電気柵の設置費に使える国の補助金はありますが、個人が国に直接申請することはできません。農林水産省の鳥獣被害防止総合対策交付金は、市町村や農業団体でつくる地域協議会が受け取り、集落ぐるみの柵の整備や捕獲の活動に使う仕組みです。個人が使えるのは市区町村が独自に出している電気柵の購入費の補助です。
その補助は、自治体ごとに中身がかなり違います。公式ページで確かめた範囲では、補助率は6分の1から4分の3まで、上限額は2万円から50万円までの幅がありました。対象を「出荷や販売のために農作物をつくる農業者」に絞る市町村が多く、家庭菜園のクマ対策に絞って個人の市民へ出す札幌市のような例もあります。イノシシ・シカ・サルに加えてクマを対象に含める制度も出ていますが、どの獣が対象かは自治体の要綱で決まります。
この記事では、国と自治体の違いを先に整理し、率と上限の決まり方、対象になる柵と経費、家庭菜園や熊対策の扱い、費用の考え方、申請で失敗しやすい点の順に説明します。そのあとに代表的な補助金の金額と締切の暦、全国の一覧、よくある質問を載せました。自分の市町村の制度は一覧から各制度の記事か公式ページへ進めます。
電気柵の補助金の概要
電気柵の補助金は、お金を出す側で国・都道府県・市区町村・JAなどの農業団体に分かれます。個人や小さな農家が最初に当たるのは市区町村の窓口です。国の交付金はその市区町村が制度を持っているかどうかの背景にあたります。
国の鳥獣被害防止総合対策交付金と、個人が直接使えない理由
国の中心は農林水産省の鳥獣被害防止総合対策交付金です。農林水産省の令和8年度予算の資料にはシカ・イノシシ・サル・クマ・鳥類などへの対応として、被害防止計画にもとづく地域ぐるみの取組や人材の育成、侵入防止柵の省力的な管理、ジビエの利用拡大を支援すると書かれています。令和8年度の予算額は9,900百万円で、前年度と同額です。
同じ資料のお金の流れの図は、国から都道府県と地域協議会等へ交付し、補助の形は定額や2分の1等としています。つまり国の交付金の受け手は都道府県と、市町村・農業団体・狩猟者団体などで構成する地域協議会です。農林水産省の事業案内には実施主体は地域協議会であることが必要で、施設整備については協議会の構成員である市町村やJAも単独で実施主体になれると書かれています。農家個人や家庭菜園の持ち主はこの実施主体に入っていません。
国の交付金を使うには市町村が鳥獣被害防止特措法にもとづく被害防止計画を作っていることが前提です。令和7年度補正予算の同じ交付金は対象者を「都道府県・地域協議会」とし、採択の要件を「被害防止計画が作成されていること、または作成されることが確実に見込まれること等」としています。要望調査は令和7年11月から令和8年2月でした。補助率は、定額または2分の1以内等です。
侵入防止柵の整備について、農林水産省の事業案内は「侵入防止柵の自力施工を行う場合に、資材費相当分の定額補助が可能」としています。業者に頼む請負施工では事業費に対する補助率(1/2以内等)で、自分たちで張る自力施工では資材費だけが対象になる、という違いです。集落の人たちで柵を張る前提の制度だと分かります。
国の単価の上限(電気柵を1段張るときの1mあたりの額)も、年度ごとに決まっています。農林水産省の令和8年度版の資料は確認できておらず、この記事には数字を載せていません。ほかのサイトに載っている単価を見かけても、そのまま信じず、農林水産省の鳥獣被害対策のページか市町村の農政課で、その年度の額を確かめてください。
福島県の二本松市はこの仕組みを個人向けと集落向けに分けて案内しています。受益戸数3戸以上の団体が使う国の交付金では、必要な資材を市が購入して各集落に配り、設置は自力施工です。農業者個人が使う市の補助金は別の制度で、上限10万円、補助率は事業費の6分の1以下です。同じ「電気柵の補助」でも、団体は国の交付金、個人は市の補助というすみ分けが現れています。
国の交付金で資材が配られるのは市町村の計画に入った集落や協議会の事業の場合に限られます。個人が自分で申し込んで自己負担がゼロになる仕組みではありません。
個人が使うのは自治体の補助(4つの入口)
個人が電気柵の補助を探すときの入口は、大きく4つあります。
1つ目は、農業者向けの購入費補助です。農地に電気柵を張る農業者に、資材の購入費の一部を出します。盛岡市・南足柄市・八戸市・十和田市・雫石町などがこの形で、制度の名前は「電気柵設置補助金」「鳥獣被害防止柵等資材購入費補助金」のように市町村ごとに違います。
2つ目は、自治会や農家組合などの団体向けの枠です。魚沼市は自治会か農家組合で申請する電気柵を補助対象経費の4分の3以内(上限50万円)とし、それ以外の申請者は2分の1以内(同50万円)としています。団体で申請するには電気柵を整備して利益を受ける人が3戸以上いることが条件です。雫石町も、受益戸数2戸以上かつ2ヘクタール以上の農地に設置する場合の上限を、個人より高くしています。
3つ目は、家庭菜園や庭先の被害を防ぐために住民に出す補助です。札幌市は市内に住んで市内で家庭菜園をしている市民を対象に、ヒグマの出没を抑える電気柵の購入を補助しています。農業者でなくても使える制度は少数です。
4つ目は、柵そのものを貸す制度です。福島県の南相馬市は出荷や販売をしている農業者個人・農業法人・生産組合などに電気柵を無償で貸します。貸与の期間は、電気柵が5年、ワイヤーメッシュ柵が14年です。札幌市も、家庭菜園向けに電気柵の無償貸出しを行っています。
どの入口が自分に当たるかは、住んでいる市町村と農地のある市町村で変わります。農地が住所と別の市町村にあるときは農地のある市町村の制度を調べます。盛岡市は住所か農地のどちらかが市内の農業者を対象にしていますが、南足柄市は市内に農地を持って耕作する人が対象です。公式ページに住所の条件は書かれていません。
補助率と上限額の決まり方(確かめた自治体の例)
市町村の補助は、資材費に補助率をかけた額と上限額のどちらか低いほうで止まる形が大半です。確認できた制度を並べると、次のとおりです。
| 市町村 | 補助率 | 上限額 | 確かめた条件 |
|---|---|---|---|
| 盛岡市 | 購入費の3分の1以内 | 10万円 | 自力施工。施工費と送料は対象外。2業者以上の見積書が要る |
| 南足柄市 | 補助対象経費の50%以内 | 10万円 | 農地5a以上。年度内1人1回。設置前に申請 |
| 八戸市 | 補助対象経費の2分の1 | 10万円 | 1世帯または1法人につき年度内1回。事前申請。予算が無くなり次第終了 |
| 十和田市 | 資材費(税抜)の2分の1 | 個人15万円・法人50万円 | 出荷・販売をしている農業者。1申請者につき1回 |
| 雫石町 | 50% | 初回は1ha以上8万円・1ha未満4万円(団体は20万円) | 購入前に申請。予算額に達した時点で終了 |
| 魚沼市 | 自治会・農家組合は4分の3以内、ほかは2分の1以内 | 50万円 | 団体は受益者3戸以上。年度内の申請は1回 |
| 二本松市(個人向け) | 事業費の6分の1以下 | 10万円 | 市への申請前に購入した資材は対象外 |
| 札幌市(家庭菜園) | 購入金額(税込)の2分の1 | 4万円 | 市内に住む市民。法人は除く。設置指導を受けることが条件 |
率が低い制度はひと目で不利に見えます。ただ二本松市のように、JAや農業共済から同額の補助を受けられる地域もあります。上限が高い制度は団体や法人向けの枠であることが多く、個人の枠は低めに置かれています。十和田市は令和8年6月25日から法人の上限を引き上げました。年度の途中で条件が変わる例です。
同じ資材を買ったときの額を比べると、率と上限のどちらが効くかが分かります。税抜12万円の電気柵の資材(税込13.2万円)を買ったとして、各制度の計算を当てはめます。
| 制度 | 計算 | 補助の額 |
|---|---|---|
| 盛岡市 | 12万円 × 3分の1 = 4万円 | 4万円 |
| 南足柄市 | 12万円 × 50% = 6万円 | 6万円 |
| 十和田市(個人) | 12万円 × 2分の1 = 6万円(上限15万円以内) | 6万円 |
| 二本松市(個人向け) | 12万円 × 6分の1 = 2万円 | 2万円 |
| 雫石町(初回・1ha未満) | 12万円 × 50% = 6万円 → 上限4万円 | 4万円 |
| 札幌市(家庭菜園) | 13.2万円 × 2分の1 = 6.6万円 → 上限4万円 | 4万円 |
札幌市は税込の購入金額が基準で、ほかの例は税抜の資材費です。各市の基準が税抜か税込か、送料や消費税を含めるかは、制度ごとに違います。計算の基準になる金額は、要綱で確かめてください。この表は計算の例で、実際に申請する資材一式の額で結果は変わります。
補助の対象になる柵と経費
対象の中心は電気柵の資材です。魚沼市の案内には補助の対象になる経費の例として、パワーボックス(電源装置)やソーラーパネル、ポール(支柱)、クリップ、ワイヤー、危険表示板、電圧測定器、追い払い用の花火・忌避剤・爆音機が並んでいます。対象にならない経費の例は防草シートと、電気柵の設置に使う工具(ハンマー・ニッパーなど)、設置を業者に任せたときの委託費です。
「自力施工が前提」の制度では、施工費が補助に入りません。盛岡市は自力施工によるものとし、施工費と資材の送料を含めないと明記しています。十和田市も、設置費用・送料・その他諸経費を対象外にしています。業者に張ってもらうならその工事費は全額自己負担になると見て予算を立てます。業者に頼んだ工事費も補助する制度は確かめた範囲にありませんでした。
電気柵以外の柵も同じ制度の対象になることがあります。南足柄市は電気柵や金網柵などの農地を囲う柵、農地や農作物を覆う網、果樹の苗木などを覆う食害防止材を対象にしています。二本松市の個人向け補助は電気柵・ワイヤーメッシュ柵など鳥獣の侵入を防ぐ目的の資材の購入費が対象です。ワイヤーメッシュは金属の網を立てて物理的に入れなくする柵で、電気柵は触れた獣に電気の刺激を与えて近づかせない柵です。どちらが向くかは相手の獣と場所で変わります。制度の名前は「電気柵」でも、実際の対象は「侵入防止柵の資材」と広く書かれていることがあります。ワイヤーメッシュや防鳥ネットを使う予定なら要綱の対象経費を読みます。
補助の対象になる柵は新品であることを条件にする市町村が多くあります。八戸市は補助対象の電気柵を「未使用品」で、鳥獣による農作物の被害防止に効果が認められるものとしています。盛岡市は新設に加えて設置済みの電気柵の修理や改良に要する資材の購入費も対象にしています。毎年電源やワイヤーを買い足している農家は、修理や改良も対象に入るかを窓口で聞きます。
対象の獣(イノシシ・シカ・サル・クマ)
電気柵の補助が対象にする獣は、制度ごとに違います。農林水産省の資料はシカ・イノシシ・サル・クマ・鳥類を挙げていますが、市町村の制度がそのまま同じ範囲とは限りません。雫石町の案内は対象の有害鳥獣をツキノワグマ・イノシシ・タヌキ・ハクビシン・ニホンジカ等としています。札幌市の家庭菜園向けの制度はヒグマの出没抑制が目的です。
イノシシやシカの被害を防ぐ電気柵は、もともと電気柵補助の中心でした。クマの被害が増えた年は、クマ対策を前面に出した制度やクマを対象に加えた制度が増えます。ただしクマを念頭に置いた強い柵は、1段や2段のイノシシ向けの柵とは仕様が違います。農林水産省の令和8年度予算の資料の図にはクマ対策として「対クマ電気柵補強(トリップライン)」と「強固な侵入防止柵」が出ています。農林水産省東北農政局の資料では、トリップラインは電気柵の下の地面を掘ってくぐり抜けるクマへの補強として、電気柵の外側に張る線とされています。
熊の対策で電気柵の補助を探すときは制度の名前に「クマ」と入っていなくても使える場合があります。対象鳥獣の欄を読み、「鳥獣被害防止」や「有害鳥獣」のような広い言い方のときはクマを含むかを窓口で聞きます。
家庭菜園でも使えるか
家庭菜園で使える制度は少数派です。確かめた制度の多くは、出荷や販売を目的に農作物をつくる農業者を対象にしています。盛岡市の対象は「田畑、牧場その他これに類する場所(出荷又は販売を目的として農産物を生産するものに限る)」で、十和田市は「農作物を生産し、出荷・販売していること」を要件にしています。八戸市も「生業として市内の農地で農業生産を行う者」です。
札幌市は例外で、市内で家庭菜園を行う市民(法人を除く)を対象にしています。電気柵専用物品の購入金額(税込)の2分の1を、千円未満を切り捨てて最大4万円まで補助します。令和8年度の募集は5月15日から9月15日(必着)で、予定は60名、予算の上限に達した時点で終わります。交付の決定の前に買うと対象外で、設置のあとに市が指導を行う流れです。同じ世帯で令和6年度以降にこの補助を受けていないことも、条件でした。補助を受けない場合でも、札幌市は家庭菜園用の電気柵を無償で貸し出していて、貸出しの手続きは希望日の1週間前までです。
家庭菜園で補助が見つからないときは貸与の制度があるかと、農地の広さの条件を満たすかの2つを調べます。南足柄市は市内の農地が5a以上であることを条件にしていて、小さな畑は対象外です。庭先や市民農園の被害には鳥獣被害対策の窓口が別に案内を持っていることがあるので、農政課か環境課に直接聞きます。
JA・農業共済の上乗せと、無償貸与
市町村の補助とは別に、JAや農業共済が上乗せを出す地域があります。二本松市の案内はふくしま未来農業協同組合と福島県農業共済組合からも同額の補助を受けられるとしています。ただし「それぞれ条件がある」ため、詳しくは問い合わせるよう書かれています。JAの上乗せは地域ごとの制度で、全国共通ではありません。自分の地域のJAの窓口で聞くことになります。
無償で貸す制度は電気柵を買う費用そのものがかかりません。南相馬市の貸与は、申請に電気柵を置く予定地が分かる書類(営農計画書や農地基本台帳の写しなど)を求めています。貸与を受けた柵の維持管理は、借りた側の仕事です。5年の貸与が終わったあとにどうなるかは、確かめたページに書かれていませんでした。申し込む前に窓口で聞きます。
設置費用の考え方と、補助でどこまで下がるか
電気柵の費用は柵の長さや段数、電源の種類、資材の質で変わります。見積もりを読むときは次の項目に分けて見ると、補助の対象と対象外を切り分けやすくなります。
- ワイヤー(電線)の長さと段数(柵の周囲の長さ × 段数で必要な量が決まります)
- 電源装置(パワーボックス)と、ソーラーパネルやバッテリー
- 支柱(ポール)、碍子(電線を支柱から絶縁する部品)、クリップ
- アース棒とアース線
- 危険表示板、電圧測定器
- 草刈りや下草対策の資材(防草シートなど)
- 送料、設置の工事費
このうち魚沼市の例では防草シートと設置の委託費が対象外、盛岡市の例では送料と施工費が対象外です。見積書のなかで補助の対象にできる資材とできない資材を分けて書いてもらうと、申請のときに内訳を出し直さずに済みます。盛岡市は2業者以上からの見積書を求め、部品ごとではなく資材一式の見積としています。
補助の額は上の表のとおり、資材費の6分の1から4分の3の範囲で上限がかかります。上限が10万円の制度なら補助率が2分の1でも資材費が20万円を超える分は補助が増えません。広い畑を囲う農家は上限額に早く届くため、補助の効き方は小さくなります。反対に小さな畑を囲う場合は率がそのまま効きます。柵の長さを決める前に、補助の上限がどこで頭打ちになるかを計算しておくと、資材の買い方を決めやすくなります。
電気柵の価格の目安は、公式ページに載せている自治体がほとんどありません。この記事では、確認できない相場の数字を書いていません。複数の業者から資材一式の見積もりを取り、1mあたりの額に直して並べると、安い高いを比べられます。
申請は購入の前、お金は設置のあと
電気柵の補助は、購入や設置の前に申請する制度がほとんどです。交付の決定の前に買った資材は対象外になるという書き方が、盛岡市・二本松市・十和田市・札幌市の案内に共通して出ています。
流れは制度ごとに細部が違いますが、おおよそ次のとおりです。
- 市町村の窓口(農政課・農林課など)で、制度の対象と今年度の受付を聞く
- 見積書を取り、柵を張る場所の位置図や現況の写真を用意する
- 交付申請書を出す
- 市町村から交付決定の通知を受け取る
- 資材を買って、柵を設置する
- 完了後に、領収書や設置後の写真をつけて実績報告を出す
- 審査のあとに、補助金が振り込まれる
南足柄市は例外的に、設置前に申請すれば資材を先に買ってもかまわないと案内しています。購入のタイミングは制度ごとに違うため、「先に買ってよいか」を最初に聞きます。同じ南足柄市の流れでは、設置前の現況写真が要り、設置が終わった日から30日以内か翌年度の4月10日のどちらか早い日までに実績を報告します。
逆に買って設置を終えてから申請する制度もあります。九十九里町は年度内に購入して設置したものだけを対象とし、申請に領収書の写しと設置完成写真を求めています。それでも予算がなくなり次第終了する可能性があるため、購入前に農林水産課へ相談するよう案内しています。
窓口に最初に聞くことを次にまとめます。電話でも公式ページの問い合わせ欄でも、この順で聞くと、申請の無駄足が減ります。
- 自分の農地や畑が、対象の場所と面積の条件に入るか(家庭菜園の場合はそもそも対象に入る制度があるか)
- 対象の獣に、イノシシ・シカだけでなくクマが入るか
- 設置を業者に頼むとき、施工費が補助に入るか
- 資材を先に買ってよいか、交付決定を待つ必要があるか
- 今年度の受付の期間と、予算に残りがあるか
- JAや農業共済に、市町村とは別の補助があるか
提出書類は、八戸市の例では交付申請書、農業者を確認できる書類、農地を確認できる書類、市税の納付状況を調べることへの同意書、収支予算書、見積書の写し、電気柵の仕様書またはカタログの写し、設置する農地の位置図、世帯全員の住民票の写しなどです。市町村によって住民票の範囲や税の納付状況の確認の仕方が違います。魚沼市は、申請のときに資材の見積書など購入費が分かる書類を、実績報告のときに電気柵整備後の写真を求めています。
電気柵は張ったあとの管理で効き方が変わる
補助を受けると、柵を維持する責任は申請者に残ります。南足柄市は柵の購入・設置から維持管理までの責任は補助金の交付を受ける人が負うことを、補助の条件に入れています。魚沼市も、設置する電気柵を適切に維持管理できることを要件にしています。
二本松市は設置と維持管理の注意事項をまとめた「電気柵設置・管理チェックシート」を公開しています。電気柵は電線に草が触れると電圧が落ちるため、張ったあとの草刈りと電源の点検が欠かせません。魚沼市の対象経費に電圧測定器が入っているのも、張ったあとに電圧を確かめる前提だと読めます。草刈りの手間、電源の点検、被害の出た場所の見直しは、補助の対象に入らない費用として見込んでおきます。
電気柵のほかに、捕獲や果樹の伐採の補助も重ねて探す
被害を減らす対策は、柵だけでは終わりません。農林水産省の令和8年度予算の資料は同じ交付金の中に、捕獲の活動、捕獲した獣のジビエ利用、クマの捕獲の強化も入れています。これらも受け手は地域協議会などの団体で、個人が柵と同じ窓口で申し込む補助ではありません。
個人に近いところでは、市町村が柵の補助とは別に狩猟免許の取得費や更新費、わなの購入費を補助している例があります。盛岡市の公式ページには電気柵の補助とは別に、誘引木の伐採と新規の狩猟免許の取得を補助するページが並んでいます。クマを寄せる柿や栗の木が庭にある場合は柵を張る前に伐採の補助がないかも同じ課に聞いておくと、被害を根から減らせます。
柵の購入費は柵の補助、免許の取得費は免許の補助というように経費ごとに別の制度で申請する形になります。同じ経費を二重に申請できるかは、制度ごとの要綱で確かめます。どの補助も年度ごとの予算で動くので、窓口で「有害鳥獣の対策で個人が使える補助を全部教えてください」と一度に聞くと、見落としが減ります。
自分の市町村の制度の探し方
制度は、市町村の公式サイトで「(市町村名)電気柵 補助」「(市町村名)有害鳥獣 補助」と検索すると見つかります。担当は農政課・農林課・産業振興課・環境課のどれかで、課の名前は市町村ごとに違います。電気柵の制度が単独のページを持たず、「補助金一覧」のような一覧の中の1行になっている市町村もあります。見つからないときは役所の代表番号に電話して「有害鳥獣の被害防止の補助の担当課」を聞くのが早い方法です。
国の交付金は市町村が被害防止計画を作っていることが前提で、農林水産省の鳥獣被害対策のページに窓口が出ています。農林水産省の令和7年度補正予算のページには問い合わせ先として農村振興局 農村政策部の鳥獣対策・農村環境課が書かれています。実際の相談は、住んでいる市町村か都道府県の農政部局が最初の窓口です。
電気柵の代表的な補助金の金額
国の制度と、上限の大きい都道府県・市町村の制度を上限額で比べた表です(制度名を押すと、下の全国一覧のその制度へ移ります)。
