令和8年度から、この助成金は対象の人数を3人から5人に広げました。介護に関する休暇制度を整える「介護支援制度整備加算」も新設されています。名称も「正規雇用等転換安定化支援助成金」から「正規雇用転換安定化支援助成金」に変わりました。
令和8年度の交付申請は、毎月1回、5月から10月までの全6回でした。最後の第6回が2026年10月31日で終わっています。令和9年度の募集内容は、東京都が案内するまで分かりません。次に使いたい事業主は、いまのうちに条件を確かめておけます。前提になるのは、国のキャリアアップ助成金(正社員化コース)の支給決定です。
正規雇用転換安定化支援助成金の要点まとめ
正式名:東京都正規雇用転換安定化支援助成金
だれが
- 申請者
- 事業主(国の区分で中小企業等にあたる法人・個人事業主)
- 対象業種
- 指定なし(風俗営業等は対象外)
- 利用目的
- 正規雇用に転換した従業員の育成と定着(育成計画・制度整備・賃上げ)
- 対象地域
- 東京都(東京労働局管内に雇用保険適用事業所がある事業主)
- 従業員数
- 国のキャリアアップ助成金の中小企業の区分に準じる
いくら
- 補助上限額
- 190万円
- 補助率
- 定額
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年5月1日〜2026年10月31日(全6回・受付終了)
- 事業の完了
- 回ごとに設定(第6回の実績報告は3月1日〜16日)
自社は申請できる?
次の5つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
法人都民税と法人事業税(個人は個人都民税と個人事業税)の未納がないことが条件です。雇用保険適用事業所とは、雇用保険の手続きの単位になる事業所のことです。正社員化コースとは、国が有期雇用などの労働者を正規雇用に転換した事業主に出す助成金の一つです。中小企業の範囲は、国のキャリアアップ助成金の区分に準じます。資本金や従業員数の上限は、厚生労働省の案内で確かめます。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 同じ労働者で、すでに都の交付決定を受けた
- ✕ 支援期間の終了日に有期雇用のままの人
- ✕ 風俗営業等を行っている
対象労働者は、転換した日から支援期間の終了日まで、同じ事業主のもとで正規雇用の状態が続き、都内で勤務している人です。転換後の雇用区分が1年以上続いていることも要件です。国の通知書や支給決定番号は、一度でも使うと別の申請に使い回せません。ここでいう「使った」は、都に交付申請を出し、撤回届の期限までに撤回しなかった場合です。
このほか、直近5年間に重大な法令違反がないこと、賃金が地域別最低賃金を上回ること、36協定の上限を守っていること、年5日の年次有給休暇を取らせていることなど、労働関係法令の遵守も条件です。誓約書(様式第2号)で、項目ごとにチェックを入れて誓約します。東京都政策連携団体や、都が設立した法人も対象外です。
いくら受け取れる?
助成額は、対象労働者の人数で決まります。1人20万円で、1事業所につき年度に5人までです。基本の額は最大100万円です。
次の加算が上乗せされます。
- 退職金制度整備加算:10万円
- 結婚・育児支援制度整備加算:10万円
- 介護支援制度整備加算:10万円
- 賃上げ加算:1人12万円(最大5人で60万円)
3つの制度整備加算は、それぞれ1事業主につき1回までです。
上限の190万円は、5人全員に4つの加算をすべて付けたときの額です。
- 3人を転換し、加算なし:20万円 × 3人 = 60万円
- 4人を転換し、退職金制度を新設:20万円 × 4人 + 10万円 = 90万円
- 5人を転換し、育児制度と賃上げ(5人とも):100万円 + 10万円 + 12万円 × 5人 = 170万円
- 5人を転換し、4つの加算すべて:100万円 + 30万円 + 60万円 = 190万円
賃上げ加算には二つの条件があります。支援期間の2か月目と3か月目の時間単価を、支援期間の前の2か月の平均より、それぞれ60円以上上げます。賃上げ後の時間あたりの賃金は、東京都の最低賃金を60円以上上回る必要があります。昇給日は、交付決定日から支援期間2か月目の末日までに決め、書面で本人に通知します。
支援期間にやることは?
この助成金は、設備を買う補助金ではありません。転換した人を育てる取組を、支援期間(3か月)のうちに実施した事業主に払います。必須の取組は3つです。
- 3年間の指導育成計画書を作る:対象者1人につき1枚です。所属長が面談したうえで、支援期間の開始から1か月以内に作ります。署名は本人と所属長の自署で、日付が支援期間の外だと対象外です。
- メンターを選び、3回以上指導する:メンターは職場の上司や先輩で、代表取締役でも構いません。開始から2週間を目安に選びます。指導は日常業務の中のOJT(仕事をしながらの指導)で、3日以上です。
- 研修を1回2時間以上行う:Off-JT(仕事を離れた研修)です。1時間を2回に分けても構いません。費用は事業主の負担です。一方的に視聴する研修や、基本的なマナー研修は対象になりません。
加算は、この3つに足して行います。
- 退職金制度:新たに就業規則を整えて労働基準監督署へ届け出るか、中退共(中小企業退職金共済)に新しく加入する。個人型の確定拠出年金(iDeCo)の導入は対象外
- 結婚・育児支援制度:有給の休暇制度を2つ、または有給の休暇制度と一時金制度を1つずつ新設する
- 介護支援制度:介護休暇を有給で新設する。1時間単位で取れる規定が要る
- 賃上げ:対象者の時間単価を60円以上上げる
退職金、結婚・育児、介護の加算は、すでにその制度がある事業主には付きません。従業員の一部だけが加入している場合も同じです。就業規則の改正を支援期間の前に済ませると、加算は対象外です。施行日と労働基準監督署の受付日が、支援期間の中に入っている必要があります。
申請の流れは?
国の決定が先で、都への申請が後です。支援期間は回ごとに決まっていました。令和8年度の第1回(5月申請)は、支援期間が7月〜9月、実績報告が10月1日〜25日でした。
- 国の正社員化コースの支給決定を受ける(事業主→東京労働局。転換日までにキャリアアップ計画を出しておく)
- 都へ交付申請を出す(事業主→東京都正規雇用化推進窓口。受付期間内に郵送か電子申請)
- 交付決定を受ける(東京都→事業主。受付期間の終了後、1か月程度で通知)
- 3か月の支援期間に取組を行う(事業主。計画、メンター、研修、加算の制度整備)
- 実績報告を出す(事業主→東京都。回ごとの報告期間内)
- 額の確定と振り込みを受ける(東京都→事業主。確定通知のあとに振り込み)
郵送の場合は、レターパックなど送達記録が残る方法で送ります。メール便や宅配便は使えません。電子申請はJグランツ(国の補助金の電子申請の窓口)で行い、GビズIDプライム(国の電子申請に共通で使うID)が要ります。受付は、各回の開始日の午前8時30分から締切日の午後5時15分までです。窓口は、各回の最後の平日が最終日です。交付申請を電子で出したら、実績報告も電子で出す決まりです。
必要な書類
準備できた 0 / 10
印鑑証明書と履歴事項全部証明書は、発行から3か月以内のものです。同じ年度に二度申請するときも、毎回原本を出します。就業規則は、退職金・結婚育児・介護の加算を申請するときだけ出します。全文で、労働基準監督署の受付印が要ります。10人未満の事業所も同じです。個人事業主は、履歴事項全部証明書の代わりに、雇用保険適用事業所設置届の事業主控を出します。提出代行者が出すときは、委任状(様式第10号)を足します。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 支援期間に取組が終わらなかった:回ごとの支援期間に3つの取組を行えないと、交付を受けられません。
- 実績報告が間に合わなかった:報告期間に出さないと対象外です。第6回は期間が短く、3月1日〜16日でした。
- 署名や日付が支援期間の外だった:計画書の自署が期間外だと、その人は対象になりません。
- 国の決定が取り消された:正社員化コースの取り消しや返還請求があると、都の交付決定も取り消されることがあります。
- 不正な申請だった:偽りその他不正の手段で受けると、全部または一部を取り消し、返還を求められます。違約加算金や延滞金がかかる場合があります。
よくある質問
令和8年度の申請はまだできますか?
できません。令和8年度の交付申請は、第1回から第6回まで毎月あり、最後の第6回は2026年10月31日で終わりました。予算の範囲を超えた場合は、年度の途中でも受付が終わる決まりでした。令和9年度の募集は、公式ページで案内されるまで分かりません。次の機会に備えるなら、国の正社員化コースの手続きから確かめます。
国のキャリアアップ助成金とは何が違いますか?
国の正社員化コースは、非正規の人を正社員に転換した事業主への助成金です。この都の助成金は、その決定を受けた事業主が、転換した人を育てて定着させる取組をしたときに出ます。育成計画、メンターの指導、研修が必須で、制度整備と賃上げが加算になります。国の決定がなければ、都には申請できません。
何人まで対象にできますか?
1事業所につき年度に5人までです。ここでの事業所は、雇用保険適用事業所を指します。令和7年度までは3人でした。国の支給決定を受けた人が5人より多いときは、5人以内に選んで申請します。撤回届の期限が過ぎたあとは、対象者の変更や追加ができません。同じ労働者の交付決定を受けられるのは1回までです。
令和5年より前に転換した人は対象になりますか?
対象になりません。都内の事業所で令和5年4月1日以降に転換または直接雇用された人が対象です。正社員化コースの支給対象になっていることも条件です。令和5年より前に転換した人は、他の要件を満たしても入りません。転換日が近い人から順に、国の支給決定が出ているかを確かめて、対象者を選びます。
加算だけを申請することはできますか?
できません。加算は、基本の支援事業(指導育成計画、メンターの指導、研修)に足して行うものです。基本の取組が支援期間に終わらなければ、加算も受けられません。加算ごとの条件は別です。たとえば退職金の加算は、すでに退職金制度がある事業主には付きません。1事業主につき1回までの加算もあります。
賃上げ加算の条件は何ですか?
支援期間中に、対象者の時間単価を60円以上上げることです。賃上げ後の時間あたりの賃金が、東京都の最低賃金を60円以上上回っている必要もあります。加算は1人12万円で、5人まで、最大60万円です。賃上げの対象者全員について、賃金支払実績の確認表(月給制、日給制、時給制などの様式)を出します。
メンターは社長でもいいですか?
構いません。メンターに特別な資格は要らず、従業員が少ない事業所では代表取締役や取締役も務められます。ただし、対象者と同じ事業所で、同じ係やフロアにいて、日常的にアドバイスできる人を1人選びます。1人の対象者に複数のメンターは付けられません。1人のメンターが複数の対象者を見るのは可能です。
研修はオンラインでもいいですか?
オンライン研修は、講師にその場で質問できる双方向の形なら構いません。一方的に動画を見る形や、終了後にメールで質問する形は対象外です。1回2時間以上が基準で、1時間を2回に分けることもできます。東京都のキャリアアップ講習も、外部研修として使えます。研修費は事業主の負担で、時間外に行うなら手当か代休が要ります。
申請は郵送と電子のどちらがよいですか?
どちらでも出せます。郵送は、各回の受付期間内の消印が有効で、レターパックなど送達記録の残る方法に限ります。電子申請はJグランツで行い、GビズIDプライムが要ります。大事なのは、交付申請を電子で出したら、実績報告や撤回届もすべて電子で出す点です。郵送や窓口で出した場合は、あとから電子には切り替えられません。
申請を取り下げたい場合はどうしますか?
対象者全員の申請を取り下げるときは、申請撤回届(様式第5号)を、撤回届の期限(交付申請の受付期間の翌月の最終営業日)までに出します。撤回した場合は、年度内の申請回数に数えられず、もう一度申請できます。期限のあとに事業を中止すると、回数に数えられ、交付したものとみなされます。
実績報告ではどんな書類が必要ですか?
実績報告書(様式第6号)に、指導育成計画書、メンター選任・指導報告書、研修実施報告書をつけます。支援期間3か月分の出勤簿かタイムカードの写しも要ります。制度整備の加算を申請した場合は、改正後の就業規則の全文や、中退共の退職金共済手帳の写しなどを足します。賃上げ加算なら、賃金台帳と出勤簿、賃金支払実績確認表(様式第11号)も要ります。不備があると、取組を実施していても不交付になります。
現地確認はありますか?
あります。支援期間中に、都の担当者が事業所を訪ねてヒアリングをする場合があります。出勤簿、賃金台帳、労働条件通知書、雇用保険の書類を見ることもあります。電話での確認や、看板や営業の有無を外から見る確認もあります。実績報告のあとに、アンケートや現地確認が行われる場合もあります。
他の助成金と併用できますか?
要綱に、併給調整の定めがあります。同じ事由で交付要件を満たす国や都の助成金とは、併給できません。退職金・結婚育児・介護の加算は、過去に本助成金や、就職氷河期世代等安定就業サポート助成金、若者世代職場定着促進助成金で同じ加算を受けた場合も申請できません。誓約書にも、同一の取組で他の助成金を申請していないことの項目があります。併用を考える助成金があるときは、先に東京都正規雇用化推進窓口へ確かめます。
問い合わせ先はどこですか?
東京都正規雇用化推進窓口です。所在地は新宿区歌舞伎町2丁目42番10号のハローワーク新宿5階で、電話は03-6205-6730です。受付時間は平日の午前8時30分から午後5時15分までです。FAXとメールでの申請や問い合わせは受け付けていません。最新の手引きと様式は、TOKYOはたらくネットに載っています。
