戸建ての自宅にEV用の充電コンセントを付ける費用への国の補助は、令和7年度補正予算の「戸建て住宅充電用コンセント」で、1基あたり定額5万円です。窓口は一般社団法人次世代自動車振興センター(NeV)で、交付申請は2026年3月31日17時から9月30日17時までの受付でした。同じ枠の次の募集があるかどうかとその時期は、国の次の予算で決まります。
国の戸建ての枠が開いていない間、自宅の充電設備に使えるのは自治体が出している家庭向けの補助です。鹿児島県大崎町は家庭用充電設備(EVコンセント等)に5万円を出していて、国の補助との併用も認めています。沖縄県は離島・過疎地域に住む個人に、EVの購入と合わせて設置する充電設備へ5万円を出しています。ただし自治体の充電設備の補助はマンションや店舗・事業所の駐車場に付ける設備を対象にしたものが多く、戸建ての個人を対象外にしている制度もあります。
この記事では国の戸建て向けの補助の中身と、マンション・事業者の枠やV2Hの補助との違いを先に整理しました。そのあとに代表的な補助金の金額と締切の暦、共通する注意点と都道府県ごとの一覧を載せています。自分の地域の制度は、一覧から各制度の記事へ進めます。
EV充電器の補助金の概要
EV充電器の補助金は、お金を出す側で国・都道府県・市区町村に分かれます。もう1つの分かれ目は、誰がどこに付けるかです。戸建ての個人とマンションの管理組合やオーナー、店舗や事業所を持つ事業者で使える枠が変わります。
個人・マンション・事業者で枠が分かれる
国の充電設備の補助は、経済産業省の「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てん設備等導入促進補助金」です。令和7年度補正予算は2025年12月16日に成立し、充電・水素充てんに510億円が付きました。このうち充電設備に使うのは365億円です。
経済産業省が公表した執行の概要では、365億円を次のように分けています。
| 区分 | 主な設置場所 | 予算の配分 |
|---|---|---|
| 戸建て住宅 | 個人の自宅の駐車場 | 15億円 |
| 急速充電 | 高速道路のSA・PA、道の駅、コンビニ、ディーラー、商業施設など | 170億円 |
| 普通充電(基礎) | マンションなどの集合住宅、月極駐車場、事務所・工場 | 100億円(戸建て住宅の15億円を除く) |
| 普通充電(目的地) | 商業施設や宿泊施設など、出かけた先の駐車場 | 70億円 |
| 年度またぎ事業 | 高速道路のSA・PAと新築の集合住宅 | 10億円 |
経済産業省は資料の中で、これまでの制度では戸建て住宅が支援の対象外だったと書いています。戸建ての枠は令和7年度補正で新しく作られたもので、それより前の年度の国の充電インフラの補助はマンションや事業者向けでした。古い年度の記事に個人は対象外と書かれているのはそのためです。
自治体の補助も同じように枠が分かれます。相模原市の電気自動車充電設備導入補助金は、集合住宅や事務所・工場・商業施設の駐車場に付ける設備が対象です。戸建て住宅に付ける充電設備と、所有者が個人で使うための充電設備は対象外と明記しています。横須賀市の電気自動車用充電器等設置費補助金も、対象者を法人・個人事業主・マンション管理組合としています。家庭向けの補助は、EVやV2Hの導入と合わせた別の制度に分けている自治体があります。
国の戸建て住宅充電用コンセント補助(令和7年度補正)の中身
「EVコンセント 補助金」で探すと最初に出てくるのが、この制度です。次世代自動車振興センターの応募要領(令和8年3月)では、補助の額は充電用コンセントの購入費と設置工事費を足した額(どちらも税抜)と、交付上限額の低い方です。上限は応募要領の別表1で50千円と定められています。
国の戸建て向けの補助は1口75,000円ではなく、定額5万円です。ネットの記事には75,000円と書いたものがありますが、経済産業省の資料と応募要領のどちらにも戸建て住宅の補助で75,000円という額は出てきません。機器代と工事費の合計が5万円に届かないときは、補助もその合計の額までになります。
申請できる人と設置場所には、次の条件がありました。
- 申請できるのは個人だけ
- 設置場所は、申請者の住民登録のある戸建て住宅に付いている駐車場
- 戸建て住宅は、個人が生活の本拠とする住宅のうち共同住宅と長屋を除いた一戸建て
- 付けられる充電用コンセントは1基だけで、駐車スペース1台分に1基
- センターが承認した型式の充電用コンセントを新品で買うこと
- 土地の所有者でない場合は、5年間設置することを土地の所有者が許諾した書類を出すこと
- 充電用コンセントの発注、工事の開始、代金の支払いは交付決定日以降
新品の意味も細かく決まっています。交付決定通知書が出た日以降に発注し、メーカーの保証書の保証開始日が交付決定日以降のものが新品です。転居先に付ける場合は、実績報告のときに住所と設置場所の一致を確かめると書かれています。
6kWの充電器やウォールボックスは国の補助の対象か
戸建ての枠で対象になるのは充電用コンセントだけです。経済産業省の資料の補助内容の表で、戸建て住宅の対象設備は「コンセント」の1種類です。ケーブル付きの充電設備(6kW以上と6kW未満)やコンセントスタンドは、集合住宅や事務所・目的地充電の区分に並んでいます。
壁に付けるケーブル付きの普通充電器を自宅に付けたい人は、国の戸建ての枠では補助を受けられませんでした。自治体の補助では、対象の機器を「国の補助で承認された充電設備」としている制度が多くあります。自治体の制度で探すときは、型式の条件を要綱で確かめます。
承認された型式は、センターのホームページの「補助対象充電設備型式一覧」に載っています。応募要領はメーカーからの申請に基づいてセンターが審査・承認した型式だけを対象にすると定めていて、一覧は更新されます。見積もりの型式が一覧にあるかは、契約の前に確かめておくところです。
補助の対象になる工事と、ならない費用
応募要領の4章には、補助の対象になる工事とならない工事の例が並んでいます。対象になるのは、充電用コンセントを動かすのに必要な工事です。
- 基礎工事(コンセントを据え付けるための基礎の材料費と労務費)
- 据付工事の労務費と、設置場所までの搬入費
- 電気関連の工事(コンセントの回路のケーブルとアース線、配管、ブレーカー、ブレーカーを入れる盤、掘削・埋設や壁の貫通など配線ルートを確保する工事)
- テープやドリルの刃などの雑材・消耗品、養生、設置場所の検討にかかる費用
対象外として挙げられているのは、次のような費用です。
- 屋根、小屋、防護用の部材、電灯の設置
- コンセント以外の用途の配線や、将来用の配線・配管
- 稼働試験のための電気自動車のレンタル費
- 防犯カメラなどの防犯システム、消火器などの防災設備
- 駐車スペースのアスファルト舗装
- 今あるコンセントの撤去・移設・処分と、ほかの既存物の撤去や処分
- 一般管理費、現場管理費、共通仮設費、交通運搬費、廃材処分費
- 写真管理費、客先協議費、申請手続代行費、除雪費、アスベストの調査費用
見積書の書き方にも決まりがあります。センターの「よくある不備」では、コンセントの購入費と工事費を「一式」でまとめた見積書を不備の例に挙げています。値引きがある場合は、どの項目から引いたかを書いた見積書を求めています。
国の補助の受付期間と、次の募集
令和7年度補正の戸建て向けの受付期間は次のとおりです。
| 手続き | 期間・期限 |
|---|---|
| 交付申請 | 令和8年(2026年)3月31日17時から9月30日17時まで |
| 交付決定 | 令和8年4月から11月中旬(予定) |
| 実績報告 | 令和9年(2027年)1月29日まで |
交付申請はこの期限で締め切られ、センターのホームページは戸建て住宅充電用コンセントの申請提出期間が終了したと案内しています。応募要領は交付決定までの期間を受付から1〜2か月程度とし、申請が集中するとさらにかかると書いています。センターは2026年9月25日に、短期間に申請が集中して審査に時間がかかっていると知らせました。
すでに申請した人が気をつけるのは工事の時期です。センターは同じお知らせで、申請のときに登録した工事開始予定日を過ぎてから交付決定になる場合があると説明しています。交付決定の前に工事を始めると補助の対象外になるので、交付決定通知書が出たことを確かめてから着工します。
次の募集があるかどうかは、国の次の予算で決まります。令和7年度補正では、予算の成立(2025年12月16日)から戸建て向けの受付の開始(2026年3月31日)まで3か月半ほどでした。戸建ての枠が次の予算でも続くかと額が同じかは決まっていないので、経済産業省の「クリーンエネルギー自動車の導入補助金」のページと次世代自動車振興センターのお知らせで確かめます。予算の成立から受付の開始までに型式の承認と応募要領の公表があるので、そこで条件が分かります。
マンション・集合住宅の補助は管理組合やオーナーが申請する
マンションの住人が自分の区画に充電器を付ける場合、国の戸建て向けの枠は使えません。戸建て住宅の定義から共同住宅が外れているからです。国の補助でマンションに付けるときは、普通充電(基礎)の区分で管理組合やオーナーが申請する形になります。
令和7年度補正では、集合住宅の設置口数の上限(20口以下など)が撤廃されました。一方でマンションに付ける非公共用の充電器には、OCPP(Open Charge Point Protocol)などへの対応が要件になっています。充電器を遠隔で管理するための通信の規格です。
この区分の募集は第1期と第2期に分かれ、センターはどちらも申請提出期間が終わったと案内しています。センターが2026年9月29日に公表した第2期の結果では、普通充電(基礎)の申請額は2,613百万円で配分額の3,730百万円を下回りました。このため第2期は全事業で選定外の取消しがありませんでした。
令和7年度補正にはもう1つ、工期の長い案件向けの「年度またぎ事業」があります。経済産業省とセンターの案内では、対象は高速道路のSA・PAの急速充電器と新築の集合住宅の普通充電器に限られます。新築の集合住宅は申請時点で着工前か工事中で、竣工予定日が2027年度の共同住宅です。受付は令和8年10月から11月中旬の想定とされています。
自治体の補助にも、集合住宅向けのものがあります。千葉県流山市の集合住宅・商業施設等用電気自動車等充電設備設置補助金は、申請者に個人・法人・管理組合などを挙げています。分譲マンションで管理規約上の決議が要る場合は、総会で決議した日と議論の内容が分かる議事録の写しを求めています。賃貸のマンションやアパートに住んでいる人は、大家や管理会社に設置と補助の申請を相談する順番になります。
事業者・法人の充電設備の補助
店舗や事務所・工場・月極駐車場に付ける充電設備は、国の第1期・第2期の区分と都道府県・市区町村の事業者向けの制度が対象です。令和7年度補正ではコンビニやディーラー・商業施設に150kW以上の急速充電器を置くための補助上限の区分が新しく作られました。急速充電器の予算を配る順番も、こうした施設に回るよう見直されています。
東京都は令和8年度の充電設備普及促進事業で、事務所・工場や商業施設・宿泊施設、時間貸しや月極の駐車場などに充電設備を付ける事業者を補助します。EVの導入と同時に普通充電設備を申請する場合は工事のあとの申請ができ、充電コンセントの設置工事費は1基あたり定額10万円です。会社の車と充電設備をまとめて検討するなら、社用車の補助金の記事で車両の補助と一緒に整理しています。国の充電インフラの補助の制度記事は令和7年度補正の充電・充てんインフラ等導入促進補助金と令和6年度補正の記事です。
V2Hの補助と、EV車両の補助との違い
V2H充放電設備はEVの電池から家に電気を戻せる機器で、充電用コンセントとは別の補助です。令和7年度補正の「V2H充放電設備/外部給電器」の補助は55億円です。経済産業省の概要では、個人宅とマンションへの設置で機器の補助率1/2・上限75万円、工事の補助率1/1・上限55万円でした。個人宅はEVなどを持っているか発注済みであることが条件です。
この補助は2026年7月24日に受付が始まり、センターによると8月28日に届いた交付申請で予算額を超えました。このため受付は8月27日中にセンターに届いた申請で終わり、28日以降に届いた申請は無効になっています。自治体にはV2Hだけの補助を出しているところもあり、東京都は令和8年度に「戸建住宅におけるV2H普及促進事業」を行っています。
EVの車両を買うときの補助(CEV補助金)は、充電設備とは別の制度です。車両と充電設備の補助は、それぞれ別に申請します。車両の補助の受付の見通しはEV補助金はいつまでかの記事、東京都の車両の補助は東京都のEV補助金の記事にまとめています。
自治体の家庭向けの補助は、制度で条件がばらばら
市区町村の家庭向けの補助は、額も申請の順番も制度で違います。鹿児島県大崎町の大崎町脱炭素促進事業補助金は、家庭用充電設備(EVコンセント等)に50,000円、V2H充電設備に100,000円を出しています。町に住民記録のある個人と法人が対象で、町税などの滞納がないことが条件です。
大崎町の制度は、設置が終わったあとでも申請できます。設置の完了日から1年以内の申請が対象で、国の補助との併用もできると町は案内しています。予算の範囲内の先着順で、令和8年度の家庭用充電設備の募集件数は5件の見込みです。多くの制度は工事の前の申請が条件ですが、大崎町のように工事のあとで申請する制度もあるので、順番は制度ごとに確かめます。
沖縄県の離島・過疎地域におけるEV導入推進事業補助金は、対象地域に住民登録のある個人と、対象地域に事業所を持つ個人事業主・法人が申請できます。充電設備は、同じ補助でEVを買い、そのEVの使用の本拠に設置したものが対象です。国の補助対象の型式一覧にある同じ型式であることと、国の補助で1/1の補助を受けていないことも条件になっています。
事業者向けの制度にも、国の補助を前提にしたものがあります。埼玉県熊谷市の電気自動車等充電設備設置費補助金は、市内に事業所を持つ事業者などが対象です。国の補助(NeV補助金)の交付を受けていることが条件で、補助の対象経費から国などの補助を引いた額の2分の1(最大30万円)を出します。国の補助が終わると、こうした上乗せ型の制度も使えなくなる点に注意が要ります。
自治体の充電設備の補助は、次世代自動車振興センターの「地方自治体の支援制度」のページでも都道府県と設備の種類で絞って探せます。センター自身がすべての自治体の最新情報を載せられているわけではないと断っているので、最後は各自治体のページで確かめます。
国と自治体の補助は併用できるか
国の戸建て向けの補助は、国のほかの補助と同じ申請で重ねられません。応募要領の申請の要件に、国の他の補助金と重複していないことが入っています。地方公共団体の補助については、重複して申請できる場合があるので各自治体に問い合わせるよう書かれています。
自治体の側の扱いは、制度で分かれます。相模原市は国と神奈川県の補助との併用を認め、併用した補助の額を対象経費から除いたうえで3分の1を補助します。熊谷市も国の補助を引いた残りに補助率を掛けます。大崎町は国の補助との併用ができると案内しています。併用できる制度でも国の補助の分を差し引く計算が多いので、自己負担の見積もりは差し引いたあとの額で組みます。
国の戸建て向けで求められた書類
次の募集の書類は公表されていません。参考として、令和7年度補正の戸建て向けでは、交付申請と実績報告で次の書類を出しました。
交付申請のときに出したのは、センターの「申請から実績報告までの流れ」と応募要領によると次の書類です。
- 本人確認書類(運転免許証、印鑑証明、住民票、2020年2月3日以前に発行されたパスポート、マイナンバーカードの表面のみ)
- 充電用コンセント本体の見積書と設置工事の見積書(宛先・作成日・発行者・設置場所名称・有効期限・支払条件・コンセントの型式と基数と単価を書いたもの)
- 施工前の要部写真(建物の全景・駐車スペース・コンセントの設置予定場所)
- 土地を借りている場合は、土地の利用に関する許諾書
実績報告のときは、次の書類を出しました。
- 充電用コンセント本体の発注書・請求書・領収書と保証書(一部のコンセントはメーカーの納品出荷証明書)
- 工事費の請求書と領収書
- 充電設備等設置工事完了報告書(様式J09)と施工後の要部写真
- 取得財産等管理台帳・取得財産等明細表
- 補助金の振込先の口座名義と口座番号が分かる書類
本人確認書類は、マイナンバーの載った面や住民票を出すと不備になります。センターの「よくある不備」は、入力した氏名の漢字や住所が免許証と違う例も挙げています。
国の次の募集を待つか、先に付けるか
令和7年度補正の募集では、センターは、すでに設置済みの充電用コンセントは対象外だと申請前の確認事項に書いていました。交付決定の前に発注・着工したものも対象にならないので、先に自費で付けたコンセントは、この募集の条件では申請できませんでした。次の募集に同じ条件が付くかは、要件が公表されるまで分かりません。
次の募集があるか、あっても戸建ての枠が続くかは決まっていないため、編集部は待つほうが得とも、先に付けるほうが得とも言えません。比べる材料は2つです。1つは、国の戸建て向けで受けられた額が5万円までだったことです。もう1つは、待っている間は自宅で充電できず、外の充電器に通う手間がかかることです。EVの納車まで間があるなら、国と自治体の発表を見てから見積もりを取る選び方もあります。納車が近いなら、5万円の見込みと待つ手間を比べて決めます。住んでいる地域に家庭向けの補助があるかは、先に自治体のページで確かめてください。
工事の前に、家と業者で確かめること
200ボルトのコンセントを付ける配線工事は、電気工事士の資格を持つ人の仕事です。電気工事士法第3条第2項は、第一種か第二種の電気工事士でなければ一般用電気工作物の電気工事の作業に従事してはならないと定めています。家庭の配線はこの一般用電気工作物に入ります。
国の応募要領は、駐車スペースの使い方にも条件を付けていました。既存の駐車スペースがあればそこを使い、充電するときに車が公道にはみ出すなど法令違反にならないスペースを確保することです。コンセントの設置方法とケーブルの仕様はメーカーの取付け作業指示書を満たし、コンセントの性能を担保するブレーカーを付けることも要件です。
工事の申請書類では、写真で引っかかる例が目立ちます。国の戸建て向けの申請では、建物の全景と駐車スペースとコンセントの設置予定場所の写真を位置情報(GPS)を記録して撮る決まりでした。位置情報のないファイルはアップロードできません。センターの「よくある不備」には、建物の一部しか写っていない写真や駐車スペースとの位置関係が分からない写真が並んでいます。
EV充電器の代表的な補助金の金額
国の制度と、上限の大きい都道府県の制度を上限額で比べた表です(制度名を押すと下の全国一覧のその制度へ移ります)。
