空調も冷凍庫も古くなり、見積を取ったら数百万円になりました。そうして迷っているうちに受付が閉じてしまう補助金があります。
長野県のエネルギーコスト削減促進事業補助金は、省エネ設備の更新費の1/2(促進コースは3/4)を、基本コースで上限500万円、促進コースで上限1,500万円まで補助するものでした。交付申請は令和8年9月30日に締め切られています。専用サイトには、次回の制度は「全くの白紙」と書かれています。
交付決定を受けた事業者は、令和9年1月8日までに設備の購入から支払いまでを終え、実績報告を出します。この記事は中小企業者向けの窓口を中心に、受付の経緯、金額の計算、実績報告でつまずく点を順に整理します。
エネルギーコスト削減促進事業補助金の要点まとめ
正式名:エネルギーコスト削減促進事業補助金
だれが
- 申請者
- 事業者(県内に事業所がある中小企業者等)
- 対象業種
- 農林漁業・学校・医療福祉等が本業の事業者を除く(別窓口)
- 利用目的
- 省エネ設備の更新、太陽光発電などの新設
- 対象地域
- 長野県内
- 従業員数
- 業種別に基準あり(製造業等は資本金3億円以下または300人以下)
いくら
- 補助上限額
- 1,500万円(促進コース)
- 補助率
- 1/2以内(基本コース)、3/4以内(促進コース)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年3月16日〜2026年9月30日(受付終了)
- 事業の完了
- 交付決定日から令和9年1月8日まで
受付は、どんな経緯で終わった?
令和8年3月16日に申請の受付が始まりました。県は国の「重点支援地方交付金」を使い、県内事業者のエネルギーコスト削減を支えるとしています。
中小企業者向けの窓口では、交付申請額の合計が予算総額に達し、いったん新規の受付が終わりました。松本商工会議所が4月9日付で告知し、追加募集は未定とされていました。
その後、令和8年6月補正予算で、県は「エネルギーコスト削減助成金【中小企業者向け】」の募集を7月13日に始めました。呼び名は助成金ですが、同じ専用サイトで運営され、コースも上限額も従来から変わっていません。募集は9月30日で締め切られました。専用サイトでは、9月29日の申請状況が予算総額の約74%と案内されていました。
私立学校、福祉施設、農林業者などは担当課が別で、受付の時期も異なります。高齢者施設・障がい福祉施設・保護施設・医療機関等は、6月中旬に受付を始める予定と報道発表にあります。各区分の終了日は、担当課のページで確かめる必要があります。
自分の事業所は対象だった?
次の条件に当てはまる事業者が対象でした。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
県外に本社がある企業でも、県内事業所への設備投資は対象でした。トップランナー基準とは、省エネ法にもとづく機器ごとの省エネ性能の目標値です。業種によっては対象外になる場合があり、詳細は募集要領と交付要綱で定められています。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 中古品やリースで導入する
- ✕ 国や県の別の補助金と併用する
- ✕ 基本コースで過去に交付を受けた
- ✕ 農林漁業・教育・医療福祉が本業
- ✕ 申請時点で開業していない
中小企業者とは、資本金か常時使用する従業員数のどちらか一方が業種ごとの基準以下の会社や個人です。製造業その他は資本金3億円以下か300人以下、卸売業は1億円以下か100人以下、小売業は5,000万円以下か50人以下、サービス業は5,000万円以下か100人以下です。大企業が株式の半分以上を持つなどの「みなし大企業」は、中小企業でも対象外です。
基本コースは、令和4年度から令和6年度に中小企業エネルギーコスト削減助成金の交付を受けたことがない事業者の要件です。交付を受けたことがある事業者は、促進コースなら申請できます。令和7年度補正予算の同じ助成金(令和8年3月開始分)で交付を受ける事業者は、募集要領に促進コースも申請できないと書かれています。専用サイトの概要は表現が異なるため、該当するときは事務局に確かめる必要がありました。
県外に本社がある企業の県内事業所も対象ですが、申請できる事業所は1つで、同じ事業者や個人事業主が出せる申請は1件です。テナントの設備を貸主が更新する場合は対象になりません。
コースの違いと、いくら戻るか
基本コースの補助率は1/2以内で、上限500万円、下限50万円です。促進コースは3/4以内で、上限1,500万円、下限はありません。県の報道発表には、社会福祉施設・医療機関等の基本コース(省エネ設備)は2/3以内とあります。中小企業者向けの窓口は、医療・福祉が本業の事業者を対象にしていません。
基本コースは、助成額が50万円に届かないと申請できません。県の案内では、助成対象経費(税抜)が100万円、税込で110万円以上の投資が目安です。
太陽光発電などの発電設備は、どちらのコースも出力1kWあたり4万円以内で、出力50kW未満に限ります。自家消費の割合が半分を超えることが条件で、すでにある設備の増設は対象外です。
促進コースには、条件が二つ付いていました。事業活動温暖化対策計画書を県に出すこと(温室効果ガス排出量の削減目標は9%以上)と、長野県SDGs推進企業に登録することです。登録の手続きには、3か月ほどかかる場合があります。
- 店舗の照明の更新に80万円かける(基本コース):80万円 × 1/2 = 40万円 → 下限の50万円に届かず申請できない
- 工場の空調の更新に600万円かける(基本コース):600万円 × 1/2 = 300万円
- 店舗の冷凍設備と空調の更新に1,200万円かける(基本コース):1,200万円 × 1/2 = 600万円 → 上限の500万円
- 倉庫の冷蔵設備の更新に800万円かける(促進コース):800万円 × 3/4 = 600万円
- 事業所の屋根に30kWの太陽光を載せる:30kW × 4万円 = 120万円まで
基本コースの上限500万円に届くのは、対象経費が1,000万円以上のときです。促進コースの上限1,500万円は、2,000万円以上で届きます。金額は計算の例です。実際の対象経費は、募集要領と交付要綱で決まります。
何に使えた?
対象にならないものを先に挙げます。
- 中古品やリースの設備、計測機器
- 運賃や運搬費(見積書に載っていても、助成対象の経費に含めない)
- 消費税、諸経費、雑費、一般管理費、保証料、振込手数料
- 自社で行う設置工事、助成金の申請書類の作成費
- LEDの蛍光管やランプだけの交換、投光器(照明器具ごとの入れ替えが対象)
- 新築の建物への導入や、台数を増やす増設(既存設備の更新が対象)
- 更新前の設備を残したままの導入(原則として廃棄が求められる)
対象になったのは、次の設備です。
- 更新:空調・換気設備、照明設備、冷蔵・冷凍設備、恒温設備、熱電併給設備、電気制御設備、加熱設備、生産設備
- 更新:建物付属設備のうち断熱ガラスとサッシ(促進コースはエントランスドアも)
- 新設:太陽光パネルと付属設備(出力50kW未満)、エネルギー管理設備
- 新設(促進コースのみ):EV用充電器、風除室、エントランスドア、カーポート
設備の細かい一覧は、募集要領の別表「対象設備一覧表」にあります。見積書に「諸経費」と書かれていると、内訳が分からない限り助成対象になりません。見積書には明細を付けます。
申請から入金までの流れ
- 専用サイトのフォームから交付申請を出す(事業者→長野県中小企業GX推進事務局。募集は9月30日まで。メール・郵送・持参は受理されない)
- 交付決定を待つ(長野県→事業者。申請から1.5〜2か月が目安。決定の前に発注しない)
- 設備を導入して、支払いまで終える(事業者。令和9年1月8日まで)
- 実績報告を出し、現地調査を受ける(事業者→事務局。専用フォームから)
- 金額の確定通知を受けて請求書を出す(事業者→事務局。メールで)
- 入金される(長野県→事業者。請求書の受領後、約2週間が目安)
必要な書類
準備できた 0 / 9
促進コースで、申請の時点で温暖化対策計画書やSDGs推進企業の登録証がまだないときは、助成要件確認書兼誓約書で代え、実績報告で写しを出します。見積書、履歴事項全部証明書、納税証明書は、交付申請日の3か月以内に発行されたものが必要です。個人事業主は、履歴事項全部証明書の代わりに住民票を出します。単価50万円(税抜)以上の経費は、2社以上から見積書を取る決まりでした。取れない事情があるときは、理由書を出します。
実績報告で止まりやすいのはどこ?
実績報告の段階では、受付が終わったあとも書類の不備が起きています。専用サイトが繰り返し注意している点は、次のとおりです。
- 産業廃棄物管理票(マニフェスト)の写し:B2票、D票、E票のいずれかが必要です。A票だけの提出は受け付けられません。マニフェストは再発行ができません。
- 支払いの証明:振込先、振込者、金額が分かる通帳かネットバンキングの写しを出します。支払いは令和9年1月8日までに終えます。現金、手形、小切手は助成対象外で、原則は銀行振込です。
- フロン用のマニフェスト:業務用エアコン、業務用冷蔵庫、コンデンシングユニット、チラー、コンプレッサを入れ替えたときに必要です。
- 取得財産等管理台帳:単価50万円(税抜)以上の設備は、台帳を作って管理します。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に発注した:発注、契約、支払いは、原則として交付決定日以降でないと助成対象になりません。交付申請日以降に事前着手届出書を出した場合は、その日以降の分が対象になります。
- 計画を変えたのに届け出ていない:設備の種類や対象経費が変わったときは、事業計画変更承認申請書が必要です。実績報告のときに変更が分かっても、日付をさかのぼって認めることはできません。
- 期限までに支払いが終わらない:令和9年1月8日までに、設備の購入から支払いまで終える必要があります。交付決定が遅れても、この日は変わりません。
- 書類の内容に誤りや虚偽があった:交付決定が取り消され、支払い済みの助成金は返還を求められます。
次の募集に備えて
次の募集があるかは、決まっていません。専用サイトは、事務局や県に問い合わせても答えられないので控えてほしいと案内しています。
もし募集が再開されたとき、時間がかかるのは三つです。促進コースを狙うなら温暖化対策計画書とSDGs推進企業の登録(3か月ほどかかる場合があります)、設備の選定ではトップランナー基準の確認、そして単価50万円以上の経費の相見積もりです。募集が出てから動くと間に合わない順番なので、先に見積と設備の候補だけ手元に置いておく手があります。
よくある質問
交付申請はもう終わりですか?
専用サイトによると、令和8年9月30日で交付申請の募集は締め切られました。3月16日の開始後、中小企業者向けは一度予算の上限に達して受付を終え、7月13日に再開したあと、9月30日に終了しています。次の制度は白紙と案内されているため、今後の募集は公式ページで確かめてください。
基本コースと促進コースは何が違いますか?
補助率と上限額、申請の条件が違います。基本コースは1/2以内で上限500万円・下限50万円、促進コースは3/4以内で上限1,500万円・下限なしです。促進コースには、温暖化対策計画書の提出と長野県SDGs推進企業の登録が要ります。対象になる設備も、促進コースのほうが多く、EV用充電器やカーポートが加わります。
助成金と補助金は別の制度ですか?
中小企業者向けの窓口では、同じ専用サイトで「エネルギーコスト削減助成金」として運営されていました。令和8年3月16日に始まった補助金の枠が予算に達したあと、6月補正予算で7月13日に募集が再開された形です。呼び名は違いますが、コースの種類と上限額は従来から変わらないと県の発表にあります。
私立学校や福祉施設、農業者も同じ窓口でしたか?
別の窓口でした。県の問い合わせ先一覧では、山小屋事業者、児童養護施設、私立保育施設、私立学校、高齢者施設、障がい福祉施設、医療機関、農業経営体、林業者などが、それぞれ担当課とページを持っています。受付の時期も同じではないので、該当する区分のページを確認する必要があります。
交付決定の前に発注してもいいですか?
原則として、交付決定日より前の発注、契約、支払いは助成対象外です。例外は事前着手届出書で、交付申請日以降に出せば、その日以降の発注、契約、支出が対象になります。ただし、設備が基準を満たさず交付決定に至らなかった場合は、届出を出していても対象になりません。
見積書は何社分いりますか?
単価50万円(税抜)以上の経費は、設備費、工事費、処分費のどれも2社以上の見積書を出し、安い発注先を選ぶ決まりでした。申請時の添付漏れで差し戻されるケースが多かったと案内されています。事情があって相見積もりを取れない場合は、理由書を自由な形式で別に出します。
古い設備は残しておけますか?
原則として廃棄処分が求められます。実績報告のときに、産業廃棄物管理票(マニフェスト)や家電リサイクル券など、適正に処理した証明の提出が必要です。マニフェストはB2票、D票、E票のいずれかの写しで、A票だけでは受け付けられません。フロンの回収が要る機器は、フロン用の書類も出します。
開業前の人や新築、テナントの設備は対象でしたか?
どれも対象外でした。申請の時点で開業していない創業予定者は、開業届を出していても、届の開業日が申請日より後なら対象になりません。新築の事業所に空調を入れることも対象外で、使っている設備の更新が前提です。貸しているテナントの設備を大家が更新することもできません。開業1年未満の個人事業主は、温暖化対策計画書を出せないため促進コースに申請できず、基本コースだけが対象でした。
支払い方法に決まりはありましたか?
原則は銀行振込です。現金、手形、小切手、相殺での支払いは助成の対象外でした。クレジットカードは、事業者名義で、引き落としが令和9年1月8日までに終わるものに限ります。代表者や従業員が個人のカードで払うと立替払いの扱いになり、事業者との精算を帳簿で確かめられなければ対象外です。振込手数料は助成対象に入りません。
他の補助金と併用できましたか?
専用サイトの注意書きでは、国や県の他の補助金との併用はできないとされています。中古品とリースも対象外です。同じ設備に別の補助金を使う予定があるなら、どちらを使うかを申請の前に決める必要があります。国の補助金の設備一覧は、トップランナー基準を確かめる資料としては使えます。
運搬費は補助の対象ですか?
対象外です。業者の見積書に「機器運賃・運搬費」の項目があっても、予算収支内訳書に含めてはいけません。見積書に書かれているぶんには構いませんが、助成の対象経費に入れると差し戻しの原因になります。見積書をもらうときは、設備費、工事費、運搬費が分けて書かれているかを見ておくと整理しやすくなります。
補助金はいつ振り込まれますか?
実績報告のあと、事務局の現地調査を受け、県から助成金額の確定通知が届きます。そのあとで請求書(様式第7号)を事務局にメールで出し、内容に問題がなければ約2週間をめどに指定の口座へ振り込まれます。振り込み完了の連絡はないので、通帳で確認してください。
実績報告の期限はいつですか?
令和9年1月8日です。この日までに、設備の購入から支払いまで終え、実績報告書を出す必要があります。報告は専用サイトのフォームからのみ受け付けられ、郵送や持ち込みはできません。交付決定が遅れた場合でも期限は変わらず、間に合わないときは申請の取り下げを求められることがあります。
問い合わせ先はどこですか?
中小企業者は、長野県産業労働部経営・創業支援課(電話026-235-7195)です。申請後の実務は、長野県中小企業GX推進事務局(電話050-5538-4051、平日9時30分から17時30分)が受けます。温暖化対策計画書は環境部ゼロカーボン推進課(電話026-235-7022)です。業種ごとの窓口は、県の別紙にあります。
