航空機や衛星の部品に挑戦したい。けれど試作と評価試験の費用が重く、最初の一歩で止まってしまう。そんな県内の製造業に向けて、長野県は試作開発などの費用の1/2(上限200万円)を補助します。2次募集の締切は2026年11月30日(月)17時必着です。
条件で見落としやすいのは、大学や公設試(公的な試験研究機関)との共同研究など、一定の原理検証がすでに済んでいることです。ゼロから研究を始める事業は想定されていません。採択は2件程度と少なく、予算額に達した時点で締切前でも受付が終わります。
次世代成長産業技術開発補助金(航空・宇宙)の要点まとめ
正式名:次世代成長産業技術開発等支援事業補助金(航空・宇宙機器関連分野)2次募集
だれが
- 申請者
- 県内の製造業の中小企業・個人事業主、県内の大学等
- 対象業種
- 製造業(営む予定も可)。大学等は業種なし
- 利用目的
- 航空・宇宙機器の技術検証、試作開発、販路開拓
- 対象地域
- 長野県
- 従業員数
- 中小企業基本法の中小企業者に該当すること
いくら
- 補助上限額
- 200万円(1件あたり)
- 補助率
- 対象経費の1/2以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年8月20日〜2026年11月30日17時必着
- 事業の完了
- 2027年2月末日まで
うちの会社は対象になる?
次のすべてに当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 販路開拓だけを行う事業
- ✕ 同じ内容で他の補助金を受ける
- ✕ 法令や条例に違反している
中小企業とは、中小企業基本法で業種ごとに資本金と従業員数の上限が決まっている会社のことです。製造業その他なら、資本金3億円以下または従業員300人以下のどちらか一方を満たせば該当します(ゴム製品製造業など、政令で基準が別に決まる業種もあります)。
原理検証とは、新しいアイデアや技術の原理が本当に成り立つかを、製品化の前に確かめる作業です。要綱は「大学や公設試などとの共同研究が行われているなど」と例を挙げています。共同研究のほかに何が認められるかは、公式ページに書かれていません。手元の実験データで足りるか迷うなら、申請前に産業技術課へ聞くという手があります。
対象は「航空機、次世代航空機(次世代エアモビリティを含む)、MRO(整備)、空港地上設備、宇宙機器」に必要な新技術を特定し、形にする事業です。
いくら戻ってくる?
補助額は、対象経費に1/2を掛けた額です。1万円未満は切り捨てになります。上限の200万円に届くのは、対象経費が400万円以上のときです。
- 試作品の加工外注と評価試験で240万円かかる:240万円 × 1/2 = 120万円
- 試験装置の購入と外部専門家の謝金で400万円かかる:400万円 × 1/2 = 200万円
- 設備と試作と展示会出展で500万円かかる:500万円 × 1/2 = 250万円 → 上限の200万円
上限に届かない分は自己負担です。しかも補助金が入るのは事業が終わって金額が確定した後なので、その間の資金は先に用意します。自己資金での実施が難しいときは、交付決定額の7/10を上限に概算払い(先払い)を請求できます。回数は2回までです。
何に使える?
対象にならないものを先に挙げます。
- 交付決定より前に契約・発注・支出した経費
- 人件費(この分野では対象経費の区分にありません)
- 光熱水費や通信費などの経常的経費
- パソコン、タブレット、スマートフォンなど汎用性のある備品
- 文房具などの事務用品、書籍代
- 消費税及び地方消費税、振込手数料
- 公租公課(関税を含む)、保険料(展示会の出展にかかる保険料は除く)
- 設置場所の整備工事、基礎工事
- 補助事業以外にも使える汎用設備
- 企業のPRや通常の営業活動のための広報費
- 事業計画書類の作成や提出にかかる費用
消費税は、消費税法の別表第3に掲げる法人に当たる県内の大学等だけ、対象経費に含められます。中古品は、価格の妥当性が明確でないと対象外です。クレジットカードで払った場合は、事業期間内に口座から引き落とされていないと対象外になります。
対象になる経費は次の区分です。
- 設備備品費(機械装置・工具・器具・備品の購入、製造、改良、据付け、借用、保守、修繕)
- 原材料・消耗品費(受払簿をつけ、仕損品やテストピースは保管する)
- 専門家等の謝金・旅費(コンサルタント、技術士、民間企業の技術者など)
- 委託・外注費(市場調査、試験分析、評価、加工、組立、設計、プログラム開発。大学等との共同研究も含む)
- 役務費(産業財産権の経費、翻訳、データ分析、ソフトウェアライセンス、学会参加費)
- 展示会等出展費(県や長野県産業振興機構が出展を支援する展示会は除く)
- 広告宣伝費(開発した製品の広報に限る)
- その他、知事が特に必要と認める経費
1件50万円以上(税込)の発注は、原則2者以上から見積書を取ります。1者しか取れないときは理由を書いた書類を用意します。
申請から入金までの流れ
- 対象になるかを確かめる(事業者→県産業技術課。電話026-235-7196。申請前に)
- 様式をそろえて事業計画を書く(事業者。県の案内ページの様式。11月30日17時まで)
- 県税事務所で納税証明書をもらう(事業者→県税事務所。前年度分)
- メールで地域振興局へ送る(事業者→所在地を管轄する地域振興局。受理の連絡が3営業日以内に来る)
- 審査を受け、結果を待つ(有識者の審査会。申請ごとに随時開かれる)
- 交付申請をして、交付決定を受ける(事業者→県。契約・発注はこのあと)
- 2027年2月末までに事業を終え、実績報告を出す(事業者→県。実施要領は完了から10日後か2月末日の早い方まで)
- 確定検査を受けて、補助金を受け取る(県→事業者。精算払い)
実績報告の期限は、資料によって違います。実施要領は完了から10日後か2月末日の早い方、交付要綱は完了から15日後か3月5日の早い方です。県のスケジュール表は3月上旬としています。確実なのは早い方に合わせることで、不安なら産業技術課に確かめます。事業の途中では、10月31日時点の遂行状況を11月20日までに報告します。
必要な書類
準備できた 0 / 7
会社概要説明書と決算書は法人だけが出します。創業して間もないなど、納税証明書や決算書を出せない事情があるときは、県産業技術課に相談します。申請書類は、採択でも不採択でも返却されません。
提出先は、所在地を管轄する地域振興局の商工観光課です(木曽地域は企画振興・商工課)。メールの件名は「次世代成長産業技術開発等支援事業補助金(申請書名)(企業名)」の形にします。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に発注した:交付決定より前の契約・発注は対象外です。やむを得ないときは事前着手届を出せば認められる場合がありますが、交付が約束されるわけではありません。
- 計画と大きく違う事業をした:開発内容や経費が事業計画と大きく異なると、交付決定後でも取り消されることがあります。
- 取得した設備を転用・処分した:単価50万円以上の設備は処分制限財産です。ほかの用途に回せず、処分するときは知事の承認が要ります。
- 同じ開発で別の補助金を受けた:同様の開発内容で他の機関から補助金を受けていると、対象になりません。
- 概算払いが確定額を上回った:超えた分は返還です。返還の通知後も期間内に納めないと、延滞金がかかることがあります。
宇宙ビジネス促進事業補助金とは何が違う?
長野県の航空・宇宙向けの補助金には、もう1つ「宇宙ビジネス促進事業補助金」があります。実施するのは県ではなく、公益財団法人長野県産業振興機構です。名前は似ていますが、別の制度です。
| この補助金(県) | 宇宙ビジネス促進(機構) | |
|---|---|---|
| 目的 | 技術検証・試作開発・販路開拓 | 新規参入や成長のための開発・販路開拓 |
| 上限額 | 200万円 | 50万円 |
| 補助率 | 1/2以内 | 2/3以内 |
| 対象の分野 | 航空機・MRO・空港地上設備・宇宙機器 | 宇宙機器・宇宙ソリューション・宇宙関連の人材育成 |
| 窓口 | 地域振興局(宛先は所在地で決まる) | 機構の航空・宇宙機器産業支援センター |
どちらも締切は11月30日です。同じ開発内容で両方から補助を受けることはできません。試作に大きくかかるなら県の補助金、市場調査や展示会など小さく始めるなら機構の補助金、と使い分けると整理しやすくなります。
よくある質問
航空機以外の部品でも使えますか?
対象は、航空機、次世代航空機(次世代エアモビリティを含む)、MRO、空港地上設備、宇宙機器に必要な新技術です。自動車や医療機器など、ほかの分野だけを向いた開発は、公式ページの分野の書き方に当てはまりません。いま別の分野向けに作っている部品を航空・宇宙機器へ広げる計画なら、対象になる余地があります。事業計画書では、航空・宇宙のどの製品に使う技術なのかを具体的に書いてください。迷うときは申請前に産業技術課へ確かめる手があります。
製造業でない会社でも申請できますか?
中小企業の場合、製造業を営んでいるか、これから営もうとする法人・個人が対象です。製造業でない会社は、原則として対象外です。大学等(大学、高等専門学校、短期大学)は業種を問われず、県内に所在すれば対象になります。製造業を新たに始める予定がある場合は、その計画を事業計画書に書けるかどうか、産業技術課に相談してみてください。
原理検証が済んでいるかどうか、どう示せばいいですか?
要綱は、大学や公設試などの研究機関との共同研究が行われているなど、すでに一定の原理検証が行われていることを求めています。共同研究の契約書や成果の報告書があれば示しやすい材料になります。共同研究以外で何が認められるかは公式ページに書かれていないため、手元の試験データで足りるかは、申請前に産業技術課へ確認するのが確実です。事業計画書には、どこまで確認できていて何が未検証かを分けて書くと伝わります。
販路開拓だけの事業は対象になりますか?
対象になりません。すでに製品化されているものの販路開拓だけを行う事業は、補助対象事業の条件に反します。対象になるのは、新技術の特定、研究、試作開発とあわせて行う販路開拓です。展示会への出展費や広告宣伝費は補助対象経費ですが、あくまで補助事業で開発した製品の広報に限られます。企業のPRや通常の営業活動のための経費は対象外なので、計画書では開発とのつながりを書いてください。
申請書類はどこに出せばいいですか?
事業者の所在地を管轄する地域振興局の商工観光課に、メールで出します。木曽地域だけは企画振興・商工課です。たとえば松本市、塩尻市、安曇野市、東筑摩郡なら松本地域振興局、長野市や須坂市なら長野地域振興局にあたります。メールが届いても、地域振興局から受理の連絡が来るまでは正式な受理になりません。連絡は3営業日以内に来るはずなので、過ぎたら電話で確かめてください。
締切の11月30日までに出せば確実に審査されますか?
確実とはいえません。申請は締切まで随時受け付けられ、申請ごとに審査委員会が開かれます。交付決定額が予算額に達すると、11月30日より前に受付が終わります。採択予定も2件程度と少ないため、書類がそろったら早めに出すのが安全です。予算の残りがどのくらいかは公式ページに書かれていません。気になるときは産業技術課に電話で確かめてください。
補助金はいつ入金されますか?
事業が終わり、実績報告と確定検査を経て補助金額が確定した後の精算払いです。県のスケジュール表では、実績報告(完了検査)が2027年3月上旬、支払いが3月下旬とされています。実績報告書の提出期限そのものは資料で食い違うため、手順の8の説明を見てください。つまり、費用は先に自社で全額払う必要があります。資金繰りが厳しいときは、交付決定額の7/10を上限に概算払いを請求できます。概算払いが確定額を上回ったときは、超えた分を返します。
設備を買った場合、補助事業のあとも使えますか?
使えますが、条件があります。単価50万円以上の設備は、補助事業が終わったあとも適切に管理し、補助金の目的に沿って使う必要があります。ほかの用途への転用はできません。売却や貸し付け、担保に入れる処分をするときは、事前に知事の承認が要ります。処分で収入が出たときは、その一部を県に納めることがあります。高額な設備を買う計画なら、買う前にこの縛りを社内で確かめておいてください。
補助事業が終わったあとにも、やることはありますか?
あります。補助事業が完了した翌年度から5年間、事業化状況報告書を毎年度の終了後20日以内に知事へ提出します。収支に関する証拠書類は、交付年度が終わってから5年間保存します。また、財源の一部に国費が入っているため、会計検査の対象になることがあります。さらに、交付が決まると申請者名と開発テーマ名が公表されます。公表されて困る内容がないか、申請前に確かめてください。
消費税は補助の対象ですか?
対象外です。消費税及び地方消費税は補助対象経費に含まれません(消費税法の別表第3に掲げる法人に当たる県内の大学等は例外です)。企業が200万円の経費を支払うときは、税抜の金額が補助の計算のもとになります。1/2を掛けた額に1万円未満の端数が出たときは、切り捨てになります。見積書をもらうときは、税込と税抜の両方がわかる形にしてもらうと、経費内訳書を作るときに迷いません。
問い合わせ先はどこですか?
事業内容全般は、長野県産業労働部産業技術課 技術振興係(電話 026-235-7196)です。申請書類の提出や所在地ごとの窓口は、各地域振興局の商工観光課になります。審査の内容や不採択の理由は、原則として開示されません。申請前の確認はできるので、対象になるかどうか、原理検証の考え方、経費の扱いで迷う点は、先に電話で整理してから書類を作ると手戻りが減ります。
