店舗の改装費に使える国の補助金は、小規模事業者持続化補助金が中心です。第20回公募の公募要領では補助率が2/3で補助上限は50万円、インボイス特例と賃金引上げ特例を両方満たすと上限は最大250万円まで上がります。個人事業主も対象で、店舗改装やバリアフリー化の工事と利用客向けトイレの改装は対象経費の例に挙がっています。
ただし改装なら何でも出るわけではありません。持続化補助金は販路開拓や業務効率化に使う補助金で、修理費と住宅兼店舗の住宅部分と建物の増築や増床は対象外です。交付決定の前に発注や契約をした工事は補助の対象になりません。
自治体にも店舗改修の補助があります。横浜市の小規模事業者店舗改修助成事業は補助率が1/2で、限度額は20万円または30万円です。空き店舗に新しく入るときの改装費と家賃の補助は空き店舗の補助金の記事にまとめました。この記事では今の店舗を改装する場合の制度と対象になる工事を先に整理します。賃貸や自宅兼店舗の線引き、見積と入金の順番もここで書き、そのあとに金額と締切と全国の一覧を載せています。
店舗改装の補助金の概要
店舗改装の補助金は、お金を出す側で国・都道府県・市区町村に分かれます。国の制度で改装費に使えるのは持続化補助金が中心です。店舗の改修そのものを名指しした補助は、市区町村が出していることが多くあります。
店舗改装で使える制度の種類
店舗の改装やリフォームで検討する制度を、改装費の扱いで並べると次のとおりです。
| 制度 | 店舗改装の扱い | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 小規模事業者持続化補助金(一般型 通常枠) | 委託・外注費として計上する。店舗改装、バリアフリー化工事、利用客向けトイレの改装が対象経費の例 | 新しい客層や販路を狙って改装する小規模事業者 |
| 市区町村の店舗改修助成(横浜市・前橋市・岩国市など) | 店舗の改修費の一部を補助する | 同じ店舗で一定年数営業を続けている店が、市内で改修する |
| 空き店舗・出店の補助 | 空き店舗に入るときの改装費や家賃を補助する | これから新しく出店する → 空き店舗の補助金 |
| 業務改善助成金 | 事業場内の最低賃金を引き上げ、生産性向上に役立つ設備投資をしたとき | 従業員の時給を上げる店。内装工事等の改築費用は助成の対象から除かれている |
| デジタル化・AI導入補助金 | 登録されたITツールの導入 | 予約システムやレジを入れる → POSレジの補助金 |
| 省エネ設備の補助 | 空調や照明などの設備の更新 | エアコンやLEDを替える → 業務用エアコンの補助金 |
旧「新事業進出補助金」は公募を終えていて、中小企業基盤整備機構の公式ページは、新規の受付を「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の側で案内しています。新しい事業への進出が軸の制度なので、要件は公募要領で確かめます。内装を替えるだけなら、持続化補助金か自治体の制度から比べるほうが現実的だと編集部は考えています。新事業進出補助金の移り変わりは新事業進出補助金の記事で読めます。
補助金と助成金の違い
「店舗リフォームの助成金」と「店舗改装の補助金」で検索する人は多く、制度の呼び名はどちらも使われています。呼び名では中身を見分けられません。
持続化補助金は審査があり、不採択になる場合があると公募要領に書かれています。横浜市は「助成事業」の名前ですが、申請して交付決定の通知を受け、その日以降に契約する順番で、予算に達すれば受付を終えます。厚生労働省の業務改善助成金は、最低賃金の引上げ計画と設備投資の計画を立てて申請し、交付決定のあとに実施して結果を報告する流れです。
名前が補助金か助成金かより、審査があるか、いつから発注してよいか、何の条件がついているかを要綱で確かめるほうが役に立ちます。
改装の目的で選ぶ
どの制度が合うかは、改装の目的でほぼ決まります。
| 改装の目的 | 向く制度 | 補足 |
|---|---|---|
| 新しい客を呼ぶための内装・外装の変更 | 持続化補助金、市区町村の店舗改修助成 | 売上や来客数の増加につながる計画として書けるかが分かれ目 |
| 高齢者や子連れの来店を増やすバリアフリー化、利用客向けトイレの改装 | 持続化補助金、市区町村の店舗改修助成 | どちらも対象の例に挙がっている |
| テイクアウトの窓口や相談カウンターの新設 | 横浜市などの店舗改修助成、持続化補助金 | 横浜市は対象の例として挙げている |
| 老朽化した壁・床・設備の修繕、故障したエアコンや冷蔵庫の買い替え | 補助の対象になりにくい | 持続化補助金は修理費を対象外にし、横浜市は老朽化や故障による買い替えを対象外にしている |
| 省エネ型の空調や照明への更新 | 省エネ設備の補助 | 業務用エアコンの補助金、省エネ補助金 |
| 看板の新設・交換 | 持続化補助金(広報費) | 看板の補助金 |
| 開業時の飲食店の内装 | 持続化補助金、創業の支援 | 内装工事の補助金、起業の補助金 |
| 空き店舗への出店 | 自治体の空き店舗補助 | 空き店舗の補助金 |
小規模事業者持続化補助金で店舗を改装する
上位の記事10件のうち9件が取り上げている制度です。ここでは店舗改装に関わる部分だけを書きます。制度全体の仕組みと申請の手順は持続化補助金第20回の記事にあります。
補助率・上限額と、特例で最大250万円になる条件
第20回公募の公募要領(第8版)では、補助率は2/3、補助上限は50万円です。賃金引上げ特例のうち、直近の課税所得がゼロ以下の赤字事業者は補助率が3/4に上がります。
上限は、特例を満たすと次のように上がります。
| 満たす特例 | 補助上限 |
|---|---|
| なし(通常枠) | 50万円 |
| インボイス特例 | 100万円(50万円の上乗せ) |
| 賃金引上げ特例 | 200万円(150万円の上乗せ) |
| 両方 | 250万円(200万円の上乗せ) |
インボイス特例は、2021年9月30日から2023年9月30日の属する課税期間で一度でも免税事業者だった事業者か、2023年10月1日以降に創業した事業者が、補助事業の終了時点で適格請求書発行事業者の登録を受けていることが条件です。賃金引上げ特例は、従業員1人あたりの給与支給総額を補助事業実施期限日までの12か月で前年同月の12か月より3.0%以上増やす必要があります。どちらも補助事業の終了時点で満たしていないと、上乗せ部分だけでなく補助金の全体が交付されません。
店舗の改装費だけで特例の上限まで使い切れるとは限りません。たとえば補助対象の経費が税抜90万円なら2/3で60万円になり、通常枠の上限50万円で止まります。自己負担は40万円です。インボイス特例の上限100万円を使える店が改装と椅子・テーブルの入れ替えで税抜180万円を支出すれば、2/3で120万円となり上限の100万円で止まります。
店舗改装は委託・外注費として計上する
公募要領は対象経費を8つに分けています。機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費です。店舗の内装・外装の工事はこのうち委託・外注費に入ります。対象経費の例には「店舗改装・バリアフリー化工事」と「利用客向けトイレの改装工事」が挙がっています。事務局の参考資料も、販路開拓の取組例に「店舗改装(小売店の陳列レイアウト改良、飲食店の店舗改修を含む)」を載せています。
従業員の作業スペースの改装は、事業計画の「業務効率化(生産性向上)の取組内容」に書いた場合に限り、従業員の作業導線を改善する工事として対象の例に入っています。厨房の動線を直す工事などは、この書き方に当たる場合があります。
椅子やショーケースなどの備品は、機械装置等費の対象例です。公募要領は高齢者・乳幼児連れ家族の集客力向上のための高齢者向け椅子・ベビーチェアや、衛生向上や省スペース化のためのショーケースを挙げています。パソコンや事務用プリンター、タブレット端末のように他の用途にも使える機器は対象外です。
対象外になる工事と経費
公募要領が対象とならない経費の例として挙げている工事は次のとおりです。
- 販路開拓や業務効率化に結びつかない工事(店舗移転だけを目的にした旧店舗の解体・新店舗の建設、住宅兼店舗の改装工事における住宅部分、既存の事業部門を廃止するための設備の解体工事)
- 「建物の増築・増床」や「小規模な建物(コンテナハウス等)の設置」など、不動産の取得に当たる費用
- 顧客に貸す事業(駐車場経営、貸倉庫経営、コインランドリー事業など)のスペースの改装
- 内訳が不明な「諸経費」などの外注費
不動産の取得に当たるかどうかは、外気分断性と土地への定着性と用途性の3つをすべて満たすかで決まります。外気分断性は屋根と周壁があって独立して風雨をしのげること、土地への定着性は基礎などで土地に固着していること、用途性は居住・作業・貯蔵などの目的に使える空間があることです。公募要領は、支柱と屋根材だけで作った飲食店の戸外テラス席や周壁のない駐輪場とカーポートは外気分断性が認められず、不動産の取得には当たらないとしています。コンクリートブロックの上にコンテナを乗せただけの状態も、土地への定着性が認められません。
そのほかに、経費の種類にかかわらず対象外になる項目があります。
- 交付決定前に発注・契約・購入・支払い(前払いを含む)をしたもの
- 駐車場代、保証金、敷金、仲介手数料、光熱水費
- 不動産の購入・取得費、修理費
- 1取引10万円(税抜)を超える現金払い
- 社内の役員・従業員や、代表者・役員の3親等以内の親族が代表や役員になっている事業者への発注
- 補助事業期間内に支払いが終わっていないもの
修理費が対象外なので、老朽化した壁や床を直すだけの工事は補助金の対象に入りにくくなります。改装後の売上や来客数の増加を計画に書ける工事かどうかで、修繕と改装が分かれます。公募要領は事業の終了後おおむね1年以内に売上げにつながることが見込まれない事業を対象外としているので、計画には売上の見込みが要ります。
50万円以上の外注工事は処分が制限される
公募要領は、店舗改装で50万円(税抜)以上の外注工事を行う場合などは「処分制限財産」に当たるとしています。補助事業が終わって補助金を受け取ったあとも、一定の期間は補助事業の目的以外での使用や譲渡や担保提供や廃棄などが制限されます。期間内に処分するときは補助金事務局へ承認を申請します。承認を受けずに処分すると、補助金の交付取消と加算金付きの返還命令の対象です。
発注総額が1件あたり50万円(税込)を超える場合は、2者以上から見積を取り、より安い発注先を選ぶ決まりです。見積は事業者自身が別々の企業から取ります。内装工事は50万円を超えやすいので、処分制限と相見積の両方がかかる前提で動きます。
処分制限の期間は、公募要領には年数が書かれていません。交付規程(2026年3月6日改定)の第25条が、期間は「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の定めに従うとしています。何年になるかは工事の内容で変わるため、見積の段階で事務局に聞いておきます。単価が50万円(税抜)以上の取得財産は、実績報告書に「取得財産等管理明細表」を付けて出す決まりです。
第20回のスケジュールと商工会議所の事業支援計画書
第20回の申請受付は2026年11月5日から12月15日の17時までです。申請には、地域の商工会または商工会議所が発行する事業支援計画書(様式4)が要ります。様式4の発行を依頼できるのは12月4日までで、申請の締切より11日早く終わります。補助事業の実施期限は2028年3月31日です。
交付決定は、採択の発表から概ね1〜2か月かかる場合があります。工事の予定は、交付決定の時期から逆算して組みます。
過去に持続化補助金で採択を受けた事業者は、事業実施期間の終了日が属する月の翌月から1年が過ぎて事業効果および賃金引上げ等状況報告書を出していれば申請できます。創業型に申請中または採択を受けている事業者は、この補助金の対象外です。
個人事業主の店舗改装の補助金
「個人事業主 店舗改装 補助金」は、店舗改装のロングテールの中で最も検索されている言葉の一つです。個人事業主が使える制度と、個人事業主に特有の注意をまとめます。
持続化補助金と自治体の制度は個人事業主も使える
持続化補助金の補助対象者は小規模事業者です。公募要領は個人事業主(商工業者であること)を補助対象となりうる者に入れています。小規模事業者の目安は、商業・サービス業(宿泊業と娯楽業を除く)で常時使用する従業員が5人以下、宿泊業・娯楽業と製造業その他で20人以下です。会社役員と同居の親族の従業員は、この人数に入りません。
横浜市の小規模事業者店舗改修助成事業も、個人事業主が申請できます。個人事業主は、同じ店舗で同じ事業を1年以上続けていることを確定申告書の写しや営業許可証で示します。令和7年1月1日以降に創業した人は、創業から12か月が過ぎていることと開業届の写しが要ります。
医師と歯科医師と助産師は持続化補助金の対象外です。農業の個人事業主は系統出荷による収入だけの場合は対象外で、農作物の加工や料理の提供に必要な経費は対象です。
開業前の人は持続化補助金を使えない
申請の時点でまだ開業していない創業予定者は、持続化補助金の対象外です。税務署に開業届を出していても、届の開業日が申請日より後なら対象外になります。申請の時点までに事業を始めていないケースも同じです。
これから店を開く人が内装の工事費を補助で補いたいときは、開業のあとに申請する制度か創業の支援を探します。創業の制度は起業の補助金の記事に、空き店舗に入る場合は空き店舗の補助金の記事にあります。
自宅兼店舗は店舗部分だけが対象
自宅の一部を店舗や工房にしている個人事業主は、住宅部分の工事が補助の対象に入りません。持続化補助金は、住宅兼店舗の改装工事における住宅部分を対象とならない経費の例に挙げています。岩国市の店舗魅力向上リニューアル補助金は、顧客に直接サービスを提供する店舗部分だけを対象にしています。
見積書は、店舗の工事と住宅の工事を分けて出してもらいます。横浜市は、できるだけ対象経費のみの見積書を出して対象経費と対象外経費を明確にするよう求めています。店舗と住宅で共用する玄関や水回りの按分について、制度ごとの扱いは公式の資料で確かめられませんでした。窓口に聞きます。
補助金の税金と消費税
国税庁のタックスアンサーは、国や地方公共団体の補助金を固定資産の取得や改良にあてたときは、確定申告書に一定の事項を記載することを条件に、その部分を総収入金額に算入しないと案内しています。対象の税目は所得税です。「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」を確定申告書に付けます。
持続化補助金は、課税事業者の場合に消費税と地方消費税に相当する額をあらかじめ補助対象経費から減らして申請する決まりです。横浜市も消費税と地方消費税相当額を対象外にしています。補助金の経理は、改装の工事費を資産にするか費用にするかで変わります。工事の内容を伝えて税理士か税務署に確かめます。
自治体の店舗改装補助金(市区町村・都道府県)
店舗の改修を名指しした補助金は、都道府県より市区町村で多く見つかります。実施する市区町村は限られていて、内容の差も大きい分野です。以下は、公式ページを開いて確かめた4つの市の例です。
横浜市の小規模事業者店舗改修助成事業
横浜市内で事業を営む小規模事業者が、業務改善のために行う店舗の新たな改修費用の一部を補助します。補助率は1/2で、限度額は20万円または30万円(加盟する商店会から推薦がある場合)です。消費税と地方消費税相当額は対象外です。令和8年度の申請書の提出期限は令和8年11月30日17時で、期限の前でも予算に達したら募集を終えます。
対象になる事業は次のすべてを満たす必要があります。
- 改修を行う店舗等が横浜市内にある
- 事業の用に直接使う店舗等の新たな改修で、改修によって業務改善が見込める
- 横浜市内に本社等の主たる事務所を置く工務店等が改修を行う
- 交付決定通知日以降に契約(発注)したものである
- 1事業者1申請である
- 新たな業務改善を伴わない、従来の機能を復旧する修繕ではない
- 同じ設備等で、横浜市や他の公的補助制度の交付決定や支払いを受けていない
- 公序良俗に反するなど、市長が適当でないと認める事業ではない
対象の例は、座敷席を掘りごたつに改修して座りやすくし来客数を増やす工事や、バリアフリー化して高齢者の来店を増やす工事です。相談カウンターの整備や、テイクアウトに対応する窓口づくりも挙がっています。対象外の例は、古い畳の取り替えと、増築や耐震強度を増す改築、持ち運べて他の目的にも使える椅子、老朽化や故障によるエアコンや冷蔵庫の買い替えです。
申請できる人の条件は、店舗等が横浜市内にある小規模事業者(フランチャイズチェーンを含む)で、横浜市内の同じ店舗で同じ事業を1年以上続けていることです。週4日以上の対面営業と、市の「脱炭素取組宣言」に基づく宣言も求められます。過去にこの助成を受けた事業者は申請できません。
申請の前には事前相談を行います。申請は電子申請システムとEメールとFAXと郵送と持参で受け付けています。
補助額は次のように決まります。改修の対象経費が税抜40万円なら1/2で20万円です。商店会の推薦がなければ限度額の20万円がちょうど上限になります。対象経費が税抜70万円なら1/2は35万円ですが、推薦がなければ20万円で止まり、推薦があれば30万円で止まります。
前橋市の店舗リニューアル・チャレンジ支援事業補助金
前橋市は、小売業と飲食サービス業と生活関連サービス業の店舗を1年以上営業している事業者に、改装工事費と備品の購入費を補助します。対象の区域は、前橋市アーバンデザイン策定区域を除く市内全域です。改装工事費は内装や外装や空調や電気や給排水設備の工事などで、備品は税抜10万円以上のものが対象です。補助率は1/2以内で、小規模事業者は2/3以内です。上限は事業の種類で違い、一般型が10万円、チャレンジ型が15万円、承継型が50万円です。公式ページの対象事業の欄には「維持・管理型」という名前の区分が出てきて、一般型と同じ区分とみられます。
前橋市の条件には、前橋版電子地域通貨「めぶくPay」の加盟店であること、前橋商工会議所などの経営サポートを受けて事業計画を作ることが入っています。申請の前に申請条件確認票を出す必要があります。前橋市の公式ページは、市から交付の決定を受ける前に工事や備品購入をしたものは助成の対象にならないと案内しています。
たとえば小規模事業者が税抜30万円の内装工事をする場合、2/3で20万円ですが、一般型の上限が10万円なので補助は10万円で止まります。補助の対象かどうかだけでなく、上限がいくらの区分に入るかで受け取る額が変わります。
岩国市の店舗魅力向上リニューアル補助金
岩国市は、市内で小売業と飲食サービス業と生活関連サービス業(理容・美容・クリーニング業に限る)を3年以上続けている中小企業者等の、店舗部分の改装工事費を補助します。補助率は対象費用の1/2(消費税を除く)で、限度額は50万円です。実績報告までに事業承継を行う場合は80万円になります。対象の経費は30万円以上の工事に限られます。
工事の発注先は、岩国市内に本店を置く事業所でなければなりません。市外の業者に発注すると対象外です。令和7年度から、補助金の交付から3年を経過していれば、再度申請できるようになりました。中心市街地は別の補助事業(まちなか再生事業助成金)の担当になります。
宇部市の商業活性化事業費補助金(店舗改修補助金)
宇部市は、中心市街地で1年以上営業している店舗の改修またはファサード整備(店の正面の外観を整える工事)に、補助率1/2で上限50万円の補助を出す制度を設けています。改修工事は市内に事業所を持つ法人か個人が行ったものだけが対象で、エアコンや冷蔵庫などの備品の購入費は対象に入りません。申請書類には、賃借の店舗なら賃貸借契約書の写しと市内業者の工事見積書などを付けます。
募集期間は令和9年3月31日までと書かれていますが、2026年9月3日更新の宇部市の公式ページには「募集終了しました」と出ています。期間の終わりを待たずに受付が止まる例です。予算の上限がある制度は、期間が残っていても申請できない場合があります。
自治体の制度に共通する条件
4つの市の条件を並べると、共通する形が見えてきます。
| 制度 | 営業年数 | 発注先の条件 | 申請前の手続き |
|---|---|---|---|
| 横浜市 | 同じ店舗・同じ事業で1年以上 | 市内に本社等を置く工務店等 | 事前相談、交付決定通知日以降に契約 |
| 前橋市 | 店舗で1年以上 | ページに記載なし | 申請条件確認票の提出、商工会議所等の支援 |
| 岩国市 | 3年以上 | 市内に本店を置く事業所 | 商工会議所・商工会の所見欄 |
| 宇部市 | 中心市街地で1年以上 | 市内に事業所を有する法人・個人 | 申請書類に見積書を付ける |
営業年数の条件と市内の業者への発注と申請の前の相談や商工会議所の関わりが、多くの制度で見られる条件です。自分の店が1年以上の営業実績と対象の業種に当たるかを先に確かめます。
自分の市の制度を探す
市区町村の公式サイトで「店舗改修」「店舗リニューアル」「商店街」「商業振興」と検索すると担当の課が見つかります。産業振興課や商工観光課やにぎわい商業課のように、名前は自治体ごとに違います。商工会議所や商工会の窓口でも地域の制度を案内してもらえます。この記事の下にある全国の一覧でも、都道府県ごとに制度を並べています。
東京都や大阪府の制度を探している場合も、県単位より市区町村の制度が中心になります。東京都では、商店街で起業や事業承継をする人向けの東京都商店街起業・承継支援事業があります。大阪府の制度は、今回の調べでは店舗の改装を目的にした公募中の制度を見つけられませんでした。市町村単位で探します。
飲食店・美容室・小売店の店舗改装
業種で制度の向き不向きが分かれることはあまりありません。持続化補助金は飲食店でも美容室でも小売店でも使えます。違いが出るのは自治体の制度で、前橋市と岩国市は小売業と飲食サービス業と生活関連サービス業を対象にしています。岩国市の生活関連サービス業は理容・美容・クリーニング業に限られ、前橋市は風営法関連業種を対象から外しています。
飲食店の店舗改装では、客席の改装とテイクアウト窓口の新設とバリアフリー化と利用客向けトイレの改装が使われやすい工事です。横浜市の対象の例にある「座敷席を掘りごたつにする」「テイクアウトの窓口を作る」は飲食店の改装に近い内容です。開業時の内装は飲食店の内装工事の補助金の記事に、持続化補助金の飲食店向けの使い方は飲食店の持続化補助金の記事にあります。
美容室は、セット面のレイアウト変更や待合スペースの新設を集客のための改装として計画に書く形が考えられます。美容室の使い方は美容室の持続化補助金の記事にまとめました。小売店は売場の改装とショーケースなどの備品を合わせた計画が組みやすい業種です。
どの業種でも、風営法の許可が要る営業や、無人の店舗は、自治体の制度で対象から外されることがあります。岩国市は無人店舗を対象外にしています。
賃貸の店舗や自宅兼店舗で補助金を使うとき
賃貸の店舗は家賃と敷金が対象外
賃貸で店を借りている場合も、改装の工事費は対象になり得ます。持続化補助金は事務所等に係る家賃を補助の対象としていません。駐車場代と保証金と敷金と仲介手数料も対象外です。ただし新たな販路開拓の取組として新しく事務所等を借りる場合は、借料の対象になる場合があります。
宇部市の申請書類には、賃借の店舗の場合は賃貸借契約書の写しがあります。郡山市のまちなかリノベーション改修工事支援補助事業は、空き家や空き店舗を借りて改修する人に遊休不動産の所有者との賃貸借契約書の写しを求めています。リノベーション施工同意書兼遊休不動産未利用期間確認書も必要です。
貸主の承諾を求める制度は、今回の公式ページで確認できたものでは空き店舗や遊休不動産を借りるタイプが中心でした。通常の賃貸店舗の改装について、貸主の同意書を必須にする制度の有無は確かめきれていません。壁を壊す工事や床を張り替える工事は貸主の承諾がないとできないのが一般的なので、見積を取る前に貸主に確認することを編集部は勧めます。
退去時の原状回復と補助金
補助金で整えた内装を退去のときに壊して原状回復すると、処分制限に触れる可能性があります。持続化補助金の処分制限は、補助事業の目的以外での使用や譲渡や担保提供や廃棄などを対象にしています。公募要領は50万円以上の外注工事などが処分制限財産に当たるとしていますが、賃貸物件を退去するときの扱いは公募要領の本文には書かれていませんでした。
原状回復の費用を補助の対象にできるかも、確かめられていません。賃貸の店舗で50万円以上の改装を計画している人は、申請の前に補助金事務局へ、退去と原状回復の扱いを問い合わせるのが安全です。
補助の対象になる改装・ならない改装
ここまでの内容を、対象になりやすい改装とならない改装の違いに整理します。
| 場面 | 対象になりやすい | 対象になりにくい |
|---|---|---|
| 内装・外装 | 来客数や売上の増加を計画に書ける改装 | 老朽化した壁や床を直すだけの修繕 |
| バリアフリー化 | 手すり、段差の解消、利用客向けトイレの改装 | 住宅部分や従業員用だけの改装 |
| 設備・備品 | 集客や衛生向上に役立つショーケースやベビーチェア | 故障したエアコンや冷蔵庫の買い替え、持ち運べる椅子、パソコン |
| 建物 | 既存の店舗の改修 | 増築、増床、コンテナなどの設置 |
| 店舗の移転 | 移転後の店舗の改装(移転以外の目的がある場合) | 移転だけを目的にした旧店舗の解体と新店舗の建設 |
| 費用の種類 | 工事費、備品の購入費 | 家賃、敷金、保証金、仲介手数料、光熱水費 |
横浜市は、店舗の改修に伴う備品の購入も、使い道が限られて店内に据え置く備品や機械装置なら対象の例に入れています。同じ備品でも持ち運べて他の目的に使えるものは対象外です。持続化補助金とは備品の見方が少し違います。
見積と業者に確認すること
補助金を使うかどうかにかかわらず、改装の見積は複数の業者から取るのが普通です。補助金を使うときは、見積の書き方にも決まりがあります。
持続化補助金は、1件あたりの発注総額が50万円(税込)を超える場合に2者以上の見積を求めます。横浜市は見積書等で経費の内訳がわかる書類を求め、できるだけ対象経費だけの見積書を出すよう案内しています。岩国市と宇部市と横浜市は、市内の事業所への発注を条件にしています。
契約の前に、業者へ次のことを確かめます。
- 見積の項目が、補助の対象経費と対象外の経費に分けて書かれているか
- 工事の着工日と契約日が、交付決定通知の日より後になるか
- 工事の請求書や領収書の宛名・日付・内訳が、補助金の実績報告に使える形か
- 市内の業者への発注が条件になっていないか、その業者が条件に当たるか
- 店舗部分と住宅部分を分けて見積を出してもらえるか
- 工事の完了日が、補助事業の期間内に収まるか
業者の紹介やおすすめの会社の比較は、この記事では扱いません。補助金の申請書類を業者に代わりに作ってもらう場合は、費用の範囲と補助の対象にならない費用かどうかを契約の前に確かめておきます。持続化補助金は、補助金応募書類・実績報告書等の作成・送付・手続きに係る費用を補助の対象外としています。
申請から入金まで、お金が動く順番
店舗改装の補助金は、ほとんどが後払いです。持続化補助金の公募要領は「補助事業遂行の際には自己負担が必要となり、補助金は後払いです」と書いています。
工事代金は、いったん全額を自分で払います。たとえば内装工事が税抜150万円で全額が補助対象なら、2/3は100万円ですが通常枠の上限50万円で止まります。工事代金の150万円は先に支払い、補助の50万円が入るのは工事が終わって実績報告をしたあとです。補助金で足りない100万円と入金までのつなぎの資金を、事前に用意しておく必要があります。
資金の組み立ては、自己資金と金融機関の融資と補助金の入金を時期をずらして並べて考えます。創業時の融資は日本政策金融公庫の創業融資の記事にまとめました。
入金の時期は制度ごとの手続きで変わります。持続化補助金の交付規程(第18〜20条)では、補助事業が終わった日から30日がたつ日か、事業実施期限日の属する月の翌月10日(第20回は2028年4月10日)の、早い方までに実績報告書を出します。事務局が内容を確かめて補助金の額を確定して通知し、その後に精算払請求書を出して、補助金が支払われます。額を確定する前には支払われません。横浜市も実績報告書と請求書を出す手続きがあります。確定から入金までの日数は、交付規程にも公式ページにも書かれていませんでした。制度の窓口に実績報告から支払いまでの期間を聞いておきます。
併用できる補助金・できない補助金
同じ工事に、別の国や自治体の補助金を重ねて受けることは、多くの制度で認められていません。
- 持続化補助金は、国が助成する他の制度と同一または類似の内容の事業を対象外にし、同一の補助事業で重ねて国の補助金を受けられないとしています。受給している場合や受給予定の場合は、双方の事務局に先に確認します
- 横浜市は、同じ設備等で市や他の公的補助制度の交付決定や支払いを受けていないことを条件にしています
- 前橋市は、対象経費について他の補助金の交付を受けていない、または受ける予定がない事業に限っています
- 岩国市は、対象経費について国や県などの同じ目的の補助金の交付を受けている店舗を対象外にしています
工事を分ければ、別々の制度を使える場合があります。たとえば内装は自治体の制度で、レジや予約システムは別のIT系の補助で、という分け方です。同じ見積書の同じ項目を2つの制度に出すことはできません。2つの制度を使うつもりなら、見積書の段階からどの項目をどの制度に出すかを分けておきます。
補助金が出なくなる・返還になるとき
審査に通って交付が決まったあとでも、補助金が出なくなる場合があります。公式の資料から確認できたものをまとめます。
- 交付決定の前に発注や契約をした経費は、補助の対象になりません。持続化補助金と横浜市と前橋市と郡山市が明記しています
- 特例を申請した場合、補助事業の終了時点で要件を満たしていないと、補助金は交付されません。持続化補助金はインボイス特例も賃金引上げ特例も、上乗せ部分だけでなく全体が対象外になるとしています
- 処分制限の期間内に、承認を受けずに補助で整えた内装や設備を処分すると、交付の取消と加算金付きの返還命令の対象です
- 実績報告書が期日までに確認できないと、持続化補助金は交付決定を取り消すと定めています。郡山市は、工事の完了後30日以内または年度の3月31日までのいずれか早い日までの報告を求めています
- 補助事業に関する帳簿と証拠書類は、補助事業の終了日の属する年度の終了後5年間保存する決まりです(持続化補助金)
補助金の申請を代行すると誘う業者や、採択を約束するような説明をする業者には注意します。持続化補助金の事務局は、補助金事務局を名乗って補助金の案内や紹介を行う事案が発生していると告知しています。
店舗改装の補助金の代表的な金額
国の制度と、上限の大きい制度を上限額で比べた表です(制度名を押すと下の全国一覧のその制度へ移ります)。
