国の業務改善助成金をまだ申請していなくても、大分県の奨励金だけは使えるのか。使えません。この奨励金は、国の助成金の交付申請を済ませ、交付額が確定した事業者に出る上乗せです。
しかも期限は県への申請日ではなく、国の側にあります。令和9年3月15日までに、国から交付額確定の通知を受けていることが条件なので、国の手続きがどこまで進んでいるかが最初の確認点です。
大分県 物価高騰対応業務改善奨励金の要点まとめ
正式名:令和8年度大分県物価高騰対応業務改善奨励金
だれが
- 申請者
- 国の業務改善助成金を受けた事業者
- 対象業種
- 業種の指定なし
- 利用目的
- 最低賃金の引上げと設備投資(国の助成金への上乗せ)
- 対象地域
- 大分県
- 従業員数
- 公式ページに記載なし(雇用労働室へお問い合わせください)
いくら
- 補助上限額
- 最大190万円(重点枠。内訳は本文)
- 補助率
- 1/2〜9/10(区分で異なる。本文の表)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 国の交付額確定の通知日から2027年3月15日まで
- 事業の完了
- 2027年3月15日までに国の交付額確定の通知を受けること
自社は奨励金の対象になる?
次のすべてに当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
国の助成金とは、厚生労働省の業務改善助成金のことです。生産性を上げる設備投資などをして、事業場内最低賃金(その事業場で働く人のうち、いちばん低い賃金)を引き上げた事業者に出ます。交付額確定は、国から助成額が最終的に決まったと通知が来ることです。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 国の助成金を申請していない
- ✕ 確定の通知が令和9年3月15日より後
- ✕ 申請の時期が区分の条件に合わない
- ✕ 暴力団・その関係者に当たる
区分の条件は次の節で説明します。
国の申請がいつかで、区分が分かれる
奨励金の区分は、国の助成金をいつ申請したかで決まります。
| 国への申請時期 | 国の交付決定 | 国の交付額確定 |
|---|---|---|
| 令和8年3月31日以前 | 令和7年4月1日以降に通知 | 令和9年3月15日までに通知 |
| 令和8年4月1日以降 | 通知を受けている | 令和9年3月15日までに通知 |
どちらの区分でも、通常枠と重点枠があります。補助率と上限額は次のとおりです。
| 区分 | 通常枠 | 重点枠 |
|---|---|---|
| 令和8年3月31日以前に国へ申請 | 補助率1/2、上限75万円 | 補助率2/3、上限100万円 |
| 令和8年4月1日以降に国へ申請 | 補助率2/3、上限140万円 | 補助率9/10、上限180万円 |
重点枠に入る条件も区分で違います。令和8年3月31日以前の申請の側は、令和7年4月1日以降に国へ申請し、事業場内最低賃金を82円以上引き上げた事業者です。令和8年4月1日以降の申請の側は、令和8年度の大分県最低賃金の改定幅(61円)を超えて、62円以上引き上げた事業者です。
上限額には但し書きがあります。国の助成額が上限を下回るときは、その助成額が上限になります。たとえば令和8年4月以降の通常枠で、国の助成額が100万円なら、県の上限は140万円ではなく100万円です。
いくら戻ってくる?
奨励金は2つの合計です。1つ目は、国の対象経費から国の助成額を引いた額に補助率をかけた額(上限と比べて低い方)。2つ目は、社会保険労務士への報酬(上限10万円)です。千円未満は、それぞれ切り捨てて合算します。上限の190万円は、令和8年4月以降に国へ申請した重点枠の180万円と、社労士報酬の10万円の合計です。
令和8年4月以降に国へ申請した場合の例です。
- 通常枠:自己負担150万円 × 2/3 = 100万円
- 通常枠で上限に当たる例:自己負担270万円 × 2/3 = 180万円 → 上限の140万円
- 重点枠:自己負担200万円 × 9/10 = 180万円(上限ちょうど)
- 重点枠に社労士報酬を足す例:180万円 + 実際に払った報酬8万円 = 188万円
- 同じく報酬が12万円なら:180万円 + 上限の10万円 = 190万円
令和8年3月以前に国へ申請した場合の例です。
- 通常枠:自己負担100万円 × 1/2 = 50万円
- 重点枠:自己負担150万円 × 2/3 = 100万円(上限ちょうど)
ここでの自己負担は、国の対象経費支出額から国の助成額を引いた額です。社労士報酬の10万円は、令和8年3月以前に国へ申請した区分でも足せます。その区分の最大は、重点枠の100万円と合わせて110万円です。
例は、国の助成額が県の上限以上のときの計算です。国の助成額が上限を下回ると、その助成額が上限になります。
何に使える?
この奨励金は、使い道を県が決める補助金ではありません。国の助成金で認められた経費に対する上乗せなので、使い道は国の助成金で決まります。
対象にならないもの
- 国の助成金の対象外になった経費
- 年間契約の社労士報酬のうち、もともと払っていた分
対象になるもの
- 国の助成金の対象経費(設備投資など)の自己負担分
- 国の助成金の申請や、賃金引上げに伴う就業規則の改正を社労士等に頼んだ報酬
年間契約で社労士に頼んでいる場合は、奨励金の申請手続きを依頼したことで増えた金額に限ります。設備投資の事例は、厚生労働省のページの「生産性向上のヒント集」に載っています。
申請の流れ
- 国の業務改善助成金を申請する(事業者→大分労働局)
- 設備投資などをして賃金を引き上げる(事業者)
- 国に実績報告を出す(事業者→大分労働局)
- 国から交付額確定の通知を受ける(大分労働局→事業者)
- 県に申請する(事業者→大分県 雇用労働室。確定の通知があった日から令和9年3月15日まで)
- 審査を受けて入金を待つ(大分県→事業者。不備がなければ申請した口座に振り込まれます)
国の業務改善助成金の令和8年度の申請期間は、県のページで「令和8年10月末まで」と案内されています。まだ国に申請していない場合は、国の受付が続いているかを厚生労働省のページで確かめてください。国への実績報告から確定の通知が来るまでの期間は、県のページに書かれていません。令和9年3月15日に間に合うかは、大分労働局への確認が確実です。
申請はオンラインか郵送です。オンラインは、Googleアカウントなどでログインして申請するか、メール認証で申請します。ログインすると一時保存が使えます。郵送先は〒870-8501 大分市大手町3-1-1 大分県商工観光労働部雇用労働室 労働相談・啓発班です。
必要な書類
準備できた 0 / 5
国の確定通知書の写しは、交付額確定通知書、実績報告書、国庫補助金精算書、事業実施結果報告の写しです。引上げ前後の賃金額が書かれた箇所に「原本に相違ない旨」を書き、日付と代表者名を記入します。社労士報酬の領収書は、社労士等に依頼したときだけ要ります。オンライン申請なら、第1号様式と第2号様式の内容はフォームに入力します。振込先の口座名義は、申請者と同じ名義にします。このほか、知事が必要と認める書類を求められることがあります。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 国の確定通知が期限に間に合わなかった:令和9年3月15日までに交付額確定の通知がないと、対象になりません。
- 県への申請が遅れた:確定の通知があった日から令和9年3月15日までに出す必要があります。
- 賃金の引上げ幅が足りず重点枠に入れなかった:通常枠に下がります。令和8年4月以降の申請なら、県の最低賃金の改定幅を超えているかが分かれ目です。
- 国の助成金が取り消された:国の交付決定の取消や返還命令があると、県の支給決定も取り消されることがあります。支給済みなら返還を求められます。
- 消費税の仕入控除税額を引かずに申請した:本奨励金に係る消費税等仕入控除税額がある場合は、減額して申請します。申請時に額が分からない場合は、確定後に報告書で報告し、返還が必要なら返します。
よく誤解されるポイント
国の助成金とは別の補助金だと思われがちです。 県の奨励金は、国の業務改善助成金を受けたことが前提の上乗せです。国の助成金の手続きと切り離して、県だけに申請することはできません。
社労士に頼まないと使えないと思われがちです。 社労士報酬は、奨励金の算定の2つ目の項目です。頼んでいなければ、1つ目の項目だけで申請できます。
190万円がだれにでも出ると思われがちです。 190万円は、令和8年4月以降に国へ申請した重点枠の上限180万円に、社労士報酬の上限10万円を足した最大額です。通常枠や、令和8年3月以前に国へ申請した区分は、上限が下がります。
よくある質問
国の業務改善助成金を受けていなくても申請できますか?
できません。県の奨励金は、国の業務改善助成金の交付申請をして、交付額が確定した事業者が対象です。申請書類にも、国の交付決定通知書と、交付額確定通知書などの写しが要ります。国の手続きを経ずに県だけへ申請する道はありません。まだ国に申請していないなら、国の受付がいつまでかを厚生労働省のページで確かめるところから始めます。
申請の期限はいつですか?
県への申請は、国の交付額確定の通知があった日から令和9年3月15日までです。ただし、この日付は申請の締切であると同時に、国の確定通知が届いているべき期限でもあります。令和9年3月15日までに確定通知を受けていないと、対象外になります。国への実績報告が遅れると間に合わなくなるので、国の手続きの進み具合を先に確認します。
通常枠と重点枠はどう違いますか?
賃金の引上げ幅の違いです。令和8年4月以降に国へ申請した場合、令和8年度の大分県最低賃金の改定幅は61円で、62円以上引き上げると重点枠になり、補助率9/10、上限180万円です。届かなければ通常枠で、補助率2/3、上限140万円です。令和8年3月以前に国へ申請した場合は、82円以上引き上げると重点枠になります。
令和7年度に国へ申請した事業者も対象ですか?
条件を満たせば対象です。令和8年3月31日以前に大分労働局へ国の助成金を交付申請し、令和7年4月1日以降に交付決定の通知を受け、令和9年3月15日までに交付額確定の通知を受けていることが条件です。この区分は、通常枠で補助率1/2、上限75万円、重点枠で補助率2/3、上限100万円になります。
社会保険労務士への報酬も補助されますか?
補助されます。国の助成金の申請や、賃金引上げに伴う就業規則の改正などを社労士等に頼んだ報酬が対象で、上限は10万円です。実際に払った額と10万円を比べて、少ない方が支給額になります。年間契約を結んでいる場合は、奨励金の申請手続きを頼んだことで増えた金額に限られます。支払いが分かる領収書等の写しを付けます。
補助金の額はどう計算しますか?
2つの合計です。1つ目は、国の対象経費支出額から国の助成額を引き、区分ごとの補助率をかけた額で、上限額と比べて低い方です。2つ目は社労士報酬で、上限は10万円です。千円未満は、それぞれ切り捨ててから合算します。国の助成額が上限額を下回る場合は、その助成額が上限になる点に注意してください。公式ページでは、試算できるシートも公開されています。
申請はオンラインと郵送のどちらでもできますか?
どちらでもできます。オンラインは県の入力フォームから申請します。ログインして申請すると一時保存が使えます。メール認証で申請することもできますが、一時保存は使えません。郵送では、大分県商工観光労働部雇用労働室の労働相談・啓発班へ書類を送ります。国の助成金を申請した時期で入力フォームが分かれているので、自社の区分のフォームを選びます。
必要な書類はどれですか?
支給申請書兼請求書(第1号様式)と誓約・同意書(第2号様式)に加えて、国の交付決定通知書、交付額確定通知書、実績報告書、国庫補助金精算書、事業実施結果報告の写しが要ります。引上げ前後の賃金額が書かれた箇所には、原本に相違ない旨と日付、代表者名を書きます。社労士に依頼したときは、報酬の領収書等の写しも付けます。細かい点は申請マニュアルで確認してください。
消費税の扱いはどうなりますか?
奨励金に係る消費税等仕入控除税額がある場合は、その額を引いて申請します。申請のときにこの額が分からなければ、確定した時点で消費税等仕入控除税額確定報告書(第4号様式)で報告します。報告によって奨励金の返還が必要になった場合は、すぐに返す必要があります。税額の計算は税理士や税務署に確かめると安心です。
入金はいつですか?
県のページには、入金の時期は書かれていませんでした。書類を審査して、内容に不備がなければ、申請した銀行口座に振り込む流れです。書類に不備があると審査が止まります。令和9年3月15日の期限にも関わるため、添付書類の漏れがないよう、申請前に申請マニュアルで確認してください。入金の時期を知りたいときは、雇用労働室に問い合わせます。
問い合わせ先はどこですか?
大分県商工観光労働部の雇用労働室(労働相談・啓発班)です。電話は097-506-3351から3354までです。区分の判定、国の確定通知の見込み、社労士報酬の扱いなど、公式ページだけでは判断しにくい点を申請前に確かめておくと、書類の出し直しを防げます。受付時間は、月曜から金曜の8時30分から17時15分です。土日・祝日は除きます。
