新築の家に載せる太陽光パネルだけを対象にした国の補助金はありません。国が新築に出すのは、断熱と省エネの性能を満たした家1戸あたりの定額の補助です。パネルの容量(kW)に単価をかけて出す補助は、東京都や仙台市などの自治体にあります。
国の補助のうち、みらいエコ住宅2026事業のGX志向型住宅は1戸110万〜125万円です。一般の地域では「太陽光などでつくる電気を含めて基準の一次エネルギー消費量を100%以上減らす」ことが要件なので、事実上パネルを載せる家が対象になります。長期優良住宅とZEH水準住宅は、パネルを載せなくても申請できます。
東京都の家庭向けの制度は、新築なら容量3.6kW以下で1kWあたり12万円(上限36万円)で、3.6kWを超えると1kWあたり10万円です。「新築の太陽光は義務化された」と聞いて調べる人も多いのですが、東京都と川崎市で義務を負うのは大手のハウスメーカーなどの事業者です。家を建てる人に、設置の義務はありません。
この記事では、新築に載せる太陽光で使える補助の組み立てを、国と自治体、蓄電池、義務化との関係の順に整理しました。そのあとに代表的な補助金の金額と締切、注意点、全国の一覧を載せています。既存の家への後付けと都道府県別の一覧は太陽光の補助金の記事、太陽光に限らない新築の補助金は新築の補助金の記事で扱っています。
新築の太陽光発電で使える補助金の概要
新築に載せる太陽光で使える補助は、国の補助と自治体の補助に分かれます。国は家の性能に定額で出します。自治体にはパネルの容量や設置に出す制度と、ZEHなど家の性能に出す制度があります。国と自治体の補助には、重ねられる組み合わせと重ねられない組み合わせがあります。
国は太陽光パネルだけの補助を出していない
資源エネルギー庁が調達価格等算定委員会に出した資料(2024年12月)には、国が1994年から住宅用太陽光の補助を始めたと書かれています。太陽光発電協会がまとめた補助金の申込受付件数の集計は、平成21年1月から平成26年3月31日受付分で終わっています。
この集計より後に住宅のパネルの設置費だけを対象にした国の補助は、公式サイトで見つけられませんでした。2026年度の国の住宅向け支援は、国土交通省・経済産業省・環境省の「住宅省エネ2026キャンペーン」です。新築で使えるのは、このうちみらいエコ住宅2026事業(国土交通省と環境省の合同)です。環境省の事業として、SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)が受け付けるZEH補助もあります。
蓄電池への国の補助だった「DR家庭用蓄電池事業」は、2026年5月29日に交付申請額の合計が予算に達して公募を終えました。公式サイトには、公募を再開する予定はないと書かれています。
国の補助①:みらいエコ住宅2026事業(GX志向型・長期優良・ZEH水準)
みらいエコ住宅2026事業の新築は、家の性能が3つの区分に分かれていて、1戸あたりの補助額が決まっています。額は断熱の地域区分で分かれ、寒い地域ほど高くなります。地域区分は建築物省エネ法が定める1〜8地域の気候の分類です。
| 区分 | 家の性能の要件(戸建) | 補助額(1〜4地域/5〜8地域) | 太陽光パネル |
|---|---|---|---|
| GX志向型住宅 | 断熱等性能等級6以上、再エネを除く削減率35%以上、HEMS(家庭の電気を管理する機器)の導入 | 125万円/110万円 | 一般の地域は再エネを含む削減率100%以上が要件 |
| 長期優良住宅 | 長期優良住宅の認定、断熱等性能等級5以上、一次エネルギー消費量等級6以上 | 80万円/75万円 | 要件に含まれない |
| ZEH水準住宅 | 断熱等性能等級5以上、再エネを除く削減率20%以上 | 40万円/35万円 | 要件に含まれない |
GX志向型で見落としやすいのは地域ごとの違いです。寒冷地(1・2地域)と低日射地域は再エネを含む削減率が75%以上、多雪地域と都市部の狭小地等は再エネの要件がありません。一般の地域に建てる家がパネルを載せずにGX志向型を取ることは、要件上できません。GXへの協力表明をした事業者が建てる住宅に限られる点も、公式サイトにあります。
長期優良住宅とZEH水準住宅は、対象が子育て世帯または若者夫婦世帯に限られます。子育て世帯は申請時点で18歳未満の子がいる世帯、若者夫婦世帯は夫婦のどちらかが39歳以下の世帯です。どちらも年齢は令和7年4月1日時点で数えます。令和8年3月末までに工事に着手した場合は、令和6年4月1日時点で数えます。GX志向型は世帯を問いません。
申請するのは施主ではなく、登録を受けた住宅事業者(みらいエコ住宅事業者)です。事業者が施主に代わって交付申請をし、受け取った補助金を施主に還元します。契約する会社が登録事業者でなければ、補助の対象になりません。
そのほかの主な条件は次のとおりです。
- 施主が自分で住む家で、床面積が50㎡以上240㎡以下
- 2025年11月28日以降に基礎工事に着手した家
- 2027年1月31日時点で、基礎工事以降の工事が補助額以上の出来高まで進んでいること(竣工は不要)
- 長期優良住宅とZEH水準住宅で古家を壊して建て替えるときは、20万円の加算
交付申請の予約の受付は遅くとも2026年11月16日まで、交付申請の受付は遅くとも2026年12月31日までです。予算の上限に達すると、その前に終わります。注文住宅のZEH水準住宅だけは受付期間が短く、予約が2026年8月17日まで、交付申請が2026年9月30日まででした。補助額の詳しい区分と申請の段取りは、みらいエコ住宅2026事業の記事にまとめています。
国の補助②:環境省のZEH補助(戸建ZEH・ZEH+)
SIIの令和8年度「戸建住宅・集合住宅のZEH化・省CO2化促進事業」には、個人が申請する公募要領があります。ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)は、外皮の断熱を高めて設備の省エネで一次エネルギー消費量を20%以上減らし、太陽光などの再エネを含めて年間の消費量を100%以上減らす住宅です。パネルを載せることが前提になります。
単年度事業の補助額は定額です。ZEHは地域区分の1〜3地域が55万円、4〜8地域が45万円、ZEH+は1〜4地域が90万円、5〜8地域が80万円です。Nearly ZEHとZEH Orientedも、交付要件を満たせばZEHと同額になります。蓄電システムを入れると、1kWhあたり2万円と経費の3分の1と上限20万円のうち、いちばん低い額が加算されます。
申請の条件には次のようなものがあります。
- SIIに登録された「ZEHビルダー/プランナー」が建築・設計・販売に関わる住宅
- 申請者が常時住む新築の専用住宅で、完了実績報告までに居住していること
- 新築の建売住宅は、購入予定の個人も単年度事業で申請できる(複数年度事業は対象外)。販売する法人が申請するときは、別の公募要領(法人申請編)を使う
- 公募期間は2026年5月21日10時から12月11日17時まで(単年度事業)
SIIの注意書きには、交付決定の通知前に発注を済ませた事業は補助の対象外と書かれています。交付決定は、申請の受理から3週間ほどを目安にしています。みらいエコ住宅2026事業とは併用できません。同じ家で申請できるのは、どちらか一方です。
自治体の補助:何に対して出すかで決まり方が変わる
自治体の新築向けの補助は、決まり方がばらばらです。公式ページで確認できた制度を、決まり方で並べます。
| 制度 | 決まり方 | 新築で確認したい条件 |
|---|---|---|
| 東京都 家庭における太陽光発電導入促進事業 | 容量3.6kW以下は1kWあたり12万円(上限36万円)、3.6kW超は1kWあたり10万円 | 太陽光の契約は事前申込の受付日以降。陸屋根の架台・防水の上乗せは新築の戸建では対象外 |
| 神奈川県 住宅用太陽光発電・蓄電池導入費補助金 | 太陽光1kWあたり7万円+蓄電システム1台15万円 | 蓄電システムの設置が必須。新築注文住宅は建築確認済証、新築分譲住宅は購入契約書を出す。本人の申請のみ |
| 仙台市 太陽光発電等導入補助金(新築戸建住宅向け) | 定額(ZEH水準・4kW以上で50万円、蓄電池と同時で60万円など) | 出力2kW以上、発電量の30%以上を自宅で使う。国費の補助を受けた住宅は対象外 |
| 千葉県 ZEH導入促進事業補助金 | ZEHは1戸50万円、ZEH+は1戸100万円 | 県内の中小工務店が施工する家。BELS(建物の省エネ性能の第三者評価)の取得 |
東京都は、パネルの容量に単価をかける形です。3kWなら36万円で、3.6kWでも36万円です。3.6kWを超えると1kWあたり10万円に変わります。4kWは40万円、5kWは50万円です。どれも助成対象経費が上限になります。東京都の「新築単価」は、法律上の新築住宅とは別の区分です。パネルを住宅の建築と同時に設置する場合のほか、登記事項証明書の原因日付が事前申込の受付日より後の場合も新築単価になります。設置日から17年のあいだ設備を処分する前に承認が要る決まりもあります。詳しくは東京都の家庭向け太陽光の記事で確かめられます。
神奈川県の補助は、太陽光だけでは申請できません。蓄電システムをあわせて入れる経費が対象で、蓄電システムはSIIの登録製品に限られます。「新築注文住宅」は住宅の購入時に太陽光と蓄電システムを入れる場合、「新築分譲住宅」はそれらを搭載した建売住宅を買う場合です。引き渡し済みの分譲住宅に後から載せると既存住宅の扱いになります。
仙台市は、新築戸建て向けと既存戸建て向けで制度を分けています。新築はZEHまたはZEH水準の家が対象です。ZEH水準の家は、売電を固定価格買取制度(FIT)の価格では行えません。ZEHの家はFITで売れます。詳しくは仙台市の新築戸建向けの記事にあります。
千葉県のように、太陽光ではなくZEHの住宅そのものに出す補助もあります。島根県の「省エネ住宅・再エネ設備パッケージ補助金」は、県産木材を主要構造部の35%以上使う家が対象で、FITやFIPの認定を取らずに発電量の30%以上を家で使う条件が付きます。補助額は、ZEHの区分が55万円、ZEH+の区分が100万円で、どちらも補助対象経費が下回ればその額です。あわせて入れる設備には、太陽光が1kWあたり7万円(最大9kW)、蓄電池が価格の3分の1(蓄電容量は最大10kWhまで、1kWhあたりの単価は4.7万円が上限)の補助が付きます。新築向けの自治体の補助は、制度名に「太陽光」と入らず「ZEH」「省エネ住宅」「脱炭素」と付くことも多くあります。千葉県は千葉県のZEH補助金の記事、島根県は島根県の省エネ住宅補助金の記事で扱っています。
国の補助と自治体の補助は重ねられるか
重ねられるかどうかは、お金の出どころが国かどうかで決まります。みらいエコ住宅2026事業は、同じ住宅に国の他の補助を重ねることを認めていません。ZEH補助もみらいエコ住宅2026事業との併用を認めていないので、国の補助どうしはどちらか一方です。
国と自治体については、みらいエコ住宅2026事業の公式サイトに「地方公共団体の補助制度については、国費が充当されているものを除き、併用可能」とあります。神奈川県のQ&Aも国や市町村の補助と併用できると答えたうえで、県との併用を認めない補助もあるので個別に確認するよう求めています。仙台市の新築戸建て向けは反対に、みらいエコ住宅支援事業や国のZEH補助を受けた住宅を対象外にしています。
同じ家で国の補助も自治体の補助も受ける計画は、自治体の要綱に「国の補助を受けていないこと」「国費が入っていないこと」といった条件が無いかを読んでから立てます。島根県の案内には、環境省の交付金の規程が変わると要綱を改訂することがあると書かれています。自治体の補助にも国の交付金が入っている例があるので、財源が国かどうかは窓口で聞くのが確実です。
新築の太陽光は義務化されている?東京都と川崎市の制度
「義務化」は、家を建てる人に設置を求める制度ではありません。東京都と川崎市の制度が義務を課すのは、新築の住宅を大量に供給する事業者です。
東京都の建築物環境報告書制度は、令和7年(2025年)4月から施行されています。対象は延べ面積2,000㎡未満の新築の規格建築物(事業者が自ら定めた構造と設備の規格にもとづく建築物)です。都内で1年間に建てる合計が2万㎡以上の建物供給事業者が、断熱・省エネ性能の確保と太陽光発電設備などの設置と電気自動車の充電設備などの設置を義務付けられます。事業者には施主や購入者に環境性能を契約までに説明し、都に報告書を出す義務もあります。
施主の側に求められるのは、事業者の説明を聞いて注文するかどうかを判断することです。東京都のQ&Aは、注文住宅の施主は説明や都の指針にもとづいて環境負荷を減らすよう努める立場だと説明しています。施主への罰則は、確認した都の資料に書かれていませんでした。延べ面積2,000㎡以上の建物は、別の建築物環境計画書制度の対象です。
川崎市は令和7年4月に特定建築事業者の制度を始めました。延べ床面積2,000㎡未満の建物(戸建て住宅を含む)を年間一定量以上建てる大手のハウスメーカーなどが対象で、事業者ごとの設置基準量を満たす必要があります。市の案内は、すべての新築に設置を求めるものではなく事業者から住宅を買う場合も購入者が設置の有無を選べると書いています。
東京都の資料には、京都府・市が2022年から延べ面積300㎡以上、群馬県が2023年4月から延べ面積2,000㎡以上の新築を対象に設置を義務化したとあります。対象や義務を負う人は制度ごとに違うので、自分の建てる地域の制度は自治体の公式サイトで確かめます。
補助との関係では、東京都の家庭向けの助成に令和8年度も新築単価が設けられています。助成の対象者はパネルを所有する個人などと書かれています。義務化を理由に補助が縮むのかどうかは、公式サイトに書かれていませんでした。
営業トークにも注意が要ります。川崎市の消費生活のページには、突然訪問した業者から「川崎市では新築住宅に太陽光パネルの設置が義務化された」と説明されて、パネルと蓄電池などで500万円の契約をした相談が紹介されています。市は、訪問販売の契約は書面を受け取った日から8日以内ならクーリング・オフ(無条件の解除)ができると案内しています。個人に義務がないのに義務のように説明された場合は、契約の取り消しを主張できる場合もあるとしています。
新築と後付けで、補助金は何が変わるか
新築と既存の家では、使える制度が変わります。新築は家の性能に国の定額が出て、既存の家は自治体のパネルへの補助が中心になります。
東京都は新築単価のほうが既存単価より低く設定されています。既存住宅の単価は3.75kW以下で1kWあたり15万円(上限45万円)で、3.75kWを超えると12万円です。引き渡しの後にパネルを載せると、新築でも既存単価になることがあります。逆に設置が住宅の建築と同時でなくても、登記の原因日付が事前申込より後なら新築単価に入ります。
神奈川県では、引き渡し済みの住宅は年数にかかわらず既存住宅です。建売を買ったあとにパネルを載せる計画なら、既存住宅として申請することになります。
家を建てる前にパネルを載せる時期を決めておくと、使える制度が絞れます。建築と同時なら新築向け、引き渡しの後なら既存向けです。既存の家に載せる制度は、太陽光の補助金の記事と太陽光パネルの補助金の記事で調べられます。
蓄電池やV2Hとセットのときの補助金
新築で太陽光と蓄電池をあわせて入れる場合は、蓄電池が条件になる制度と加算になる制度があります。
- 神奈川県は蓄電システムの設置が必須で、1台あたり15万円。パッケージ型番ごとに数える
- 仙台市の新築戸建て向けは、ZEH水準の家で4kW以上なら太陽光だけで50万円、蓄電池と同時で60万円
- 環境省のZEH補助は、蓄電システムの加算が最大20万円
- 国のDR家庭用蓄電池事業は、2026年5月29日に公募を終了
東京都の蓄電池の補助は、太陽光とは別の事業として動いています。条件と額は東京都の蓄電池補助金の記事で確かめます。太陽光と蓄電池を同時に入れる場合の考え方は太陽光と蓄電池のセットの記事に、V2H(車の電池を家で使う設備)の補助はV2H補助金の記事にあります。
新築の太陽光発電の補助金の金額
国の制度と金額が大きい制度を上限額で比べた表です(制度名を押すと、下の全国一覧のその制度へ移ります)。
