インバウンド向けの補助金は、国は観光庁、都内の施設は東京都と東京観光財団、地域は市区町村が、それぞれ別の制度で出しています。多言語の案内、Wi-Fi、キャッシュレス決済機器、バリアフリー化、人手不足を補う設備が主な使い道で、補助率は2分の1の制度が多く、多言語化だけ3分の2に引き上げる制度もあります。
対象は制度ごとに違います。観光庁の宿泊業向けの事業は旅館業法の許可を受けた宿泊事業者が対象で、民泊(住宅宿泊事業)は対象外です。東京都のインバウンド対応力強化支援補助金は、旅館・ホテルと簡易宿所、飲食店、小売店、体験型コンテンツの施設などが使えます。観光庁の事業は事業ごとに公募の期間が決まっています。
この記事では、まず国・東京都・自治体の3層の違いと、観光庁の主な事業の中身を整理しました。そのあとに宿泊施設・飲食店・小売店など業種別の使い分け、民泊の扱い、汎用の補助金との組み合わせを載せています。代表的な補助金の金額と締切の暦、申請で共通する注意点、都道府県ごとの一覧は後半です。自分の地域の制度は一覧から各制度の記事へ進めます。
インバウンド補助金の概要
インバウンド補助金という名前の制度が1つあるわけではありません。訪日外国人旅行者の受け入れに関わる事業者の設備や取り組みに、国や自治体が費用の一部を出す制度の総称です。出し手で3つに分けると、探す順番が決まります。
国・東京都・自治体の3層
国の制度の中心は、国土交通省の外局である観光庁です。観光庁は事業ごとに公募を出し、民間の事務局が申請を受け付ける形が多くなっています。観光庁のほかには、経済産業省・中小企業庁の汎用の補助金(デジタル化・AI導入補助金、省力化投資補助金、小規模事業者持続化補助金)が、インバウンド対応の費用にも使えます。経済産業省や中小企業庁の補助金は、インバウンド専用ではありません。
都内の事業者には、東京都と公益財団法人東京観光財団の制度があります。東京観光財団のページは、補助金・支援助成金を「受入環境インフラ整備等」「観光関連事業者の経営力強化等」「地域の観光振興に関する支援」などの目的別に並べています。インバウンド対応力強化支援補助金のほか、宿泊施設バリアフリー化支援補助金や観光関連事業者のDX・経営力強化支援事業補助金が同じページにあります。
市区町村と道府県の制度は、地域ごとにまちまちです。外国人観光客の受入環境整備として多言語化・無料Wi-Fi・キャッシュレス決済をまとめて補助する制度や、宿泊施設だけを対象にする制度、観光ツアーの造成やバスツアーを補助する制度など、使い道が分かれます。上限額は数十万円から数百万円の制度が目立ちます。
探す順番は、東京都内なら東京観光財団、都外なら道府県と市区町村の制度を先に確かめ、そのあとに観光庁の事業が自分の事業に合うかを見る流れが現実的です。自治体の制度は予算の上限に達すると受付を終えるものがあり、観光庁の事業は公募の期間が決まっているためです。
観光庁の主な事業者向けの事業
観光庁の事業は、令和7年度補正予算の事業と令和8年度予算の事業が混ざって公募されます。令和8年度の観光庁関係予算額は1,383億円で、前年度予算額(579億円)の約2.4倍です。数字は観光庁の「令和8年度観光庁関係予算決定概要」にあります。ただし事業ごとに申請できる人、補助率、上限、公募の期間が違うので、制度の名前から探すより、何にお金を使いたいかから選ぶと迷いません。
| 事業 | 主な対象 | 使い道 | 補助率・上限 | 公募期間 |
|---|---|---|---|---|
| 地方誘客促進に向けたインバウンド安全・安心対策推進事業 | 観光施設・観光案内所の設置者や管理者、観光地の店舗・事業所、医療機関、地方公共団体 | 災害時の避難所機能、災害時の多言語対応、訪日外国人患者の受け入れ、観光危機管理 | 補助対象経費の1/2以内 | 2026年2月2日から2027年1月29日(予算が尽き次第終了) |
| 観光地・観光産業における省力化投資補助事業(旧 人材不足対策事業) | 旅館業法の許可を受けた宿泊事業者 | 自動チェックイン機、清掃ロボット、配膳ロボット、予約管理システムなど | 1/2、最大1,000万円 | 2026年3月27日から5月29日 |
| 地域一体となった観光産業の効率化支援事業 | 地域の宿泊事業者などの共同事業体、出資して設立した法人、観光協会、DMO | 複数の宿泊施設などが使う共同設備の導入・改修 | 1/2、上限5,000万円 | 一次公募は2026年6月10日まで(三次公募まで実施) |
| 廃屋撤去・再生による地方温泉地等のまちづくり支援事業 | 特設サイトで確認 | 地方温泉地の廃旅館・廃ホテルなど大規模廃屋の撤去・再生 | 1次支援は2/3、1次と2次の合計で最大6億円 | 2026年7月1日から2027年2月26日(随時審査) |
| 観光地の面的受入環境整備促進事業(一般型) | 地方公共団体、登録DMO、民間事業者等(民間は関係する地方公共団体との連携が必要) | オーバーツーリズム対策を含む受入環境の整備 | 1/2以内、上限5,000万円 | 令和8年度二次公募の公募要領で確認 |
この表のほかに、令和7年度補正の「観光地・観光産業におけるユニバーサルツーリズム促進事業」(宿泊施設や観光施設のバリアフリー改修と備品導入)、「観光需要分散のための地域観光資源のコンテンツ化促進事業」(地域資源を使った観光コンテンツの造成・発信・販路開拓)、令和8年度の「全国の観光地・観光産業における観光DX推進事業」(販路拡大やレベニューマネジメントのデジタルツール導入と専門人材の伴走支援)があります。この3つの補助率と上限は、観光庁の公募ページには書かれておらず、それぞれの特設サイトの公募要領で確かめます。
どの事業が受け付けているかは日々変わるので、観光庁の「公募情報」ページで「募集中」の表示を確かめます。観光庁のページは、公募を終えた事業も「募集終了」「採択結果」の表示で並べています。
地方誘客促進に向けたインバウンド安全・安心対策推進事業
観光庁の公募ページは、令和7年度補正予算の事業として公募期間を延長し、2027年1月29日の17時必着までとしています。補助対象事業者は、観光案内所・観光施設等を設置し、もしくは管理する者、観光地における店舗・事業所等を運営する者、病院・診療所等を設置し、または管理する者、地方公共団体です。補助率は補助対象経費の2分の1以内です。災害時等における観光危機管理の強化だけは、都道府県が申請する場合などに3分の2以内になります。
メニューは4つで、災害時の観光施設等における避難所機能の強化、観光客の安全・安心に資する観光施設等における多言語対応機能の強化、訪日外国人患者受入機能の強化、災害時等における観光危機管理の強化です。事業者が申請できるのは前の3つで、観光危機管理計画の策定は地方公共団体のメニューです。
名前に「多言語」が付くメニューは、メニューの翻訳や館内表示を増やす補助ではありません。応募要領の対象経費は、災害時に必要な情報を多言語で伝えるためのデジタルサイネージ、多言語案内・翻訳用のタブレット端末、多言語案内・翻訳システム機器、案内標識、避難所マップなどの掲示物・配布物です。交付要領は、宿泊事業と交通事業の施設も、この多言語のメニューでは対象に含まれると定めています。
ランニングコストは補助の対象外です。事業概要は、消耗品、保険料、SIMカードや通信費、レンタル・リース契約の経費、人件費を対象外と書いています。民間事業者向けのメニューの上限額は、事業概要・応募要領・交付要領のどれにも書かれていませんでした。事業概要に上限500万円と書かれているのは、地方公共団体が行う観光危機管理計画の策定です。上限は応募の前に、提出先の地方運輸局に確かめてください。この事業の詳しい条件はインバウンド安全・安心対策推進事業の記事にまとめています。
観光地・観光産業における省力化投資補助事業
宿泊業の人手不足を設備で補う事業です。特設サイトは、旧称が「観光地・観光産業における人材不足対策事業」だったと案内しています。対象は旅館業法第3条第1項の許可を受けた宿泊事業者で、補助上限は最大1,000万円、補助率は2分の1です。地域のDMOや地方公共団体と連携し、地域一体での求人活動など人手不足を解消する具体的な取り組みを行っていることも条件に入っています。
支援例として、フロントの自動チェックイン機、予約管理システム、清掃ロボット、配膳ロボット、シフト管理システム、インカムなどが挙げられています。令和7年度補正の公募は、参加申込が2026年5月22日、計画申請が5月29日で締め切られ、事業の完了報告と精算書の提出期限は2027年1月8日でした。二次公募については、観光庁の公募ページが「一次公募の申請状況をみて検討」としていました。
宿泊業の省力化の補助金には、中小企業庁・中小機構の「中小企業省力化投資補助金」もあります。名前は似ていますが、窓口も要件も別の制度です。観光庁の事業は特設サイトの事務局に申請し、中小企業省力化投資補助金のカタログ注文型は、販売事業者と共同で中小企業省力化投資補助金の事務局へ申請します。違いは宿泊業の省力化投資補助金の記事で整理しています。
地域一体となった観光産業の効率化支援事業
1つの宿泊施設ではなく、地域の複数の事業者が共同で使う設備を支援する事業です。特設サイトは、補助率が2分の1、補助上限額が5,000万円で、実施主体か連携先に宿泊事業者が1者以上含まれる必要があると書いています。観光庁の公募ページが示す補助対象事業者は、地域内で連携した宿泊事業者等の共同事業体、宿泊事業者等が出資して設立した法人、観光協会、DMOです。宿泊事業者の側は民間事業者に限られます。公募は三次まで行われました。詳しくは観光産業の効率化支援事業の記事をご覧ください。
廃屋撤去・再生と、観光地の面的受入環境整備
廃屋撤去・再生の事業は、地方温泉地などの観光の中心地に残る廃旅館・廃ホテルなどの大規模廃屋が対象です。1次支援でエリア再生計画の策定費や廃屋の調査費を2分の3で補助し、採択されたあとの2次支援で撤去・減築費や周辺事業費を補助します。申請があったものから受付の締切にかかわらず審査と採択を行い、予算の上限に達すると受付を終えることがあります。詳しい条件は廃屋撤去・再生の記事で確認できます。
観光地の面的受入環境整備促進事業は、オーバーツーリズムの未然防止や抑制を含む受入環境の整備を支援します。令和8年度二次公募の公募要領(2026年7月2日更新版)には2つの類型があり、地域一体型は地方公共団体か登録DMOが申請して補助率2/3・上限2億円、一般型は民間事業者も申請でき補助率1/2・上限5,000万円です。民間事業者が一般型で申請するときは、関係する地方公共団体との連携が要件です。民間事業者は、地域一体型では申請主体になれず、補助対象事業者として事業を行う立場になります。
東京都のインバウンド対応力強化支援補助金
都内の事業者がまず確かめる制度は、東京都と東京観光財団のインバウンド対応力強化支援補助金です。財団のページは、都内の宿泊施設、飲食店、小売店、体験型コンテンツ提供施設等が、訪都外国人旅行者のニーズに対応した利便性や快適性の向上を目的に実施する新たな取り組みを支援する制度と説明しています。
補助対象事業者は、次のとおりです。
・都内で旅館業法の許可を受けて「旅館・ホテル営業」「簡易宿所営業」を行う施設 ・都内の飲食店、小売店(中小企業者のみ) ・都内の体験型コンテンツ提供施設等(中小企業者のみ) ・都内で観光周遊や空港アクセス等の事業を行う観光バス事業者 ・都内の観光タクシー事業者 ・外国人旅行者の受入対応に取り組む中小企業団体等、観光関連事業者グループ
補助対象事業は、インバウンド対応力強化のために新たに実施する事業です。多言語対応(施設の利用案内・マナー啓発・ホームページの多言語化など)、外国人用グルメサイトへの登録・掲載、人材育成(研修会の開催など)、公衆無線LANの設置、キャッシュレス機器の導入(クレジットカード・電子マネー・多通貨決済など)、手荷物預かり設備(ロッカー・セルフクローク)の導入、男女共用多機能トイレの設置、多様な文化・習慣を持つ外国人旅行者の受入対応に係る整備、災害時の受入対応(防災マップの作成など)、防犯カメラの設置が並んでいます。このほかに「車両に設置する表示機器の導入」も対象事業に挙がっていますが、こちらは別の交付要綱と申請の手引きで実施されます。
補助額は、補助対象経費の2分の1以内で、多言語対応に係る事業だけが3分の2以内です。宿泊施設、飲食店、小売店、体験型コンテンツ提供施設、観光バス事業者、観光タクシー事業者は1施設・店舗・営業所あたり上限300万円で、防犯カメラの補助限度額は90万円(1施設あたり上限15か所)です。中小企業団体等や観光関連事業者のグループは1団体・1グループあたり上限1,000万円です。
令和8年度の募集期間は2026年4月1日から2027年3月31日(当日消印有効)で、補助金申請額が予算額に達した時点で受付を終了します。申請は郵送か、電子申請システムのJグランツです。Jグランツで申請するには、GビズIDのgBizIDプライムのアカウントが要ります。アカウントの発行にはGビズID運用センターの審査があり、時間がかかります。
注意したいのは次の2点です。財団のページは「交付決定後に開始される事業が対象となります」と書き、事前に購入・設置したものは対象にならないと明記しています。もう1点は代行申請で、「代行申請は受け付けておりません」とあります。発注予定先の企業が申請書類の作成や相見積書の取得まで代行した事実が分かった場合は、交付の対象にならないとも書かれています。業者の見積もりを使うときは、複数の会社を自分で比べて申請します。
財団のページには、宿泊施設バリアフリー化支援補助金もあります。都内で旅館業法の許可を受けて「旅館・ホテル営業」「簡易宿所営業」を行う施設が対象で、施設整備、客室整備、備品購入、実施設計とコンサルティングに要する経費を補助します。備品購入だけの申請もできます。令和8年度の募集期間はインバウンド対応力強化支援補助金と同じ2026年4月1日から2027年3月31日で、予算額に達すると受付を終えます。詳しくは東京都の宿泊施設バリアフリー化支援補助金の記事にあります。
業種別の使い分け:宿泊施設・飲食店・小売店・体験施設
業種で見ると、使える制度の組み合わせが変わります。宿泊施設はほとんどの制度の対象に入りますが、飲食店や小売店は対象が絞られます。
| 業種 | 国の制度 | 東京都内 | 地域の制度 |
|---|---|---|---|
| 宿泊施設(旅館・ホテル・簡易宿所) | 省力化投資補助事業、安全・安心対策推進事業(多言語メニュー)、ユニバーサルツーリズム促進事業、中小企業省力化投資補助金 | インバウンド対応力強化支援補助金、宿泊施設バリアフリー化支援補助金 | 宿泊施設向けの受入環境整備の補助 |
| 飲食店・小売店 | デジタル化・AI導入補助金、小規模事業者持続化補助金。観光地の店舗は安全・安心対策推進事業 | インバウンド対応力強化支援補助金(中小企業者のみ) | 外国人観光客受入環境整備の補助(多言語・Wi-Fi・キャッシュレス) |
| 体験型の観光施設 | 安全・安心対策推進事業(観光施設) | インバウンド対応力強化支援補助金(中小企業者のみ) | 体験型観光の補助 |
飲食店と小売店が使いやすいのは、東京都内なら東京観光財団の制度です。都外では、市区町村の受入環境整備の補助が中心になります。たとえば徳島県のインバウンド等受入環境整備促進事業補助金は、徳島県内の飲食店、宿泊施設、免税店、観光施設などが行う多言語対応・無料Wi-Fi・キャッシュレス決済機器の導入を支援します。徳島県の公式ページでは、補助率は多言語対応が3分の2以内、そのほかは2分の1以内です。補助上限額は50万円で、バス・鉄道事業者は100万円、航空旅客ターミナル運営者は300万円です。詳しくは徳島県の記事で確かめられます。
免税店かどうかを条件にする制度は、今回調べた範囲では徳島県だけでした。東京都のインバウンド対応力強化支援補助金は、対象に「飲食店、小売店(中小企業者のみ)」と書いていて、免税店であることは要件に挙がっていません。免税店の資格を持っていても、制度ごとの対象者の欄にあてはまらなければ使えません。
民泊(住宅宿泊事業)は対象になるか
民泊は、インバウンド向けの国や東京都の制度では対象から外れる場面が多くなります。観光庁の省力化投資補助事業は、住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊事業を営む者を対象にしないと公募ページに書いています。特設サイトも、民泊は旅館業法の許認可に該当しないため補助対象にならないとしています。観光庁のインバウンド安全・安心対策推進事業の多言語メニューも、宿泊事業を旅館業法の許可を受けた事業者が行う事業と定義しています。
東京都のインバウンド対応力強化支援補助金も、対象施設に挙がるのは旅館業法の許可を受けた「旅館・ホテル営業」と「簡易宿所営業」で、住宅宿泊事業の届出者は書かれていません。民泊の事業を旅館業法の許可を取って簡易宿所として営んでいる場合は、この制度の宿泊施設にあたります。住宅宿泊事業法の届出で営む民泊が対象になるかは、申請の前に東京観光財団に確かめます。
民泊の運営者が使えるのは、汎用の補助金です。小規模事業者持続化補助金の公募要領には、住宅宿泊事業者が宿泊施設に機械装置等を導入する場合や改装する場合の追加書類が定められています。追加で出す書類は住宅宿泊事業法第3条第1項の届出書です。自宅部分に設置する機械装置は補助の対象外で、改装は「住宅のうち事業の用に供する部分の面積」で按分した金額が対象になります。持続化補助金の対象は小規模事業者で、宿泊業は常時使用する従業員が20人以下の事業者です。
民泊を自治体の独自の補助が対象にするかは、自治体ごとに違います。この記事の下にある全国の一覧と、各市区町村の公式サイトで確かめます。
多言語化・Wi-Fi・キャッシュレス・バリアフリー:使い道ごとの探し方
使い道から探すと、制度の選び方が見えてきます。
案内やメニューの多言語化は、東京都のインバウンド対応力強化支援補助金(補助率3分の2)と、各自治体の受入環境整備の補助が主な受け皿です。観光庁の安全・安心対策推進事業の多言語メニューは、災害時の情報伝達に絞られています。
公衆無線LANとキャッシュレス機器は、東京都の制度と自治体の受入環境整備の補助の対象に入っています。観光庁の安全・安心対策推進事業では、キャッシュレス決済の導入は訪日外国人患者の受け入れ機能を強化するメニュー(医療機関向け)の対象です。通信費やSIMカード、レンタル・リースの経費は、観光庁の事業では補助の対象外になります。
バリアフリー化は、観光庁のユニバーサルツーリズム促進事業と東京都の宿泊施設バリアフリー化支援補助金が中心です。観光庁の事業で補助対象になる宿泊事業者は、2026年3月1日時点で旅館業法の許可を受けていることが要件でした。
人手不足の解消は、観光庁の省力化投資補助事業が宿泊業の専用の枠です。飲食店や小売店は、中小企業省力化投資補助金の対象になるかを確かめます。
デジタル化・AI導入補助金と持続化補助金
インバウンド対応そのものを使い道にする制度のほか、事業者の汎用の補助金でも関連する費用を賄えます。
デジタル化・AI導入補助金は、以前の名前がIT導入補助金です。中小機構の補助金活用ナビは、令和8年度から名称が変わったと案内しています。古い記事にIT導入補助金と書かれていても、同じ流れの制度です。通常枠の補助率は2分の1以内(賃金の要件を満たす場合は3分の2以内)、補助額は1プロセス以上で5万円以上150万円未満、4プロセス以上で150万円以上450万円以下です。補助の対象はソフトウェアの購入費とクラウド利用料(最大2年分)で、事務局に登録されたITツールだけが対象です。予約管理や会計、販売管理のソフトを入れるときに使えます。条件は通常枠の記事にまとめています。
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓の取り組みと、あわせて行う業務効率化の費用を補助します。第20回公募の公募要領(第8版)では、補助率は2/3(賃金引上げ特例のうち赤字の事業者は3/4)、補助上限は50万円で、インボイス特例で50万円、賃金引上げ特例で150万円、両方を満たすと200万円が上乗せされます。対象経費には広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、機械装置等費、借料、委託・外注費などがあります。展示会等出展費には、通訳料と翻訳料も入ります。広報費とウェブサイト関連費は、それぞれ上限30万円で、単独では申請できません。対象になるのは小規模事業者で、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)は従業員5人以下、宿泊業・娯楽業と製造業その他は20人以下です。回ごとに公募要領が改められるので、申請する回の要領を読みます。内容は持続化補助金第20回の記事で確かめられます。
AIやDXの補助金全体の選び方は、AI補助金の記事に詳しく載せています。
申請は購入や契約の前、お金が入るのは完了のあと
この記事に出てくる国・東京都の制度は、いずれも事業を始める前に申請し、交付の決定を受けてから発注や設置に入る仕組みです。観光庁の省力化投資補助事業の特設サイトは「事業開始は交付決定を受けた後に実施可能」としていて、東京観光財団のページも交付決定の前に購入・設置したものを対象にしないと書いています。
補助金が入るのは事業が終わったあとです。観光庁のインバウンド安全・安心対策推進事業の応募要領は、事業計画書の提出、審査結果の通知、交付申請書の提出、交付決定通知書、事業実施、完了実績報告、補助金の額の確定通知書、支払請求書の提出、支払の順を図で示しています。設備の代金はいったん全額を自分で払う前提で資金を組みます。
申請の詳しい手順と書類は、制度ごとに違います。各制度の記事と公式の公募要領で確かめてください。
令和8年度の予算と、毎年同じ制度が続くとは限らない
観光庁の事業は、予算の年度ごとに作られ、年度が変わると名前や条件が変わります。この記事で出てきた省力化投資補助事業は、旧称が人材不足対策事業でした。令和7年度補正予算の事業は、令和8年度の途中まで公募が続くことがあります。令和8年度の観光庁関係予算の決定概要には、オーバーツーリズム対策や「健全な民泊サービスの普及」の項目があり、令和7年度補正予算の事業として省力化・省人化の推進、ユニバーサルツーリズムの促進、観光DXの推進、インバウンド安全・安心対策の推進、「違法な民泊サービスの解消に向けた調査」も載っています。
前の年度に出ていた制度の名前を頼りに探しても、同じ形で見つからないことがあります。編集部としては、公募の有無は観光庁の公募情報ページか各事業の特設サイトで、その年度の要領を読んで確かめることを勧めます。
インバウンド補助金の代表的な金額
国の制度と、上限の大きい都道府県・市区町村の制度を上限額で比べた表です(制度名を押すと下の全国一覧のその制度へ移ります)。
