長野県内で創業しても、通常の飲食店・理美容・コンサルタント業は採択の対象になりません。地域の課題を解決することが事業の中心にある創業が対象で、上限は200万円です。令和8年度の募集(1次は4月13日〜5月18日、2次は6月1日〜7月24日)は終わっています。採択は9月24日に発表され、応募48件のうち17件でした。
実施するのは長野県で、事務局は長野県産業振興機構です。審査は書類のあと、申請者本人が出る面談審査まであります。
ソーシャル・ビジネス創業支援金の要点まとめ
正式名:ソーシャル・ビジネス創業支援金(地域課題解決型創業支援事業)
だれが
- 申請者
- 長野県内で創業する個人・法人の代表者
- 対象業種
- 地域課題解決型の事業(業種は問わない)
- 利用目的
- 創業・事業承継・第二創業の経費
- 対象地域
- 長野県内
- 従業員数
- 大企業・みなし大企業は対象外
いくら
- 補助上限額
- 200万円
- 補助率
- 補助対象経費の1/2以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 令和8年度は終了(4月13日〜7月24日)
- 事業の完了
- 令和9年1月31日まで(補助対象期間)
自分は対象になる?
次の条件にすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 令和8年4月6日以前に開業・設立した
- ✕ 個人事業を法人化する(法人成り)
- ✕ 通常の飲食・理美容・コンサル業
- ✕ フランチャイズの単純展開
- ✕ 大企業・みなし大企業の創業
令和8年度の対象期間は、令和8年4月7日から令和9年1月31日までです。この間に個人事業の開業届を出すか、法人を設立して、その代表になる人が対象です。県内に居住していれば足り、県外在住の人も令和9年1月31日までに居住する予定なら申請できます。
事業の分野は、地域活性化・過疎地域活性化、買物弱者支援、地域交通支援、社会教育、子育て支援、環境エネルギー、社会福祉、困難を有する若者への教育・就労支援などです。これらの分野で、地域に十分な体制がまだない課題を解く事業が対象です。事業の収益で自律的に続けられる見込みも要ります。
事業承継と第二創業は、AI・IoT・ロボット・ドローン・ビッグデータなどSociety5.0関連の技術を使う業種に限ります。事業承継は代表者の交代を伴って新しい事業に取り組むこと、第二創業は同じ法人が既存事業と違う新事業に取り組むことです。
大企業は、中小企業支援法の中小企業者(業種ごとに資本金か従業員数の上限があります)以外の者です。みなし大企業は、資本金10億円以上の法人が株式の1/2以上(または2/3以上)を持つ資本金10億円未満の法人などをいいます。中小企業でも、これに当たると対象外です。
すでに県外で営んでいる事業を長野県で始め直すことは、新たな創業にあたらず対象外です。既存の会社の社長が個人で開業したり、別の法人を作ったりする場合は、事業が既存の会社と実質的に同じか、その延長とみなされると対象外になります。法人格のない組織(有限責任事業組合など)も対象外です。
どんな事業が地域課題解決型と見なされる?
審査は社会性・事業性・必要性・遂行能力の4項目で行います。通常の事業と違うのは、地域でその課題がなぜ解決されていないかを説明する点です。
| 対象になりにくい事業 | 対象になりうる事業 |
|---|---|
| 通常の飲食・理美容・コンサルタント業 | 買物弱者を支える移動販売や、地域の食材を使う6次産業化 |
| フランチャイズの単純展開 | 障がい者の社会参加や、訪問看護・育児支援の担い手づくり |
| 地域の課題との結びつきが薄い一般的な創業 | 地域交通の維持や、過疎地域の暮らしを支える事業 |
右の列は、県が公表している過去の採択テーマ(聴覚障がい者が働くサイニングストア、精神疾患のある人と家族への訪問看護、中条地域の6次産業化、夜間・休日の保育サービスなど)に沿った例です。事業計画書では、課題の把握、解決策、地域での波及効果を書き分けます。デジタル技術も使うことが条件で、使わない計画は対象外です。
審査の4項目は、いずれも事業の中身を問います。売上計画は5年後まで書き、5年以上続けられる事業か、事業収益以外の資金調達の計画があるかも見られます。
県のページには、事前に個別相談を受けた人は採択率が高い傾向にあるとあります。説明会への参加(またはアーカイブ視聴)も、制度の趣旨を理解するために求められています。
いくらもらえる?
補助対象経費(消費税抜き)の半分以内で、上限は200万円です。上限の200万円に届くのは、補助対象経費が400万円以上のときです。
- 内装工事に税込330万円かかった:税抜300万円 × 1/2 = 150万円
- 設備と内装で税抜400万円かかった:400万円 × 1/2 = 200万円(上限ちょうど)
- 税抜500万円かかった:500万円 × 1/2 = 250万円 → 上限の200万円
交付額は採択件数などに応じて決まり、申請額が満額になるとは限りません。
半分の計算は、別紙2の経費区分ごとに行います。各区分の充当額は、その区分の税抜の補助対象経費の2分の1以下で、合計が申請額になります。人件費は消費税がかからないので、税込と税抜が同じ額です。
支払いは精算払いです。事業が完了し、完了検査で額が確定してから払われます。前金払・概算払・部分払はありません。つなぎの資金は自分で用意します。
何に使える?
対象にならないもの
- パソコン・カメラ・車両・文具など汎用性の高い物品
- 会計ソフトの購入費・ライセンス費用
- 不動産の購入費・消耗品
- 代表者・役員の人件費
- 個人事業主本人と、生計を一にする三親等以内の家族の人件費
- 本人や三親等以内の親族が所有する不動産の借入費用
- 敷金・礼金・保証料・保険料
- 税務申告のための税理士費用、応募書類の作成代行費用
- 出願手数料、振込手数料、公租公課
対象になるもの
- 従業員の人件費
- 県内の店舗・事務所・駐車場の賃借料、共益費、仲介手数料
- 店舗・事務所の外装・内装工事費、機械装置・工具・器具・備品
- 試作品の原材料費(販売用の仕入は対象外)
- 特許権などの取得費、専門家への経費、旅費
- 外注・委託費(デザイン、WEBコンテンツ制作、市場調査など)
- 広報費(広告宣伝、パンフレット印刷、展示会出展)
キッチンカーへの改造費など、汎用性のない特殊車両や改造部分は対象です。ラッピングだけは対象になりません。専門業者から買った中古品は対象で、個人間の中古品は対象外です。住居兼店舗の場合は、事業に使う部分の経費だけが対象です。表に載っていても、審査で対象外になることがあります。
交付決定日より前に発注・支出した経費は対象外です。対象期間は交付決定日から令和9年1月31日までで、期間外の分の前払いも対象になりません。例外は人件費と店舗・事務所の賃借料で、契約が交付決定より前でも、対象期間内の分は対象になります。ただし、交付決定日より前に払った分は対象外です。
他の補助金を同じ経費に充てることはできません。市町村が自主財源で出す補助金だけは、申請者の自己負担が生じる場合に限り、経費の一部に充てられます。
申請の流れ(令和8年度)
- 説明会に参加し、個別相談を受ける(創業予定者→事務局・伴走支援員。申請前に)
- 申請書類をメール・郵送・持参のどれかで出す(創業予定者→長野県産業振興機構。締切は17時厳守。郵送は消印でなく到着日が基準)
- 書類審査と面談審査を受ける(申請者本人が出席し、事業をプレゼン)
- 交付決定を受ける(事務局→申請者。この日付から経費が対象)
- 事業を実施し、令和9年1月31日までに経費を支払う(申請者。事務局が現地を訪問して支援)
- 実績報告を出し、完了検査を受ける(申請者→事務局。事業完了から20日以内か2月10日の早い方まで)
- 額が確定して、支援金が支払われる(事務局→申請者)
メールで出すときは、すべてPDFにします。件名は「創業支援金申請(申込者名)」とし、添付は10MB以内です。申請後2〜3日たっても受付の返信メールが来なければ、事務局に電話で確かめます。締切日はメールが集中するので、翌日に受信を確かめる電話を入れるよう求められています。住民票などの添付書類だけを後日出すことは認められません。
事業計画書はMS明朝11ptで12ページ以内にまとめ、手書きでは出せません。「別添のとおり」といった書き方や、URL・QRコードの貼り付けがあると審査の対象外になります。
必要な書類
準備できた 0 / 7
住民票は申請日前3か月以内に発行されたもので、個人番号は省きます。開業届の写しと履歴事項全部証明書は、申請日までに開業・設立を済ませている場合に出します。開業届をe-Taxで出した場合は、日付と受付番号が印字された写しを使います。印字がなければ、電子申告の受信通知(メール詳細)を添えます。事業承継・第二創業の場合は様式1-2号を使い、直近の確定申告書や決算書、既存事業と新事業が分かる履歴事項全部証明書なども要ります。ほかの法人の役員になっている場合は、その法人の履歴事項全部証明書も出します。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定より前に発注・支払いをした:その経費は対象外です。契約や発注は交付決定の通知のあとにします。
- 住民票を移さない・開業届や登記をしない:交付決定を受けていても、対象期間内に県内へ住民票を移し、開業届の提出か法人登記をしないと支援金は交付されません。
- ほかの補助金と重ねた:他の国庫補助金や、長野県・市町村の同趣旨の補助金とは併給できません。採択後に分かっても、交付決定を取り消されることがあります。
- 満額が出ない:交付額は採択件数などに応じて決まり、申請額と同じになるとは限りません。
- 財産を勝手に処分した:補助金で取得した1件50万円以上(税抜)の財産は、耐用年数にあたる期間(定めがなければ5年)、処分に理事長の承認が要ります。補助金相当額の一部または全部を納めることもあります。
- 取り消されて返還になった:取消しで返還を求められると、年10.95%の加算金がかかります。
- 採択後の報告をしない:事業完了後5年間、事業の状況を報告する義務があります。決算書か確定申告書の写しを添えます。
令和8年度の変更点と併用できる支援
令和8年度は、対象になる開業・設立の日が「4月1日から」から「4月7日から」に訂正されました。国の予算成立が遅れたためです。令和8年4月6日以前に開業・設立した人は対象外です。
東京圏(埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県)、愛知県、大阪府に住んで働いていた人は、交付決定を受けると別途、移住支援金の対象になる場合があります。要件は別に定められています。
よくある質問
通常の飲食店やカフェの開業でも申請できますか?
通常の飲食・理美容・コンサルタント業は、採択の対象にしていません。県のページにそう書かれています。ただし、地域の食材を使った6次産業化や、買物弱者を支える移動販売のように、地域課題の解決が事業の中心にある場合は対象になりえます。飲食の形をとる事業でも、課題の把握と解決の筋道を事業計画書で示す必要があります。
すでに個人事業を開業している人は申請できますか?
令和8年度は、令和8年4月7日から令和9年1月31日までに開業届を出した人(または法人を設立した人)が対象です。令和8年4月6日以前に開業・設立した人は対象外です。個人事業を法人にする法人成りも対象外ですが、個人事業とは別の事業をする法人を作る場合は創業の対象です。すでに事業を営んでいる人は、事業承継か第二創業の枠に当たるかを事務局に確かめてください。
県外に住んでいても申請できますか?
申請できます。長野県内に居住しているか、令和9年1月31日までに居住する予定であることが条件です。予定で申請する場合、誓約書で居住予定を選びます。ただし、対象期間内に県内へ住民票を移さないと、交付決定を受けていても支援金は交付されません。引っ越しの時期は、事業のスケジュールと合わせて決めます。
事業承継や第二創業でも使えますか?
使えますが、条件が加わります。AI・IoT・ロボット・ドローン・ビッグデータなどSociety5.0関連の技術を使う業種で、新しいシステムづくりに関わる事業であることが必要です。申請書は創業者向けとは別の様式1-2号で、既存事業と新事業が分かる書類も出します。単に家業を継ぐだけでは対象になりません。
デジタル技術は必ず使う必要がありますか?
使う必要があります。対象事業の要件に、生産性の向上・機会損失の解消・顧客の利便性の向上につながるデジタル技術の活用が入っています。事業計画書では、キャッシュレス決済、WEB予約システム、ECサイト、SNS、WEBサイトでの情報発信、Wi-Fi環境の整備などから選び、その技術が役立つ理由を書きます。いずれも使わない計画は対象外です。
経費を使うのはいつからいつまでですか?
交付決定日から令和9年1月31日までです。令和8年度の交付決定の目安は、1次募集が7月上旬、2次募集が9月上旬でした。交付決定日より前に発注・支出した経費は対象外で、期間外の分の前払いも認められません。ただし、人件費と店舗・事務所の賃借料は、契約が交付決定より前でも期間内の分は対象です。年間契約は期間内の分だけ按分して対象にします。契約や発注は、交付決定の通知を待ってからにします。
消費税は補助の対象になりますか?
補助対象経費に消費税・地方消費税は含みません。別紙2の経費内訳書では、事業に要する経費は税込、補助対象経費は税抜、支援金充当額は税抜で書きます。たとえば税込330万円の内装工事は、税抜300万円で数え、その2分の1の150万円が上限の範囲内で補助されます。見積書は税込・税抜の両方が分かる形で取ります。
採択される割合はどのくらいですか?
令和8年度は応募48件、書類選考を通ったのが20件、採択が17件でした(県の9月24日のプレスリリース)。令和7年度は84件、30件、17件です。採択は応募の約35%(令和7年度は約20%)にあたります。令和6年度の採択は32件、令和5年度は23件で、応募件数は載っていません。県のページには、事前に個別相談を受けた人は採択率が高い傾向にあるとあります。伴走支援員は、申請前の相談から事業計画づくりまで付き添います。
1次募集で落ちたら2次募集に出せますか?
出せます。募集案内に、1次で採択されなかった人も、事業計画を見直し、伴走支援員に相談したうえで2次に応募できるとあります。ただし2次募集は、1次の申請や採択の状況で行うかどうかを決めます。1次で予算の上限に達した場合は、2次は行われません。令和8年度は2次募集が行われました。
次の募集はいつ始まりますか?
確認した公式ページには、令和9年度の募集の案内がありません。令和8年度は4月13日に始まりましたが、次の年度の日程は分かりません。募集は長野県産業振興機構のお知らせに載ります。県のページは、令和8年度の募集が終わったことを示しています。次を狙う人は、事務局のページを定期的に見て、個別相談の機会を逃さないようにします。
面談審査では何をしますか?
申請者本人が審査委員会に出席し、申請内容のプレゼンテーションをします。個人事業主は本人、法人は代表者が出ます。令和8年度の面談は、1次が6月16日・17日、2次が8月20日・21日でした。書類審査を通った人だけが呼ばれるので、日程はあらかじめ空けておく必要があります。審査基準は、社会性・事業性・必要性・遂行能力の4項目です。
問い合わせ先はどこですか?
事務局の長野県産業振興機構 経営支援部(電話026-227-5028)です。県の担当は産業労働部 経営・創業支援課(電話026-235-7195)です。対象かどうかの判断や、経費の可否、申請書の書き方などは、申請の前に事務局へ聞くのが確実です。伴走支援員は、地域ごとに3名がいて、事前相談に応じています。
