日本国内で特許を出願する費用に国の補助金はありません。INPIT(工業所有権情報・研修館)のよくある質問が、国内出願の出願料金に係る補助金制度は無いと明記しています。使えるのは自治体の助成と日本弁理士会の援助と、審査請求料・特許料の減免の3つです。
海外で権利を取る場合は話が変わります。特許庁(都道府県の中小企業支援センターが窓口)とINPITが、外国出願の費用の半額を補助しています。特許庁の事業は1企業あたり上限300万円で、どちらも日本にすでに出願していることが前提です。
個人でも使える制度はあります。ただし入口は制度ごとに違い、国内出願の援助は日本弁理士会の資力の基準、外国出願の補助は中小企業者であることが条件です。この記事では国内と外国を分けて仕組みを整理しました。そのあとに代表的な補助金の金額と締切の暦、共通の注意点、都道府県ごとの一覧を載せています。
特許出願の補助金の概要
検索では「特許出願補助金」や「海外特許出願補助金」、国内出願の支援を探す言い方もありますが、実際の制度は国内出願と外国出願で出どころが分かれます。名前に「補助金」とつく制度のほかに、費用そのものを安くする減免や弁理士会の援助も使えます。この3種類を混ぜて探すと、自分が使える制度が見えなくなります。
国内出願に国の補助金は無く、外国出願には補助金がある
INPITのよくある質問「特許出願に関する補助金制度はありますか。」の答えは、次の3点です。
- 国内出願の出願料金に係る補助金制度はありません。
- 出願審査請求料と特許料(第1年から第10年分)には、減免制度があります。
- 外国出願に関する各種費用には、補助金や交付金の支援制度があります。
つまり国内の出願費用を国の補助金で賄う道はありません。国内で費用を軽くするには、自治体の助成を探すか日本弁理士会の援助を申請するか、出願したあとの審査請求料と特許料の減免を使います。
外国出願の補助金は、窓口が2系統あります。特許庁の「海外出願支援事業」は各都道府県の中小企業支援センター等が窓口で、INPITの「外国出願補助金」はINPITの事務局が窓口です。東京都は都内の中小企業向けに、独自の外国特許出願の助成を行っています。
| 区分 | 制度 | 主な対象 | 金額の決まり方 |
|---|---|---|---|
| 国内出願 | 自治体の補助・助成 | 市区町村・都道府県内の中小企業者(個人事業主を含むかは制度ごと) | 費用の1/2や2/3、上限は制度ごとに10万〜30万円台が多い |
| 国内出願 | 日本弁理士会の特許出願等援助 | 資力の乏しい個人、設立7年以内などの中小企業 | 特許は最大15万円 |
| 国内出願 | 審査請求料・特許料の減免 | 中小企業、小規模企業、個人(市町村民税非課税者等)など | 審査請求料と特許料が1/2や1/3、免除もある |
| 外国出願 | 特許庁の海外出願支援事業 | 中小企業者(みなし大企業を除く) | 費用の1/2、1企業で上限300万円 |
| 外国出願 | INPIT外国出願補助金 | 中小企業者等 | 費用の1/2、1事業者で上限300万円 |
| 外国出願 | 東京都の外国特許出願費用助成 | 都内の中小企業者 | 費用の1/2以内、上限400万円 |
補助金・助成金・減免・援助は別の制度
「補助金」「助成金」は、特許出願の分野ではほぼ同じ意味で使われています。自治体が出す制度は「補助金」と「助成金」のどちらの名前もあり、中身の違いは要綱ごとに見るしかありません。
減免は、補助金とは別の仕組みです。補助金は出願にかかった費用の一部が後から戻ります。減免は特許庁に払う審査請求料や特許料を、はじめから安く払います。出願料そのものには、減免がありません。
日本弁理士会の援助は、公的な制度ではなく、日本弁理士会が会員の弁理士の会費を原資に行う独自の援助です。日本弁理士会のページにも「公的な援助制度ではない」と書かれています。審査の結果に不服申立てはできません。
減免は出願後の審査請求料と特許料にかかる制度なので、出願時の費用を対象にする補助金とは、対象の費用が重なりません。
申請は出願の前か後か、制度ごとに順番が逆
上位の解説記事は、出願の前に申請すると書くものと、応募時に出願済みであることを条件にするものに分かれています。どちらも間違いではなく、制度ごとに順番が違います。
| 制度 | 申請と出願の順番 |
|---|---|
| 日本弁理士会の援助 | 出願済みのものは対象外。申請のあと、援助の決定の前に出願することは可能。ただし援助が認められないと費用は全額自己負担 |
| 特許庁の海外出願支援事業 | 応募時に、日本国特許庁へ特許・実用新案・意匠・商標をすでに出願済みであること。採択後に、その出願を基礎に優先権を主張して年度内に外国出願をする |
| INPIT外国出願補助金 | 日本に出願済みの案件を基礎に、パリ条約の優先権を主張して外国へ出すものが対象。対象経費は交付決定の通知後に着手した費用に限る |
| 自治体の国内出願補助 | 制度ごとに違う。佐賀県は補助期間が交付決定日から始まり、浜松市は令和8年4月1日以降に出願が完了したものが対象になる(事前ヒアリングが必須) |
自治体の制度には、出願のあとでも申請できるものがあります。佐賀県のように交付決定の日より前の経費を対象にしない制度は、出願を先に済ませると対象外です。編集部としては、出願の日を決める前に、補助金の要綱で対象になる日付の範囲を読むことを勧めます。
個人・個人事業主・中小企業・大学・スタートアップ、使える制度の早見
使える制度は、誰が出願するかで変わります。
| 出願する人 | 国内出願 | 外国出願 |
|---|---|---|
| 個人(会社に所属しない発明家) | 日本弁理士会の援助(世帯所得の基準あり)、減免(市町村民税非課税者等は免除や1/2) | 特許庁・INPITは中小企業者向けのため、窓口で確かめる |
| 個人事業主 | 自治体の補助(要綱で個人事業主が対象か確認)、減免(中小企業の個人事業主は1/2、小規模企業は1/3) | 東京都の助成は個人事業者も対象。特許庁・INPITは窓口で確かめる |
| 中小企業 | 自治体の補助、日本弁理士会の援助(設立7年以内で純利益500万円以下など)、減免 | 特許庁、INPIT、東京都(都内) |
| 創業まもない会社・スタートアップ | 減免(中小スタートアップ企業は審査請求料と特許料が1/3)、東京都のAI関連特許の支援 | 特許庁、INPIT、東京都(都内) |
| 大学・研究機関 | 減免(アカデミック・ディスカウントで1/2) | INPITの補助は大学等も対象に含まれる |
中小企業者の範囲は、中小企業基本法で業種ごとに決まっています。製造業その他は資本金3億円以下か従業員300人以下、卸売業は1億円以下か100人以下、小売業は5,000万円以下か50人以下、サービス業は5,000万円以下か100人以下で、どちらか一方を満たせば該当します。個人事業主も含まれます。
「みなし大企業」は、大企業が株式の一定割合を持つなどして、資本金や従業員数が小さくても中小企業の扱いから外れる会社のことです。特許庁の補助では、みなし大企業が対象から外れます。
特許庁の海外出願支援事業のページには、個人事業主を対象に含むかどうかの明記がありませんでした。個人事業主として外国出願を考える方は、お住まいの都道府県の中小企業支援センターに、申請の前に確かめてください。
国内出願の費用を軽くする制度
国内出願は外国出願より金額が小さい分、制度が細かく分かれています。自治体の補助と日本弁理士会の援助と減免を順に見て、対象になる人と条件を確かめます。
自治体の国内出願補助(都道府県・市区町村)
国の補助が無い国内出願でも、都道府県や市区町村が独自の補助を設けています。対象は、その自治体内に事業所を持つ中小企業者が中心です。商工会議所や地域の産業振興機構が窓口になる制度もあります。
制度ごとに条件が大きく違います。令和8年度の公式ページで確認できた3つを比べます。
| 比べる点 | 浜松市 | 福島県 | 佐賀県 |
|---|---|---|---|
| 対象者 | 市内に事業所のある中小企業者 | 県内に本社や研究開発拠点などがある中小企業者 | 県内に事業所のあるものづくり事業者 |
| 補助率 | 1/2以内 | 1/2以内 | 2/3以内 |
| 上限 | 15万円 | 調査15万円、出願25万円(条件を満たすと複数の出願で総額100万円) | 30万円 |
| 対象の出願 | 特許・実用新案・意匠 | 特許・実用新案・意匠・商標 | 特許・実用新案 |
| 対象経費 | 特許庁への出願手数料・代理人費用・先行技術調査費用 | 先行技術調査費用・出願費用 | 特許出願料・出願審査請求料・実用新案登録出願料・代理人費用 |
浜松市は、申請の前に浜松地域イノベーション推進機構での事前ヒアリングを必須としています。佐賀県は、補助期間が交付決定の日から始まります。福島県は、先行技術調査を済ませていれば出願費用だけの申請もできます。
東京都内では区や市が国内出願の助成を設けています。千代田区と港区と板橋区と葛飾区の制度は、この記事の下の一覧で見られます。東京都中小企業振興公社のページにも、都内自治体等が実施する国内出願の助成制度へのリンクがあります。
自分の自治体の制度は、公式サイトで「知的財産」「特許」「産業財産権」の言葉で探すと見つかります。名前は「知的財産権取得支援」「特許等出願費補助」など自治体ごとにばらばらで、実用新案・意匠・商標を同じ制度で扱うことも多くあります。個別の制度は浜松市の国内特許等出願費補助金、福島県の特許出願経費助成事業、佐賀県の特許等出願補助金、宮崎県の中小企業特許出願等支援事業の記事で書いています。
日本弁理士会の特許出願等援助制度
日本弁理士会の特許出願等援助制度は、資力が乏しい個人や中小企業の特許出願などの費用を、日本弁理士会が一部負担する制度です。国の補助金ではないので、国内出願でも使えます。
援助の上限は次のとおりです。手続費用が上限を下回るときは、手続費用までが援助されます。
- 特許出願は最大15万円
- 実用新案登録出願は最大10万円
- 意匠登録出願は最大7万円
- 商標登録出願は最大5万円
申請者になれるのは、次のどちらかです。
- 個人:同一世帯の所得金額の合計が、日本弁理士会の内規に定める基準以下
- 中小企業:設立から7年以内で直近の年間純利益が500万円を超えない、または設立から7年を超えて直近の年間純利益がゼロ円以下で、手続費用を払うのが困難
条件は金額のほかにもあります。発明は申請の時点で新規であることが必要で、新規性喪失の例外を使った出願は対象外です。弁理士が出願を代理することも条件で、外国出願は援助の対象になりません。同じ会計年度に申請できるのは2回までで、援助を受けられるのは1回までです。
出願済みの案件は対象外です。 申請したあと援助が決まる前に出願することはできますが、援助が認められなければ費用は全額自己負担です。審査は原則として毎月1回、日本弁理士会の知的財産支援センターが行います。不採用の理由は教えてもらえません。援助金は出願の完了を確認したあとに支払われ、拒絶理由通知への応答や特許料、登録料は対象に含まれません。
他の助成制度から特許出願の援助を受けている場合は、この援助の対象外と書かれています。自治体の補助を受ける出願には、日本弁理士会の援助は使えないと考えて、先に窓口に確かめます。
審査請求料・特許料の減免(補助金とは別の制度)
特許庁の減免制度は、出願後にかかる審査請求料と特許料(第1年分から第10年分)を安くする制度です。2019年4月1日以降に審査請求をした案件には、いわゆる新減免制度が適用されます。対象者と軽減の内容は次のとおりです。
| 対象者 | 審査請求料 | 特許料(第1年分から第10年分) |
|---|---|---|
| 中小企業(会社、個人事業主、組合・NPO法人) | 1/2 | 1/2 |
| 中小スタートアップ企業(法人、個人事業主) | 1/3 | 1/3 |
| 小規模企業(法人、個人事業主) | 1/3 | 1/3 |
| 研究開発型中小企業、法人税非課税の中小企業 | 1/2 | 1/2 |
| 個人(市町村民税非課税者等) | 免除または1/2 | 第1〜3年分は免除または1/2、第4〜10年分は1/2 |
| 大学等の研究者、大学等(アカデミック・ディスカウント) | 1/2 | 1/2 |
出願審査請求料は、2019年4月1日以降の出願では138,000円に請求項の数×4,000円を足した額です。請求項が10なら178,000円で、1/2に軽減されれば89,000円になります。
申請は、出願審査請求書の特記事項の欄に「減免を受ける旨」と「減免申請書の提出を省略する旨」を書くだけです。減免申請書も証明書類も要りません。特許料も、特許料納付書の特記事項の欄に同じことを書きます。
2024年4月1日以降の審査請求には件数の上限があります。中小企業(会社・個人事業主・組合)と研究開発型中小企業、法人税非課税の中小企業は、減免が認められる特許出願が1年度あたり180件までです。所得税非課税の個人と事業税非課税の個人事業主にも同じ上限があります。小規模企業と中小スタートアップ企業、大学・研究機関、生活保護の受給者、市町村民税の非課税者は上限の対象外です。上限は、特許庁が大企業の平均的な審査請求件数を勘案して決めた数字です。
減免の申請先は特許庁に統一されています。減免の対象かどうかが分からないときは、特許庁総務部総務課調整班(代表03-3581-1101、内線2105)の窓口があります。
外国出願の補助金
海外で特許や商標を取るには、国ごとに出願が必要です。日本で特許を取っても、外国では権利になりません。外国の特許庁に払う手数料と現地代理人の費用、翻訳料が重なるため、外国出願には補助金が用意されています。
特許庁の海外出願支援事業(都道府県の中小企業支援センターが窓口)
特許庁が示すのは、令和8年度中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外出願支援事業)です。国が費用を出し、各都道府県等の中小企業支援センター等が補助事業者として申請を受け付けます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 1/2 |
| 上限額 | 1企業に対して300万円(複数案件の場合) |
| 案件ごとの上限 | 特許150万円、実用新案・意匠・商標60万円、抜け駆け対策商標30万円 |
| 対象経費 | 外国特許庁への出願手数料、国内・現地代理人費用、翻訳費用 等 |
| 窓口 | 各都道府県等中小企業支援センター等 |
対象者は中小企業者か、中小企業者で構成されるグループ(構成員のうち中小企業者が2/3以上を占めるもの)で、みなし大企業は除かれます。地域団体商標の外国出願は、特別の法律でつくられた組合や商工会、商工会議所、NPO法人も応募できます。意匠のハーグ協定に基づく国際出願も支援の対象です。
次の4つをすべて満たす必要があります。
- 応募時に、日本国特許庁へ特許・実用新案・意匠・商標をすでに出願済みで、採択後にその出願を基礎に優先権を主張して年度内に外国出願をする予定である(商標は優先権のない外国出願も可)
- 先行技術調査等の結果から、外国での権利取得の可能性が明らかには否定されない
- 外国で権利が成立した場合に、その権利を活用した事業展開を計画している(商標は、悪意の第三者による先取り出願への対策の意思があればよい)
- 外国出願に必要な資金能力と資金計画がある
採択されると、企業名や所在地などが公表されます。さらに、事業が終わったあと5年間、状況調査(フォローアップ調査やヒアリング)を受けます。
公募の期間と申請方法は、補助事業者である各県の中小企業支援センターによって異なります(特許庁のページにも、補助事業者ごとに異なるので事前に問い合わせるよう書かれています)。自分の県の窓口は特許庁のページの地域実施機関の一覧にあり、電話番号も載っています。県ごとの募集は、この記事の下の一覧から各制度の記事へ進めます。全国共通の説明は海外出願支援事業の記事にまとめています。
特許庁は、補助金を使った企業1,883社に行ったアンケートの概要や、外国出願補助金の事例集を公開しています。2026年度版の事例集もあるので、申請書に書く事業展開の計画を考えるときの参考になります。
INPIT外国出願補助金(特許庁の事業とは別の公募)
INPIT外国出願補助金は、INPITが事務局を置いて直接公募する別の補助金です。INPITのページは、都道府県等の中小企業支援センター等が補助事業者になる事業を「海外出願支援事業(特許庁事業)」として別に案内しています。「INPIT外国出願補助金は名称が変わっただけ」と説明するページもありますが、特許庁とINPITの公式ページは、どちらも別の公募として載せています。
INPITの補助は、出願手続の補助と中間手続の補助の2つです。中間手続は、外国で拒絶理由通知を受けたときの応答などの費用です。詳しくはINPIT外国出願補助金の中間手続の記事にあります。
公募は年に数回あります。令和8年度は第1回から第4回までの4回の公募があり、令和9年度は第1回を令和8年11月30日から12月21日、第2回を令和9年3月1日から3月19日、第3回を令和9年6月7日から6月28日にする予定だと案内しています。令和9年度の政府予算の成立の時期によっては、日程が変わることがあります。
INPITの令和9年度リーフレット(予定)では、補助率は1/2です。中小企業者等は1事業者あたり300万円以内で、案件ごとの上限は特許出願200万円、実用新案・意匠・商標の出願80万円、商標の抜け駆け対策40万円とされています。特許庁の海外出願支援事業の上限(特許150万円、実用新案・意匠・商標60万円)とは額が違うので、申請の年度の公募要領で額を見ます。
補助の対象になる費用は、外国特許庁等へ払う出願手数料、代理人費用、翻訳費用等です。交付決定の通知後に着手して発生した費用に限られます。 決定の前に外国の代理人へ頼んだ費用は、補助の対象になりません。
特許庁の事業とINPITの補助を同じ出願で重ねて受けられるかは、編集部が開いた特許庁とINPITのページには書かれていませんでした。両方に応募する前に、INPIT外国出願補助金事務局(03-3502-5424)と特許庁総務部国際協力課海外展開支援室に確かめてください。INPITの公募の個別の回は、INPIT外国出願補助金の記事で書いています。
東京都の外国特許出願費用助成事業
東京都中小企業振興公社の東京都知的財産総合センターは、都内の中小企業向けに外国特許出願の費用を助成しています。助成率は1/2以内で、助成限度額は400万円です。出願に要する経費だけの場合は300万円までになります。
対象者は東京都内の中小企業者(会社と個人事業者)と中小企業団体、一般社団・財団法人で、1年度に1社1出願に限られます。助成の対象は外国出願手数料、審査請求料や中間手続の費用、代理人費用、翻訳料、先行技術調査費用、国際調査手数料、国際予備審査手数料などです。
申請には、補助金の電子申請システム「jGrants」での交付申請と、申請書類の郵送の両方が必要です。持参や普通郵便、FAX、メールでは受け付けていません。jGrantsを使う「GビズIDプライム」アカウントは国の電子申請に共通のIDで、発行に約2〜3週間かかります。令和8年度の受付は5月の第1回と10月の第2回でした。日程は年度ごとに公社のページで確かめます。
実用新案と意匠と商標には、それぞれ別のメニューがあります。外国実用新案、外国意匠、外国商標の記事があります。外国特許の制度は外国特許出願費用助成事業の記事で詳しく読めます。
東京都知的財産総合センターは、国内のAI関連特許の出願を支えるAI×データ知財取得支援も設けています。AIやデータを使った技術を都内で出願する中小企業は、あわせて確かめます。
PCT国際出願の手数料の軽減
PCT(特許協力条約)の国際出願は、1回の出願で複数の国に出願したのと同じ効果を得る仕組みです。特許庁は、日本語で行う国際出願の国際出願手数料と取扱手数料を、対象者について軽くしています。2024年1月1日以降の出願が対象で、手続のときに現行の手数料の1/2か1/3か1/4にあたる額で納めます。
- 中小企業者、特定中小企業者、試験研究機関等は1/2
- 小規模企業、中小スタートアップ企業は1/3
- 福島関連企業は1/4
手数料軽減申請書を国際出願の願書か国際予備審査請求書に必ず添えます。これは補助金ではなく、手数料そのものの軽減です。外国の国ごとの出願が始まるときの費用は、特許庁の海外出願支援事業やINPITの補助で支えます。
模倣品・侵害対策と訴訟保険の補助
出願の費用とは別に、海外で模倣品の被害に遭ったときや、現地の企業から権利の侵害を指摘されたときの費用を支える制度もあります。
JETRO(日本貿易振興機構)は、海外での侵害対策の補助事業を実施しています。JETROの公式ページは編集部の環境で読み込めず、公募の枠や金額は確認できていません。過去の回は海外侵害対策(模倣品・冒認商標)の記事で読めます。申請を考える方は、JETROのサイトで公募の有無と枠を確かめてください。
特許庁は、海外で知的財産の侵害を理由に訴えられたときの費用に備える保険の掛金を補助しています(海外知財訴訟保険事業)。東京都は、外国での侵害調査の費用を助成する外国侵害調査費用助成と、進出予定国で他社の類似商標を取り消す費用を助成する海外商標対策支援助成事業を設けています。全国向けでは防衛型侵害対策支援事業があります。
特許出願で補助の対象になる費用
出願にかかる費用は、特許庁に払う手数料と、弁理士など代理人への報酬、翻訳料に分かれます。補助金によって、どこまでを対象経費にするかが違います。
| 費用 | 国内の自治体の補助 | 特許庁・INPIT(外国出願) |
|---|---|---|
| 特許庁・外国の特許庁へ払う出願手数料 | 対象になる制度が多い | 対象 |
| 弁理士・代理人の費用 | 対象になる制度が多い | 国内・現地の代理人費用が対象 |
| 翻訳料 | 制度による | 対象 |
| 先行技術調査の費用 | 浜松市・福島県は対象 | 特許庁の補助は先行技術調査等の結果を要件にするが、調査の費用が対象かは公募要領で確かめる |
| 審査請求料 | 佐賀県は対象、浜松市は書かれていない | 外国の審査請求料は対象に含まれることがある(東京都は対象) |
費用の目安は事務所ごとに大きく違います。審査請求料は、138,000円に請求項の数×4,000円を足した額です(2019年4月1日以降の出願)。出願時の料金や特許料の年額、弁理士の報酬は、特許庁の料金一覧と事務所の見積書で確かめます。弁理士の報酬を補助の対象にするかは制度で違います。見積もりの段階で、補助の対象になる項目を分けて書いてもらうと申請書が書きやすくなります。
ものづくり補助金でも、出願の費用を経費に入れられる場合があります。ものづくり補助金の公募要領概要版(第23次締切)は、補助対象経費に「知的財産権等関連経費」を置き、「特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用等」と説明しています。この経費は補助対象経費総額(税抜)の1/3までです。しかも単価50万円(税抜)以上の機械装置等への投資が1つ以上必要で、特許の出願だけでは申請できません。設備投資や新製品の開発とあわせた計画のなかで使います。
特許を出願するか迷っている段階の方は、日本弁理士会が知的財産の無料相談室を設けています。INPITには知財総合支援窓口もあります。どちらも申請の前に使えるので、出願の方針を決める前に相談できます。
特許出願の補助金の代表的な金額
国の制度と、上限の大きい都道府県の制度を上限額で比べた表です(制度名を押すと下の全国一覧のその制度へ移ります)。
