ECサイトの構築費に使える国の補助金は、小規模事業者持続化補助金の「ウェブサイト関連費」が中心です。第20回の公募要領は販路開拓のためのウェブサイトやECサイトやシステムの開発・構築・更新・改修・運用を対象経費に挙げています。ただしこの経費の補助金額は30万円(税込)が上限で、ウェブサイト関連費だけでは申請できません。広告やチラシなどほかの販路開拓の経費と一緒に出します。
名前が変わったデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)は、ECサイトの構築には使えません。事務局のよくあるご質問は、ECサイト制作を含むホームページ制作を補助対象外と答えています。使えるのは事務局に登録された受注・在庫・決済などの業務ソフトの導入費です。事業再構築補助金は公募が終わっています。
もう一つの入口が市区町村の制度です。ECサイトの構築やモールへの出店や広告に絞った制度があり、この記事で公式ページを確かめた範囲の上限は10万円から30万円でした。個人事業主を対象にする制度も多くあります。ただし着手の前に申請する決まりで、ECサイトを作ってから申請しても補助は受けられません。
この記事ではまず制度の違いと、構築・運営・物流の費用ごとに使える制度を整理しました。そのあとに代表的な補助金の金額と締切の暦、共通の注意点、都道府県ごとの一覧を載せています。ホームページ制作そのものの補助金はホームページ補助金の記事にまとめています。
ECサイトの補助金の概要
ECサイトの補助金はお金を出す側で国・都道府県・市区町村に分かれます。国の制度にECサイト専用の枠はなく、事業全体の計画の一部としてECサイトの費用を入れる形です。ECサイトそのものに出すのは、主に市区町村や商工会議所の制度です。
使える制度の違い
国の主な制度と自治体の制度を、ECサイトの扱いで並べると次のとおりです。
| 制度 | ECサイトの構築費 | 運営・販促の費用 | 額と率 |
|---|---|---|---|
| 小規模事業者持続化補助金(一般型 通常枠) | 対象(ウェブサイト関連費。上限30万円・単独申請不可) | 広告費は広報費(上限30万円)。オンライン展示会の出展費も対象 | 上限50万円(特例で最大250万円)、補助率2/3 |
| デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金) | 対象外(ECサイト制作を含む) | 登録された受注・在庫・決済などのITツールは対象 | 5万円以上150万円未満、または150万円以上450万円以下。補助率1/2以内(2/3以内あり) |
| 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 | 新しい事業の計画が前提。PR用ウェブサイトの構築は広告宣伝・販売促進費で計上 | 広告宣伝・販売促進費に上限あり | 枠と従業員数で上限が変わる(最大9,000万円)、補助率1/2〜2/3 |
| 中小企業省力化投資補助金(一般型) | ECサイトの構築費を目的にした制度ではない | 出荷・梱包など業務の省力化投資 | 従業員数で上限が変わる(750万円〜1億円)、補助率1/2〜2/3 |
| 市区町村の制度 | 対象にする制度が多い | 出店料・広告・送料割引まで対象にする制度もある | 上限10万円〜30万円(確かめた制度) |
国の制度は上限が大きい代わりに事業計画の審査があります。自治体の制度は上限が小さい代わりに書類が少なめです。両方を使えるかどうかは後で書く併用の決まりで変わります。
構築・運営・物流の費用に何が使えるか
ECサイトにかかる費用は作る費用だけではありません。売り方が決まってから発生する費用ごとに使える制度を並べました。
| かかる費用 | 使える制度の例 |
|---|---|
| ECサイトの新規構築・外注 | 持続化補助金(30万円まで)、徳島市・いわき市・橋本市・葛飾区 |
| 既存のECサイトの改修 | 持続化補助金、橋本市(徳島市は改良を対象外) |
| モールの出店料・初期登録料 | いわき市、徳島市(新規モールのみ)、橋本市。東京都の市場開拓助成事業も初期登録料を対象にする |
| カート機能・決済サービスの利用料 | 橋本市(サービス利用料)。持続化補助金の公募要領には名指しの記載がない |
| 広告・販促 | 持続化補助金(広報費30万円まで)、橋本市(広告宣伝費)、山都町(広告宣伝と送料割引) |
| 商品写真・動画 | 持続化補助金(EC用はウェブサイト関連費に計上) |
| 受注・在庫・顧客管理のソフト | デジタル化・AI導入補助金(登録されたITツールだけ) |
| 出荷・梱包の機械化 | 中小企業省力化投資補助金 |
同じ費用でもどの制度で出すかで枠が変わります。たとえば持続化補助金では、ECサイトで使う商品の写真や動画の制作費は広報費ではなくウェブサイト関連費に入るため、30万円の枠を構築費と分け合うことになります。
補助金と助成金の違い
「ECサイト 助成金」で探す人もいますが、ECサイトの費用を出す制度は名前が補助金でも助成金でも中身は要綱で決まります。国の制度では補助金は審査があって採択されないことがあり、助成金は要件を満たせば受けられるものが多いと整理されます。自治体の制度は名前の付け方がまちまちなので名前よりも審査の有無と予算の上限と申請の時期を要綱で読んで区別します。
事業再構築補助金は終了している
「ECサイト 補助金」の解説の中には、事業再構築補助金を使えると書いたものがあります。事業再構築補助金の公式サイトには「本補助金の公募は終了しております」と書かれていて、ページに載る最後の公募は第13回です。新しい公募はありません。
新しい事業への進出を支える制度は、後で説明する新事業進出・ものづくり商業サービス補助金が受けています。事業再構築補助金の経緯は事業再構築補助金の記事に、旧制度との違いは新事業進出補助金の記事にあります。
小規模事業者持続化補助金でECサイトを作る
ECサイトの構築費に国の補助を使うなら、最初に当たるのは持続化補助金です。商工会議所の地区と商工会の地区で窓口が分かれ、公募要領も別々に出ます。ここでは商工会議所地区の第20回(一般型 通常枠)の公募要領で確かめた内容を書きます。
額と率、ウェブサイト関連費の上限
補助上限は50万円、補助率は2/3です。インボイス特例の対象なら50万円、賃金引上げ特例の対象なら150万円、両方の対象なら200万円が上乗せされて最大は250万円になります。
ECサイトの費用が入るのは対象経費の「ウェブサイト関連費」です。公募要領の定義は、販路開拓等を行うためのウェブサイトやECサイトやシステム(オフライン含む)等の開発・構築・更新・改修・運用に要する経費です。ウェブサイトの開発に関連するソフトウェアや委託・外注した開発費もここで計上します。
制限が2つあります。
- この経費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)です。
- ウェブサイト関連費のみによる申請はできません。必ずほかの経費と一緒に申請します。
数字を入れて確かめます。ECサイトの構築に60万円、ネット広告に20万円、チラシに10万円という計画を組むとします。補助対象の総額は90万円で、2/3なら60万円です。ウェブサイト関連費は60万円の2/3で40万円になるところが30万円で止まります。広報費はネット広告とチラシの30万円の2/3で20万円です。合わせて50万円となり、通常枠の上限ちょうどになります。構築費を90万円に増やしても、ウェブサイト関連費は30万円で止まったままです。
広告・SEO・商品写真は対象になるか
ECサイトは作ってからの集客に費用がかかります。公募要領を読むと広告の経費は広報費とウェブサイト関連費に分かれていました。
広報費の対象例には、インターネット広告とバナー広告の実施、SNS広告と運用代行費、商品・サービスの宣伝のための画像や動画の作成が挙がっています。広報費の補助金交付申請額の上限も30万円(税込)で、広報費のみによる申請はできません。
一方、自社のホームページやECサイトで使う動画や写真の制作費用は、ウェブサイト関連費にまとめるよう書かれています。ウェブサイト関連費の対象例には、効果や作業内容が明確なウェブサイトのSEO対策と、商品販売のためのウェブサイトに掲載する宣材写真の制作費用が挙がっています。
対象外の例も確かめておきます。
- ウェブサイトやシステムに関連するコンサルティングとアドバイスの費用
- 補助事業期間内に運用に至らなかったホームページやランディングページ
- 有料配信する動画の制作費
- 通信費(インターネット利用料金など)とインターネットショッピングの決済手数料
編集部が見たところ、カートサービスの月額料金とモールの出店料は対象の例にも対象外の例にも名前が出ていません。ウェブサイト関連費の「運用」に入るかどうかは、申請の前に商工会・商工会議所の窓口に聞いて確かめるのが安全です。
オンライン展示会・商談会の出展費
持続化補助金には「展示会等出展費」という経費があり、オンラインによる展示会・商談会も含まれます。ECサイトの運営者がオンラインの商談会で販路を広げる使い方ができます。出展の申し込みだけは交付決定の前でも補助対象になりますが、請求書の発行日が交付決定日より前だと対象外です。
対象者と申請の順番
補助対象は小規模事業者です。常時使用する従業員の数が商業・サービス業(宿泊業と娯楽業を除く)で5人以下、宿泊業・娯楽業と製造業その他で20人以下の会社と個人事業主(商工業者であること)が当たります。ネットショップが小売業なら5人以下の基準です。
第20回の申請受付は2026年11月5日から12月15日の17時までです(予定で、変更されることがあります)。商工会・商工会議所が発行する事業支援計画書(様式4)が要り、発行依頼の受付締切は12月4日で申請の締切より早く設けられています。GビズIDプライムのアカウントも要ります。
交付決定の前に発注・契約・支払いをした経費は対象外です。補助金は後払いで、事業を進める間は自己負担が必要です。詳しい手順と対象経費は持続化補助金第20回の記事と持続化補助金のホームページ制作費の記事にあります。
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)でECサイトは作れるか
「ECサイト IT導入補助金」と検索する人が多いのですが、ECサイトの構築費は対象外です。ここは古い記事との食い違いが特に大きい部分なので、公式の記載を順に確かめます。
名前が変わった経緯
デジタル化・AI導入補助金2026の公式ページは、2025年・2024年・2023年後期の公募を「IT導入補助金2025・2024・2023後期」と呼んでいます。2025年までは年号の付いたIT導入補助金で、2026年の公募から名前がデジタル化・AI導入補助金になりました。「IT導入補助金2024ではECサイトの構築は対象外」と書く記事が出てくるのは、この名前の切り替わりのためです。
公式の答えと、使える場面
事務局のよくあるご質問(通常枠版)には「ホームページ制作は補助対象ですか」という問いがあります。答えは、ECサイト制作を含めて補助対象外です。リースとハードウェアも通常枠では補助対象外です。
補助対象になるのは、事務局に登録されたITツールの導入費用です。ソフトウェア購入費とクラウド利用料(最大2年分)が中心で、導入コンサルティングや導入設定や保守サポートといった役務も含まれます。ITツールの要件は、顧客対応・販売支援、決済・債権債務・資金回収、供給・在庫・物流、会計・財務・経営といった業務プロセスを1種類以上持つソフトウェアであることです。
公募要領の業務プロセスの表には、ECサイトの運営に近い機能が並びます。
- 受注・売上請求管理と売掛・回収管理
- 在庫分析と入出庫管理と納品管理と配送計画
- 決済(POSレジを含む)
- CRM(顧客購買履歴と対応履歴の全社共有・顧客分析・販促)
ECサイトの運営者が受注管理や在庫管理や顧客管理のソフトを入れるときは、登録されたITツールであれば対象になり得ます。補助額は1プロセス以上で5万円以上150万円未満、4プロセス以上で150万円以上450万円以下、補助率は1/2以内です。令和7年10月から令和8年9月までの間に、令和8年度に改定された地域別最低賃金を下回る賃金で雇っている従業員が全従業員の30%以上いる月が3か月以上あると、補助率は2/3以内になります。
注意点が2つあります。1つ目は、申請が事務局に登録されたIT導入支援事業者と一緒に進める形になることです。2つ目は、顧客が使う画面の新規制作の扱いです。公募要領は予約受付台帳の例で「顧客側画面を新規制作する費用は、スクラッチ開発に該当するため対象外」と書いています。ECサイトの購入画面を一から作る費用も同じ考え方で対象外になると、編集部は読んでいます。
ShopifyやBASEは対象になるか
ShopifyやBASEなどのカートサービスの利用料が補助されるかどうかは、そのサービスが登録されたITツールかどうかで決まります。編集部は、ITツール検索の画面(事務局サイトで動的に表示される検索)の中身までは確かめられていません。申請を考えるなら、使いたいサービスの名前をITツール検索に入れて登録の有無とプロセスを見ます。登録されていても、サイトの構築費やデザイン費はホームページ制作にあたるため補助されません。
通常枠の締切は回ごとに決まっていて、第7次の締切は2026年12月1日の17時(予定)です。個人事業主の条件はIT導入補助金は個人事業主も使えるかの記事に、ツールの選び方はデジタル化・AI導入補助金のITツールの記事にまとめています。制度全体はIT導入補助金の記事をご覧ください。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は向くか
EC参入を新しい事業として大きく進める会社に向く制度です。中小企業新事業進出補助金の公式サイトは、公募が終了して新規の受付は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」までと案内しています。新しい制度の公式サイトは、「中小企業新事業進出補助金」と「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」とは異なる補助金だと注意しています。
枠と上限
公募要領(第2回)には3つの枠があります。
| 枠 | 向く取組 | 補助上限額(賃上げ特例で括弧内) | 補助下限額 |
|---|---|---|---|
| 革新的新製品・サービス枠 | 革新的な新製品・新サービスの開発 | 従業員1〜5人で750万円(850万円)、6〜20人で1,000万円(1,250万円)、21〜50人で1,500万円(2,500万円)、51人以上で2,500万円(3,500万円) | 100万円 |
| 新事業進出枠 | 既存事業と異なる新市場・高付加価値事業への進出 | 従業員1〜20人で2,500万円(3,000万円)から、101人以上で7,000万円(9,000万円) | 750万円 |
| グローバル枠 | 海外市場開拓のための国内の輸出体制の強化 | 新事業進出枠と同じ | 750万円 |
補助率は枠で違います。革新的新製品・サービス枠は、中小企業者が1/2(地域別最低賃金の特例で2/3)、小規模企業・小規模事業者が2/3です。新事業進出枠は小規模企業・小規模事業者を含めて1/2(特例で2/3)、グローバル枠は2/3です。第2回は11月2日に公募が始まり、申請の受付は11月30日15時から、締切は12月25日15時です。
ECサイトの費用はどこに入るか
補助対象経費には、機械装置・システム構築費や外注費や専門家経費やクラウドサービス利用費や広告宣伝・販売促進費などが並びます。ECサイトに関わるのは次の2つです。
補助事業のPR等に係るウェブサイトの構築は、広告宣伝・販売促進費として計上します。上限は、事業計画期間内の売上見込み額の合計を事業計画年数で割った額の5%です。100万円(税抜き)以上のウェブサイト構築費を計上する場合は、実績報告のときに開発費用の算出資料が要ります。ウェブサイトの公開は、補助事業の期間内に終わらせる必要があります。
システムの構築費は、機械装置・システム構築費に入ります。ECサイトの機能の開発がこの区分に入るかは、計画の中身で変わります。公募要領は「既存の機械装置・システム等の単なる置き換えに係る経費は対象外」とも書いています。
「ECを始めるだけ」では当たらない場合がある
新事業進出枠の公募要領は、枠に該当しない例を挙げています。既存の製品等の製造量または提供量を増やす場合、既存の製品等と対象とする市場が同一である場合、既存の製品等が対象で単に商圏が異なるだけの場合です。
すでに店舗で売っている商品を同じ客層向けにネットでも売る計画は、この例に近いと編集部は読んでいます。新しい客層(法人と個人や業種や行動特性が違う顧客)に向けた新商品やサービスで、市場も新しいと説明できる計画が前提になります。
賃上げの要件も重い制度です。公式サイトは、補助事業の終了後3〜5年の事業計画で、付加価値額の年平均成長率+4.0%以上と、1人あたり給与支給総額の年平均成長率+3.5%以上と、事業場内最低賃金が地域別最低賃金より+30円以上高い水準をすべて満たす必要があるとしています。目標に届かないと、補助金の一部または全額の返還が生じる場合があります。
ECサイト1つを作る費用だけを賄う制度ではありません。ECを軸に新しい事業を立ち上げ、設備やシステムの投資を含めて補助下限額を超える計画を組むときの選択肢です。グローバル枠は新たな海外市場を開拓するための国内の製造等拠点の強化が対象とされ、越境ECのサイトを作るだけの計画は趣旨から外れます。
出荷・梱包の省力化は中小企業省力化投資補助金
EC事業が大きくなると、悩みの中心はサイトより出荷作業になります。中小企業省力化投資補助金には「一般型」と「カタログ注文型」があり、一般型は個別の現場に合わせた設備導入とシステム構築を対象にしています。
一般型の公募要領(第8回公募)と事務局のページでは、補助上限額が従業員数で変わります。5人以下で750万円(特例で1,000万円)、6〜20人で1,500万円(2,000万円)、21〜50人で3,000万円(4,000万円)、51〜100人で5,000万円(6,500万円)、101人以上で8,000万円(1億円)です。補助率は中小企業が1/2(特例で2/3)、小規模企業者・小規模事業者が2/3です。
機械装置・システム構築費が必須で、単価50万円(税抜き)以上の設備投資を1つ以上行う必要があります。公募要領は倉庫の自動化や出荷作業を名指しして対象としてはいません。ピッキングや梱包の作業を機械やシステムで省力化する計画が、業務プロセスの省力化にあたると示せるかが分かれ目になります。ECサイトの構築費そのものは、この制度の目的ではありません。制度の全体は中小企業省力化投資補助金の記事にまとめています。
自治体のECサイトの補助金
ECサイトの構築や出店に絞った制度は、市区町村に多くあります。編集部が公式ページを開いて確かめた5つを並べます。
| 制度 | 対象になる費用 | 上限・補助率 | 条件の例 |
|---|---|---|---|
| 徳島市 EC参入支援事業補助金 | モールへの新規出店・出品の初期登録手数料と外注費、自己所有サイトへのEC機能の実装、ECサイト構築の外注費 | 上限10万円、補助率10/10 | 1年以上市内に本店か事業所を置くこと。販売する商品の半数以上が徳島市内で製造・加工されたもの。商品の追加や機能の拡充・改良は対象外 |
| いわき市 EC促進支援事業 | モールの出店料・出品料、売上に応じて発生する利用料、出店代行・ECサイトの作成・商材写真の外注、自社ECサイト構築の初期経費 | 上限30万円、補助率2/3以内 | 市内に本社か事業所がある、卸売業または小売業の中小企業と個人。予算額に達した時点で受付を終了 |
| 橋本市 ECサイト構築事業 | 外部への委託費、専門家謝金、カート機能・決済サービスなどの利用料、完成したECサイトの広告宣伝費 | 上限20万円、補助率1/2以内 | 新規の自社EC構築、既存ECの改良、モールへの新規登録が対象。消費税は対象外。交付回数は1年度に1回 |
| 山都町 ECサイト販売促進事業 | ECサイトの広告宣伝と送料割引の経費 | 上限10万円、補助率4/5 | 町内に事業所等を持つ法人・個人事業者・団体。予算に応じて早期に受付が終わることがある |
| 葛飾区 ホームページ作成費補助金 | ホームページの作成・改修と同時に申請するECサイトの新規構築(上乗せ) | ECサイト新規構築は上限10万円 | ECサイトだけの申請は対象外。区内で1年以上事業を営むこと。過去2年度に同じ補助金を受けていないこと。仲介業者への委託は対象外 |
同じ「ECサイトの補助金」でも、中身はかなり違います。徳島市は新規参入に絞り、すでに出店しているモールへの追加は対象にしません。いわき市は出店の初期費用に加えて、売上に連動して発生する利用料まで見ます。橋本市はカートや決済サービスの利用料を明記し、山都町は作った後の広告と送料の割引に絞っています。額の大きさで選ぶ前に、自分が払う費用がどの区分に入るかを先に確かめるほうが、申請の後の食い違いが少なくなります。
東京都でECサイトに使える制度
東京都内では、葛飾区の制度を公式ページで確かめました。区ごとに産業振興の制度があるので、自分の区市町村の窓口に当たるのがいちばん早いと考えています。
東京都と東京都中小企業振興公社の市場開拓助成事業は、販売促進費の区分でEC出店初期登録料とサイト制作・改修費を対象にしています。助成限度額は300万円、助成率は1/2以内です。ただし、展示会等参加費の申請が必須で、販売促進費だけの申請はできません。対象は、東京都などから評価や支援を受けた製品・サービス、または成長産業分野の自社の製品・サービスです。令和8年度の電子申請は5月15日から5月29日までで、すでに締め切られています。次の募集は都の公式ページで確かめます。ECサイトを作りたいだけの事業者向けの制度ではなく、展示会に出る計画のある事業者向けです。
自分の地域の制度の探し方
地域ごとに制度の有無は違います。この記事の下の全国一覧で、先に自分の県を探してください。一覧に載らない市区町村は、市区町村の公式サイトで「ECサイト 補助」「ネットショップ 補助」と検索します。担当は産業振興や商工観光の部署であることが多く、名前は自治体ごとに違います。商工会議所や商工会が窓口になる制度もあります。
モール出店・Shopify・BASEの月額・越境ECは対象か
読者の疑問の中でも、ECサイトの補助金に特有のものを制度ごとに整理します。
楽天市場などモールの出店費用
自治体の制度は、モールの出店費用を対象にするものが目立ちます。いわき市は出店料・出品料に加えて、売上に応じて発生する利用料も対象です。徳島市は新規に参入するモールに限り、オークションサイトとフリーマーケットサイトへの出品は対象外です。橋本市はモール型ECサイトに新たに登録する事業を対象にしています。東京都の市場開拓助成事業も、EC出店初期登録料を販売促進費に入れています。
国の制度では、持続化補助金の公募要領にモールの出店料という経費の名前はありません。ウェブサイト関連費の「運用」に入るかを、窓口に確かめます。また、インターネットショッピングの決済手数料は持続化補助金の対象外です。
ShopifyやBASEなどカートサービスの月額・初期費用
カートサービスの月額利用料は、制度によって扱いが分かれます。橋本市は、ECサイト運営に必要なカート機能や決済サービスなどの利用料を対象経費に挙げています。いわき市は自社ECサイト構築に係る初期経費を対象にしますが、月額の扱いは公式ページに書かれていません。
持続化補助金の公募要領には、ソフトウェア使用権の契約期間が補助事業期間を超える場合は、補助事業期間分だけが対象になると書かれています。月額料金の名前は出てこないものの、ウェブサイト関連費の考え方としては、補助事業期間内の分に限られる読み方になります。デジタル化・AI導入補助金は、前に書いたとおりサービスが登録ITツールかどうかで決まります。
越境EC・海外向けの販路
越境ECは、国の制度では新事業進出・ものづくり商業サービス補助金のグローバル枠が最も近い制度です。ただし対象は国内の製造等拠点の強化で、サイトの構築だけの計画には向きません。自治体にも海外販路開拓の補助があり、この記事の下の一覧にも並びます。海外向けのECサイトの費用が対象に入るかは制度ごとに違うので、一覧から各制度の記事に進んで、対象経費を確かめます。
個人事業主・創業したばかりのネットショップ
ネットショップを個人で始めた事業者が、国と自治体の制度をどう使えるかを整理します。
個人事業主は使えるか
使えます。持続化補助金の補助対象者は、会社のほかに個人事業主(商工業者であること)です。デジタル化・AI導入補助金も、日本国内に補助事業の実施場所を持つ個人が対象です。省力化投資補助金は、採択後に公表する事業者の情報を、個人事業主の場合は都道府県までにとどめると公募要領が書いていて、個人事業主の申請を想定しています。
自治体の制度でも、個人事業主を対象に含むものが多くあります。いわき市は中小企業基本法に当たる会社と個人が対象で、山都町は町内に事業所を持つ法人と個人事業者、団体が対象です。徳島市は、1年以上本市内に事業所を置き、かつ市内に1年以上住所を持つ市民が対象に入ります。
創業したばかりでも使えるか
事業を始めてすぐの時期は、制度によって扱いが変わります。徳島市は1年以上市内に事業所や本店を置くことを条件にしています。葛飾区も区内で1年以上事業を営むことを条件にしていますが、葛飾区の創業塾の全ての講義を受けて創業した事業者は、1年未満でも対象になります。
国には、持続化補助金の創業型があります。創業して間もない小規模事業者向けの制度で、補助上限は200万円です。事務局のページによると、産業競争力強化法に基づく認定市区町村などが実施した特定創業支援等事業による支援を受けた日と開業日(設立年月日)の両方が、公募締切から起算して過去1年の間にあることが要件です。第4回の受付締切日は2026年12月15日で、一般型の通常枠と同時には申請できません。補助事業が終わるまでに商品やサービスの提供を始める必要があります。前回の公募は持続化補助金創業型の記事に書いています。
個人事業主の条件の細部は持続化補助金は個人事業主も使えるかの記事で確かめられます。
ECサイトのリニューアル・改修は対象か
すでにあるECサイトを作り直したい事業者からも、問い合わせは多く出ます。制度ごとの扱いを並べます。
持続化補助金は、ウェブサイトの更新・改修・運用を対象経費に含めています。ただし、補助事業期間内に運用に至らなかったホームページやランディングページは対象外です。公開が補助事業の期限に間に合うように、スケジュールを組みます。また、取得した財産の処分の制限があり、50万円(税抜き)以上の費用でウェブサイトやシステムを作成・更新すると、通常は取得日から5年間、補助事業の目的以外の使用や譲渡、廃棄が制限されます。承認を受けずに処分すると、交付取消や返還命令(加算金付き)の対象です。ただし、補助事業の目的を遂行するために必要なホームページの改良や機能強化は、この「処分」には当たらないと書かれています。
自治体は分かれます。橋本市は既存の自社ECサイトを改良する事業を対象にしています。徳島市は、商品の追加と機能の拡充・改良を対象外にしていて、新しくECの機能を実装する場合に限ります。葛飾区は、既存のホームページの全面改修と、そこで新たに作るECサイトを対象にします。ページを少し直す程度では、どの制度でも対象になりにくいと考えておくと、期待と実際の差が少なくなります。デジタル化・AI導入補助金は、ECサイト制作を含むホームページ制作が対象外なので、リニューアルの外注費も出ません。
ECサイトの代表的な補助金の金額
国の制度と、上限の大きい都道府県・市区町村の制度を上限額で比べた表です(制度名を押すと下の全国一覧のその制度へ移ります)。
