テレワークの助成金は、会社(事業主)が申請するお金です。社員が自分で申請できる制度ではありません。事業者向けの代表は2つあります。全国で使える国の人材確保等支援助成金(テレワークコース)は、制度導入助成が20万円、目標達成助成が10万円(賃金要件を満たすと15万円)の定額です。都内の会社が使える東京都のテレワークトータルサポート助成金は、機器の購入費などに2〜29人の会社で最大150万円、30〜999人の会社で最大250万円が出ます。
国のテレワークコースについて2026年度で廃止と書く記事があります。厚生労働省の公式ページには廃止の案内がなく、令和8年4月1日付で支給要領を一部改正したと載っています。この記事は公式ページと令和8年度版の申請の手引きを読んで書いているので、廃止の話は断定せず、確かめ方を書きました。
先に概要と、国と東京都の制度の違いを整理します。そのあと国の制度の条件と流れ、東京都の助成金と奨励金、個人や個人事業主の扱い、共通の注意点の順に進みます。下に代表的な金額の表と締切の暦、全国の一覧を置きました。条件を満たす制度が見つかったら、各制度の記事で対象と申請の順番を確かめてください。
テレワーク助成金の概要
テレワーク助成金は、会社がテレワークを制度として取り入れるときに、国や自治体がお金を出す仕組みの総称です。名前は「助成金」「奨励金」「補助金」とばらばらですが、申請するのは会社で、対象になるのは雇用している労働者のテレワークです。
国・東京都・その他の制度の違い
この記事で扱う制度を、誰が出すお金か、何に対して出るかで並べました。
| 制度 | 出すところ | 金額の決まり方 | 使える会社 |
|---|---|---|---|
| 人材確保等支援助成金(テレワークコース) | 国(厚生労働省) | 定額。制度導入助成20万円、目標達成助成10万円(賃金要件で15万円) | 全国の中小企業事業主で雇用保険の適用事業主 |
| テレワークトータルサポート助成金 | 東京都(東京しごと財団) | 対象経費に助成率をかける。2〜29人は3分の2で上限150万円、30〜999人は2分の1で上限250万円 | 都内に本社か事業所があり、常時雇用する労働者が2〜999人の中堅・中小企業等 |
| テレワーク定着強化奨励金 | 東京都(東京しごと財団) | 定額。基本20万円、加算20万円で最大40万円 | 同上(テレワーク東京ルール実践企業宣言が必要) |
| 育児・介護との両立のためのテレワーク活用促進奨励金 | 東京都(東京しごと財団) | 定額。導入コースか介護離職防止コースの一方で20万円、両方で30万円 | 都内に本社か事業所があり、常時雇用する労働者が2〜300人の中小企業等(宣言書が必要) |
| サテライトオフィス勤務導入奨励金・ワーケーション勤務導入奨励金 | 東京都(東京しごと財団) | 定額。それぞれ1事業者10万円 | 同上(該当する規定がまだ無い会社) |
| 多様な働き方推進事業費補助金(テレワークコース) | 京都府 | 補助対象経費の2分の1以内、上限50万円 | 京都府内に事業所があり、行動宣言をした中小企業等 |
国の制度は全国の会社が使えます。東京都の制度は都内に拠点がある会社に限られます。国と東京都は仕組みも違います。国は決まった取組と実績に定額で出し、東京都のトータルサポート助成金は機器の購入費など、かかった経費の一部に出します。
助成金と補助金は何が違うのか
テレワークの機器やソフトの導入費を支える制度の中には、「補助金」の名前で出るものもあります。たとえばIT導入補助金(2026年度の名称はデジタル化・AI導入補助金)は、ソフトウェアの購入費やクラウド利用料が対象で、ソフトウェアを必ず含めて申請します。中小機構の公式サイトの通常枠の説明に、補助率は2分の1以内か3分の2以内、補助額は5万円以上450万円以下と書かれています。ITツールとして登録されたソフトを導入するもので、ノートパソコンだけを買う申請には向きません。くわしくはIT導入補助金の記事で見られます。
国の助成金(雇用関係の助成金)は、実績を出したあとに申請して受け取る仕組みで、国の予算の範囲内で支給されます。審査に時間がかかる場合があることも、手引きに書かれています。
会社員や個人が自分で申請できる助成金はあるのか
この記事で扱った制度は、すべて事業主が申請するものです。会社員が自宅のパソコンやデスクを買う費用を、本人が国や東京都に申請して受け取る助成金は、この記事に載せた制度の中にはありません。
在宅勤務の費用を誰が負担するかは、会社の就業規則で決まります。国のテレワークコースの手引きは、費用負担について、必要な通信機器などの費用を使用者と労働者のどちらが負担するかを就業規則等に明示するよう求めています。会社が助成金を使うかどうかにかかわらず、勤め先の規定を読むと、自分に何が出るかが分かります。パソコン購入を個人が補助金で賄えるかは、パソコン購入の補助金の記事にまとめています。
2026年に押さえておきたい変更
国のテレワークコースは、令和7年4月1日から、事前にテレワーク実施計画を出して認定を受ける手続きが不要になりました。令和8年4月1日には支給要領が一部改正され、令和8年度版の申請の手引きが出ています。評価期間(テレワークの実績を見る3か月間)を令和8年3月31日までに始めた事業主には令和7年度の支給要領が、令和8年4月1日以降に始める事業主には改正後の要領が当てはまります。
制度導入助成の評価期間は「令和8年4月1日以降に開始するもの」と手引きにあります。以前の記事や動画で見た条件は、令和7年度のものかもしれません。自分が使う年度の手引きで確かめます。
東京都は、令和7年度のテレワークトータルサポート助成金の新規申請受付を令和8年2月27日で終えました。令和8年度分は別に募集されていて、募集要項は令和8年9月30日に改正されています。令和7年度の記事で見た条件を、そのまま当てはめないでください。
国の人材確保等支援助成金(テレワークコース)
制度の名前は長いですが、中身はテレワーク専用のコースです。厚生労働省は、適切な労務管理のもとでテレワークを制度として導入・実施し、人材確保や雇用管理の改善に効果をあげた中小企業事業主を助成対象としています。これからテレワークを広げる事業主も対象です。くわしい制度の解説は人材確保等支援助成金(テレワークコース)の記事にあります。
いくらもらえるか
支給は2段階で、別々に申請します。
| 助成 | 支給額 | 条件 |
|---|---|---|
| 制度導入助成 | 1企業あたり20万円 | 就業規則等の整備、職場風土づくりなどの取組、評価期間のテレワーク実績 |
| 目標達成助成 | 1企業あたり10万円(賃金要件を満たす場合は15万円) | 制度導入助成を受けたうえで、離職率とテレワーク実績の要件を満たすこと |
制度導入助成だけなら20万円です。目標達成助成まで進むと、20万円と10万円で30万円になります。賃金要件を満たせば20万円と15万円で35万円になります。助成の額は定額なので、機器にかけた費用の何割という計算はしません。
賃金要件は、テレワークを実施する対象労働者の毎月決まって支払われる賃金を、評価期間(制度導入助成)の開始日から1年以内に5%以上増やすことです。基本給と、役職手当や資格手当のように毎月決まって出る手当が対象で、残業代や月ごとに変わる手当は含みません。月給30万円の人なら、改定後の3か月の賃金総額を、改定前より5%以上、月にならすと31万5,000円以上にします。
対象になる会社
支給の対象は、雇用保険の適用事業主(労働者を雇って雇用保険に入っている事業主)で、中小企業事業主です。事業主単位の助成なので、事業所ごとではなく、法人または個人を1つの事業主として数えます。
中小企業事業主かどうかは、資本金か常時雇用する労働者の数で決まります。どちらか一方が基準以内なら当たります。厚生労働省の雇用関係助成金の共通要領に、次の基準があります。
| 主たる事業 | 資本金 | 常時雇用する労働者 |
|---|---|---|
| 小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
次のどちらかに当たると、制度導入助成は対象外です。
- このテレワークコースの支給を、支給申請書を労働局長に出した日から過去3年以内に受けている
- 令和5年度以降にテレワークコースのテレワーク実施計画書の認定を受けていて、その計画に基づく支給の申請がなお見込まれる
厚生労働省のページの要件欄は「過去に支給を受けていないこと」と短く書いています。一方、支給要領と申請の手引きは「過去3年以内」としています。申請の可否を決めるのは支給要領なので、3年より前に受けた会社は、この要件では外れません。過去にこのコースを受けたことがある会社は、受けた時期を確かめたうえで、申請の前に労働局へ確認します。
新規導入事業主と実施拡大事業主
自社がどちらに当たるかで、取組の選び方が変わります。分かれ目は、評価期間を始める日の前日から数えて3か月前の時点で、就業規則等にテレワークの規定がどこまであるかです。
新規導入事業主は、テレワークの対象者、手続き、留意事項や、労働時間などの取扱いをどの事業所の就業規則等にも定めていない会社です。テレワークの定義だけを書いている会社は新規導入事業主に入ります。一部の部署や一部の社員だけがテレワークをしていた会社も、これに当たれば新規導入事業主として扱われます。
実施拡大事業主は、すでに定めの一部があり、テレワークを広げる会社です。一方、新しく規程を整備しても、その日から3か月以内に評価期間を始めないと、実施拡大事業主として扱われます。規程を整える日と評価期間を始める日の間隔に注意してください。
制度導入助成の要件
制度導入助成では、次の3つを満たします。
- 評価期間の初日から前3か月の間に、テレワークの定めを置いた就業規則、労働協約、労使協定(就業規則等)を整える。新規導入事業主は新たに整備し、実施拡大事業主は有効なものを置いていれば足りる。整えた規定は、評価期間の初日から支給申請書を出す日まで有効であること
- 同じ3か月の間に、テレワークを可能にする取組を実施する
- 評価期間(3か月)の間に、テレワーク実績の基準を満たす
取組の選び方は次のとおりです。
| 取組 | 新規導入事業主 | 実施拡大事業主 |
|---|---|---|
| 労働者がテレワークをしやすい職場風土づくり(トップのメッセージ発信、資料の配布、事例の周知など。全労働者に周知する全社的な取組) | 必須 | 必須 |
| 就業規則等の拡充 | 選べない | 選べる |
| 外部専門家によるコンサルティング | 選べる | 選べる |
| 労務管理担当者への研修 | 選べる | 選べる |
| 労働者への研修 | 選べる | 選べる |
必須の職場風土づくりに加えて、新規導入事業主はコンサルティングと2つの研修から1つ以上、実施拡大事業主は就業規則等の拡充を含む4つから1つ以上を選びます。コンサルティングと研修は、機器の使い方の説明では足りません。厚生労働省の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」を踏まえた内容にします。
テレワーク実績の基準は、テレワークをする対象労働者を事業主が指定したうえで、次のどちらかを満たすことです。
- 対象労働者全員が、評価期間に1回以上テレワークをする
- 対象労働者のテレワークの回数の週間平均が1回以上になる
実施拡大事業主は、これに加えて、評価期間の延べテレワーク回数を、評価期間の前3か月より25%以上増やします。前の3か月が延べ80回なら、評価期間は100回以上です。
週間平均は、手引きにある計算で出します。対象労働者が3人で、評価期間の92日間にAさんが18回、Bさんが15回、Cさんが19回の計52回だったとします。52回を3人で割り、92日を7で割った週の数で割ると、約1.3になります。1.0以上なので、この基準を満たします。
目標達成助成の要件
目標達成助成は、制度導入助成を受けた会社だけが申請できます。目標達成助成だけの申請はできません。条件は次のとおりです。
- 引き続き、テレワークの定めのある就業規則等が適用されている
- 制度導入後の離職率が、制度導入前の離職率以下で、かつ30%以下である
- 評価期間(目標達成助成)の延べテレワーク回数が、制度導入助成の評価期間の実績を、労働者数の増減で調整した回数以上である
離職率は、対象事業所で所定の期間に離職した労働者の数を、その期間の初日の労働者数で割って出します。定年退職や重責解雇などの離職は、離職者に数えません。制度導入前の離職率は、制度導入助成の評価期間の初日の12か月前の月の初日から、初日の属する月の前月末までで測ります。制度導入後は、評価期間の末日の翌日から12か月です。
たとえば導入前の12か月に、期首の労働者40人のうち3人が離職したなら、離職率は7.5%です。導入後の離職率がこれ以下に収まる必要があります。導入後も40人で始めるなら、離職は3人までで、4人になると10%で基準を超えます。
目標達成助成の評価期間は、制度導入助成の評価期間の初日から12か月たった日から3か月です。この間のテレワークの延べ回数が、次の式の右辺以上になっている必要があります。
評価期間(目標達成助成)の延べ回数 ≧ 評価期間(制度導入助成)の延べ回数 ×(目標達成助成の初日の労働者数 ÷ 制度導入助成の初日の労働者数)
制度導入助成の評価期間に延べ60回だった会社が、労働者を50人から60人に増やしたなら、右辺は60回 × 60人 ÷ 50人で72回です。目標達成助成の評価期間は72回以上のテレワークが要ります。
スケジュールと申請の期限
手引きの流れを、例の日付で並べました。
| 段階 | 例の日付 | 内容 |
|---|---|---|
| 規定の整備と取組 | 評価期間の初日の前3か月の間 | 就業規則等を整え、職場風土づくりなどの取組を済ませる |
| 評価期間(制度導入助成) | 2026年7月1日〜9月30日 | 3か月間、対象労働者がテレワークの実績をつくる |
| 制度導入助成の申請 | 2026年10月1日〜11月30日 | 評価期間の末日の翌日から2か月以内に申請 |
| 評価期間(目標達成助成) | 2027年7月1日〜9月30日 | 制度導入助成の評価期間の初日から12か月たった日から3か月 |
| 目標達成助成の申請 | 2027年10月1日〜11月30日 | 評価期間の末日の翌日から2か月以内に申請 |
申請の期限は、どちらも評価期間の末日の翌日から2か月以内です。郵送のときは簡易書留など配達記録の残る方法を使い、消印ではなく期限内に労働局へ到達することが条件です。期限を過ぎた申請は受け付けられません。
離職率の期間は、この例では導入前が2025年7月1日〜2026年6月30日、導入後が2026年10月1日〜2027年9月30日です。目標達成助成の申請は、導入後の12か月が終わったあとに出します。
申請先と必要な書類
申請先は、本社等(人事労務管理の部署がある事業所)の所在地を管轄する都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)です。登記上の本店とは異なる場合があります。電子申請は国の「助成金ポータル」から行い、GビズIDの取得が必要です。GビズIDとは、国の電子申請に共通で使うIDです。
制度導入助成の書類は、手引きで次のとおりです。
| 書類 | 中身 |
|---|---|
| 支給申請書(様式第1号) | 申請の本体 |
| 就業規則等の写し | 制度を規定していることと、その作成日・変更日が分かるもの |
| 職場風土づくりを周知した日付が分かる書類 | メール送信、回覧、掲示の写真など |
| 研修やコンサルティングの実施報告書 | 実施内容、日時、場所、対象者が分かる写真や資料 |
| テレワークの実施状況一覧表(様式第2号)と勤務実績の資料 | 出勤簿のほか、在宅などで就業した証明(位置情報のログ、始業・終業メールなど) |
| 支給要件確認申立書 | 電子申請では不要 |
常時雇用する労働者が10人未満で、就業規則の作成・届出をしていない事業主は、制度の定めが明文化されていること、労働者に周知された日付が分かる書類を添えます。目標達成助成の書類は、様式第3号の申請書、様式第4号の実施状況の資料、離職者がいる場合の離職状況の書類、賃金要件の加算を受けるなら増額前後の雇用契約書と賃金台帳などです。関係書類は5年間保管します。
他の助成金との重なりと不正受給
支給の対象となる申請に対して他の助成金を受けているときは、原則としてこの助成金を受けられません。他の助成金の申請もしている場合は、どちらか一方を選びます。
偽りその他の不正な行為で受け取った場合は、助成金を支給しないか、取り消します。すでに支給した分の全部または一部を、年3%の利息をつけて返し、さらに不正に受け取った額の20%の違約金を請求されます。国の助成金なので、会計検査の対象になることもあります。
東京都のテレワーク助成金
都内の会社が使える制度は、東京しごと財団(公益財団法人)が窓口です。機器や環境整備に助成する「トータルサポート助成金」と、規定の整備や取組に定額で出る「奨励金」の2種類があります。
テレワークトータルサポート助成金とは
東京都のテレワークトータルサポート助成金は、東京都のテレワーク相談窓口やコンサルティングを利用した都内の中堅・中小企業等に、テレワーク機器の導入など環境整備の経費を助成する制度です。くわしくは東京都のテレワークトータルサポート助成金の記事で見られます。
募集要項(令和8年度)の主な条件は次のとおりです。
- 都内で事業を営む中堅・中小企業等で、常時雇用する労働者が999人以下
- 都内に勤務する常時雇用労働者を2人以上雇っていて、そのうち1人は申請日に6か月以上継続して雇用され、雇用保険に6か月以上加入している
- 都税の未納がなく、過去5年に重大な法令違反がない
- 東京都のテレワーク相談窓口を事前に利用し、有効期限内の「相談窓口利用証」を持っている
- 個人事業主も含む。ただし税務署へ開業届を出していること
- 令和7年度のテレワークトータルサポート助成金を受給した(受給予定を含む)会社ではないこと
- 実績報告までに、「テレワーク東京ルール」実践企業宣言の宣言書(「テレワーク推進リーダー設置」の表示があるもの)を取ること。実績報告の日までに出せないと、助成金の確定額が0円になります
相談窓口の利用が申請の前提です。令和8年度は、相談窓口の申込の期限が令和8年11月30日17時で、申請の受付(令和9年2月5日まで)より先に切れます。助成金は予算を超えると、受付期間の途中でも終了します。
助成額は、助成対象経費(税抜)に助成率をかけて出し、千円未満は切り捨てです。
| 常時雇用する労働者 | 助成率 | 上限 | うち委託費の上限 |
|---|---|---|---|
| 2人以上29人以下 | 3分の2 | 150万円 | 50万円 |
| 30人以上999人以下 | 2分の1 | 250万円 | 62.5万円 |
上限に届く対象経費は、2〜29人の会社で225万円(225万円 × 2/3 = 150万円)、30〜999人の会社で500万円(500万円 × 1/2 = 250万円)です。
具体例で計算します。従業員10人の会社が、税抜12万円のノートパソコンを8台買うとします。パソコン購入費の対象経費は1台10万円(税抜)が上限なので、8台で80万円です。税込単価1千円以上10万円未満のモニター(1枚2万円)を8枚そろえると16万円です。対象経費は96万円で、助成率3分の2をかけた64万円が助成額、自己負担は32万円になります。
同じ内容で従業員が50人の会社なら、助成率が2分の1なので48万円が助成額で、自己負担は48万円です。自己負担が出る前提の制度で、財団は「自己負担なしで受給できる」という電話勧誘に注意するよう呼びかけています。
何に使えるか(対象経費)
対象経費の科目は、パソコン購入費、消耗品費、業務ソフトウェア購入費、委託費、賃借料、使用料の6つです。
| 科目 | 条件の例 |
|---|---|
| パソコン購入費 | ノートパソコンとデスクトップパソコン。対象経費は1台10万円(税抜)まで。購入単価に制限はない |
| 消耗品費 | モニター、タブレット、スマートフォン、周辺機器など。税込単価1千円以上10万円未満 |
| 業務ソフトウェア購入費 | 財務会計ソフトやCADソフトなど。税込単価10万円以上 |
| 委託費 | パソコンの設置・設定、タブレットの設定、VPN設定の3種類だけ |
| 賃借料 | パソコンなどのリース料・レンタル料。最長3か月分 |
| 使用料 | テレワーク用のソフトやサービスの利用料。最長3か月分 |
委託費の上限は、パソコンの設置・設定とタブレットの設定が機器1台につき3万円、VPN設定が1申請につき15万円です。VPNとは、社外から社内のネットワークへ安全につなぐ仕組みです。委託費だけの申請はできません。中古品は対象外で、アウトレット品や整備済み品も中古として扱われます。
助成対象経費と対象外の経費を区別できない項目は、まとめて対象外になります。社内環境の整備やシステムの再構築は混ざりやすいので、見積書で分けておきます。
事業の進め方と期限
助成事業の実施期間は、支給決定日から4か月以内です。この間に、テレワーク環境の整備を終え、整備した環境を使ってテレワーク実施対象者の全員がテレワークを6回以上行います。
支給決定日より前の申込、発注、契約、購入は助成の対象外です。見積もりを取るのは先にしても、契約は支給決定のあとにします。申請後は実施計画の変更が原則できないため、機種や数量は慎重に決めます。申請は、受付期間に1回限りです。
申請方法
申請は郵送か、Jグランツ(国のデジタル庁が提供する補助金の電子申請システム)のどちらかです。郵送は締切日当日の消印有効、電子申請は締切日の23時59分までです。窓口への持参は受け付けられません。電子申請にはGビズIDプライムのアカウントが要ります。発行には審査があり時間がかかるので、早めに取ります。
電子申請は、社会保険労務士や行政書士などの代行者による申請ができません。代行を希望するときは郵送申請になります。購入先や見積業者による申請の代行は認められていません。
奨励金(定着強化・育児介護・サテライト・ワーケーション)
東京しごと財団の奨励金は、規定の整備や取組を済ませた会社に、定額で出ます。機器の購入費を計算する制度ではありません。受付は令和8年度分で、令和9年2月26日までです。
| 奨励金 | 金額 | 主な内容 |
|---|---|---|
| テレワーク定着強化奨励金 | 最大40万円(基本20万円、加算20万円) | 従業員調査から社内周知までの5つの取組をすべて実施する。テレワークができない従業員の不公平感をやわらげる制度を入れると加算 |
| 育児・介護との両立のためのテレワーク活用促進奨励金 | 一方のコースで20万円、両コースで30万円 | 3歳未満の子を育てる従業員と、介護をする従業員がテレワークできる規定を整える |
| サテライトオフィス勤務導入奨励金 | 1事業者10万円 | サテライトオフィス勤務の規定を新たに整え、1人以上が1回以上サテライトオフィスで働く |
| ワーケーション勤務導入奨励金 | 1事業者10万円 | ワーケーション勤務の規定を新たに整え、1人以上が休暇に連続して普段の職場や自宅とは別の場所で働く |
サテライトオフィスは、本社や自宅とは別に設ける働く場所です。ワーケーションは、休暇を取った前後などに旅行先で仕事をする働き方です。この2つの奨励金は、申請日時点で、その勤務を可能にする規定が会社にまだないことが条件です。すでに規定があると対象外になります。
定着強化奨励金と育児・介護の奨励金は、「テレワーク東京ルール」実践企業宣言の宣言書が申請に要ります。トータルサポート助成金も、実績報告の時点で宣言書が要ります。宣言の登録サイトが一時停止すると、宣言書を発行できません。財団はその間の扱いをお知らせに出すので、申請や実績報告の前に、財団のお知らせで宣言書を発行できる状態かを確かめます。
財団の「テレワーク助成金|一覧」のページは、テレワーク促進助成金、テレワーク導入ハンズオン支援助成金、育児・介護との両立のためのテレワーク導入促進助成金、テレワーク定着促進フォローアップ助成金、小規模テレワークコーナー設置促進助成金、サテライトオフィス設置等補助金を、令和6年度で新規申請の受付を終えた事業として載せています。昔の記事で見た名前がこれなら、新規には申し込めません。
トータルサポート助成金は、ハンズオン支援助成金、促進助成金、育児・介護との両立のためのテレワーク導入促進助成金、定着促進フォローアップ助成金の助成事業の実施完了期限から1年がたっていなければ申請できません。これらを受けた会社は、日付を確かめます。令和7年度のトータルサポート助成金を受給した会社は、期間にかかわらず申請できません。
窓口
トータルサポート助成金の問い合わせは、東京しごと財団の企業支援部雇用環境整備課テレワーク支援係(電話03-5211-5200、平日9時から17時。12時から13時を除く)です。電話では「トータルサポート助成金」と伝えます。審査の経過や結果は問い合わせても答えてもらえません。
東京都以外のテレワーク助成金はあるのか
国の制度は全国で使えるので、東京都以外の会社はまず国のテレワークコースから検討します。自社のテレワークの整備費を支える県の制度として、この記事で確認できたのは京都府の補助金です。
京都府の多様な働き方推進事業費補助金(テレワークコース)があります。テレワークの導入のための就業規則等の整備やコンサルタントの導入、情報通信機器とソフトウェアの導入、サテライトオフィスの設置、社内研修などが対象で、補助率は補助対象経費の2分の1以内、上限は50万円です。申請期間は令和8年9月1日から12月25日必着で、予算の範囲内で終わることがあります。
京都府のテレワークコースには、条件がいくつかあります。既にテレワークを実施している事業者と過去に実施した事業者は申請できません。対象になる従業員は新たにテレワークを始める人で、雇用保険に加入している必要があります。会社役員と個人事業主は、その従業員の対象になりません。過年度に同じ補助金を受給した事業者も申請できません。交付決定を受ける前に機器の契約、発送、支払をしていないことも条件で、補助対象経費にするなら事前着手届が要ります。くわしくは京都府の公式ページで確かめてください。
市区町村では、サテライトオフィスの開設や進出を支える制度が目立ちます。東京都以外の会社が自社のテレワーク機器の費用を賄う制度は、自治体の公式サイトで「テレワーク」「サテライトオフィス」「働き方」と検索すると見つかることがあります。下の全国の一覧にも、募集中の制度を県ごとに載せています。大阪府や兵庫県、埼玉県で探している会社は、一覧にその県の見出しがあるかを見てください。見出しが無い県では、この記事で見つけたテレワーク向けの制度が無いということです。その場合も、国のテレワークコースは使えます。
個人事業主・フリーランスは使えるのか
使えるかどうかは、従業員を雇っているかで分かれます。
国のテレワークコースは、事業主が申請します。法人でも個人でも、事業主として複数の事業所があれば1つの事業主として扱います。対象は雇用保険の適用事業主で、テレワークの実績は、事業主が指定した対象労働者のテレワークで測ります。労働者を雇っていない一人の事業主は、テレワークの実績をつくる対象労働者がいないので、要件を満たせません。
東京都のトータルサポート助成金は、個人事業主も含み、税務署へ開業届を出していることが条件です。さらに、都内に勤務する常時雇用労働者を2人以上雇い、そのうち1人は申請日に6か月以上継続して雇用して雇用保険に加入している必要があります。従業員が1人の個人事業主や、従業員のいないフリーランスは対象に入りません。
従業員のいない事業主が、仕事用のソフトやクラウドの費用を賄う方法は、IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金)などです。IT導入補助金は個人事業主も使えるかの記事と、クラウド導入の補助金の記事に、対象と条件をまとめています。
テレワーク助成金の代表的な金額
国の制度と、上限の大きい都道府県の制度を上限額で比べた表です(制度名を押すと下の全国一覧のその制度へ移ります)。
