人材紹介会社から内定の連絡が来て、入社日も決まった。補助金を探し始めるのは、たいていこのあとです。ただ港区のこの補助金は、人材紹介の成功報酬については、区の交付決定より前に採用した人が入社すると対象外になります。
港区内の中小企業が使えて、人材紹介の成功報酬は費用の2/3(上限100万円)、求人広告費と企業説明会の出展料は2/3(上限40万円)が戻ります。港区ワーク・ライフ・バランス推進企業に認定されている会社は、率が3/4に、上限が125万円と50万円に上がります。申請は2027年1月31日までです。
採用はお金より順番で失敗しやすい分野です。この記事は、内定を出す前に何を済ませておくかの順に並べました。
港区 人材確保支援事業補助金の要点まとめ
正式名:港区中小企業人材確保支援事業補助金
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 業種の指定なし(風俗営業等は対象外)
- 利用目的
- 人材紹介の成功報酬・求人広告・採用説明会の費用
- 対象地域
- 東京都港区
- 従業員数
- 中小企業基本法の中小企業者(業種別の基準)
いくら
- 補助上限額
- 125万円(港区ワーク・ライフ・バランス推進企業に認定された場合)
- 補助率
- 2/3(認定企業は3/4)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年4月27日〜2027年1月31日(消印有効)
- 事業の完了
- 2027年3月5日までに実績報告まで終える
うちの会社は対象になる?
次のすべてに当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ バーチャルオフィスで登記している
- ✕ 大企業の子会社などのみなし大企業
- ✕ 風俗営業などに当たる
- ✕ 同じ経費で補助金を受けたことがある
個人事業主は、開業届に書いた住所に区内の事業所があれば対象です。「1年以上」の数え方では、バーチャルオフィスに登記していた期間は入りません。
中小企業者とは、中小企業基本法で決まっている会社の大きさの区分です。資本金か従業員数のどちらか一方が基準以内なら該当します。基準は製造業その他が資本金3億円以下か従業員300人以下、卸売業が1億円以下か100人以下、小売業が5,000万円以下か50人以下、サービス業が5,000万円以下か100人以下です。
みなし大企業は、中小企業の形をしていても大企業の影響が強い会社を指します。たとえば大企業が単独で株式の2分の1以上を持っている会社が当たります。そのほかの基準は、区の「補助金を申請する前に」のページに載っています。
いくら戻ってくる?
対象経費は2つに分かれていて、上限もそれぞれ別です。
| 区分 | 対象 | 補助率 | 上限 |
|---|---|---|---|
| (1) 人材紹介 | 人材紹介会社への成功報酬 | 2/3 | 100万円 |
| (2) 求人・説明会 | 求人広告の掲載費・説明会の出展料 | 2/3 | 40万円 |
認定企業は、(1)が率3/4で上限125万円、(2)が率3/4で上限50万円です。(1)と(2)の両方に申請したときの合計は、100万円(認定企業は125万円)が上限で、(2)の部分は40万円(同50万円)までです。
以下は計算のための仮の数字です。
- 人材紹介の成功報酬が90万円:90万円 × 2/3 = 60万円
- 成功報酬が150万円:150万円 × 2/3 = 100万円 → 上限の100万円
- 認定企業で成功報酬が150万円:150万円 × 3/4 = 112.5万円
- 求人サイトの掲載費が30万円:30万円 × 2/3 = 20万円
- 説明会のブース出展料と装飾費が75万円:75万円 × 2/3 = 50万円 → (2)の上限40万円
- 成功報酬90万円と、求人掲載と説明会で45万円:60万円 + 30万円 = 90万円
上限の100万円に届くのは、成功報酬が150万円以上のときです。認定企業なら約167万円からになります。
何に使える?
対象にならないもの
- 成功報酬以外の付随経費(人材紹介のほう)
- 求人広告を出した会社への成功報酬
- 交付決定の前に掲載を始めた求人広告
- 説明会のあとも使える備品の購入費
- 説明会の輸送費・人件費・旅費
- パンフレットやチラシの印刷費、自社名入りの販促品
- 現金や電子マネーで払った費用
パンフレットやチラシは、別の「広告宣伝活動費支援事業補助金」の守備範囲です。過去にその補助金で広告宣伝活動費を受けた会社は、そちらも使えません。
対象になるもの
- 人材紹介会社への成功報酬(令和8年4月1日以降に採用を決めた分)
- 就職・転職サイトや求人検索エンジン、求人誌などへの新たな掲載費
- 企業(採用)説明会の出展料、ブース位置指定料、座談会や個別相談会の開催料
- 説明会のブース装飾費
- スカウト(ダイレクト)メールの費用
人材紹介会社は、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」に載っている有料職業紹介事業者に限ります。成功報酬型とは、採用が決まったときだけ、採用した人の年収に対する一定割合を払う契約のことです。
申請から入金までの順番
区分で順番が違います。まず人材紹介のほうです。
人材紹介の成功報酬を使うとき
- 人材紹介会社と契約か申込をする(事業者→人材紹介会社。令和8年以前の契約でも対象)
- 採用の内定を出し、成功報酬額を確定させる(事業者。内定は令和8年4月1日以降で、入社の前)
- 港区に交付申請を出す(事業者→産業振興課 経営支援係。2027年1月31日まで)
- 交付決定の通知を待つ(港区→事業者。受理から1か月程度。入社はこのあと)
- 入社と支払いを済ませる(事業者→人材紹介会社。原則は振込)
- 実績報告を出す(事業者→港区。2027年3月5日の消印まで)
- 額の確定と入金を待つ(確定まで2週間〜1か月程度。確定から振込まで1か月〜1か月半程度)
交付決定とは、港区が「この内容で補助します」と知らせる通知です。人材紹介の成功報酬では、この通知より前に入社した人の費用は対象外です。
求人広告・説明会を使うとき
- 見積書を取る(事業者→掲載会社・主催会社)
- 港区に交付申請を出す(事業者→産業振興課 経営支援係。出展料は支払い済みでも可)
- 交付決定の通知を待つ(港区→事業者。2週間〜1か月程度)
- 掲載や出展を始めて、支払いまで終える(事業者。求人広告は交付決定のあとに新たに始めたものだけ対象)
- 実績報告を出す(事業者→港区。2027年3月5日の消印まで)
- 額の確定と入金を待つ(確定まで2週間〜1か月程度。確定から振込まで1か月〜1か月半程度)
申請はオンラインか郵送です。オンラインは法人が商業登記電子証明書、個人事業主がマイナンバーカードなどを使います。オンラインで出した会社は実績報告もオンライン、郵送で出した会社は実績報告も郵送で、途中での切り替えはできません。
編集部の見立てとして、1月末ぎりぎりの申請はおすすめしにくいと考えています。交付決定まで最大1か月、そこから入社、支払い、3月5日の実績報告までが続くからです。区も、1月以降の申請は事前に電話で相談するよう案内しています。
必要な書類
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経費の内容と金額が分かる書類は、使う経費で変わります。人材紹介なら、紹介会社への申込書、内定通知書か労働条件通知書、成功報酬の予定額が分かる書類です。求人広告や説明会なら、内訳の分かる見積書で、説明会は開催が分かるホームページの写しも付けます。書類が全部そろったものから審査が始まります。
納税証明書は、申請時点で取れる最新の原本です。法人は法人事業税と法人都民税のもの、個人事業主は特別区民税・都民税のものを使います。履歴事項全部証明書は原本で、発行から3か月以内のものが必要です。個人事業主は、履歴事項全部証明書の代わりに開業届の写しを出します。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に入社した:人材紹介の成功報酬は、交付決定の前に入社した人の分は対象外です。
- 交付決定の前に求人掲載を始めた:区の決定通知のあとに新たに始めた掲載だけが対象です。
- 3月5日までに終わらなかった:事業の終了、支払い、実績報告のすべてが2027年3月5日までです。カード払いは、口座からの引き落としまでが期限内でなければなりません。
- 採用の中身が対象外だった:親族と思われる方の採用、過去に在籍した社員の再雇用、内定後の辞退や採用見送りは、補助金が受けられません。交付済みなら返金です。
- 補助金の交付までに区外へ移転した:港区外へ移ると、補助金は交付されません。
- 現金や電子マネーで払った:原則は振込で、法人カードのカード払いは口座引き落としの証拠書類を添えれば認められます。
- 募集枠が埋まった:募集は200者程度で、予算の範囲内です。終了するときは、港区立産業振興センターのホームページでお知らせされます。
認定企業と、ほかの補助金との関係
港区ワーク・ライフ・バランス推進企業の認定を受けていると、率と上限が上がります。認定から外れた場合は、この優遇を受けられなくなります。認定の申請中でこの補助金も考えている場合は、産業振興課 経営支援係に連絡するよう案内されています。
チラシやパンフレットの印刷費は、人材確保支援ではなく広告宣伝活動費支援事業補助金の対象です。同じ経費を二重に出すことはできません。
よくある質問
令和8年4月より前に人材紹介会社と契約していても使えますか?
使えます。契約や申込の時期は令和8年以前でも構いません。見られるのは内定の時期で、成功報酬が発生する内定が令和8年4月1日以降、かつ入社の前であることが条件です。たとえば令和7年中に紹介会社へ申込み、令和8年6月に内定を出した場合は、入社前に交付申請を出せば対象になります。
入社したあとに申請しても間に合いますか?
人材紹介の成功報酬では、交付決定の前に入社した人は対象外です。交付申請から決定まで1か月程度かかるので、入社日を決める時点で、申請の日程を逆算しておく必要があります。内定を出したらすぐ申請書類の準備に入ると、入社日をずらさずに済みます。求人広告や説明会の費用は別の扱いで、交付決定のあとに始めた分が対象です。
求人広告と説明会の両方に申請できますか?
できます。ただし(2)の上限は合わせて40万円で、認定企業は50万円です。人材紹介の成功報酬(1)にも申請する場合は、全体の上限が100万円(認定企業は125万円)になります。申請は1事業者につき1回のみなので、使いたい経費は1回の申請にまとめます。
求人広告で採用が決まったとき、運営会社への成功報酬は対象ですか?
対象外です。求人広告の成功報酬型の手数料は補助されません。対象になるのは、求人広告の掲載費そのものです。成功報酬を補助してもらいたい場合は、有料職業紹介事業者である人材紹介会社を使う(1)の区分になります。どちらの区分に当たるか迷ったら、契約書の名称を持って産業振興課に確認すると確実です。
採用した人の入社が3月5日より後になる場合はどうなりますか?
対象外です。採用、入社、人材紹介会社への支払い、実績報告の提出までを、2027年3月5日までに終える必要があります。内定が出ていても、入社日が3月5日以降だと間に合いません。入社日の調整ができない場合は、この補助金を見送るという判断になります。
クレジットカードで払っても大丈夫ですか?
法人カードで、法人の口座から引き落とされるものであれば認められます。ただし口座からの引き落としの証拠書類も出す必要があります。引き落とし日が2027年3月5日を過ぎると、利用日が期限内でも対象外です。現金払いと電子マネー払いは認められません。
個人事業主でも申請できますか?
できます。開業届に書いた住所に区内の事業所があり、区内で1年以上事業を営んでいる必要があります。納税証明書は、港区民なら特別区民税・都民税のもの、港区民以外なら事業所課税のものを区役所で取ります。オンライン申請ではマイナンバーカードなどが要ります。
親族や元社員の採用でも対象になりますか?
親族と思われる方の採用や、過去に在籍した社員の再雇用は対象外です。交付後にこれらが分かった場合は返金になります。内定後の辞退や採用見送りと判断できる場合も同じです。採用した人との関係に不安があるときは、申請の前に産業振興課 経営支援係(03-6435-4620)へ相談できます。
採用した人がすぐ辞めた場合は返金になりますか?
入社後すぐに退職した場合の扱いは、公式ページとQ&Aに記載が見当たりませんでした。区は、定着率などを確かめるために、補助金の支給後に調査への協力を求めています。心配な場合は、申請の前に産業振興課 経営支援係(03-6435-4620)に確かめておくと安心です。
申請の問い合わせ先はどこですか?
港区の産業振興課 経営支援係です(札の辻スクエア8階、電話03-6435-4620)。受付は平日の9時から17時までで、土日祝日と年末年始は休みです。郵送で出す場合の宛先は、〒108-0014 港区芝5-36-4 札の辻スクエア8階の同係で、封筒に「港区中小企業人材確保支援事業補助金」と書きます。
申請方法はオンラインと郵送のどちらがよいですか?
どちらも認められています。ただし、実績報告や請求書もその方法で出す決まりで、途中での切り替えはできません。オンラインは法人が商業登記電子証明書、個人事業主がマイナンバーカードなどを用意します。書類を郵送する場合は、使う印をすべて同じものにそろえます。
募集枠が埋まったかどうかはどこで分かりますか?
港区立産業振興センターのホームページに、募集終了のお知らせが載ります。募集枠は200者程度で、予算の範囲内です。申請が1月に入る場合は、事前に電話で相談するよう案内されています。受付の状況は、申請書類を揃える前に確かめると無駄がありません。
