インフルエンザ予防接種の費用に、国の補助金はありません。補助や助成を出しているのは、住んでいる自治体と、加入している健康保険組合や共済組合、勤めている会社の3つです。このうち自治体の助成は、65歳以上の定期接種と、子供の任意接種への助成の2本立てになっています。
令和8年度の65歳以上の自己負担は、世田谷区・練馬区・町田市が2,500円、横浜市が2,300円、千葉市が1,800円、さいたま市が1,600円、名古屋市と大阪市が1,500円、川口市が1,000円でした。同じ65歳でも、住む場所で最大1,500円の差があります。子供の助成は東京都内の区市が手厚く、不活化ワクチンで1回1,000〜3,000円、経鼻ワクチン(フルミスト)で2,000〜6,000円の助成が出ています。
会社員の方は、協会けんぽに補助がないことを先に押さえてください。協会けんぽは公式サイトで、インフルエンザに対する助成事業はないと案内しています。補助があるのは、会社が単独や業種ごとに作っている健康保険組合などです。補助額は組合ごとに上限1,500〜3,000円と幅があります。
この記事では、自治体の助成(高齢者と子供)、健保組合の補助、勤務先の補助、併用の可否の順に、いくらもらえるのかと受け取り方をまとめました。費用の一部が戻る医療費控除の話は、親記事の予防接種の費用助成の記事に譲ります。最後に、都道府県ごとの予防接種関連の制度を載せています。
インフルエンザ予防接種の補助金の概要
費用は全額自己負担が原則で、補助の出どころは4つに分かれる
インフルエンザの予防接種は病気の治療ではないので、健康保険は使えません。費用は医療機関が決めるため、同じ地域でも医療機関によって違います。大阪市が令和8年度に協力医療機関へ支払う接種料は、自己負担のない人で5,126円、自己負担のある人で3,626円と定められています。自己負担が1,500円なので、合わせて5,126円が接種料の基準になっています。これは市が委託する料金で、自費で受けるときの料金は医療機関ごとに違います。
厚生労働省のインフルエンザワクチンのページは、定期接種の対象者について、費用は原則有料と案内しています。定期接種といっても無料ではなく、自治体が費用の大半を負担し、自己負担を設けるのが普通です。
補助の出どころは次の4つです。
- 自治体(市区町村)の助成:65歳以上などの定期接種の費用負担の軽減と、子供の任意接種への助成
- 健康保険組合・共済組合・国民健康保険組合の補助:加入者と家族への補助
- 勤務先の福利厚生:会社が接種費用の全部または一部を出す
- 国:住民や加入者に直接出す補助金はなく、定期接種の枠組み(対象者や接種の仕組み)を決めている
自分がどれを使えるかは、年齢、住所、加入している保険の3つで決まります。65歳以上なら住んでいる自治体の高齢者の定期接種、子供なら自治体の子供向け助成、会社員なら健保組合と勤務先を見ます。
加入している保険の見分け方
補助の有無は、保険証に書かれた保険者の名前で調べます。マイナ保険証や資格確認書にも保険者名称が載っています。愛知県情報サービス産業健康保険組合は、保険者名称がその組合名になっている人が対象だと案内しています。保険者名称が「全国健康保険協会」なら協会けんぽ、「◯◯健康保険組合」なら健保組合、「◯◯市」や「◯◯国民健康保険組合」なら国民健康保険です。
保険者名称に共済組合と書かれている人は、公務員や教職員などの共済組合に入っています。共済組合の補助は組合ごとに決まるので、所属の組合のページか、勤務先の担当部署で確かめます。
定期接種と任意接種の違い
予防接種は、予防接種法に基づく定期接種と、それ以外の任意接種に分かれます。インフルエンザの定期接種は、65歳以上の人と、60〜64歳で心臓・腎臓・呼吸器の機能に重い障害がある人、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能の障害がある人が対象です。それ以外の人の接種、たとえば子供や働く世代の接種は任意接種になります。
任意接種は国の補助の枠組みがなく、助成するかどうかも金額も、自治体が自分で決めます。厚生労働省のQ&Aも、乳幼児は定期接種の対象になっていないと案内しています。違いの詳しい説明と、助成の探し方の一般論は予防接種の費用助成の記事にあります。
ワクチンの種類と接種回数
インフルエンザワクチンには、注射の不活化ワクチンと、鼻にスプレーする経鼻弱毒生ワクチン(商品名フルミスト)があります。経鼻ワクチンは2歳以上が対象で、子供向けの助成でも別の額が決まっています。
接種回数は年齢で違います。厚生労働省のQ&Aによると、13歳未満は2回接種です。6か月以上3歳未満は1回0.25mLを2回、3歳以上13歳未満は1回0.5mLを2回と決まっています。1回目を12歳で受け、2回目の接種時に13歳になっていた場合も、12歳として考えて2回接種になります。13歳以上の健康な人は、1回の接種で2回接種と同等の抗体価の上昇が得られるという報告があり、助成も1回までの自治体が大半です。
接種の時期と、助成の対象になる期間
助成が使えるのは、自治体や組合が決めた期間内に受けたときだけです。期間より前に受けても、期間が終わってから受けても、全額自己負担になります。千葉市は、期間外の接種は任意接種になり全額自己負担になると案内しています。練馬区も、9月など期間外の接種は区の助成が受けられないとしています。
令和8年度は、インフルエンザの流行が例年より早く始まったため、開始日を前倒しした自治体がありました。たとえば世田谷区は10月1日の予定を9月16日に変更し、川口市は9月24日、立川市も9月24日に始めています。一方で足立区は、医療機関へのワクチン供給や予診票の配達の状況を理由に、前倒しをせず10月1日開始としました。
終わりの日は、1月31日の自治体が多くなっています。台東区は2月28日、横浜市は12月31日までと、自治体によって違います。いつからいつまでかは、住んでいる自治体の令和8年度のページで必ず確かめてください。
65歳以上(高齢者)のインフルエンザ予防接種の助成
対象者と、誕生日の前日のルール
高齢者のインフルエンザの定期接種は、接種日に65歳以上で、その自治体に住民登録がある人が対象です。60〜64歳の人は、心臓・腎臓・呼吸器の機能またはヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能に、身体障害者手帳1級相当の障害がある場合に限って対象になります。この場合は障害の程度が分かる書類が要ります。
誕生日の扱いには注意が要ります。練馬区は、64歳の人は65歳の誕生日の前日から予診票が使えると案内しています。その前に接種すると助成の対象外で、全額自己負担です。世田谷区も同じで、65歳になる前に接種すると全額自己負担になります。誕生日が10月10日の人は10月9日から使えます。この線引きは自治体のほとんどで共通しているので、64歳の人は誕生日の前日以降に予約してください。
自己負担額は自治体で違う(11の自治体の比較)
令和8年度の高齢者インフルエンザの自己負担額と接種期間を、各自治体の公式ページで確かめた結果が次の表です。
| 自治体 | 都道府県 | 自己負担額 | 接種期間(令和8年度) | 自己負担が無料になる人 |
|---|---|---|---|---|
| 世田谷区 | 東京都 | 2,500円 | 9月16日〜1月31日 | 生活保護・中国残留邦人等の支援給付の受給者 |
| 練馬区 | 東京都 | 2,500円 | 10月1日〜1月31日 | 生活保護・中国残留邦人等の支援給付の受給者 |
| 中央区 | 東京都 | 60〜74歳は2,500円 | 令和9年1月31日まで(予診票が届き次第) | 75歳以上、生活保護・中国残留邦人等の受給者 |
| 江東区 | 東京都 | 2,500円 | 9月18日〜1月31日 | 75歳以上、生活保護・中国残留邦人等の受給者 |
| 町田市 | 東京都 | 2,500円 | 10月1日〜1月31日 | 生活保護・中国残留邦人等の受給者 |
| 横浜市 | 神奈川県 | 2,300円 | 9月下旬〜12月31日 | 世帯全員が市民税非課税の人、生活保護・中国残留邦人等の受給者 |
| 川口市 | 埼玉県 | 1,000円 | 9月24日〜1月31日 | 生活保護・中国残留邦人等の受給者 |
| さいたま市 | 埼玉県 | 1,600円(税込) | 10月1日〜1月31日(実施医療機関は9月中から) | 生活保護、中国残留邦人等、世帯全員が非課税の人 |
| 千葉市 | 千葉県 | 1,800円(非課税世帯は900円) | 10月1日〜1月31日 | 生活保護・中国残留邦人等の受給者 |
| 名古屋市 | 愛知県 | 1,500円 | 10月1日〜1月31日(準備の整った医療機関は9月中から) | 市民税非課税世帯に属する人など(免除制度あり) |
| 大阪市 | 大阪府 | 1,500円 | 10月1日〜1月31日 | 生活保護、市民税非課税世帯に属する人など |
自己負担は1,000円から2,500円まで開きがあります。東京の特別区は2,500円が中心で、世田谷区、練馬区、江東区、中央区が同額です。町田市も2,500円で、確かめた東京都内の5区市では、高齢者の自己負担は2,500円でした。東京都という単位で一律の助成があるわけではなく、区市町村がそれぞれ決めています。
埼玉県は自治体で差が大きく、川口市が1,000円、さいたま市が1,600円です。同じ県内でも、住んでいる市が変わるだけで600円違います。愛知県では名古屋市が1,500円です。ただし名古屋市の令和8年度の案内には、愛知県内の協力医療機関で受けるための広域予防接種事業の仕組みも載っています。
無料になる人の条件
自己負担が無料になる人の条件も、自治体で違います。共通しているのは、生活保護を受けている人と、中国残留邦人等の支援給付を受けている人です。
それ以外の条件は分かれます。市民税の非課税世帯を無料にしているのは、横浜市、さいたま市、名古屋市、大阪市です。千葉市は非課税世帯を無料にはせず、介護保険料の保険料段階が第1〜3段階の人の自己負担を900円にしています。東京の特別区の中では、中央区と江東区が75歳以上を無料にしています。世田谷区と練馬区は、確かめた案内では75歳以上の無料は書かれていませんでした。
無料の扱いを受けるには、接種のときに証明の書類を医療機関の窓口で出すのが決まりです。千葉市は、後から書類を出しても免除にならず、払った費用の払い戻しもできないと案内しています。さいたま市も、接種後の個人負担金の返金はできないとしています。無料になる可能性がある人は、予約の前に書類を用意してください。横浜市は、書類がない場合のために、自己負担免除対象者確認書の申請を令和8年9月16日から12月28日まで受け付けています。
高用量ワクチンは令和8年度の定期接種に入っていない
75歳以上向けに検討されていた高用量のインフルエンザワクチンは、令和8年度の定期接種では使われません。千葉市は、ワクチンの製造販売業者に製造工程の技術的な課題が生じ、この流行期からの供給が難しくなったため、定期接種化が見送られたと案内しています。横浜市と中央区も、令和8年度の定期接種では使わないと案内しています。定期接種で受けられるのは、標準量のインフルエンザワクチンです。
予診票の受け取り方と受け方の違い
予診票の渡し方は自治体で違います。世田谷区、練馬区、江東区は、対象者に予診票を郵送しています。横浜市は予診票を自宅に送らず、協力医療機関に置いています。千葉市は個別の通知や接種券の送付をしておらず、対象者が協力医療機関に直接予約します。
払い戻しの仕組みも見てください。練馬区は、医療機関の窓口で自己負担額を払う方式で、後から払い戻しを受ける償還払いはないと案内しています。大阪市も償還払いによる接種料の還付は行わないとしています。つまり、決められた医療機関で、決められた予診票を使って受けないと、助成を受ける手段がありません。
江東区は、区の予診票を使わずに接種した場合は助成の対象にならず、還付請求もできないとしています。
住んでいる市の外で受けるとき
住所のある市の外で受けられるかは、自治体で違います。練馬区の場合、練馬区の予防接種協力医療機関のほか、練馬区以外の22区、西東京市、武蔵野市の協力医療機関でも受けられます。江東区は、東京23区の指定医療機関以外で受ける場合は助成を受けられないとしています。
さいたま市は、市内の実施医療機関以外で受けるときは、事前に予防接種依頼書の申請が必要です。依頼書で受けた場合は全額を自分で払い、あとで市が定める上限額の範囲で交付金を受け取る形になります。川口市は、市内の指定医療機関のほか、予防接種相互乗り入れ制度に参加している埼玉県内の一部の医療機関で、市の補助による接種ができます。希望する人は、接種日の10日前までに健康増進課へ確かめるよう求めています。
里帰りや出張、施設への入所などで住所と違う場所で受けるときは、受ける前に住所のある自治体へ確かめてください。受けたあとからでは間に合わない仕組みが多いからです。
子供のインフルエンザ予防接種の助成
子供の接種は任意接種で、助成は自治体の独自事業
子供のインフルエンザ予防接種は、定期接種ではありません。国の枠組みがないので、助成するかどうか、いくらにするかは自治体が決めます。助成を出している自治体でも、対象年齢と金額はまちまちです。ここでは、令和8年度の公式ページで確かめた東京都内の区市と、愛知県の名古屋市を並べます。
東京都内の区市の子供の助成額
| 自治体 | 対象 | 不活化ワクチン(注射)の助成 | 経鼻ワクチン(フルミスト)の助成 | 開始日(令和8年度) |
|---|---|---|---|---|
| 世田谷区 | 生後6か月〜高校3年生相当 | 1回2,000円(12歳以下は2回まで) | 4,000円(2歳〜、1回) | 9月16日 |
| 新宿区 | 19歳未満(高校3年生相当まで) | 区が助成し、自己負担は1回700円 | 自己負担は1回1,400円 | 9月25日 |
| 中野区 | 生後6か月〜中学3年生 | 1回2,000円 | 4,000円(2歳〜) | 9月25日 |
| 台東区 | 生後6か月〜中学3年生 | 1回2,300円(2回まで) | 4,600円 | 9月25日 |
| 足立区 | 生後6か月の前日〜高校3年生相当 | 1回3,000円(12歳以下は2回まで) | 6,000円(2歳の前日〜、1回) | 10月1日 |
| 葛飾区 | 平成23年4月2日〜令和8年7月1日生まれ | 1回3,000円 | 6,000円 | 予診票の有効期間(予診票は9月25日発送) |
| 立川市 | 生後6か月〜小学6年生 | 1回2,000円(1〜2回) | 4,000円(2歳〜、1回) | 9月24日 |
| 国立市 | 生後6か月〜就学前 | 1回1,000円(2回まで) | 2,000円(1回) | 10月1日 |
| 町田市 | 生後6か月〜12歳 | 1回2,000円(2回まで) | 4,000円(1回) | 10月1日 |
助成額は1回1,000〜3,000円で、経鼻ワクチンは不活化の2倍に設定している区市が多くなっています。足立区の6,000円と葛飾区の6,000円が、確かめた範囲で最も高い額でした。新宿区は助成額ではなく自己負担額を示す形で、不活化が1回700円、経鼻が1回1,400円です。医療機関の接種料との差額は区が負担する仕組みなので、保護者の負担が最も軽い区の一つです。
対象の年齢も違います。世田谷区と足立区、新宿区は高校3年生相当まで対象で、中野区と台東区は中学3年生まで、立川市は小学6年生まで、町田市は12歳まで、国立市は就学前までです。世田谷区は令和8年度から高校生相当の人を新たに対象に加えました。
次の区市の制度には、それぞれ個別の記事があります。国立市は国立市の子どもインフルエンザ予防接種助成、足立区は足立区の小児インフルエンザ予防接種助成、台東区は台東区の小児インフルエンザ予防接種助成、葛飾区は葛飾区の小児インフルエンザ接種助成、立川市は立川市の子どもインフルエンザ接種助成で、申請の流れまで説明しています。
愛知県の名古屋市は全額助成、ただし年齢が限られる
愛知県の名古屋市は、子供のインフルエンザ予防接種の費用を全額助成する事業を、令和5年度から行っています。対象は、令和8年度中に12歳、15歳、18歳になる人で、小学6年生、中学3年生、高校3年生に当たる年齢です。12歳になる人は2回、15歳と18歳になる人は1回が助成の回数です。
この事業では、経鼻ワクチンのフルミストは助成の対象外です。助成を受けるには、市が郵送するクーポン券を、指定医療機関の窓口に出す必要があります。クーポン券がないと全額自己負担になります。対象の年齢に当てはまらない子供は、この事業の対象にならない点に注意してください。
助成の対象外だった自治体
東京都内でも、助成の有無は区市で分かれます。千葉市、大阪市、さいたま市、川口市、横浜市は、確かめた高齢者向けの案内ページに子供向けの助成は載っていませんでした。これは、子供向けの助成がないと言い切るものではありません。各市の子供の予防接種のページを別に見る必要があります。ここでは子供向けの助成の有無を確かめきれていないので、お子さんがいる家庭は、住んでいる市の子供向けのページで確かめてください。
13歳未満は2回、13歳以上は1回
助成の回数は、接種の回数に合わせて決まっています。世田谷区、足立区、町田市、台東区は、12歳以下は不活化ワクチンを2回まで、13歳以上は1回までを助成します。経鼻ワクチンは、どの自治体も1回です。
12歳で1回目を受けて、13歳になってから2回目を受けるときは、扱いが分かれます。世田谷区は、12歳のときに1回目を打った人は、13歳になっても2回目の助成が受けられると案内しています。葛飾区も、期間中に13歳になる人は、1回目を12歳で受けた場合に限って2回目を受けられるとしています。2回接種になる子は、1回目を誕生日の前に済ませておくのが安全です。
2回の接種は、2〜4週間の間隔をあけます。台東区は、12歳以下は2〜4週間あけて2回、13歳以上は1回で、医師が特に必要と認める場合は2回としています。流行の時期に間に合わせるには、1回目を早めに受けたほうが2回目を無理なく入れられます。
経鼻ワクチン(フルミスト)の助成
鼻にスプレーするフルミストは、2歳以上が対象です。東京都内の区市では、不活化の助成額より高く設定されています。ただし助成額が高くても、接種料も高いのが普通なので、窓口で払う金額が不活化より安くなるとは限りません。
名古屋市のようにフルミストが助成の対象外の自治体もあります。国立市は不活化の1回1,000円に対し、フルミストは2,000円です。どのワクチンが助成の対象かは、予診票や案内に書かれているので、予約の前に医療機関で確かめてください。経鼻ワクチンは、不活化との併用や、どちらか一方のみの助成という自治体もあります。世田谷区は、いずれか一方の種類のみ助成を受けられるとしています。足立区も、どちらか一方のみです。
子供の助成の受け方と、保護者の同伴
東京都内の区市の多くは、窓口で差し引く方式です。世田谷区は、助成券を区内の指定医療機関に置き、接種料から助成額を引いた差額を窓口で払います。中野区も、区内の契約医療機関なら、接種料金から助成額を差し引いた額を払います。たとえば接種料金が4,000円の医療機関で助成額が2,000円なら、窓口で払うのは2,000円です。
一方で、区外の医療機関で受けると、手続きが変わります。中野区は、区外で受ける場合はいったん全額を払い、あとで還付請求をして助成を受けるとしています。世田谷区も、主治医の管理のもとで接種する必要がある場合や里帰り出産で帰省している場合に限って、指定医療機関以外での接種を認めています。この場合は、接種の前に申請が必要です。
13歳未満の子供の接種は、保護者が付き添うのが原則です。世田谷区は、事情があって保護者以外が付き添うときは委任状が要るとしています。13歳以上16歳未満は、保護者が予診票に署名し本人が持参すれば、同伴なしでも受けられる場合があります。名古屋市も、13歳以上16歳未満は、保護者の同意が確認できれば同伴は要らないとしています。
健康保険組合・共済組合・国保組合の補助
協会けんぽには補助がない
協会けんぽは、公式サイトで、インフルエンザに対する助成事業はないと案内しています。そのうえで、市町村によっては助成を行っている場合があるので、市町村の広報誌やホームページで確かめるよう案内しています。協会けんぽの加入者がインフルエンザの予防接種で受けられる助成は、住んでいる自治体の助成と、勤務先の福利厚生だけです。
協会けんぽが補助しているのは、生活習慣病予防健診などの健診です。インフルエンザの予防接種は、この補助の対象に入りません。
健保組合の補助額と期間の例
健保組合や国民健康保険組合は、自分たちの加入者を対象に、独自の補助を設けているところがあります。組合ごとに決まるので、同じ会社員でも補助の有無と金額に差が出ます。公式ページで確かめた6つの組合の例が次の表です。
| 組合 | 補助額 | 対象の接種期間 | 申請の期限・方法 |
|---|---|---|---|
| 神奈川県協同健康保険組合 | 上限2,000円(年度内1回) | 10月から1月 | 領収書の写しを所属事業所に出す。事業主を経由して支給 |
| 東京薬業健康保険組合 | 1人最大1,500円(期間内1回) | 令和8年度は9月1日〜令和9年2月28日 | 令和9年3月10日必着。Pep Upか請求書を郵送 |
| 東京都報道事業健康保険組合 | 3,000円(年度1回) | 年度内(利用期限は3月末日) | 東振協の契約医療機関なら請求不要。それ以外は後日請求 |
| 愛知県情報サービス産業健康保険組合 | 上限3,000円(年度内1回) | 10月1日〜1月31日 | 実施年度の3月末日必着。接種補助券か申請書 |
| 三菱健康保険組合 | 被保険者と小4以上の家族は2,000円。小3以下は注射1回2,000円、フルミスト4,000円 | 9月1日〜1月31日 | 接種日の属する年度の2月15日。領収書の原本を会社へ |
| 神奈川県薬剤師国民健康保険組合 | 上限1,500円 | 令和8年10月1日〜令和9年2月末日 | 令和9年3月31日。事業主が事業所単位で申請 |
補助額は上限1,500円から3,000円まで開きがあります。期間は9月から翌年1月か2月までが多く、申請の期限は2月中旬から3月末までです。補助の対象は組合の加入者と、多くは扶養されている家族です。神奈川県薬剤師国民健康保険組合は、75歳以上の人を補助の対象から外しています。
これらは例で、年度で内容が変わります。神奈川県協同健康保険組合と三菱健康保険組合、東京都報道事業健康保険組合のページには年度の記載がなく、令和8年度の内容かは確認できませんでした。自分の組合の補助は、組合のホームページか、勤務先の健保担当者に確かめてください。
窓口で差し引くか、あとで請求するか
健保組合の補助の受け取り方は、大きく2つあります。1つは、組合が契約した医療機関で利用券や接種補助券を使い、窓口で補助額を引いてもらう方式です。もう1つは、いったん全額を払い、領収書を付けて組合に請求する方式です。
東京都報道事業健康保険組合は、東振協(東京都総合組合保健施設振興協会)の契約医療機関なら補助金の請求は要らず、契約外の医療機関では後日申請すると案内しています。東京薬業健康保険組合も、東振協の利用券を使った場合は組合の補助額がすでに引かれているので、補助金の請求はできないとしています。愛知県情報サービス産業健康保険組合は、愛知県内に住む65歳未満の加入者に接種補助券を配り、補助券と申請書のどちらかで受けるとしています。両方は使えません。
領収書で気をつけること
あとで請求する方式では、領収書の書き方が成否を分けます。東京薬業健康保険組合は、領収書にインフルエンザ予防接種代である旨、接種者名、接種日、費用、領収印の記載が必要だと案内しています。三菱健康保険組合は、接種内容、接種対象者、接種日が分かる領収書の原本を求め、記載が足りないときは医療機関に記入を頼むよう案内しています。経鼻ワクチンの場合は、フルミストと分かる記載が必要で、単にインフルエンザ予防接種とだけ書かれていると、1回2,000円の補助になります。
2回に分けて受けたときの扱いも組合で違います。東京薬業健康保険組合は、2回接種でも補助は1回分で、合算は認めていません。東京都報道事業健康保険組合も、2回接種法の場合は初回の1回分のみが対象です。三菱健康保険組合は、2回式を受けたときは2回分をまとめて申請するよう求めています。愛知県情報サービス産業健康保険組合も、2回に分けて受けるときは2回分の領収書を一緒に出すこと、別々に申請すると後から出した分は不支給になることを案内しています。子供が2回受けるときは、先に組合のルールを確かめてください。
領収書のコピーを出す組合では、原本を手元に残せます。東京薬業健康保険組合は、領収書の原本はセルフメディケーション税制の適用を受けるときに必要になることがあるとして、詳しくは税務署か国税庁のホームページで確かめるよう案内しています。
国民健康保険の人は
市区町村が運営する国民健康保険の加入者は、保険者としての補助とは別に、住んでいる自治体の高齢者や子供の助成を使います。今回確かめた自治体の公式ページには、市区町村の国民健康保険として接種費用を補助するという案内は見つかりませんでした。同業者で作る国民健康保険組合のように、組合ごとに補助を設けているところはあります。神奈川県薬剤師国民健康保険組合がその例です。
自治体の助成と健保の補助は併用できるか
自治体の助成と健保組合の補助を両方使えるかは、組合の決まりで決まります。2つの組合の案内を見ると、考え方はほぼ同じです。
東京薬業健康保険組合は、市区町村の支援券などで補助を受けられる場合は、その補助が優先になると案内しています。三菱健康保険組合は、市区町村に公費助成がある場合は、接種費用から助成額を引いた自己負担額で申請するよう求めています。この2つの案内は、自治体の助成を先に使い、残った自己負担額について組合の補助を申請する、という考え方です。
たとえば、子供の接種料が4,000円で、区の助成が2,000円なら、残りの2,000円が組合に申請できる上限の目安になります。組合の補助額が2,000円なら、残り全額が補助されて、窓口で払った分が戻る計算です。実費を超えて両方から受け取ることはできません。
併用できるか、どちらが先かは、組合によって違うので、自分の組合に必ず確かめてください。助成と補助の上限が同じでも、領収書の取り扱い(コピーか原本か)や、申請できる回数が違うことがあります。
会社(勤務先)の補助
福利厚生として会社が出す場合
勤務先が接種費用を出す形もあります。全額を会社が出す場合、一部を補助する場合、いったん自分で払って領収書で精算する場合などがあります。会社の福利厚生は、就業規則や社内の規程で決まるので、公的な決まりはありません。
確かめるのは、次の点です。
- 対象者:正社員のみか、パート・アルバイトや家族も含むか
- 金額:全額か、上限があるか
- 対象のワクチン:注射のみか、経鼻ワクチンも含むか
- 手続き:事前の申請が要るか、領収書の提出が要るか
- 期限:精算の締め切りはいつか
健保組合の補助と会社の補助が両方ある場合、重ねて受け取れるかも会社に確かめてください。
会社が補助を出すときの課税・消費税・仕訳
「インフルエンザ予防接種 補助金 会社」と調べる人の中には、補助を受ける側ではなく、会社の経理担当の人もいます。課税や消費税、仕訳の扱いは、この記事の対象外です。確かめた範囲を書きます。
国税庁の質疑応答事例には、会社が従業員の健康管理のために費用を出す場合の考え方を示した事例があります。人間ドックの費用負担の事例では、会社の規程に基づき、希望する従業員全員が対象で、受診者全員の費用を負担する場合は、給与として課税する必要はないとしています。役員や特定の人だけを対象にすると、課税の問題が生じるとも書かれています。
ただしこれは人間ドックの事例です。インフルエンザ予防接種の費用を名指しして示した国税庁の事例は、今回確かめた範囲では見つかりませんでした。そのため、課税の扱い、消費税の区分、勘定科目や仕訳は、会社の経理担当者か税理士、税務署に確かめてください。
申請で失敗しないための注意点
自治体の助成と組合の補助に共通する、落とし穴をまとめます。
- 期間外の接種は助成も補助も受けられません。 千葉市や練馬区は、期間外は全額自己負担と案内しています。前倒しで開始日が変わる年もあるので、予診票や案内の日付ではなく、自治体のホームページで確かめてください。世田谷区のように、印刷物には10月1日と書かれたまま、実際の開始日は9月16日という年もあります。
- 誕生日の前日より前の接種は対象外です。 65歳になる人や、60歳になる障害のある人が該当します。
- 指定医療機関と予診票を使うことが前提です。 江東区は、区の予診票を使わずに接種した場合、助成の対象にならず、還付請求もできないとしています。
- 窓口で差し引く方式は、後から請求できない自治体が多いです。 練馬区と大阪市は、償還払いをしないと案内しています。
- 無料になる人の証明書は、接種のときに出します。 千葉市は、後から出しても免除にならないとしています。
- 2回接種は、組合ごとに扱いが違います。 1回分しか補助しない組合、2回分をまとめて申請させる組合があります。
- 領収書は、記載の足りないものは受け付けてもらえません。 医療機関で受け取るときに、接種者名、接種日、インフルエンザ予防接種の文言、経鼻ワクチンならその名称を確かめます。
- 申請の期限は、組合によって2月中旬から3月末までと早いものがあります。 三菱健康保険組合は接種日の属する年度の2月15日です。1月に受けた人は、すぐに出さないと間に合いません。
間違い接種の防止にも注意が要ります。足立区は、前倒しをしない理由の一つに、周知が短い期間に集中して二重接種などの間違い接種が起こりやすくなることを挙げています。子供が2回目を受けるときは、1回目の日付と、医療機関の予診票の記録を確かめてから受けてください。
接種の前に医療機関に確かめることも、世田谷区の案内がよくまとまっています。接種日、ワクチンの在庫、予約が要るか、当日の持ち物、キャンセル料金の有無の5つです。人気のある時期は予約が取りにくく、ワクチンの入荷状況によって開始日が医療機関ごとに違うこともあります。
医療費控除との関係
インフルエンザの予防接種は、病気の治療ではなく予防のための費用なので、医療費控除の対象には原則なりません。理由と例外は、予防接種の費用助成の記事にまとめています。この記事で覚えておくのは、領収書は捨てずに残すことです。東京薬業健康保険組合が案内するように、領収書の原本はセルフメディケーション税制の適用を受けるときに必要になる場合があります。税の扱いは、国税庁のホームページか税務署で確かめてください。
全国の予防接種関連の制度一覧
予防接種に関係する制度を、都道府県ごとに並べています。インフルエンザ以外に、おたふくかぜの任意接種の助成や妊婦健診の助成など、同じ分野の制度も一緒に載ります。インフルエンザの助成は区市町村ごとに決まっているので、住んでいる市区町村の名前がある制度を探し、各制度の記事で対象と申請の流れを確かめてください。
