障害者を無期雇用で雇い入れると、1人あたり最大200万円が支給されます。有期で働く障害者を無期に切り替える場合も、最大160万円です。賃金が最低賃金を常に3%以上(大企業は5%以上)上回ることが、受給の条件になります。
支給人数に上限はありません。複数人を雇い入れれば、人数分が出ます。
東京都障害者安定雇用奨励金の要点まとめ
正式名:東京都障害者安定雇用奨励金
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 業種の指定なし
- 利用目的
- 障害者の無期雇用・無期転換(雇用・職場環境の改善)
- 対象地域
- 東京都(雇う人は都内の事業所で勤務)
- 従業員数
- 中小企業か大企業かで金額が変わる(本文参照)
いくら
- 補助上限額
- 最大200万円(中小企業の精神障害者の雇入れで最賃+10%以上)
- 補助率
- 定額(1人あたり。区分ごとの額)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 雇入れか転換から6か月後、賃金6か月分を支給した翌日から2か月以内
- 事業の完了
- 6か月の継続雇用と賃金の支払いが完了していること
うちの会社は対象になる?
雇入れ奨励金と転換奨励金に共通して、次の5つが目安になります。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 都税の未納がある
- ✕ 過去5年に重大な法令違反がある
- ✕ 3年以内に自社で雇用歴がある
- ✕ 同じ事由で別の助成金を受ける
雇入れの場合、雇う人は雇入れ日の前日から3年以内に、自社(資本的・経済的・組織的に密接な関係にある事業主を含む)で雇われたことがない人です。転換の場合は、3年以内に無期雇用で雇われたことがない有期契約の人が対象です。
特開金は、国の特定求職者雇用開発助成金のうち、特定就職困難者コースと発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コースです。転換の場合は、障害者トライアルコース(トライアル雇用助成金)でも構いません。
中小企業事業主は、業種ごとに次の基準で決まります。資本金か常時雇用する労働者数の、どちらか一方を満たせば該当します。
| 業種 | 資本金または常時雇用する労働者数 |
|---|---|
| 小売業・飲食店 | 5,000万円以下または50人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下または100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下または100人以下 |
| その他の業種 | 3億円以下または300人以下 |
対象の障害者等は、身体障害者、知的障害者、精神障害者、発達障害者、難治性疾患を有する人です。特開金かトライアル雇用助成金で雇入れの対象になる人に限ります。
8つの制度は、昇給、賞与、通院または病気の有給休暇(年3日以上)、テレワーク、フレックスタイム、通勤緩和、時間単位の年次有給休暇、永年勤続表彰です。就業規則か雇用契約書に定めて、本人に説明しておく必要があります。
昇給制度は、昇給の時期と評価の期間を明示し、昇給後の賃金が最賃の上乗せ基準を上回るものに限ります。賞与は、勤務成績に応じて額が決まるものです。額が確定した定期の支給は、賞与に数えません。
いくら戻ってくる?
支給額は、中小企業か大企業か、精神障害者かどうかで決まります。1人あたりの定額です。
| 区分 | 中小企業 | 賃金が最賃+10%以上 | 大企業 |
|---|---|---|---|
| 雇入れ・精神障害者 | 180万円 | 200万円 | 130万円 |
| 雇入れ・精神障害者以外 | 150万円 | 170万円 | 100万円 |
| 転換・精神障害者 | 150万円 | 160万円 | 130万円 |
| 転換・精神障害者以外 | 120万円 | 130万円 | 100万円 |
大企業は、中小企業の基準を満たさない事業主です。中小企業の基準を満たさない事業主が設立した特例子会社も、大企業の区分になります。上乗せの加算は、中小企業だけに適用されます。
- 事務職で精神障害者を無期で雇い、賃金は最賃+10%以上:200万円 × 1人 = 200万円
- 軽作業で身体障害者2人を無期で雇い、賃金は最賃+3%:150万円 × 2人 = 300万円
- 有期の知的障害者1人を無期に転換し、3%以上昇給:120万円 × 1人 = 120万円
- 大企業が精神障害者以外の1人を無期で雇う:100万円 × 1人 = 100万円
賃金を最賃の10%以上に上げると、雇入れで20万円、転換で10万円が上乗せされます。この加算は、令和8年4月1日以降の雇入れと転換から適用されます。それより前の雇入れは、改正前の額です。
申請の流れ
- 雇い入れるか、無期に転換する(事業主→対象者。週20時間以上、本人の同意あり)
- ハローワークに特開金などを申請する(事業主→ハローワーク。申請書の写しを取る)
- 6か月雇用し、6か月分の賃金を支払う(事業主→対象者)
- 東京都に申請する(事業主→就業推進課。6か月後に賃金を支給した日の翌日から2か月以内)
- 申請後1か月以内に育成方針を出す(事業主→就業推進課。本人の同意を得たもの)
- 特開金などの通知を受けたら1か月以内に写しを出す(事業主→就業推進課)
- 支給決定を受ける(東京都→事業主。支払額調書に基づき支払われる)
申請は郵送、持参、Jグランツのどれかです。持参は事前に電話予約が要ります。Jグランツは国の電子申請システムで、GビズIDプライムが必要です。発行に2〜3週間かかります。
必要な書類
雇入れの場合の書類です。転換の場合は、転換の前後の雇用契約書が要ります。賃金台帳は、転換日の6か月前の日から転換日の6か月後の日までの分で、賃金支払実績確認表も転換の前後の2枚です。
準備できた 0 / 16
転換の場合の別紙は様式第1号-2です。トライアル雇用助成金の通知を出すときは、業種と資本金がわかる公的な書類と、常時雇用する労働者数がわかる資料も出します。
障害者等であることの書類は、障害の種類で変わります。身体は身体障害者手帳、知的は療育手帳、精神は精神障害者保健福祉手帳か主治医の意見書です。発達障害は診断名がわかる医師の診断書、難治性疾患は医療受給者証などを出します。
印鑑証明書は、電子申請なら不要です。育成方針と特開金の決定通知書は、申請書とは別に後から出します。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 賃金が最賃の基準を下回った:雇入れ後も、賃金は最賃を常に3%以上(大企業は5%以上)上回る必要があります。最賃が上がって基準に届かなくなったときは、定期昇給とは別に賃金を改定します。誓約書に書く項目で、企業全体の経済上の理由による昇給見送りなどは例外です。
- 6か月の継続雇用が確認できない:1か月ごとの所定内実労働時間が、契約した時間の8割以上(精神障害者は6割以上)必要です。1か月は雇入れ日や転換日から数え、賃金の締日は基準になりません。
- 申請の期限を過ぎた:6か月後に賃金を支給した日の翌日から2か月以内です。期限後は受け付けてもらえません。
- 短期間で辞める人が多い:過去1年の支給対象者が5人以上いて、その5割以上が離職していると対象外です。
- 雇用保険・社会保険に入れていない:雇入れ日や転換日から雇用保険に加入させます。社会保険は、適用事業所で適用要件を満たす場合に加入が必要です。
- ほかの助成金と重なった:キャリアアップ助成金の正社員化などと、同じ事由では併せて受けられません。
特開金などの支給決定が取り消された場合は、この奨励金も取り消されます。受け取った額の返還に加えて、年10.95%の違約加算金がかかります。
今年度の変更点・併用・税金
令和8年4月1日以降の雇入れと転換から、金額の区分が変わりました。中小企業が賃金を最賃の10%以上に上げた場合の加算が加わっています。それより前の雇入れは、改正前の額が適用されます。
併給できないのは、国のキャリアアップ助成金、障害者雇用安定助成金の障害者職場定着支援コース(正規・無期転換に係る分)、東京都正規雇用等転換安定化支援助成金、東京都緊急就職支援事業助成金などです。同じ事由で受ける場合は、窓口に確かめてください。
よくある質問
雇入れ奨励金と転換奨励金は、何が違いますか?
雇入れ奨励金は、障害者等を週20時間以上の無期雇用労働者として新しく雇い入れたときの奨励金です。転換奨励金は、すでに有期契約で働いている人を、本人の同意を得て週20時間以上の無期雇用に切り替えたときの奨励金です。中小企業では雇入れのほうが30万円高く、賃金の条件も異なります。どちらも6か月の継続雇用と育成方針が必要です。
賃金は最低賃金をどれだけ上回ればよいですか?
雇入れでは、中小企業は最賃を常に3%以上、大企業は5%以上上回る額にします。転換では、中小企業は転換前より3%以上昇給して最賃を3%以上上回るか、転換後の賃金が最賃を6%以上上回る額にします。大企業は、転換前より5%以上昇給して最賃を5%以上上回るか、転換後の賃金が最賃を10%以上上回る額です。いずれも、雇用後も継続して守る必要があります。
最賃の対象になる賃金とは何ですか?
最低賃金法に定める、労働者に毎月支払われる基本的な賃金です。この賃金を時給に換算した額で、最低賃金と比べます。3%や5%の条件に届くかは、この計算で決まります。手当を含めた総支給額ではなく、この基本的な賃金で判定される点に注意してください。どの手当がこの賃金に入るかは、このページに詳しい記載がありませんでした。申請の前に、就業推進課へ電話で確かめてください。
特開金の支給決定は、申請の前に必要ですか?
東京都への申請の時点では、特開金などの申請書の写しがあれば足ります。ただし支給決定の通知を受けたら、その日から1か月以内に写しを都に出します。特開金の支給決定を受けていることは、東京都の奨励金の支給要件です。特開金が不支給や取消になった場合は、この奨励金も受けられなくなります。
申請はいつまでにすればよいですか?
雇入れか転換の日から6か月たち、6か月分の賃金を支給した日の翌日から2か月以内です。賃金の支給日が休日で前倒しになった場合は、実際に支給した日の翌日から数えます。たとえば月末払いの月末が休日で29日に払ったなら、30日から2か月以内です。給与は当月払いで手当だけ翌月払いなら、数え始めは給与の支給日の翌日です。給与も手当も翌月払いなら、翌月の給与支給日の翌日から数えます。郵送は消印有効です。
8つの制度は、全部そろえる必要がありますか?
全部は要りません。昇給、賞与、有給の通院・病気休暇、テレワーク、フレックスタイム、通勤緩和、時間単位の年次有給休暇、永年勤続表彰の8つのうち、2つ以上を設けて運用します。就業規則か雇用契約書に定めて、本人に説明してください。有給の通院・病気休暇は、年度に3日以上有給のものに限ります。
精神障害者は、金額がどう変わりますか?
精神障害者は、ほかの障害者より金額が高く設定されています。雇入れの場合、中小企業は180万円で、賃金が最賃の10%以上なら200万円です。精神障害者以外は150万円と170万円です。継続雇用の算定でも、1か月の所定内実労働時間は契約の8割ではなく6割以上で足ります。
6か月の途中で体調不良で休んだら、対象外ですか?
すぐには対象外になりません。1か月ごとの所定内実労働時間が契約の8割未満になる月(精神障害者は6割未満)があっても、通算して3か月を超えない範囲なら、その月を除いて6か月を数えられます。除いた月の分だけ、申請の時期は後ろにずれます。賃金台帳も、その月を除く6か月分を出します。
大企業でも申請できますか?
申請できます。支給額の表に、中小企業事業主と大企業事業主の区分があります。大企業の金額は、雇入れも転換も、精神障害者が130万円、それ以外が100万円です。賃金は最賃を常に5%以上上回る必要があります。賃金が最賃の10%以上のときの上乗せ加算は、中小企業だけです。自社がどちらの区分かは、業種別の資本金と従業員数の基準で確かめてください。
同じ人でも、雇入れと転換で2回もらえますか?
雇入れ奨励金を受けた人は、すでに無期雇用です。転換奨励金の対象は有期契約の人なので、同じ人で2回受ける形にはなりません。雇入れの場合は、雇入れ日の前日から過去3年以内に自社で雇われたことがない人が対象です。転換の場合は、3年以内に無期雇用で雇われたことがない有期契約の人です。再雇用など個別の扱いは、就業推進課に確かめてください。
支給後に何か義務がありますか?
支給後3年を経過するまでの間に、2度、雇用状況の調査があります。協力が求められます。関係書類は、支給決定のあった年度の終了後5年間、保管してください。また、事業主の名称や代表者名、所在地、業種、支給年度、支給額が公表されることがあります。特開金の取消や返還の命令があったときは、速やかに都へ報告します。
問い合わせ先はどこですか?
東京都産業労働局 雇用就業部 就業推進課 障害者雇用促進担当です。電話は03-5320-4663(代表)で、受付は平日の9時から12時と13時から17時です。所在地は新宿区西新宿2-8-1の都庁第一本庁舎21階北側です。持参で申請するときは、事前に電話で予約してください。
