LED照明に替える費用の補助は、事業者と家庭で使える制度が分かれます。店舗・事務所・工場の照明なら、国の「省エネ・非化石転換補助金」と都道府県・市区町村の制度が候補です。国の制度で補助の対象になるのは調光などの制御機能が付いたLED照明器具で、補助率は設備費の1/3以内です。家庭の照明の買い替えだけを対象にした国の補助は見当たらず、東京都の東京ゼロエミポイントや市区町村の制度を探します。
自治体の事業者向けの制度は国より上限が小さいかわりに、工事費まで対象にするものや補助率が高いものがあります。墨田区は経費の5分の4(上限150万円)、川越市は設置経費の2分の1(上限30万円)を補助しています。どちらも年度ごとの予算で行い、先着で早く終わることがあります。
この記事では、国・自治体・家庭向けの制度の仕組みと、蛍光灯の製造禁止との関係を先に整理しています。そのあとに代表的な補助金の金額と締切の暦、多くの制度に共通する注意点、都道府県ごとの一覧を載せました。自分の地域の制度は、一覧から各制度の記事へ進めます。
LED照明の補助金の概要
LED照明の補助金は、お金を出す側で国・都道府県・市区町村に分かれ、申請できる人で事業者向けと家庭向けに分かれます。この記事で調べた国の制度は事業者向けだけで、家庭向けは都道府県と市区町村の制度になります。
| 申請する人 | 照明を付ける場所 | 主な制度 | 額の決まり方 |
|---|---|---|---|
| 中小企業・個人事業主・医療法人など | 店舗・事務所・工場・倉庫 | 省エネ・非化石転換補助金(国・SII) | 設備費の1/3以内(制御機能付きLEDに限る) |
| 中小企業・個人事業主 | 市区町村・県内の事業所 | 都道府県・市区町村の制度 | 経費の1/3〜4/5、または1台あたりの定額 |
| 福祉施設・農業者など | 施設・農業用の建物 | 用途を限った自治体の制度 | 制度ごとに決まる |
| 個人 | 自分が住む家 | 東京ゼロエミポイント、市区町村の制度 | 1台・1基あたりの定額か、経費の1/2 |
| 管理組合・集合住宅のオーナー | 廊下・ロビーなどの共用部 | 一部の市区町村の制度 | 制度ごとに決まる |
国の制度:省エネ・非化石転換補助金でLED照明を替える条件
事業者向けの国の制度は、経済産業省の省エネ・非化石転換補助金です。受付と審査は一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が行います。LED照明は、決められた設備に1台ずつ入れ替える「設備単位型」の対象です。
SIIの令和7年度補正予算の公募要領(設備単位型・4次公募用)の「補助率及び補助金限度額」の表では、補助率と上限が次のとおりです。
| 申請タイプ | LED照明の扱い | 補助率 | 上限と下限(1事業) |
|---|---|---|---|
| (Ⅲ)設備単位型[従来枠] | 対象(制御機能付きLED照明器具) | 1/3以内 | 上限1億円・下限30万円 |
| (Ⅲ)GX設備単位型[メーカー強化枠] | 対象(GXに取り組むと表明したメーカーの製品) | 1/3以内 | 上限3億円・下限30万円 |
| (Ⅲ)GX設備単位型[トップ性能枠] | 対象の設備に照明が無い | 1/2以内(更新) | 上限3億円・下限30万円 |
補助率は中小企業者等と大企業で同じです。中小企業者等には、中小企業基本法の中小企業者(業種ごとに資本金と従業員数の上限があり、どちらか一方を満たせば当てはまります。大企業が株の多くを持つ「みなし大企業」は除きます)のほか、青色申告をしている個人事業主、従業員300人以下の医療法人・社会福祉法人・NPO法人などが入ります。大企業は、省エネ法の評価でSクラスやAクラスに当たるなどの条件を満たすときだけ申請できます。
LEDなら何でもよいわけではありません。SIIのよくある質問には「調光機能を使用しないLED照明への更新は補助対象となりません」とあります。公募要領の基準表(別表1)では、無線式・有線式の調光制御か、人感・明るさセンサー付きの調光制御のどれかを組み合わせることが条件です。器具の効率は昼光色・昼白色・白色で1Wあたり100lm以上、温白色・電球色で50lm以上と決まっています。照明制御器は25台以上の器具を制御できるものに限ります。
次の器具も対象外です。
- コンセントから電気をとる照明器具
- 今ある照明器具を改造して付けるもの
- 蛍光ランプ・白熱電球・電球形LEDランプと口金が同じもの(ソケットに差し込むだけの電球や直管)
補助の対象になる経費は設備費だけです。設備単位型では、取り付けの工事費・配線などの材料・古い照明の撤去費や処分費は補助されません。消費税も対象外です。設備費は、原則として3者以上から見積もりを取った最低の価格が上限になります。
申請には省エネの要件もあります。更新したときの省エネ率が10%以上、省エネ量が原油に換算して1kl以上、経費1千万円あたり1kl以上のどれかを満たすことです。省エネ量はSIIの「補助事業ポータル」に稼働時間などを入れると計算されます。LED照明の計算の手引き(指定計算)もSIIの公募ページで配っています。
公募は年に数回に分かれ、回ごとに締切があります。令和7年度補正予算の分は、2026年に1次から4次まで4回の公募が組まれました。審査があり、事業区分ごとに評価して予算の範囲で上位から採択されます。交付決定のあとに発注して、原則2027年1月31日までに設備の検収と支払いを終える決まりです。制度の詳しい中身は省エネ・非化石転換補助金の記事にまとめています。
補助率が記事によって1/3・1/2・2/3と違う理由
LEDの補助金を調べると、国の補助率が1/3、1/2、2/3と記事ごとに違って見えます。理由は申請タイプの違いです。照明だけを替える設備単位型は1/3以内で、1/2や2/3は工場や事業場全体の省エネをする「工場・事業場型」の率です。
工場・事業場型の公募要領(令和7年度補正予算・4次公募用)では、中小企業者等の補助率は先進枠で2/3以内、一般枠と中小企業投資促進枠で1/2以内で、投資の回収年数が短い事業は1/3以内です。事業場の中のLED照明も入れて申請できますが、空調や生産設備も含めた事業場全体の計画が前提になります。照明を替えたいだけなら、まず設備単位型の1/3で見積もりを組みます。
自治体の事業者向けの制度:額の決まり方と国との違い
都道府県と市区町村の事業者向けの制度は、上限が数十万円から数百万円のものが中心です。国の制度より要件が軽く、調光の機能が無いLED照明でも対象にする制度が多くあります。額の決め方は大きく2つです。
1つは経費に率をかける形です。墨田区のLED照明器具導入支援は器具の本体と部材、設置工事費の5分の4(上限150万円)を補助します。ただし設置工事費は1か所あたり8千円までです。川越市の物価高騰対策LED照明器具導入支援事業補助金は機器の購入費と工事費の2分の1(上限30万円)で、四万十市の事業所LED照明導入促進事業費補助金は3分の1(上限50万円)です。川越市と四万十市は、対象経費の合計が10万円以上であることも条件にしています。
もう1つは1台あたりの定額です。横浜市のLED化支援助成金(中小企業LED化型)は、ベースライト1台12,000円、高天井照明1台35,000円、ダウンライトなどのその他の照明1台10,000円で、上限は50万円です。横浜市の制度は、市の「脱炭素取組宣言」をしていることが条件になっています。
自治体の制度には地元の条件が付くことがあります。四万十市は工事を請け負う業者が市内に店や営業所を持つことを求め、横浜市は見積もりを出す業者が市内事業者であることの証明を事前申込のときに求めます。
福祉施設や農業用の施設など、用途を限ったLEDの制度もあります。愛媛県には障がい福祉施設の空調と照明の制度があり、二本松市は農業用施設のLED照明を対象にしています。詳しくは愛媛県の障がい福祉施設の空調・照明の補助金の記事と二本松市の農業用施設LED照明の補助金の記事にまとめています。
東京都中小企業振興公社のLED照明等節電促進助成金(都内の製造業向け・上限1,500万円)を紹介する記事が見つかります。公社のページには「令和7年度を以って本助成金は終了しました」と書かれています。都内の工場なら、国の制度か区市の制度を探します。
家庭・個人向けの制度:国の補助は無く、都道府県と市区町村が出す
家庭の照明をLEDに替えるだけの費用に出る国の補助は、この記事で調べた範囲では見つかりませんでした。家庭向けは都道府県と市区町村の制度です。額は1台あたり数千円から1万円ほどの定額が多く、事業者向けより小さくなります。
東京都の東京ゼロエミポイントは、都内の住宅に付いている照明器具(LEDを除く)を省エネ性能の高いLED照明器具に買い替えた都民に、ポイント分を店頭で値引きする仕組みです。住宅の屋内に固定して使うLED照明器具が対象で、購入だけなら4,000ポイント、取り替えの作業費がかかる場合は6,000ポイント(1ポイント=1円)です。申請は登録した販売店が行い、個人は申請できません。買い替える前の照明器具が住まいに付いている状態の写真が要ります。共用部などに付いている照明器具は対象外です。
市区町村の制度の例を2つ挙げます。
西東京市のLED照明器具買い換え助成金(個人向け・集合住宅所有者向け)は、市に住民登録がある人が自分の住む家の蛍光灯器具をLED照明器具に買い替えたときに出ます。1台あたり税抜8,000円以上の購入なら一律4,000円(8,000円未満は購入額の2分の1)で、2台目以降も同じ計算で上限25万円までです。管理組合や集合住宅のオーナーが共用部を替える場合は、設置工事費の2分の1(上限5万円)も対象になります。西東京市は東京ゼロエミポイントとの併用もできるとしています。
光市の家庭用LED照明買替サポート補助金は、市内の自分が住む既存の住宅に、市内の業者から買って取り付けた場合が対象です。購入と設置の経費(税抜)の2分の1で、上限は1基あたり1万円(5基以上は5万円)です。1基は居間や寝室などの居室に付けることが条件で、店舗や事業所への設置は対象外です。
家庭向けの制度は、買って取り付けたあとに申請する形が多くあります。西東京市も光市も、購入・設置を済ませてから申請します。事業者向けの制度は反対に工事の前の申請が基本なので、同じ「LEDの補助金」でも順番が逆になる点に気を付けます。
蛍光灯の製造・輸出入の禁止と、LEDへの替えどき
LEDの補助金が増えた背景には、蛍光灯の規制があります。水銀に関する水俣条約を受けて、一般照明用の蛍光ランプは日本でも製造と輸出入が禁止されます。環境省の「一般照明用の蛍光ランプの規制について」では、種類ごとに禁止の時期が違います。
| 蛍光ランプの種類 | 製造・輸出入の禁止 |
|---|---|
| 電球形蛍光ランプ | 2026年1月1日から(30Wを超えるものは2027年1月1日から) |
| コンパクト形蛍光ランプ | 2027年1月1日から |
| 直管形蛍光ランプ | 2028年1月1日から(ハロりん酸塩の蛍光体を使ったものは2027年1月1日から) |
| 環形蛍光ランプ | 2028年1月1日から(ハロりん酸塩の蛍光体を使ったものは2027年1月1日から) |
止まるのは製造と輸出入で、使うことではありません。環境省は「蛍光ランプの使用・販売・購入は禁止されません。」としています。今ある蛍光灯は球が切れるまで使えますが、替えの蛍光管は手に入りにくくなっていきます。蛍光灯の品番は「F」か「EF」で始まるものが多いと環境省は案内しています。
補助金の多くは「LED以外の照明をLEDの器具に替える」工事が対象です。すでにLEDの照明をほかのLEDに替える工事は、横浜市・神奈川県などの制度で対象外になっています。蛍光灯が残っている事業所や家は、補助が使えるうちに器具ごと替える計画を立てるのが得だと編集部は考えます。
税金の支援:中小企業経営強化税制
LEDの設備は、税金の面でも支援を受けられる場合があります。中小企業庁の「税制措置・金融支援活用の手引き」では、青色申告をする中小企業者等が経営力向上計画(自社の生産性を上げる計画で、国の認定を受けるもの)にもとづいて決まった設備を取得すると、即時償却か取得価額の10%(資本金3,000万円超の法人は7%)の税額控除を選べます。個人事業主は所得税が対象です。
対象になる期間は令和9年3月31日までです。生産性向上設備(A類型)では、建物附属設備は1つの取得価額60万円以上、販売開始から14年以内のモデルが対象になります。A類型の工業会等の証明書は、設備を取得する前に申請しないと使えません。
SIIのよくある質問では、省エネ・非化石転換補助金と中小企業経営強化税制は併用できるとしています。LEDの工事がどの設備の区分に当たるか、補助金で取得した部分をどう計算するかは、顧問の税理士か税務署に確かめます。
LED照明の代表的な補助金の金額
国の制度と、上限の大きい都道府県の制度を上限額で比べた表です(制度名を押すと下の全国一覧のその制度へ移ります)。
