衛星データを買って試す。展示会に出て、宇宙関連の取引先の反応を見る。宇宙ビジネスへの最初の一歩は、数十万円の出費から始まることが多くなります。その費用の2/3(上限50万円)を補助するのが、長野県産業振興機構の「宇宙ビジネス促進事業補助金」です。2次募集の締切は2026年11月30日(月)17時必着です。
先に確かめたいのは経費の中身です。対象経費の一覧に、機械装置など設備の購入費の区分はありません。市場調査、データの取得、試験設備の利用、展示会といった「小さく試す」費用向けの制度です。
宇宙ビジネス促進事業補助金の要点まとめ
正式名:宇宙ビジネス促進事業補助金(2次募集)
だれが
- 申請者
- 県内に事業所か研究拠点がある企業・個人事業主、県内の大学等
- 対象業種
- 宇宙機器・宇宙ソリューションなど宇宙ビジネス
- 利用目的
- 宇宙ビジネスへの新規参入、成長のための新製品開発・販路開拓
- 対象地域
- 長野県
- 従業員数
- 公式ページに記載なし(産業振興機構へお問い合わせください)
いくら
- 補助上限額
- 50万円(1,000円未満は切り捨て)
- 補助率
- 対象経費の2/3以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年9月11日〜2026年11月30日17時必着
- 事業の完了
- 2027年2月28日まで
宇宙分野でうちは対象になる?
次のすべてに当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 同じ事業で国や県の補助を受ける
- ✕ 法令や条例に違反している
ここでいう「県内企業」は、長野県内に登記簿上の本店か事業所を持つ法人・個人で、補助事業が終わったあとも県内で1年以上事業を続ける予定の人です。県内の大学等は、大学、高等専門学校、短期大学のうち、県内に研究拠点があるものです。
対象になる宇宙ビジネスは3つに分かれます。
- 宇宙機器産業(ロケット、衛星、地上施設、制御・管制のソフトウェアなど)
- 宇宙ソリューション産業(通信・放送、測位、リモートセンシングなど。地理情報、気象、農林業、漁業への利用を含む)
- その他の宇宙関連事業(宇宙に関する産学官連携の人材育成などで、理事長が認めるもの)
資本金や従業員数の上限は、公式ページと公募要領のどちらにも書かれていません。規模で迷う場合は、申請前に機構へ聞くのが確実です。
いくら戻ってくる?
補助額は、対象経費に2/3を掛けた額です。1,000円未満は切り捨てになります。上限の50万円に届くのは、対象経費が75万円以上のときです。
- 衛星データの取得と翻訳で45万円かかる:45万円 × 2/3 = 30万円
- 展示会の出展と試験設備の利用で60万円かかる:60万円 × 2/3 = 40万円
- 市場調査の委託と出展で90万円かかる:90万円 × 2/3 = 60万円 → 上限の50万円
委託費には別の縛りがあります。対象経費のうち、委託費は経費全体の1/2以内に収めます。調査を丸ごと外注する計画は、この枠で削られる点に注意が必要です。
補助金が入るのは、事業が終わって金額が確定した後の精算払いです。費用は先に自社で全額払います。
何に使える?
対象にならないものを先に挙げます。
- 交付決定より前に契約・発注・支出した経費
- 中古品の購入費
- 光熱水費や通信費などの経常的経費
- パソコン、タブレット、スマートフォンなど汎用性のある備品
- 文房具などの事務用品、書籍代
- 消費税及び地方消費税、振込手数料(消費税は、消費税法の別表第3に掲げる県内の大学等だけ対象に含められます)
- 公租公課(関税を含む)
- 各種保険料(展示会の出展にかかる保険料は除く)
- 事業計画書類の作成や提出にかかる費用
対象になる経費は次の区分です。
- 原材料・消耗品費(試作などで使い切るもの。残った分は対象外で、受払簿をつける)
- 会議費(会議や打合せの会場借料、機材借料など)
- 謝金(講師など外部専門家への謝金)
- 委託費(市場調査、試験分析、評価、加工、組立、設計、プログラム開発、技術コンサルタントなど)
- 役務費(産業財産権の経費、通訳・翻訳、データ分析、ソフトウェアやクラウドの利用、衛星データの取得、試験設備の利用料、学会参加費など)
- 展示会出展費(出展料、小間代、会場整備費、小間装飾費、運搬費、保険料。県や機構が出展を支援する展示会は除く)
- 広告宣伝費(ホームページ製作、チラシ・パンフレット・動画の製作など。ノベルティは除く)
- 旅費(外部専門家、展示会・商談会の担当者、試験設備の利用、研修などの旅費。グリーン車やビジネスクラスの追加料金は除く)
- 受講料・参加料、教材費(研修の履修に必要なもの)
- その他、理事長が特に必要と認める経費
1件あたり概ね10万円以上の発注は、原則2者以上から見積書を取ります。2者以上が難しいときは、理由書を付けて1者の見積書で出すこともできます。
申請から入金までの流れ
- 対象になるかを確かめる(事業者→機構の航空・宇宙機器産業支援センター。電話026-217-1634。申請前に)
- 事業計画申請書などをそろえる(事業者。機構の案内ページの様式。11月30日17時まで)
- PDFにして、メールで機構へ送る(事業者→機構。受理の返信が来る)
- 審査を受けて、採択の通知を待つ(審査委員会。非公開で行われる)
- 交付申請をして、交付決定を受ける(事業者→機構。契約・発注はこのあと)
- 2027年2月28日までに事業を終え、実績報告を出す(事業者→機構。完了から10日後か2月末日の早い方まで)
- 現地調査を受けて、補助金を受け取る(機構→事業者。金額の確定後に精算払請求書を出す)
事前着手届を出すと、交付申請日から交付決定の前日までに契約した経費を、対象にしてもらえる場合があります。届出だけで交付が約束されるわけではありません。
必要な書類
準備できた 0 / 6
履歴事項全部証明書は法人、開業届の写しは個人事業主が出します。会社概要説明書は法人の場合で、法人以外は「準ずるもの」を出します。決算書は、2年以上事業を続けている場合に直近2期分です。県税証明書は、県税の未納がないことを前年度分で証明するものです。必要に応じて追加の資料や説明を求められることがあります。申請書の様式では、従業者数、資本金、業種(日本標準産業分類の細分類の名称とコード)を書きます。提出した書類は、採択でも不採択でも返却されません。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に発注した:交付決定より前の契約・発注・支出は対象外です。事前着手届を出しても、認められない場合があります。
- 中核の開発を外に出した:補助事業の中核的な開発要素を第三者に委託してはいけません。外に出せるのは、調査や加工などの周辺業務です。
- 内容や配分を勝手に変えた:事業内容の変更や、経費区分の配分の変更は事前に承認が要ります。総額の20%以内の流用増減は例外です。
- ほかの補助金を同じ事業で受けた:国や県など他機関の補助金を受ける事業は対象になりません。同様の開発内容で他の機関から補助を受けている場合も同じです。
- 交付決定が取り消された:計画から大きく外れると取り消されます。すでに交付済みなら返還を命じられ、期限を過ぎると年3.0%の延滞金がかかります。
県の次世代成長産業技術開発補助金とは何が違う?
航空・宇宙向けには、県が実施する「次世代成長産業技術開発等支援事業補助金」もあります。名前は似ていますが、別の制度です。
| この補助金(機構) | 次世代成長産業技術開発(県) | |
|---|---|---|
| 補助率 | 2/3以内 | 1/2以内 |
| 上限額 | 50万円 | 200万円 |
| 向いている使い方 | 市場調査・データ取得・展示会など小さく試す | 試作開発。設備購入も対象 |
| 対象者 | 県内の企業・大学等 | 製造業の中小企業・大学等 |
| 窓口 | 機構の航空・宇宙機器産業支援センター | 所在地の地域振興局 |
同じ開発内容で両方から補助を受けることはできません。まず小さく始めて、試作の段階で県の補助金へ進む、という順番で考えると整理しやすくなります。
よくある質問
宇宙ビジネスの経験がなくても申請できますか?
申請できます。この補助金は、宇宙ビジネスへの新規参入を目指す事業と、すでに参入している企業の成長を目指す事業の両方が対象です。経験の有無は要件になっていません。ただし審査では、補助事業を的確に遂行できる組織や人員があるか、資金力と管理能力があるかが見られます。未経験の場合は、なぜその事業が自社に向くのかを事業計画書に具体的に書いてください。
個人事業主でも使えますか?
使えます。「県内企業」には、県内に登記簿上の本店か事業所を持つ法人だけでなく個人も含まれます。ただし、補助事業が終わったあとも県内で引き続き1年以上事業を営む予定であることが条件です。提出書類は、法人登記事項証明書の代わりに開業届の写しになります。会社概要説明書は法人以外では「準ずるもの」を出します。作り方に迷うときは、先に機構へ聞いてください。
機械や設備の購入費は対象になりますか?
対象経費の一覧に、設備や機械装置の購入費の区分はありません。一覧にあるのは、原材料・消耗品費、会議費、謝金、委託費、役務費、展示会出展費、広告宣伝費、旅費、受講料・参加料、教材費、その他です。試験設備は「利用料」が役務費に入ります。設備を買う計画が中心なら、県の次世代成長産業技術開発補助金のほうが向いています。個別の経費の扱いは、機構に確認してください。
衛星データの購入は対象ですか?
対象です。役務費の例として、衛星データの取得費用、クラウドの使用、データ分析、試験設備の利用料が明記されています。たとえばリモートセンシングで農地の状況を調べる事業を試すとき、データの取得費と分析の費用が対象になりえます。ただし、事業に直接必要なものに限られます。見積書や納品書で金額と年月日が確認できるようにしておいてください。
委託費はいくらまで使えますか?
委託費は、補助対象経費の1/2以内にします。たとえば対象経費が90万円なら、委託費は45万円までです。委託の契約書には内容と金額を書き、成果物が自社に帰属する形にします。外注加工は、明確な仕様を示して発注するもので、開発要素を含まないものを指します。補助事業の中核的な開発要素を第三者に委託することは認められません。
展示会の出展費は補助されますか?
補助されます。出展料、小間代、会場整備費は、主催者か主催者が指定する事業者に払う経費が対象です。小間の装飾費、運搬費、保険料も含まれます。ただし、長野県や機構が出展を支援する展示会は対象から除かれます。ノベルティは広告宣伝費にも入りません。出展が決まっていても、申込みや支払いが交付決定より前だと対象外になるので、時期を確かめてください。
前回の募集で採択された会社でも申請できますか?
公式ページと公募要領には、前回の採択者が申請できないという記載がありません。この回は2次募集で、要綱の附則には、9月10日までに交付決定を受けた補助事業者は従前の例によるという定めがあります。要綱は、対象事業が国や県その他の機関の補助金を受けていないことを条件にしています。前回と同じ事業で申請できるかは書かれていないため、申請前に機構へ確認してください。
締切の11月30日までに出せば確実に審査されますか?
確実とはいえません。受付は予算額に達した時点で終了します。残りの予算は公式ページに書かれていないため、締切が近づくほど受付が終わっている可能性が上がります。書類がそろい次第、早めに出すのが安全です。メールを送ったあと3営業日たっても受理の返信がないときは、電話で確かめてください。
補助金はいつ入金されますか?
事業が終わり、実績報告と現地調査を経て、補助金額が確定してから精算払いで入金されます。補助金額は、実際に支出が確認できた費用の合計に補助率を掛けた額で、交付決定額が上限です。つまり費用は先に自社で全額払う必要があります。実績報告は、事業の完了から10日たった日か、交付決定の年度の2月末日の早い方までに出します。
事業が終わったあとに残る義務はありますか?
あります。経費の帳簿と証拠書類(見積書、発注書、納品書、請求書、支払いの証拠)は、事業が完了した年度の終了後5年間保管します。現地調査のあとも保管は続きます。また、交付が決まると申請者名と事業名が公表され、事業が終わったあとに成果の公表を求められることもあります。生産量や売上額などの調査に協力を求められる場合もあります。
取得した知的財産は誰のものになりますか?
補助事業で産業財産権などが生じた場合、その権利は補助事業者のものです。機構に権利が移ることはありません。特許などの出願にかかる経費は、役務費として対象になりえます。交付決定より前に出願や支払いをした分は対象外になるため、出願の予定があるときは日程を確かめてください。
問い合わせ先はどこですか?
公益財団法人長野県産業振興機構 次世代産業部 航空・宇宙機器産業支援センター(電話 026-217-1634、平日8:30〜17:15)です。書類の提出先メールアドレスも、このセンターです。審査の内容は非公開で行われます。対象になるか、規模の条件があるか、経費の扱いで迷う点は、書類を作り込む前に電話で整理すると手戻りを減らせます。
