れておくと一度で済みます。
出願の費用だけを申請できますか?
できます。ただし、申請の前に先行技術調査を済ませていて、調査結果の詳細が分かる報告書などを出せるときに限ります。簡単なメモでは足りず、弁理士や特許事務所の詳細な報告書が想定されています。調査を一度もしていないまま、出願だけを出すことはできません。調査がまだなら、調査と出願を同時に申請します。
すでに出願して支払も終えていますが、対象になりますか?
2026年4月1日以降に出願して、経費の支払も済んでいれば対象です。この場合は見積書の代わりに、請求書と支払の証拠書類の写し、出願書類の写しを付けます。調査も同じで、着手が4月1日以降であることが条件です。昨年度に出願した案件を今年度に払った場合は、対象外になります。
複数の発明を出願するときの上限はどうなりますか?
出願の上限は1件ごとに25万円です。本社が県内にある事業者は、複数の出願を対象にでき、その場合の上限が総額100万円になります。県内に本社機能がない事業者は、この扱いに当たりません。年度内にすでに交付決定を受けた分がある場合は、申請書に記入する欄があります。募集案内には「申請は1申請者につき1件に限ります」とあり、実施要領も交付決定を1年度1事業者1案件としています。この1件に複数の出願を入れる形になるため、上限の数え方は窓口に確かめてください。
外国への出願も対象ですか?
対象ではありません。この事業は日本国特許庁への国内出願と、そのための先行技術調査が対象です。外国への出願を考えているなら、センターの外国出願向けの補助金の案内を確かめます。国内出願の費用と外国出願の費用は、同じ経費で重ねて申請することはできません。他の補助と助成の範囲が重なってはならないからです。
共有の特許でも申請できますか?
申請できます。出願人の中に申請者の名義が含まれていれば対象です。助成の対象になる経費は、申請企業の持分比率を掛けた額になります。たとえば経費が税抜40万円で持分が50%なら、対象経費は20万円で、助成は1/2以内の10万円です。持分比率に関する契約書なども提出書類に入ります。
消費税は助成の対象ですか?
対象外です。申請する金額は、経費の合計から消費税をすべて除いて書きます。見積書や請求書が税込の金額でも、申請書の助成対象経費は税抜の額です。共有出願なら、税抜の合計に持分比率を掛けた額が対象経費になります。記入例の表にも、税込額と税抜額を別の列に書く形になっています。
弁理士への支払は、採択のあとでないといけませんか?
採択の前でも構いません。募集案内の流れに、採択企業が弁理士へ費用を払う手順があり、採択前の支払でも構わないと書かれています。期限は2027年2月28日で、その日までに払い終えます。審査の結果を待っていると、出願の時期や支払日がずれることもあるので、スケジュールは弁理士と相談して決めます。
結果の報告はいつまでにしますか?
事業が終わった日から20日を過ぎた日か、3月10日のどちらか早い日までです。結果報告書(様式第3号)に、出願書類や調査報告書、支払を証明する書類を付けて出します。センターが内容を調べて金額を確定し、通知が届いたら請求書を出します。報告が遅れると、支払の手続きに進めません。
申請したあと、内容を変えてもいいですか?
交付決定の内容と違いが出るときは、変更の承認申請書をあらかじめ出して承認を受けます。ただし、事業の目的に影響しない軽い変更と、各経費区分の助成対象経費の50%以内の変更は、承認が要りません。出願の時期がずれる場合なども、早めにセンターへ連絡して扱いを確かめておくと安心です。
問い合わせ先はどこですか?
福島県産業振興センター 技術支援部 技術総務課(電話024-959-1929、メールf-tech@f-open.or.jp)です。申請の窓口も同じです。県庁の産業振興課でも案内していて、電話は024-521-7283です。対象になるか、期間に収まるか、必要書類が足りているかで迷ったときは、申請の前に問い合わせると出し直しを防げます。
